アオのハコ ~鶴は鹿の元に舞い戻る~   作:お面ライダーよっしー

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原作で高校生の男女が同居する話に千夏パパが事後承諾した癖に、結果出せなかったのを恋愛に結び付けて頭ごなしに否定して同居解消させようってのが面白くないので話し合いです。

まぁ、父親としてそう言ってしまう気持ち自体は分からなくも無いんですがね。


EP5 思春期男女の同居話に父親が出てこないのはおかしいだろ

 

ナツ姉がウチに同居する事になった。

 

もう1人の親友である猪股由紀子さんにも話は通していて、そちらからもOKは貰っていた様だが、猪股家にも俺と同い年の男子が居てナツ姉は部活絡みで面識があるとの事だったが、「幼馴染みである俺の方が気を遣わなくて済む」と言う理由でウチに決めたんだと。

 

顔も知らぬ猪股くんよ、多分君もナツ姉のファンだったろうに何かごめん。顔合わせた時にジュースでも奢るわ。

 

さておき、ナツ姉は海外へ行かずに済んだ。

それ自体は喜ぶべき事なんだが、俺には1つ気になる事があった。

 

幾ら幼馴染みとは言え、婚約者でも何でもない高校生の男女が1つ屋根の下で暮らすと言うのに、娘の「鶴羽家にお世話になりたい」に対して「そうか」で済ます父親ってどうなの?

 

春菜さんが先んじて話していたとしても、口下手ってレベルじゃないでしょ。

 

そこで私は考えました。

 

『思っている事・言いたい事・心配している事、つまり“本心”を腹を割って話させる為に、ウチの両親と春菜さん、もう1人の親友である猪股由紀子さんでトコトン追い込んで貰おう』と。

 

思い立ったら即行動。

 

先ずはウチの母さんに懸念している事を伝える。

 

「確かに冬樹さんからもOKは貰ったって春菜は言ってたけど、その当人が全く姿を見せないってのは不自然よね」

 

「だろ?口下手だからで済ませて良い話じゃないと思うんだよね。だから父さんと母さん、春菜さんと猪股さんの4人でちょっと詰めて貰いたいと思ってる」

 

「アンタ中々にエゲつない事考えるわね」

 

「そうかな?お互い蟠りも無く、スッキリした気持ちで暮らすにはそれが良いと思ったんだけど」

 

「分かった、先ずは春菜に話してみるわ。それで冬樹さんの都合の良い日にウチに来て貰う様にして、父さんにも場合によっては有休取って貰うわ。由紀子は私と同じ専業主婦だから早目に言えば融通は利くと思うし」

 

「あぁ、勿論俺とナツ姉も同席するからな、当事者だし。冬樹さんが俺に対しても何か思う所があるってんなら、真正面から話し合う必要があると思う」

 

「・・・今初めて我が息子を頼もしいと思ったわ」

 

え、俺ってそんな信頼されてなかったの?

 

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そして決戦の日はやってきた。

 

クリスマスも近いと言う事で、両家(+1)でクリスマスパーティーを開くと言う名目で誘き寄s・・・ゲフンゲフン、参加して貰う運びになった。

 

「さて、本音は引き出せますかねぇ」

 

夕方17時になり、我が家に全員が揃う。

 

「では、皆様の健康と発展、千夏ちゃんの日本残留を祝ってカンパ~イ!」

 

と母さんが音頭を取る。

 

話し合いの前に酔われては困るから、大人の皆様にはノンアルを飲んで貰う。

 

30分程飲食を楽しんだ後、いよいよ本題に切り込む。

 

「改めまして鹿野さん、雪の父で鶴羽那月(つるばなつき)です。そしてこちらが」

 

「雪の母で優花(ゆうか)です。冬樹さん、お久し振りですね」

 

「鶴羽雪です。春菜さんやナツね・・・千夏さんには子供の頃よく遊んで貰ってました。冬樹さんは余り覚えていなくてスイマセン」

 

軽い自己紹介から入ってみたが、どう返してくるか。

 

「ご丁寧な挨拶痛み入ります。千夏の父の鹿野冬樹です。こちらこそ無理なお願いで娘がお世話になり、申し訳なく思っています。雪くんも私は殆ど関わっていなかったから、覚えていなくても気にしなくて良い」

 

「私も改めてご挨拶を。千夏の母の春菜です、今回は本当にありがとう。私たち夫婦は安心して海外に行けます」

 

「鹿野千夏です!今回は私の為に無理を聞いて下さり、本当に有難う御座います!私を信じてくれた皆さんの為にも必ずや全国制覇を達成します!」

 

おーおー、ナツ姉が場の雰囲気にあてられたのか、「ふんす」と言う擬音が幻視出来そうなレベルで気合い入ってるわ。

 

そして最後の1人

 

「私が最後ね。優花と春菜の親友で栄明バスケ部OGの猪股由紀子です。冬樹さん、今回の件、もし鶴羽家が無理ならウチで千夏ちゃんを預かろうと話していました。それは杞憂に終わりましたが、ご挨拶だけでもと今回お邪魔させていただきました」

 

さぁ、始めようか。

 

「冬樹さん、今敢えて言いますが、私は当初この話に反対でした」

 

父さんが口火を切る

 

「と言うと?」

 

「幾ら母親同士が親友で当人たちが幼馴染みとは言え、思春期の多感な時期に人様の大事な娘さんを預かるのは、たとえ息子を信じていても何か間違いが起きてしまっては申し訳が立たない、と言う考えがありましたから」

 

「確かに。私も娘や妻を信じていても、同年代の男子が居るお宅には、と言う思いは未だにあります。雪くんの幼い頃を知っている身としては、こんなにも逞しく精悍に成長したのを見て嬉しくもあるが、寧ろこの体格差で襲われたら千夏では何の抵抗も出来ない、と失礼ながら思ってしまったのも事実です」

 

「お父さん!それは雪くんに対して酷過ぎるよ!」

 

俺は何も言わずにナツ姉を手で制す。

 

これこそが俺が知りたかった冬樹さんの“本心”だからだ。

 

「冬樹さんを除いたこの場に居る大人4人で話し合いをしている時、恥ずかしながら迷ってしまいましてね。そんな時に3人に言われたんです」

 

ー貴方が不安なのは分かる。でもね、今の千夏ちゃんにとってのこれからの2年間は大人である私たちの2年とはまるで重みが違うの。人生で1番大事で輝ける2度と取り戻す事が出来ない、かけがえの無い時間なのよー

 

ーそうですよ那月さん。責任なら私たちが一緒に背負います。その何にも代えがたい大事な時間を守ってあげられる方法があるのなら、力になってあげるのが私たち大人の役割だと思いますー

 

ー高校時代の友人が一生の友人になるって考えも世間にはあるし、同じ高校の同じ部活で同じ時を過ごした私たち3人が卒業してから1度はバラバラになったのに、こうやって集まって子供の身を案じているのが何よりの証拠でしょうー

 

「とね。それを聞いて、あぁこの人たちは本当に子供たちを信じて守ろうとしているんだな、と。

体面や責任逃ればかりを考えていた自分が恥ずかしくなりましたよ」

 

「・・・そうですね。確かに高校の3年間と言うのは、何とも表現のしようが無いくらいに他とは違う特別な時間です。それを大人の都合で奪ってしまうのは私としても心苦しいところはあります。しかし娘が心配なのも事実です」

 

そこで由紀子さんが口を開く

 

「冬樹さん、貴方が千夏ちゃんを心配しているのは本人にも重々伝わっていると思います。千夏ちゃんの思いも聞いてみてはどうでしょうか?」

 

その問いにナツ姉が答える。

 

「お父さんがそこまで心配してくれていたなんて初めて知った。相談や報告をしてもいつも一言二言で終わっちゃうから、余り心配されていないんだと思ってた。お父さんの気持ちも知らずに勝手な事を言ってると思う、本当にごめんなさい。それでも私はここに、鶴羽家に居たい。同居を許して下さい、お願いします!」

 

「・・・・・私も春菜に任せ切りで確りとお前と向き合って来なかった。もっと早くこうして話し合っていれば余計なすれ違いもなかった筈だ、済まなかった。しかし先程から言っている様にそういった危険がある事についてはどう思っている?」

 

「私は雪くんを信じてる」

 

ノータイムで答えるナツ姉。

 

「そうか、そこまで彼を信じていると。・・・分かった、改めて同居を許可しよう」

 

「っ!有難う、お父さん!!」

 

ふむ、俺が本来考えていた展開とは違っちゃいるが、冬樹さんの本心を知るって意味では成功したんじゃなかろうか。

 

と思案していると冬樹さんが、「千夏はこう言っているが、雪くん自身はどう思っているのかな?」と聞いてくる。

その目は「嘘偽りは許さない」と言っている様に鋭い物だった。

 

目を瞑り、「ふーっ」と一息吐く。

 

ここまで来たらプランも何も無い、俺も腹を括るか。

 

冬樹さんの目を真っ直ぐに見つめて答える。

 

「・・・そうですね、冬樹さんの懸念は父親として当然だと思います。

確かに俺がナツ姉を力ずくでどうこうしようと襲い掛かれば、体格・腕力の差で碌な抵抗も出来ないでしょうね。

そしてそれをナツ姉は誰にも言えず、なし崩し的にズルズルと関係を続ける事になる・・・と考えてもおかしくない」

 

「っ!雪くん・・・それって同居の話は無しって事?」

 

「早とちりすんなナツ姉、そんな訳無いだろ。栄明史上初の男女バスケ部アベック優勝の約束はどうなるんだよ」

 

「え、でも」

 

「冬樹さん、いやここに居る皆に宣言する。俺は何があっても嬉し涙以外でナツ姉を泣かせたりしない。俺の魂と心に誓って絶対にだ!」

 

立ち上がって拳を作り、ドンと胸に当てて宣言する。

 

「言いたい事は分かったが雪くん、それをどう証明するんだい?」

 

「ははっ、証明のしようなんてありませんよ。

ただ俺を、いや違うな、“俺と千夏を信じてくれ”としか言えませんね。

まぁ、それは無理だと突っぱねられたら、もうこれ以上俺には打つ手無しです」

 

と、完全に開き直って両手を挙げて降参のポーズを取る。

 

「そうか」

 

オイィーーーッ!ここでまさかの「そうか」、が来るんかいーーーっ!!

 

と脳内でツッコんでいると

 

「アナタ、本当はもう認めてるんでしょ?口角上がってるわよ」

 

え、マジで?

流石夫婦、俺には全く違いが分からんかったぞい。

 

「雪くん、千夏の残りの高校生活を宜しくお願いします」

 

「え、あ、ハイ、任されました?で良いのか?」

 

「アンタはそこで日和るんじゃないの!まったく締まらないわねー。でもまぁ“俺の魂と心に誓って”とか、“俺と千夏を信じてくれ”とか啖呵切ったのは母親目線から見ても、中々カッコ良かったわよ」

 

うーわ、恥っっっっっず!!

 

何だかんだ俺も場の空気にあてられてた様で、普段なら言わない/やらない事をやらかしてしまった。

 

余りの恥ずかしさに踞る。

 

「恥ずか死ぬって最初に使い出した奴は天才だな」、とかアホな事を考えるくらいには追い込まれている。

 

「そうそう、千夏ちゃんなんてポーっとして見惚れてたしね」

 

「え!ちょっ、由紀子さん!?/////」

 

「真っ赤になっちゃって本当に可愛いわね~、千夏ちゃんったら。もういっそお嫁に来ちゃう?おばさん大歓迎よ~」

 

「もう、優花さんまで!」

 

「さて、話はちゃんと纏まったしパーティーの続きをしましょう!さぁ飲むわよー!」

 

由紀子さんの言葉でパーティーは再開した。

 

この後、大人連中はタガが外れたのか大盛り上がりで酔っぱらい、取り敢えず由紀子さんは旦那さんに連絡して迎えに来て貰い帰宅の途に着き、両親ズはテーブルやソファーで潰れてるからエアコンの温度を高めに設定して毛布を掛けておいた。

 

「まぁ何にしてもナツ姉、冬樹さんとの蟠りが無くなって良かったな」

 

「え!、う、うん、ありがとね雪くん」

 

「何かキョドってるけど、どうした?」

 

「何でも無いよ」

 

「そうか?じゃあ俺たちも部屋行って寝るか」

 

「ね、寝る!?」

 

「そりゃそうだろ、もう日付変わるぞ」

 

「あ、あ~、そっか、そうだよね///」

 

「あれれ~?なーんか顔赤いんだけど、さっきの今でな・に・を想像したのかなぁ~?」

 

「べ、別に何も プイッ」

 

「・・・エッ千夏 プッ」

 

「~~~/////雪くんのバカぁ~~!そこに正座!!」

 

「おやすm「正座」アッハイ」

 

「全くもう、雪くんは直ぐ悪ノリするのが良くありません!ちゃんとしてれば格好良いんだから、これからは余りふざけない様にする事。分かった?」

 

そうか、ちゃんとしてたら格好良いのか。

 

「分かったよナツ姉。ちゃんとしたら格好良いってんなら、女の子にモテモテになれるって事だな!」

 

「そうだけどそうじゃな~い!」

 

ー本来の予定とはかなり違ったけど結果オーライ、だなー

 




やべぇ、当初は大人4人から冬樹さんが集中砲火浴びて本心吐露する予定だったのに、書いてる内に段々と方向がズレて行った。

文章書くって本当に難しい。

鶴羽家の両親もやっと名前が出ましたね。

「雪月花」にしてみました。

そして「顔も知らぬ猪股くん」と言ってますが、雪は顔と名前が一致してないだけで、千夏と話している時にしょっちゅうチラチラと見てくる大喜には気付いてます。
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