アオのハコ ~鶴は鹿の元に舞い戻る~   作:お面ライダーよっしー

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夏休み前、高校生にとって最大の敵である期末試験が迫っていた。

学力に不安のある面々は、この勉強会で難所をクリアできるのか!?


EP60 勉強会と期末試験

 

雪の助っ人発言の翌日、放課後の図書室に勉強会に参加するメンツが揃っていた。

 

「人数はこれで全部か?匡」

 

「あぁ、取り敢えずはこれで全員だ。もしかしたら増えるかも知れないけど」

 

「そうか、分かった」

 

そう言って集まったメンツを見渡す。

 

大喜、雛、菖蒲、にいなちゃん、匡。

 

にいなちゃんと匡は多分大丈夫だから、問題は他の3人か。

 

大喜と雛は去年から分かっちゃいるが、菖蒲の程度がどれくらいなのかだよなぁ。

 

もし2人と同レベルなら、ちと大変になりそうだ。

 

「それで助っ人って?」

 

「おう、もう直ぐ来るぞ」

 

そう言った矢先に

 

「ちゃーっす、雪ちゃんに呼ばれたんで助っ人に来ました鷹尾一也でーす!」

 

と、カズが来て挨拶をする。

 

「鷹尾くん!?」

 

「確かにテスト前でも、焦った様子を見た事無いな」

 

「そうだ、カズは大体いつも学年ヒト桁だからな」

 

「「「学年ヒト桁ぁ!?」」」

 

3人が息ピッタリでそう返すと

 

「おいおい、それを言うなら雪ちゃんなんかいつも学年トップを争ってんじゃねーか」

 

「学年ヒト桁にトップ争い・・・」

 

「次元が違う・・・」

 

「この世は不公平だ!!」

 

「・・・お前ら、俺達が何もしないでそんな成績維持してると思ってんのか?」

 

「え?」

 

雪の雰囲気が変わった?

 

「あのな、俺達だって別に勉強が好きな訳じゃねーぞ?出来るならバスケだけやってたいってのが本音だ。

でもな、赤点取って補習だ追試だって事になったら余計な時間取られて、目も当てらんねぇ。

だから授業はちゃんと受けて疑問があったら即聞いて、家帰ったら出来る範囲で復習してんだよ」

 

「そ、そこまでやってたのか」

 

「だから前に言っただろ、大喜。毎日コツコツが大事だって」

 

「匡・・・」

 

「全教科やれとまでは言わねぇがよ、せめて本当に苦手な教科だけでもやれば、かなり違ってくるぞ」

 

「まーまー雪ちゃん、それはこれからやってけば良い話で、今は期末テストを乗り切る事を考えようぜ」

 

「そうだな、先ずは匡とにいなちゃんを除いた3人がどの程度なのかを把握しなきゃな」

 

そう言ったかと思えば鞄をガサゴソと漁り、何かを取り出す雪。

 

「それは?」

 

「去年の1学期末試験の過去問。ダメ元で千夏に聞いたら取ってあるって言うから、コピーしてきた」

 

「えっ!それって今年も同じ問題が出るって事!?」

 

「じゃあそれを覚えてしまえば、今回のテストは・・・」

 

「楽勝って事か!!」

 

等と天の助けとばかりに、口々に能天気な事を言い出す3人。

 

「・・・そうなのか?雪」

 

流石に匡は分かってるな。

 

「そんな訳無いだろ。取り敢えずこれをやって、どれだけ点取れるかを確かめるんだよ」

 

今までの笑顔から一転、絶望で顔を青ざめさせる3人。

 

「ぬか喜びだった!」

 

「酷いよゆっきー!!」

 

「俺たちの気持ちを弄んで、人の心とか無いのか!?」

 

こいつらの赤点回避の為に上級生(千夏)にまで頼み込んだってのに、酷い言われ様である。

 

「(ヒクヒク)・・・お前らいい加減にしろよ?元はと言えばお前らが余りに勉強しなさ過ぎるから、今こうなってるって事を忘れんな!」

 

少し強めに言うと、ビクッとして目を逸らす3人。

 

「はぁ、まぁ良い。放課後はあんまり時間も無いから、今日は取り敢えず国語だけな」

 

そう言って皆に過去問を配る。

 

「じゃあ本番と同じ時間配分でやるから」

 

と言った所で

 

「お、やってるね」

 

「皆、ちゃんとやれば後が楽になるからね」

 

2人の闖入者が現れた、千夏とナギちゃん先輩である。

 

「「ちーちゃん!?」」

 

「渚先輩まで!?」

 

「お?どうした、2人揃って?」

 

「雪が過去問をわざわざ用意してまで、どんな勉強会やるのか気になっちゃって」

 

「私は付き添いで。カズくんも呼ばれたって聞いたし」

 

「で、どうせ図書室行くなら序でに私達もテスト勉強しよう、って話になってね」

 

 

「あ、あの、つかぬ事を伺いますが、お2人は学年何位くらいなんでしょうか?」

 

恐る恐る大喜がそう聞くと

 

「私は大体20位前後かな、ナツはいつも10位以内だよね?」

 

「そうだね、何とか15位までには踏みとどまる様にはしてるかな」

 

ガーン!と言う効果音が背後に見える程に驚く3人。

 

「そうだな・・・折角来たんだから、採点は2人にもやって貰うか。あぁ、もちろん大喜のは憧れの千夏先輩に見て貰うからそのつもりでw」

 

「はぁっ!?」

 

ちょっと待て、それだと俺の成績の悪さが千夏先輩にバレるって事じゃないか!

 

幾ら今は恋愛感情が無いとは言え、尊敬する先輩である事に変わりはないんだから恥ずかし過ぎる!!

 

「・・・大喜、何でそんなに慌ててんの?ちーちゃんに見て貰うと、何か都合悪い事でもあるの?」

 

おっと?

ここで雛がジト目で大喜を見てくる。

 

「そ、そんな事ある訳無いだろ!

ただ、ちょっと恥ずかしいと言うか何と言うか・・・」

 

「そりゃあ自分の頭の悪さを憧れの先輩に知られたくないよねー、いのたは!」

 

「ハイハイそこまでにしとけ、時間が勿体無いから始めるぞ」

 

 

はい、スタート!

 

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

俺も問題を解いていき解答を見直してから、時計を確認する。

 

さて、そろそろ時間だな。

 

そう思い周りを見ると、カズは勿論、匡とにいなちゃんも確認作業まで出来ている。

 

残りの3人はと目を向ければ、3人が3人とも答案とにらめっこしながら、百面相までしていた。

 

所々空白も目立つし、こりゃ本気で対策考えなきゃ不味いんじゃなかろうか、と思いながらも取り敢えずは終わらせるか。

 

「はい終了ー、用紙こっち戻せー!」

 

「あー、全部埋められなかったー」

 

「漢字読むのはともかく、書けないよー」

 

「何だよ、作者の気持ちを書けって。本人じゃないのに分かる訳無いじゃないか・・・」

 

口々に文句ばかり言ってやがる。

 

まぁ、今日は点数取るのが目的じゃ無いからな。

 

そして採点に入るが、俺とカズは90点台、匡は80点台、にいなちゃんは70点台とまずまずだったが、問題はやはりこの3人だ。

 

全員30点台前半、しかも点取らせる為の漢字の読み書きで全問正解出来ていないと言う、惨憺たる結果である。

 

「オイ、お前ら。これがどんだけマズいか理解してるか?ウチ(栄明)は一応赤点ラインが30点未満だからギリギリセーフではあるけど、問題次第じゃ赤点待った無しだぞ!?」

 

「それは分かってるけど、どうやって勉強したら良いか分かんないんだもん!」

 

「私も同じく・・・」

 

「もうここまで来たら恥も外聞もないから言うけどさ、他の教科も同じなんだけど“何が分からないかが分からない”んだよ!」

 

・・・あ~、成る程。

出来ない/分からないのを理解する前に授業が進み、聞くにも聞けなくなった結果、何をどうやれば良いかが分からなくなってんだな。

 

まぁ、せめてもの救いは今が2年の1学期って事だ。

 

時間はギリギリだが、春からの復習含めてやれば何とか赤点回避で半分くらいは取れるまでには出来るだろう。

 

「ん~、よし分かった。

取り敢えず漢字の小テストを、1学期の頭の分から毎日出す。

ハッキリ言って漢字の読み書きは点取る為のサービス問題だから、これで赤点までの3分の1は取れる筈だ」

 

「「「ま、毎日!?」」」

 

「おう。つっても1日分は、読み5問、書き5問の合わせて10問だから、そこまで負担にゃならんだろ。

本当は10問ずつでも良いんだが、先ずは勉強やる事に慣れるのが先だからな」

 

「他の教科との兼ね合いもあるし、あんまり多過ぎても時間が足りなくなるしね」

 

「テスト前は部活は休みだし、土日は時間が有り余ってるのは幸いだな」

 

「「「災いだよ!」」」

 

声を揃えて言う3人。

 

「災い転じて福となすって諺もあるんだから、考え過ぎても良い事なんて無いと思うぜ、お三方?」

 

「カズくんの言う通りだよ。ここで少しでも勉強のやり方覚えれば、2学期以降もそんなに苦しまなくて済むかもよ?」

 

「・・・そうですね、急には無理でもちょっとずつやってみます」

 

「うん!折角こんなに教えてくれる人達が居るんだもん、恵まれてるよ私たち」

 

「皆さん、宜しくお願いします!」

 

どうやら、やっとやる気になったみたいだな。

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

あれから1週間経ち、過去問を全教科終えてそれぞれの苦手教科と分野が分かったので、取り敢えずはテスト範囲の勉強をしつつ、各々の苦手克服を目指す事にした。

 

俺と千夏、カズとナギちゃん先輩に分かれて過去問を見直して新たに問題を作って、それを解かせたりした。

 

初めは頭抱えて唸るだけで手が進んでいなかったのが、今では空欄を全て埋めるくらいには考える力が付いてきた様に見える。

 

正解しているとは言ってないけどなw

 

 

ただ、嬉しい誤算があり、それが何かと言うと

 

「雪、英語のこの文法って何でこうなるんだ?」

 

とか

 

「数学って何で数字だけじゃないんだろう?って毛嫌いしてたけど、公式当てはめたりするだけでこんなに分かりやすくなるんだね」

 

とか

 

「漢字ってパッと見難しく見えても、分解すると簡単な字が並んでるだけだったりするんだよねー」

 

等々、勉強会を始めた当初とは見違えるくらい前向きに取り組む様になっていた。

 

 

いやー、お兄さんは嬉しくて涙ちょちょ切れるぜ、全く。

 

※尚この男、お兄さんと言ってはいるが、このメンツの中では雛の次に誕生日が遅いのである。

 

そんな事を思っていたら、ツンツンと裾を引っ張られたので目をやると千夏が

 

「ねぇ雪、皆こんなに頑張ってるんだし、テスト終わったら何かご褒美あげても良くない?」

 

成る程、確かにやる気に満ち溢れてるし、それを途切らせず更に持続させる為には、飴やニンジンは必須かもな。

 

「そうだな・・・よし皆、一旦手を止めてくれ」

 

「ん?どうした、雪?」

 

「私たちは今、モーレツにやる気に満ち溢れていると言うのに!」

 

「そのやる気を奪わないで、ゆっきー!」

 

おおぅ、マジでやる気だなコイツら、善哉善哉!

 

「そんな頑張ってるお前らに提案だ。このままテストまで突っ走って赤点回避したら、俺んちでテスト終わりの打ち上げやろうと思ってんだが、どうだ?」

 

そう言うと

 

「そ、それは雪のケーキなんかも食べられるのでしょうか?」

 

ふむ、成る程。

適当にデリバリーで済ませようと思ったけど、どうせやるならそれでも良いな。

 

ふと周りを見渡すと、雛と菖蒲は勿論、匡やにいなちゃん、果てはナギちゃん先輩と千夏までもがじっとこちらを見つめていた。

 

「そこまで期待されちゃあ、応えない訳には行かねーよなぁ!

よっしゃ分かった、施設管理の点検がずれ込んだって事で、テスト明けの土日は各部活も休みだから土曜の昼頃からってのはどうだ?俺も流石に準備が必要だからな。

母さんにも話しとくから、期待して良いぞ」

 

「あー雪ちゃん、それって俺も良いのか?」

 

「あん?当たり前だろ、相棒。勿論、彼女のナギちゃん先輩も同伴でな(ニヤリ)」

 

「んなっ!?////・・・はい、謹んでお受けします」

 

「匡んとこは、弟妹連れてきても良いからな」

 

「え、流石に邪魔になるんじゃ」

 

「おいおい、お兄ちゃんだけ楽しく過ごそうってのかい?そりゃあいけねーなー、いけねーよ」

 

「でも一番下の良は人見知りが強くて、俺から離れないかも知れないし・・・」

 

「それならそれで一緒に居てやりゃ良いだろ。お前だって弟くんがくっついてきても嫌じゃないんだろ?」

 

「それはそうだけど、折角皆と一緒なのに申し訳無いと言うか・・・」

 

「匡くん気にし過ぎだよ!誰も迷惑だなんて思わないから。ね、みんな?」

 

菖蒲がそう言うと、「問題ない」「気にすんな」「皆で楽しもうぜ」と他のメンツも口々にそう言った。

 

「分かった、皆がそこまで言ってくれるなら弟たちと一緒にお邪魔させて貰う」

 

「よし、話は決まった。なら後は期末試験に向けてもうひと踏ん張りだぞ!」

 

「「「はい、お願いします!」」」

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

期末試験を週明けに控えた金曜日、匡や雛たちと一緒に図書室に向かう。

 

すると入口近くの机に居た、針生先輩と西田先輩に声を掛けられた。

 

「お疲れ、テスト大丈夫か?補習になったら練習時間が・・・」

 

「雪と同じ事言われたな」

 

「その雪はどうした?あいつ主導で勉強会やってるって聞いたんだが」

 

「今日は家に来客があるとかで帰りました。守屋さんと鷹尾くんも今日は用事があるって事なので、取り敢えず俺たちだけでもやろうって話になって」

 

「ほほう、それは見上げた心掛けだな、諸君!」

 

「先輩たちもテスト勉強・・・え、元治大学?って、偏差値高い大学(トコ)ですよね?」

 

「針生バドだけじゃなく、頭も良いからな。定期テストもいつもトップで、文武両道を具現化した男・・・一方俺は・・・」

 

「そんな余裕ある成績じゃねぇよ。受験勉強に集中している人に比べたら、全然時間足りてないし」

 

 

何となく、ずっとこの時間が続くと思ってた。大会でも感じたけど、3年生は卒業に近づいていってる。

 

それは千夏先輩も同じだから、彼女が先に卒業してしまう事について雪はどう思ってるんだろうか・・・

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

んーっ、と座ったまま伸びをする。

 

「脳の限界来たから、休憩がてら飲み物買ってくる」

 

「「行ってらっしゃい」」

 

 

そう2人に言って自販機コーナーに向かう。

 

ーあ、バド部1年の・・・ちゃんと勉強してー・・・

 

そう思って机を見るとスマホで動画を観ていた。

 

「ないんかいっ!こちとら脳みそクタクタなるほどべんきょーしてるのに!良いな、部活の事考えたいな」

 

「あ、新体操の・・・」

 

「テスト前に余裕だねぇ、勉強しなくて良いの?」

 

「こっちの方が優先順位高いので」

 

「そっ」

 

「先輩って、1年の頃から新体操で良い成績残してたんですよね」

 

「ふふん、1年生処か昔から華々しいものよ!」

 

「どうしたらそんな人になれますか?」

 

「え?」

 

「この前の大会、正直悔いしか残らなくて。1つ上のムカつく奴に勝ちたくて栄明(ここ)に来たけど、結果は惨敗で。

あいつ試合後に何て言ったと思います?“驚いた、上手くなってて”ですよ。

自分は優勝して、インターハイにも行くのに」

 

「ーそれはぁ、むかつくねぇ!」

 

え、座んの?

 

「“驚いた”、って何?予想外って事?そんな“眼中ありません”みたいな事言われたら、顔掴んで顔面近付けて視界を私一杯にしてやるわ!」

 

・・・結構凄い事言うな、この人。

 

「ってのは冗談で、でも実際1年ってのは大きいからね。私が活躍してるのも他の人より始めるの早くて昔からやってるのも大きいし、君が1年で成長する様に相手にも練習した1年があって、筋肉なんかは15~18歳が1番付くって説もあるから、単純に身体的な差?かも」

 

「じゃあ、諦めろって話ですか」

 

「話は最後まで聞けぇい!短気は損気って知ってる?」

 

「はい・・・以前、鶴羽先輩にも似た様な事を・・・」

 

「ふむ、流石雪ね、ってそれは良いとして、私がしたいのは、大きい差を認識した上で、それでも“やってやろう”と思ってる人が、“私みたいな人”の地位を脅かすって話よ」

 

ー炭酸飲める?

 

ーはい

 

「目標は何でも良い。1年生から活躍する選手になりたいでも、そのムカつく1つ上の人に勝ちたいでも、ただ強くなりたいでも。

君には良い見本も居ると思うし、負けたって七転八起、えーと、ふとう・・・ふ、ふ」

 

「不撓不屈?」

 

「そう、それだぁ!!“強い意思を持ってどんな苦労や困難にも挫けない様”。頑張れ1年生、君の未来は長いよ。さて、勉強しますか」

 

そう言って戻っていく蝶野先輩を見送る。

 

ーやっぱり強ぇ・・・

 

 

 

「ただいま」

 

「遅かったね」

 

「サボってたろ」

 

「勉強教えてきた」

 

「雛が!?」

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「雪、特に心配はしてないけど、試験勉強ちゃんとやんなさいよ」

 

「分かってるよ。まぁ、ここ最近は大喜たちに教える方が多くて自分の事は後回しになってたのも確かだからな」

 

「千夏ちゃん、雪がちゃんとやってるか監視お願いね」

 

「はい、お任せください!」

 

「2人とも人を何だと思ってんだよ・・・」

 

そうこう言いながらも勉強を続けている時、ふと思い出す。

 

「そういや千夏は、大学推薦なんだよな?」

 

「うん、秋頃に面接とかあって」

 

「ふーん、成る程ねぇ・・・」

 

ウインターカップまで部活続けるとは言え、進学が決まれば大学生活の為に一人暮らしってのも有り得るし、そう考えるとどちらにせよ千夏がウチに居るのもあと半年前後ってトコか。

 

インハイが終われば秋も冬も思うより早く、あっという間に来るだろうな。

 

それに俺自身の進路についても、インハイ終わったら学校側と話さなきゃなんねぇ。

 

そんな事を考えていると、トントンと目の前をシャーペンで叩く千夏に目を向ける。

 

「雪、ここ」

 

そう言って教科書の文字を順に指していく。

 

何々?

 

“花” “火” “大” “会” “一” “緒に” “行こう”

 

花火大会一緒に行こう、か。

 

ならば、と英語の教科書を広げた俺は

 

“OK”と指し返した。

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

週が明け、期末試験が始まった。

 

俺は特に問題なく、いつも通りのデキだと手応えはあった。

 

さて、問題の3人なんだが話を聞く限りでは漢字や計算等の基礎問はちゃんと出来て、匡やにいなちゃんとやった自己採点では半分は正解していたとの事で、一先ずホッと胸を撫で下ろした。

 

・・・まぁ、答案が返ってくるまで楽観視は出来んが。

 

 

さて、期末試験も終わったから体育館に顔を出したんだが、明日から点検と言う事で使用は控えて欲しいとの事。

 

まぁこんな事は滅多に無いし、たまには良いかと思い直して明日の準備の為に帰る事にした。

 

 

一度家に帰り昼飯を食べ、母さんと話して明日のメニューの買い出しに行こうとリビングを出ると、千夏が待ち構えていた。

 

「雪、何で1人で勝手に帰るのかな?先に帰るにしてもメッセージくらいくれても良くない?」

 

おっと、明日の事を考える余り千夏に声掛けんの忘れてたわ。

 

「あ~、悪かったよ。体育館行ったら使えない様だし明日の事考えてたらつい、な」

 

「ふーん、そうなんだー。雪は同居までしてる彼女の事を、“つい”で忘れちゃうんだー」

 

そう言ってそっぽを向く千夏。

 

・・・うーわ、めんどくせぇ。

 

とは言え、俺に落ち度があるのも確かだし、ここは折れるか。

 

そっぽを向いたままの千夏に近寄り、そっと抱き締める。

 

「え?雪?////」

 

「帰り際に声掛けなかった俺が悪かった、ごめん。

機嫌直して、一緒に明日の為の買い物行ってくんねーか?」

 

「・・・うん、分かった。私もちょっと困らせてやろうって思っちゃったの。ごめんね」

 

「準備出来てるなら行くか?」

 

「うん、行こう!皆を驚かせるくらい凄いの作ろうね!」

 

機嫌直った様で何より。

 

さて、明日の為に頑張りますかね!

 





ここに来て、やっと晴人と雛に会話させる事が出来ました。

今後2人の絡みが増えて、大喜がやきもきする展開が来るのか?

あかりんも出番無さ過ぎてるし、もう少し出番増やそうかなぁ。

作者に書くだけの技量があるかなぁ。


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