アオのハコ ~鶴は鹿の元に舞い戻る~   作:お面ライダーよっしー

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自分でそうしたんだから仕方ないんですが、原作との差異のせいで「どう展開したもんか」と頭抱えてたので遅くなりました。


EP63 菖蒲のモヤモヤと祭りの後の大騒ぎ

 

「綺麗だったねー」

 

「うん、音も凄く響いててビクッとしちゃった」

 

「・・・」

 

「守屋さん?」

 

「へっ?あ、うんうん凄く綺麗だった」

 

 

いのたに声を掛けられて返事はしたけど、変に思われたかな?

 

花火大会に来て場所を探していた時、匡くん家族に出会った・・・んだけど、そこにはお隣さんだと言う幼馴染みの彼女も一緒に居た。

 

ー今年は家族で

 

そう言っていたのに、その“家族”の中には“お隣さんも入っているのか”とモヤッとした。

 

しかも場所取り終わった後に暫くしてから買い出しに出て匡くんとバッタリ会った時に、私の浴衣姿を見て「かわいいな」と言ってくれた事や2ショットの自撮りしてたのを見ていたのか、わざと「元カレは持ってくれた」とか言って買った物渡そうとして「今彼氏はいません」って匂わせてきて、「私の方が匡くんと仲良いですよ」マウント取ってくるし。

 

・・・あの人ヤな人だぁぁ~~~!!

 

あぁいう女子とは今までも対峙してきたからね、完全に見切った!

 

・・・でも何で怖がってるんだ、私は。

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「えっ、あの2人がそれぞれっ!?」

 

「花火大会で手を繋いでたって!?」

 

「そりゃ前から仲良かったけど、まさか付き合うだなんて!」

 

「何でだよ!いつからだよ!」

 

「体育館の2大女神である鹿野さんと蝶野さんが、誰か1人のものになるなんてーっ!!」

 

体育館に入ると、秋合宿に参加してなかったバレー部と卓球部の2・3年が取り囲んできた。

 

「猪股ぁぁぁ!!!!!」

 

「説明しろ、どんな手を使ったんだ!」

 

「はい!?」

 

「みんなを魅了する華麗な舞!演技中の美しさと相反する普段の小悪魔的可愛らしさを併せ持つギャップ萌え!」

 

「そして誰とでも気さくに話してくれる懐の広さをもつあの蝶野雛さんと、何でお前がぁぁあー!!!」

 

「いや、それを言ったら雪の方が・・・」

 

「それも合わせてだよ!」

 

「クッ、やはり幼馴染みは強かったのか!?」

 

「イケメン死すべし、慈悲は無い!!」

 

「やめとけやめとけ、雪相手だと返り討ちに遭うだけだぞ」

 

「針生・・・やはり彼女持ちは余裕だな、このヤロー!」

 

「うおっ、藪蛇でとばっちりが来たよ」

 

何か花火大会で俺たちが付き合ってたのが色んな人に知られた事で、こんな騒ぎになってる様だ。

 

「栄明の妖精が栄明のじゃがいもと!」

 

「栄明のマドンナが栄明の魔王と!」

 

「「「何故だーっ!!」」」

 

 

 

「思ったより大騒ぎだな、大喜」

 

「匡・・・」

 

どうすれば収まりがつくかと考えていると

 

「おーす、今日も張り切って・・・って何やってんだ、みんな?」

 

俺と雛の事だけでも荒れてる所に、雪がやってきた。

 

「つ、鶴羽・・・」

 

「あん?」

 

「お前、鹿野さんと付き合ってるって話、ホント?」

 

「おー、付き合ってるけど?ってバレー部なら横村が知ってる筈なんだが、聞いてねーの?」

 

「はぁっ!?聞いてないよ!横村、知ってたの!?」

 

「あーハイ、去年の秋合宿後にスポーツショップで会った時に聞いてました」

 

「何で言わなかったんだよ!」

 

「いや、だって学校イチの人気者の鹿野先輩に彼氏が出来た、なんて言いにくいでしょ。鶴羽とも体育館で話す程度の間柄だし」

 

「それは、まぁそうなんだけど・・・」

 

「くっ、やはり幼馴染みと言うアドバンテージは絶大だったのか」

 

「あのさー、幼馴染みとは言うものの、俺と千夏はずっと一緒だった訳じゃないんだぞ?

俺は小3から一昨年までアメリカに居たんだし、日本に居た頃だってそもそも通ってた学校が違うしな。

同じ場所で過ごした時間で言えば、俺より同じ学校だった奴らの方が長いんだからな?

千夏が恋愛ごとに疎かったってのをさっ引いても、チャンスは俺以上にあっただろうに」

 

「た、確かに幼馴染みとは言え、異性を意識し出す頃には近くに居なかったのか」

 

「仮に“幼馴染み補正”ってモンがあったとして、だ。

小3で止まったままの俺の姿しか知らない千夏が、6年振りに再会したからってどんな人間になってるか分からないのに“無条件で俺に惚れる”なんて、漫画やゲームみたいな展開になると思うか?」

 

「そりゃそうだけど・・・でも、だからって俺たちが告白した所で断られただろうし」

 

 

 

「まぁ待て、みんな」

 

「西田?」  

 

「先ず、大喜は努力の達人だ」

 

俺の肩に手を置き、そう言ってくれる。

 

「西田先輩っ」

 

「バドでインターハイを勝ち取った様に、恋愛でも努力した結果なのだろう。そしてそれは鶴羽も同じだと思う」

 

「ほう、西やんにしては良い事言うじゃねーの」

 

「しかし!だからと言ってそれが妬ましくない訳じゃない!羨ましいぞこのヤロー!!」

 

「ぐぇっ!」

 

そう言って大喜にフェイスロックを掛ける西やん。

 

「良いぞ西田ーっ!」

 

「もっとやれーっ!」

 

 

 

周りが囃し立てる中で

 

「・・・良かったな」

 

そう言って笑顔を向けてくる西田先輩。

 

「フンッ、このくらいにしてやろう」

 

そう言って準備に戻っていく。

 

 

「あれは冗談じゃないと思うぞ、努力の達人」

 

「針生先輩」

 

そこでふと、こちらを見ていた雛と目が合う。

 

すると

 

「部長!今彼女とアイコンタクトしてましたっ!!」

 

「おい、人を売るな!」

 

「なぁにぃっ!?懲りない奴めっ」

 

「いや、先輩も彼女作れば・・・」

 

「あ゙?」

 

「いや、ホント大喜の言う通りだよ。

他の奴らも人の事ばかり言ってないで、彼女欲しいんなら行動で魅せろってんだ」

 

「「「「チクショーーー!!」」」

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

男子が盛り上がっている様子を見ながらシャトルの入ったカゴを運んでいた私は、前を良く見ていなかったせいで柱にぶつかりカゴを落としてしまい、更にシャトルを踏みつけて転んでしまった。

 

「だ、大丈夫?」

 

鹿野先輩に声を掛けられる。

 

「・・・はい。これが通常運転なんです」

 

「それはそれで心配なんだけど」

 

「失恋したんですよ、そいつ」

 

「え?」

 

「違うよぉ!!憧れの先輩ってだけで・・・」

 

「もしかして、大喜くんのこと・・・?」

 

雪に目配せしてから、あかりちゃんの手を引いて外に出る。

 

 

 

千夏の目配せに気付いた俺は、少し後から外に出る。

 

「俺もついてこ」

 

そう言ってハルが着いてきた。

 

その辺の事情を知ってるみたいだし、特に断る理由もなかったので好きにさせた。

 

 

「正直、分からないんです。兄から話を聞いていて、どんな人なんだろうと気になってはいたけど、普段も凄く気を配っていて1年の私たちとも気軽に話してくれて、それで・・・」

 

「それで?」

 

「彼女が居るってハッキリしなければ浮かれてても許されるのかなって・・・卑しいっ!こんな卑しいのダメですよね!きっとただの憧れだったんですよ!

高校入ってバドの上手い先輩とお話出来て嬉しくて。

お相手が蝶野先輩と分かった時も、何だかストンとしたんです。

お似合いですもんね、お2人とも強くてかっこいいし・・・」

 

「成る程ねぇ、そりゃあ確かに“憧れ”なのか“恋”なのか判断に困るわな」

 

「え?」

 

「あかりんの中で少しでも引っ掛かるんなら、自分でもよく分からない感情に他人から名前を付けられない様にした方が良いんじゃねーかな」

 

「そうだね。もしその感情が恋だとしたら大喜くんとは叶わないけど、正体不明の感情を歪な箱にしまう必要はないよ。

色んな気持ちに“こんにちは"って挨拶しとくのは、悪いことじゃないからね」

 

「そうだな、その気持ちの正体が分からないんなら、分かるまで挨拶する程度の距離感保ってりゃあ良いと思うぞ?」

 

「それに名前を付けてしまうと、凄く存在感が出てしまうから」

 

お2人の言葉を聞いて、ハッとする。

 

「鹿野先輩!雪先輩!凄いです、納得です!!私、焦ってしまってましたっ」

 

・・・あかりん、ちょいと流されやす過ぎだろ。いつか悪い男に騙されそうで、お兄さん心配になるわ。

 

 

 

「色んな感情にこんにちは、か」

 

「どうした?ハル」

 

「あー、いえ、鹿野先輩の言葉を聞いて俺もちょっと"こんにちは”って感じの人が居るって、今気付いたんで・・・」

 

「へー、そうなのか。

ま、誰なのか聞くなんてヤボな真似はしないけどよ、1人で抱えてんのがキツくなったらいつでも言えよ?話くらいなら聞いてやるからよ」

 

「っス」

 

 

「あかりー?」

 

「あっ、呼ばれてる。話してくださり、ありがとうございました」

 

「ううん、悩みがあったらいつでも相談してくれて良いからね?」

 

「そうそう、気にするこたぁねーからよ」

 

 

 

お辞儀をしてその場を離れて中に戻る。

 

お2人と話せて良かった・・・けど、じゃあこれが本当に恋の可能性もあったのかな。

いつかこの気持ちが何なのか、分かる日が来るのかな?

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「兵藤さん、初々しいね」

 

「去年まであかりんと大差なかった奴がよく言うぜ、全く」

 

「む~、それは言わないでくれるかな」

 

「あの、それじゃ俺もこれで戻ります」

 

「ん?おぉ分かった。先ずは部活中に大喜に勝つくらいのところ見せてくれよ、ハル!」

 

「はい」

 

 

 

ー失恋したんですよ、そいつー

 

雪先輩たちにはああ言ったけど、“失恋したのは俺も同じなのかも知れない”、と話を聞いていて思った。

 

「色んな気持ちにこんにちは、か」

 

鹿野先輩の言葉を反芻する。

 

俺が“あの人”に対して感じた、この気持ちは何なのか。

 

兵藤が言っていた様な“憧れ”なのかそれとも・・・

 

あ~、分かんねぇ。

 

分かんねぇ事は一先ず脇に置いて、今は部活を最優先にしよう。

 

「倒さなきゃならないのは柊仁だけじゃねぇ、大喜先輩もだ。余計な事を考えてる暇はねぇ」

 

無理矢理自分にそう言い聞かせる様にして中に戻った先には、皆にイジられてる大喜先輩を見ながら笑っているあの人の姿があった。

 

 

ーチクッ

 

 

その笑顔を見ると、何故だか胸が少し痛んだ様な気がした。

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

始まり と 終わり。

 

 

それぞれの想いを胸に、インターハイが始まる。

 





中々書けなくて、気分転換に某リメイクRPGやって現実逃避してました。

取り敢えず次からはインハイに入るので、原作関係なしの捏造し放題で行こうと思ってます。

と言うか原作の展開、どうすんのよあれ・・・
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