アオのハコ ~鶴は鹿の元に舞い戻る~ 作:お面ライダーよっしー
今結構モチベが下がってしまってまして、どこまで書けるかなぁ・・・
期末テストの勉強会から続いた怒涛のイベントラッシュも一息つき、いよいよインターハイが始まる。
「ごめんね、応援に行けなくて」
「遠征なんだから仕方ねーよ。ま、決勝には間に合うだろうし、そこまで勝ち残ってやるからよ」
「うん、信じてる」
そう言うと、“ぎゅっ”と抱き付いてくる。
「ん?どうした、急に?」
「約束と頑張れの気持ち。それと雪に触れたくなったの」
ふーむ、何か千夏って割りと甘えたがりな所があるよな。
ー大喜っ、鶴羽っ、彼女とは何処まで進んでるんだ!?
ー手は繋いだのか!ま、まさか“キス”したとか!?
ーお前ら下世話過ぎだ、自重しろ。
ーつーか、そんなに興味あんなら彼女作って自分でやれよ。彼女持ちに突っかかった所で、何にもならんだろうに。
ーそれが出来たら苦労しないんだよっ!!!
先日の体育館でのやりとりを思い出す。
そこで俺の首に手を回したまま、少し離れて見つめてくる千夏と目が合う。
そのままそっと口付ける。
「んっ!?」
一瞬驚いた反応をするが、拒否はせず受け入れてくれる。
「・・・はぁっ、どうしたの、雪?いつもは自重しろって言ってくるのに、雪からしてくれるなんて」
「んー、さっきの千夏じゃないが、何か急にしたくなった。やっぱり俺は千夏にベタ惚れしてるみたいだわ」
「そ、そう////」
「まぁそれはそれとして、そろそろ帰るか」
立ち上がって手を差し出す。
「うん」
俺の手を取り、立ち上がる千夏。
「雪」
「ん?」
「ファイト!」
「おう」
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今年は首都圏での開催なので、母さんや時間が取れたら父さんも応援に来ると言っていた。
多分、勝ち進めば学校挙げての応援って事も有り得るだろうな。
そんな事を考えながら外周を走り終え中に戻ってくると、シュート練習をしているソーゴと隣で同じ様にしているトシの姿が目に入った。
あの2人はどちらもスリーが武器だし、トシとしてもソーゴはお手本になるんだろうな。
紅白戦終わってからはトシが積極的にソーゴに話に行ってるのを見掛ける様になったし、ソーゴもレギュラーとしての危機感はあれど、同じシューターとして話が合って楽しいって言ってたしな。
他方でヒカルはディフェンスのしつこさや状況判断の良さを、まっつんが気に入ってよくつるんでる。
ただ、オフェンスが少し弱いのでそこを改善しようとまっつんがエラいやる気になってんだよな。
まぁ部長(笑)だし、任しときゃあ大丈夫だろ。
フォワードは実際人数居るからどうにでもなるし、センターも今は飛田さんと新渡戸さんに加えアツシが加わった事で層が厚くなった。
正直戦力的には優勝出来て当たり前と思えるくらいではあるんだが、そこは一発勝負のトーナメントだから絶対は有り得ない。
他校だってウチ(栄明)を倒す事を目標に掲げてるだろうし、当然研究もされているだろう。
問題はカズの代わりを務めるPGが居ない事なんだよな。
俺も全ポジ出来るとは言え、流石にPGの駒が少なすぎる。
今は良いが、万が一ケガや5ファールで退場なんて事になれば、一気に流れを奪われかねない。
去年はセンターの代わりを危惧してたけど、これからはPGの代わりを考えなきゃならんか。
そこでふとカズを見ると、小柄な1年生とマッチアップしていた。
「へぇ、カズに突っ掛かって行こうなんて、結構骨がありそうじゃん」
何て思った次の瞬間、爆発的なドライブでカズを抜き去ってレイアップを決めやがった!
カズも「は?」って呆けてるし、周りからも注目を集めている。
「へへっ、ドリブルこそチビの生きる道、ってね」
「かーっ、やられたぜチクショー!お前俺とは違うタイプのPGだな、名前は確か宮地だったか?」
「ウッス、宮地亮太(みやじりょうた)って言います!」
「宮地、次はこんな簡単には行かせないからな」
「鳥の目(バードアイ)持ってる鷹尾さんにそう言って貰えるなんて、自信にしかなりませんね」
・・・成る程、カズとタイプは違えど良いPGになりそうだな、アイツ。
「雪先輩、どうしました?」
「アキか。いやな、今カズと宮地の1on1見てたんだが、アイツ中々良いドライブするなと思ってな」
「宮地ですか、確かにアイツとは何度も対戦しましたけど、ドライブだけじゃなく状況判断も優れていて、パス回しも上手かったのを覚えてます」
「そうか、ならサブのPGは現状アイツで決まりかね」
「そうですね」
さて、他はと思って見渡せば、テツが思いの外後輩に囲まれてるのが見えた。
「テツ?アイツなんであんなに囲まれてんだ?」
そう口から零れた疑問に対して、
「鳴瀬先輩はやっぱり“初心者の希望”って側面が大きいんだと思います。ほぼ初心者でありながらここの練習に着いて来て、雪先輩たちの協力があったとは言え、今大会ベンチ入りを果たしたんですから」
「成る程ねぇ」
去年の入部したての頃を思い出す。
ースポーツ強豪校でバスケ部に入部した初心者がキツい練習に耐え、周りの協力も得て上手くなってベンチ入りやレギュラー入りを果たす、なんてのは中高生男子なら燃える展開だと思わねーか?ー
自分で言っといてなんだが、正直俺の見立てじゃあ早くて今年のウインターカップ、来年のインハイにギリ間に合うかってレベルだったんだよな。
それがテツはオーバーワーク手前まで練習して、ボールを手から離すのは授業中や食事中、後は風呂や就寝時と言うまで、徹底的にボールに触れていたからな。
だからって同じ事やった奴に同じ結果が出たとは限らんが、テツには合っていたんだろう。
ー好きって言うのは、最強なんだよ!
夢佳ちゃんもそんな事言ってたしな。
「雪先輩、そろそろ1on1良いですか?」
思考の海に入り込んでた俺にアキが声を掛けてくる。
「おし、やるか!」
「お願いします!」
「おっ、雪と仙洞が1on1やるのか!」
「学年別最強対決だな」
「これは見逃せん」
「どっちが勝つかな?」
「やっぱ雪だろ、経験が違う」
「でも仙洞も今日までしょっちゅう雪先輩と1on1やってきてるし、ワンチャンあるかも」
ふむ、外野が盛り上がって来てるな。
「先攻はどうする?」
「俺からで」
そして始まる1on1。
先ずはゆっくりとドリブルで近付いてくるアキ。
ダムダムと規則正しくリズムを刻む、とそこでチェンジ・オブ・ペースで加速し、一気に俺の左サイドを抜きに来る。
「おぉっ!仙洞、速ぇーっ!」
が、それくらい反応出来ない訳じゃない。
「いや、流石にあれだけでは雪は抜けないね」
まっつんの言う通り、アキもこれで抜けるとは思ってなかった様で、俺が追い付くと上手く身体を使ってロールターンで反転し、逆サイドを突破しようとする。
「やるなアキ、でもまだ抜かれてねーぞ!」
「ホント雪先輩は簡単には勝たせてくれませんよね!」
「ハッ!そんな簡単に俺に勝てたら、お前も拍子抜けするだろうが!」
「ですね!」
そう言いながらも、アキの顔には笑顔が浮かんでいる。
まぁ俺も同じなんだが。
さて、次はどう来る?
1on1だからタイムオーバーは関係無いとは言え、余り時間を掛け過ぎてもなぁ。
そう思った瞬間、珍しく突っ込んできたが、ディフェンスファールを取られない程度で止めに入る。
ペイントエリア内でジャンプシュート?
アキにしては余り見られない雑とも言えるプレーに違和感を持ったが、それもその筈、よく見ればジャンプシュートじゃなく、今まで見せた事が無かったフックシュートの体勢に入っていた。
「はぁ?仙洞がフックシュート!?」
「アイツいつの間にあんなシュートを・・・」
俺も全く同感だった。
が、一瞬反応が遅れたが、まだ完全にモノには出来ていない今なら間に合う筈だ。
思いっきりジャンプすれば、ボールに触れる事は出来なくとも視界を遮る事は出来る・・・
案の定、アキのフックシュートはリングに嫌われサイドラインを割る。
「あ~、惜っしいな仙洞!もう少しで雪先輩からゴール奪えたのにー」
「雪ちゃんも流石だぜ。初見であのフックシュートを止め切れないと判断して、視界を遮りに行くんだからよ」
「おう、マジで焦ったわ。てかあのフックシュート教えたのソーゴだろ?」
「ははっ、やっぱり分かるよね。
うん、仙洞くんに雪先輩から点取るには今までの武器だけじゃ足りないから、フックシュート教えてくださいって頼まれてね」
「あんま時間の無い中で、よくもまぁあそこまで形にしたもんだ。県内レベルならほぼ決まるだろ。
後は反復練習で精度上げれば、全国でも武器になるな」
「本当ですか!?雪先輩にそう言って貰えると自信になります!」
「まぁフックシュートに関しては、引き続きソーゴに指導して貰え。あとアツシ!」
「ハ、ハイ!」
「お前もセンターなんだし、ゴール下の武器が増えた方が良いから一緒に教えて貰え。
フックに関しちゃあ新渡戸さんも前部長のお墨付きだから、向き不向きはあるが試してみたい奴らは教えて貰え」
「え、俺もか、鶴羽?」
「そりゃそうでしょ。ソーゴだけでフックに興味持った奴ら全員なんて捌けませんよ」
「確かに。俺も青木さんから“お前のフックはウチの武器になるんだから、もっと自信持て”って言われてから高さやタイミングに拘って練習してきた自負はあるからな」
「とは言え、ある程度高さが無いとディフェンスに捕まるから、暫くはアキとアツシをソーゴと新渡戸さんがマンツーマンで教えた方が良いと思うわ」
「確かにね。池永くんにもいずれ教えた方が良いけど、今はオフェンスを基礎からレベルアップさせた方が本人にも良いと思ってる」
「そうだな。ヒカルのディフェンスは1年の中じゃあピカイチだし、オフェンスが向上すればプレーヤーとしても一皮剥けるだろうし、今後を考えたらその方が良いだろ」
そこで顧問がパンパンと手を叩く。
「皆それぞれ自分に足りない物に気付いた事だろう。
特に1年はまだ入学して3ヶ月程度だから、まだまだ2・3年には及ばない点は多い。
だが、さっきの1on1の仙洞の様に、現状高校ナンバーワンプレーヤーの鶴羽にあそこまで食らいつく者も居る。
足りない物を自覚した上で、自分の武器は何かを知ってそれを磨き上げれば1年も上級生に勝てる可能性があるって事を覚えておく様に!」
「「「「「ハイ!」」」」」
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数日後、インターハイ開催地に来た我が栄明高校バスケ部。
周りに居る他の出場校からの視線が突き刺さる。
「しっかしまぁ、バチバチに意識されてんなぁ」
「そりゃまぁ去年の優勝校だし、何ならウインターカップも優勝して夏冬連覇してるから当然だと思うぞ?雪ちゃん」
カズとそう話している所へ
「よっ、久し振り。流石に注目されてるな」
と声を掛けられる。
「誰かと思えば星煌の布瀬か。そっちもかなり注目されてんじゃねーか、夏冬2位だけの事はある」
「リベンジ宣言か?布瀬よ」
「誰かさん達のお陰で夏冬共にあと一歩頂点に届かなかったんでね、今回こそは頂点獲らせて貰うよ。良い1年も入ったんでね」
「あー、月バスの都道府県代表を取り挙げてる記事見たわ。中々評価高かったじゃねーの、ウチの仙洞と遜色無いな」
「あぁ仙洞くんか、彼も去年の鶴羽とまでは行かないが、それでも良い選手なのは分かる。けどウチの清河もかなり仙洞くんをライバル視してるからね」
そこへ
「布瀬さーん、そろそろ集合っすよー!」
「お、丁度良かった。清河、こちら栄明の鶴羽くんと鷹尾くん、挨拶しとけ」
「おぉっ!現・高校ナンバーワンプレーヤーの鶴羽さんとその相棒の鷹尾さんっすか!初めまして、星煌のスーパールーキーSFの清河政宗です!布瀬さん、仲良かったんすか!?」
「そりゃまぁ同い年だし、全国大会決勝で2連敗してるから意識はしてるよ」
「そうっすよね・・・鶴羽さん!」
「ん?何だ清河?」
「組合せ見ると当たるのは決勝なんで、今年はウチが優勝貰いますからね!」
「ほう?面白いじゃねーか。その宣戦布告受け取った!途中でコケんじゃねーぞ、清河に布瀬!」
「あっはっはっ、言うじゃねーのスーパールーキー。布瀬も苦労してそうたなw」
「清河・・・お前って奴は本当にもう、何でそうビッグマウスなんだ」
「でも布瀬さん、優勝するには栄明倒さなきゃ出来ないんですから、決意表明っすよ!」
「それもそうだな。鶴羽に鷹尾、さっきも言ったが今回こそ勝たせて貰うよ!」
そう宣言して、2人は戻って行った。
「どう見た、カズ?」
「布瀬はまぁある程度分かっちゃいるから良いとして、あの1年は仙洞に勝るとまでは行かないが、そんなに差は無いだろうな」
「やっぱりか。でもまぁ、そうこなくっちゃあ面白くないしな」
「出たよ、相手が強い方が燃えるって戦闘民族の性ww」
「人を戦闘狂みたいに言うな」
「いてっ」
カズを軽く小突いて俺たちもチームに戻った。
・・・その一連のやり取りを、じっと見ていた視線には気付かないまま。
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「あれが“ユキ・ツルバ”・・・」
「おーい、どうしたハワード?
あぁ栄明の鶴羽くんか、現高校ナンバーワンプレーヤーだよ。それよりそろそろ整列だぞー」
「あぁ了解した、キャプテン。今行く」
現高校ナンバーワンプレーヤーだと?
あの人からバスケを奪った張本人が、仲間に囲まれ笑顔でのうのうとバスケをしていると考えただけで、腸が煮え繰り返ってくる。
配布された組合せ表を見る。
当たるのは決勝か。
「ユキ・ツルバ、決勝でズタボロにしてバスケが嫌になるまで追い込んで、あの人からバスケを奪った罪を償わせてやる・・・」
俺はお前を許さない
何かここ暫く原作の展開見てたらガックリ来てしまって、これからの展開をキンクリして終わらせてしまおうか?とすら思ってしまいました。
最終話は少しずつ書き進めているので・・・
さておき、何故ここに来て雛にヘイト集める展開にするかなぁ。
雛派の皆様、大丈夫?息してます?
作者と編集は、アレがウケると本気で思ってたんだろうか・・・
しかも次話であっさり解決してるし、要らん展開だったとしか思えない。
そして雪に対して憎悪を募らせる男が登場しました。
「あの人」の事を知っている様ですが、一体何者なのか・・・