翡翠の劫火と生きる   作:伽華 竜魅

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この先の展開どうしょうかなって最近ずっと悩んでます。

後ヒロアカFinalseason楽しみ。
どうでもいいけど推しは『デク』です。




死竜は気に入る

 

 

 

 

この物語、その元……【原作】と呼ばれる世界(もの)

それを知る者は、蛍火と死蝶を宿す少年のことを知っているだろう。

少年が宿し燃やしつく力も、踏み入れる舞台も、巡り合う友たちも。

 

少年は"無個性"にて——夢を掴み取る。

 

それが本来にして知る者の結末にして終末。

されど()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

大きな枝分かれ、最も変わってしまった大きな分岐点は、少年が偶然にも転生者と出くわしたこと。

 

そこから始まる物語が始まることなくして、少年は異なる力を得る。

その月日というものは、数多くある人生と言う日々と同じように、流れ過ぎていく。

季節は涼しき秋を過ぎ、熱さを知らなず、寒さだけの冬となっている。

 

一部の者は進学、就職と最終段階と言える時期でもある。

それは出久とて例外ではない故、彼は今も自室で自主的に座学に取り組んでいた。

すれば、自室の扉から音が三回鳴り響き、出久が答えれば扉が開かれる。

 

扉の前に立っているのは、引子が休日にデパートにて買い込んだ女性用の衣服を着こむキャストリス。

そんな彼女は一冊の本を抱えていた。

 

「出久さん、こちらの書物のことでお聞きしたいことがあるのですが……今よろしいでしょうか?」

 

手芸と読書を趣味とするキャストリスは、超常世界にて出回っている雑誌や書物に目を向けている。

それは20年間、趣味すらもできない人生の期間にて、人の姿に戻れた際にやろうと決めていたことを、現在進行形とし実行中である故。

されど超常世界のことを、繋がりを果たし共有した出久の記憶からある程度得ている故、必要はないが、そこは個人の欲求などもあるのだろう。

 

そんなキャストリスは一冊の書物、『"個性"終末論』と書かれた書物を抱えている。

暗潭たる手——「死」(タナトス)の権能を持つ彼女は、『"個性"終末論』に強く興味を抱いていた。

それでもと、"個性"に関することならば主でもある出久に聞けばよく、そこからさらに見える視点があるだろうとキャストリスは思っていた。

 

「『"個性"終末論』……科学的に実証されてなくて俗説って言われてるから、入手が難しかったはずだけど…?」

 

「古い書物も扱うお店に出向いた際に見つけたのです。出久さんであれば、こういった書物も詳しいと思いまして……」

 

"無個性"であった時期、出久はキャストリスの発言通りそれらに関する書物を漁っていた時期も存在していた。

元々は、神話やおとぎ話などにのみ存在する力なども、"個性"に関係しうるのではないのか調べるためであったが。

 

「僕は"無個性"だろうと"個性"だろうと、みんな生きてる人間って思うけど」

 

「……虐めを受けていた側でありながらそう考えると、やはり出久さんは心の底からお優しい方ですね」

 

「へ!? あっいや…」

 

微笑みを浮かべ出久を見つめるキャストリスに、不意を突かれたように出久は頬を微かに赤らめさせながら顔を逸らす。

すればキャストリスは、出久の机に置かれている一枚の紙の存在に気づいた。

 

「出久さん…その紙は……?」

 

「えっ、あぁこれ?」

 

思わずと、キャストリスは問いかけ、出久はその紙を見つければ納得する。

その紙は『進路志望』と書かれていた。

 

「それは……自身が行きたい学校などを選ぶために必要な物で、確か、志望書と呼ばれるものですよね?」

 

「あ、うん……でも中々決まらなくて」

 

「出久さんであれば、どの学校でも苦難なく行けると私は思いますが……?」

 

"個性"がどうであれ、出久は努力家故に学力は高く、行動にも一つしかない選択肢を複数にするほどの思考力を持ち合わせている。

今ではホタルとキャストリスを"個性"とし宿している身であるがため、たとえ超難関であろうと突破することはできよう。

しかしそれは知識と実戦の能力だけを見た結果。

 

問題点は、彼の精神的部分に当たる。

幼少期からヒーローに憧れ、まだ"無個性"であった時期では、志望書に雄英と書いてもいた。

それは行動派オタク故、憧れである平和の象徴の母校に行きたいという気持ちもある。

 

しかし憧れに夢を遠回しに否定されてしまっていることが大きな枷となり、歩みべき道は半ばで止まってしまい、迷いに満ち溢れてしまっている。

すれば次の瞬間、紙を掴む出久の手に、キャストリスが添えるように自身の手を重ねた。

 

「私たちは出久さんの"個性"です。貴女がどんな選択を選ぼうと、少なくとも私は尊重し、ついて行きます」

 

「死」の権能を持つキャストリスは、触れる生命の命、その全てを死へ誘う。

しかし理屈は不明であるが出久はその「死」が訪れることなく、キャストリスと触れ合うことができている。

故にキャストリスも数少ない、触れる生命に積極的に触れてしまうところが多々ある故、今の状況になりやすい。

 

故に、最近女性に対しの免疫ができ始めた出久は、その免疫関係なく毎度硬直を起こしてしまう。

されど、そんな二人のいる部屋を、扉の隙間から覗き見る者が一人いた。

 

「(な、ななな、なにいい雰囲気になってるの……!? い、一応あたしのほうがイズクの"個性"としても含めて付き合いは長いのに…! イ、イズクもいくら女性に対して耐性がないからってそんな簡単に接近されたりして……! 悪い人にでも騙されて連れていかれたりしたらどうするの!!)」

 

その正体はホタル。

"個性"という関係であるならば、ホタルはキャストリスよりも付き合いが多少なりと長い故、先輩と言えるだろう。

だがこういうものではある意味ヘタレと言えてしまうホタルでもある故なのかは不明であるが、今現状で、ただ扉の隙間から二人の様子を、頬を膨らませながら見る事しかできなかった。

 

今ここに銀狼がいたら、ホタルの背を蹴り飛ばしてでも出久の自室に入れさせるであろう。

その場面は、誰でも意外と想像できるであろうことはここだけの話。

余談だが、ある意味夢中で会ったホタルは、自身の今の状況を引子に見られてることに気づくことはなかった。

 

 

——◆——

 

 

キャストリスが緑谷家に馴染み始めて数日、彼女は人気の少ない場所に行きたいと出久に頼んだ。

何故か、それは出久がキャストリスの力を使う上で、被害が出ないようにするためと言い納得する。

故に人気の少ない夜に、好奇心か、"個性"か、犯罪者程のものしか入らないであろう森の奥へと彼らは運んでいた。

 

「ここら辺でどうかな? キャストリスさん」

 

『……はい、大丈夫です。ありがとうございます』

 

次の瞬間、出久の身体から「死」による液体のようなものと、無数の死蝶が溢れ出し、キャストリスは分裂し姿を現す。

今更だが、ホタルも同行しており、同じように姿を現している。

 

「……ここでなら、試すことができます」

 

「えっと、僕がキャストリスさんの力を使えるかだよね?」

 

「はい。ですが今日にいたるまで、幾度ものなく出久さんは私の力も扱えるよう鍛錬していました。なので今回は別のを」

 

「別の?」

 

すればキャストリスは、自身の等身と同等かそれ以上の大きさを誇る大鎌を生み出す。

そして出久に離れるよう告げれば次の瞬間——空間を切り裂いてみせた。

それを見た…見せられた出久は無論、中にいるホタルすらも一瞬、脳がフリーズしただろう。

 

だがその一方で切り裂かれた空間から、巨大な影がにじみ出るように、砕き割るように、姿を現す。

それは淡い藤色の竜——否、死竜である。

一方で夢で見ただけであった出久は、今現実でその死竜が現れたことにより、全身に絶え間ない「死」を感じた。

 

「こ、このドラゴンって……!」

 

「『ボリュクス』、と呼んでいます。元の世界で、私の記憶と「死」(タナトス)の権能が、結び付いたことにより生まれた存在です」

 

超常世界であろうと、竜などの神話の生物は空想上に過ぎない。

"個性"によりその姿に変化する者はいるだろう。

それでも実在することはない。

 

だが今、キャストリスにより生み出された死竜は超常世界に存在している。

そんなボリュクスは自身の頭を地に、正確には出久の傍に下げれば、数回匂いを嗅ぎ、一回軽く舌なめずりを行い、最終的にはその頭部を優しく擦るように押し付けた。

 

「あの…」

 

「ボリュクスも出久さんを気に入ったみたいです。安心しました」

 

その証拠なのか、ボリュクスの尾は左右に揺らめいていた。

 

「ドラゴンにも懐かれるイズクって、すごいね」

 

ホタルもホタルで驚愕している中、肝心の出久は、甘噛みを受けた。

だがその甘噛みは、第三者の絵面では、出久の上半身がまるごとボリュクスに食われている場面。

そしてホタルとキャストリスが慌てながらに出久を救出しようとする様子でしかなかった。

 

 

 

 





・『ボリュクス』
キャストリスの長い年月の記憶と「死」の権能が結びついたことで生まれた死竜。
キャストリスに生み出された存在である故、触れられても死ぬことはない。
実は出久の記憶をキャストリスたち同様に見ていたため、もう一人の主として認めると同時に、キャストリスにはしないことをする程に気に入った模様。

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