翡翠の劫火と生きる   作:伽華 竜魅

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ファイノン復帰したのでゲットしました。
やったぜ。

そして毎度の如く誤字報告ありがとうございます。




秘密 共有

 

 

 

 

初のヒーロー基礎学であった戦闘訓練は終わりを迎え、放課後には教室にて、戦闘訓練の生徒たち単体での振り返りが行われる。

出久もまた、クラスメイトらと共に閲覧しようとしたが、彼は声をかけられた。

彼が振り返ればそこにはオールマイトが立っており、「二人で話がしたい」と言い出す。

 

出久は少しばかり考え、今断ろうと、今後もこうなる可能性のこともあり、承諾した。

そして今彼らは、仮眠室におり、さらにオールマイトは痩せこけた姿となっている。

その姿は初めて対面し、遠回しの否定をされた際の姿と同じもの。

 

しばしの沈黙が続く中、オールマイトは口を開いた。

 

「緑谷少年、まずは訂正と謝罪をさせてほしい」

 

「訂正と、謝罪……ですか?」

 

発せられた最初の言葉、単語は「訂正と謝罪」

すればオールマイトは淡々と語っていく。

ファンを諭しておいて失態をしてしまい、挙句の果てには活動限界のことを考え、救いを求めるものをただ見ることしかできなかった己自身。

 

他のプロたちも有能な力を持つ者が来るまでなにもしなかった。

しかし出久は、出久だけが駆け出したその行動は、オールマイトの心を突き動かしていた。

最終的にあの日、泥事件での出久の行動は、誰よりもヒーローであったこと、そしてまさに、己の発言に対しての「訂正と謝罪」をあの日からしたかったと語り告げる。

 

「君は突き動かしてくれた。だからこそ訂正と謝罪をあの日にしたかったんだ。もう入学もしたから、今更いうのもなんだが……君はヒーローになれるよ」

 

「…ッ」

 

トップヒーローにして、憧れからの最高の賛辞。

一度は否定されようとも、それは間違いだと言い、迷うことなく眼で、己自身を見つめハッキリと伝えられた。

故に出久は泣き崩れそうになる。

 

『よかったですね。どんな形でも、憧れから欲しかった言葉を貰えるものは、とても嬉しいものです』

 

『……あたしが最初に言ったのに変わりないからね』

 

そんなオールマイトは続けて告げた。

本来彼が持つはずだった力のことを。

 

「君なら私の力、受け継ぐに値する」

 

「………えっ?」

 

語られたのは、オールマイトの持ちいる"個性"。

何人もの人間が育て上げ、次へ、次へと聖火の如く、後世に引き継がれてきた力。

その名を『ワン・フォー・オール』

 

『一人は皆のために』と、格言の名を冠したその力を、出久になら授けてもいいと告げた。

それはまさに、本来の物語と同じ。

しかし、オールマイトはその前にと一度区切る。

 

「君が使っていたあの力は何だい? "無個性"だって聞いていたが……」

 

その言葉に、出久の息は止まる。

自分たちを尾行していたのは気付いていた。

それはあの日、出久がオールマイトに問うた日が原因だろう。

 

"無個性"と言いながら、その後に"個性"を使用した場面は、疑問を抱かない方がおかしい。

仮眠室であるが、雄英には索敵に優れた"個性"持ちもいる。

故に出久は秘かに周囲の確認をするよう彼女たちに頼んでいた。

 

『周りに人はいないわ。大丈夫よ』

 

「(なら……)」

 

出久は意を決した表情を見せ、その口を開き、憧れの名を呼ぶ。

 

「僕の力も、あなたと同じように他言無用でお願いします」

 

「それって、あの日や訓練で使ってたやつかい?」

 

「はい……出てきていいよ」

 

次の瞬間——出久の身体から三つの"個性"が漏れ出し、パイプ椅子に座る彼の後ろにて彼女たちは顕現し、その姿を露にする。

 

「ハ~イ♪」

 

「初めまして、オールマイトさん」

 

「こんにちは」

 

「えっ、え???」

 

突然の顕現に、目を見開くオールマイト。

そんなオールマイトに出久は告げる。

 

「あなたが先ほど打ち明かした、とても重大な秘密があるように、僕もまた誰にも打ち明かすのは難しい力を持っています」

 

「…オイオイ、マジかよ……」

 

 

——◆——

 

 

既に日は橙色に染まっている。

それでも未だ二人は、否、五人は仮眠室に居座り話していた。

 

「……これが僕の、正確には彼女たちの真実です」

 

そして出久は包み隠さず全てを打ち明かした。

力を与え亡くなった転生者、ホタルたちの正体。

多くの爪痕が未だ残っていること。

 

どれ程の力なのか。その全てを。

すれば全てを聞き受け止めた平和の象徴は険しい顔を露にしている。

 

「信じがたい話だ……まさか私たちとは異なる世界が存在し、その世界に存在する者たちをこちら側に呼び出すことが出来るなんて。まだ一時的に召喚し使役するって言った方がいくつか納得できるが……」

 

「星核ハンターとかも、元々はあたしたちの世界にいた組織なの。それに、まだ情報取集がうまくできてないけど、各国に転生者は駆け巡っては召喚したりして爪痕を残しているから」

 

「超常世界で一般人すら力を持ってるから、言われない限り気づきにくいのよね。それに、あたしたち三人はそれぞれ召喚のされ方が特殊なのもあるから」

 

「特殊……さっき言っていた、顕現する人物によって異なる召喚をしたということか」

 

『姿を変えられた者』『力を封じられた者』『両方を施された者』

それらはこの世に強く影響を与えてしまうが故に施したもの。

されど管理下に置かれることはなく、それぞれが自由に生きている。

 

超常世界の者たちは気づいていないだけで、溶け込み生き暮らす者もいるだろう。

最もそれは、個体差があるのは明白。

 

「しかしそれを、少年の"個性"として成り立たせるとは……」

 

「私とキュレネ様は召喚されはしましたが、人としての姿は封じられていました。ですが出久さんと出会い、繋がり、"個性"と成り立った結果、本来の姿を取り戻すことができています」

 

「ホタルだけが、転生者(かれ)が出久に直接与える形で召喚されたのよね。その辺の違いはよくわからないわ」

 

「そうか……しかし、『訳も分からず与えられた』か」

 

他者に力を、それも異界のものを"個性"として与える。詳細や元の能力は大幅に異なっていようと、『与える』と言う点にオールマイトは注目していた。それは自身の持つ『OFA』もまた、受け継ぎ与える力。

 

そしてその起源であり、宿敵もまた、与え奪うもの。故に血縁的関係があり、出久は偶然か必然か、巻き込まれた可能性が高いと思考を動かす。

同時にその転生者のしてきた行動は、大きな爪痕として今もこの世界に残り続けている。

 

さらにその爪痕は、今目の前にいる自身が後継者として認め、与えようと持ち掛けた少年にも付けられている。

そんな出久は口を開く。

 

「オールマイト、『ワン・フォー・オール』の譲渡などはもう少しだけ考える時間を頂けませんか?」

 

「……そうだな。君は大きすぎる力を三つも既に内包しているんだ。その時間は必然だろう」

 

オールマイトは立ち上がり、出久に告げる。

 

「けど緑谷少年。私は今の話を聞いて、余計に君しかいないと思ったよ。その亡き人物が行った行動は許されないが、その力の一端を与えられた君の選択は間違っていない。君は誰よりも『力の意味』をわかっている人間だ。だからこそ彼女たちも君に答えているのだろう……答えを得たら、呼んでくれ。これ、私の連絡先ね」

 

「あ、はい。ありがとうございます」

 

 

——◆——

 

 

昨日の戦闘訓練、そしてオールマイトと出久が互いの秘密を共有した翌日であり現在。

今宵も授業を受け、ノートにペン先を走らせたりなどを行う時間。

真剣に取り組む中、出久は未だに受け継ぐべきか否かを、頭の中で巡らせていた。

 

『憧れの人の力を貰うってなると、基本的に貰いたがるって銀狼が言っていたけど』

 

「(そりゃあ、あそこまで秘密を明かしてくれたってのもあるよ。でも、本当に僕が受け継いでいいのかなって……)」

 

『出久さんの考えもわかります。そしてその力を受け継いだとして、既に"個性"として宿られている私たちに、どのような影響をもたらすかも未知数です』

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、難しいわね』

 

出久は未だに三人の力の制御に苦戦を強いられている身。それも異界の力。

そこに超常(この)世界の力をも内包すれば、それぞれの力と自身にどれほどの影響をもたらすのかは計り知れない。

 

彼の頭は長らくその内容で詰められていた。

そんな中、授業は一度終わりを迎え、休息の時間となっている。

しかし突如として彼にとっては最終局面へと突入。

 

もしくは厄介日と言えてしまう程の大きな事態が起きた。

 

「なぁ緑谷……」

 

それは突然のこと。

授業が終わり、一休を取る時間となった時。

出久の席の後ろに座る、幼児か小学生とそう変わりない等身大を持ち、髪の部分に"個性"の力が備わっている青年が会話を向けた。

 

それは出久自身、未だ接点が少ない故、名前しか知らない人物『峰田実』

そんなクラスメイトが突然話しかけて来ては、誰もが緊張するだろうが、次の発言で出久は言葉を失い、身体を硬直してしまう。

 

「ど、どうしたの峰田く——」

 

「オイラよ、席の位置的にお前の後ろなんだけどよ、その時に毎回鼻に来るんだよ……」

 

「えっ、なに、どういうこと?」

 

突然の発言に、出久は困惑する。

鼻に来るとは何のことだろうか?等身的に見ずらかったのであろうか?

善意として、出久は峰田に失礼なことでもしてしまったのではないのか?

 

出久はそう思い反射的に謝罪の言葉を繋げようとする。だがその言葉は峰田の次に発せられた言葉によって止まった。

 

「なんで、なんで……——なんでお前から女子の香りが!! しかも三種類も女子特有であろういい香りが香ってくるんだァアアッ!!」

 

突然の叫びに他のクラスメイトらは一斉に注目していく。

一方出久自身は、すぐに反論などもできずに硬直してしまっていた。

 

『あら? あたしたちが家事の手伝いで洗濯とかもやってるから、それでかしら♪』

 

「(絶っっっっっっっっ対違いますよ……!!!)」

 

思い当たるのは彼女たちが自身の制服を、何も言わずに着始める場面。

しかし先ほど否定はしたものの、洗濯などの家事を彼女たちは積極的に行ったりもしている故、染みついてしまっているのもまた事実であろう。

まさかこんなに早く気づかれるとは出久自身思わなかっただろう。

 

否、そもそも気づかない方がおかしい。

男性には男性の、女性には女性にしかない特有な香りなどがあるのだ。

男性から女性の香りがするなど、他の男子からしたら思い込むのは一つだけ。

 

「テメェ!! オイラ側みたいな、そんな地味な見た目でデキてんのか!! それとも三股なのか!! この裏切り者ォ!!」

 

「さっ…!!?」

 

胸倉を掴まれれば、前後に揺らされる。

しかも迷うことなく、さらにとんでもない発言をする峰田に出久は困惑と焦りがにじみ出始めていた。

 

「ど、どうした峰田! 緑谷と揉め事か!?」

 

「峰田くん! 緑谷君に何をしているんだ!!」

 

「うるせぇ! こいつから女子の香りがしまくってんだよ!! こいつヒーロー科のくせに三股してんだよ!!!」

 

「——違うし誤解だよ峰田くん!!」

 

血涙を実際に嫉妬心で起こす者は実際にいたことにも驚愕である出久だが、すぐに弁解しようと試みる。しかし峰田の嫉妬心による暴走は猛獣の如く暴れていた。

 

「緑谷くん、まさかそうなのか!?」

 

「違うよ!? えっと、その、し、知り合いの女子とかがたまに勝手に来ちゃってるから、それだと思うんだ!」

 

「おまっ! それでも知り合いの女性がいんのか!? 紹介しろォ!!」

 

「いやなんで!?」

 

『上鳴電気』は出久へと近寄り肩を組んで、会わせろと言い放つ。

彼らは知らない。その女性たちが彼の内側、"個性"として存在しているのを。

 

故に出久は汗を漏らす。

最も、彼女たちは顕現しようと思えばできてしまう故、いつ見られるかの問題もある。

しかしバレないようにしている以上、彼女たちは決して顕現しようとはしない。

 

されど、一難去ってまた一難の言葉がある。

 

「緑谷彼女いるの!?」

 

「教えて教えてェ!!」

 

「ふぁ!?」

 

それは恋バナなどが大好きな女子による襲来だ。

ピンクの肌に額には角を持つ、『芦戸三奈』に、昨日戦闘訓練にてパートナーとなり、それ以降友人関係が、飯田と麗日に続き長く続いている葉隠。

 

二人の食いつきに、出久は思わずたじろぐ。

同時に劫火と「死」が少しばかりと荒ぶり始める。

 

「か、彼女じゃないよ!? 本当に知り合いなだけで、ぼ、僕が雄英に合格したからそのお祝いでしばらく家に来ていただけだから……制服もその時にだと思うから」

 

「まさかの複雑だけどとってもすごい関係持ち!?」

 

「そういうのじゃないから!!」

 

出久は必死に弁解を、誤解を解こうと試みる。

されどこのような男女関係…主に恋愛に繋がりかねないものに目がない女子は、悪党よりも手強く難関と言えよう。

 

「でも確かに、戦闘訓練の時ペアだったけど緑谷くん、なんかいい香りしてた!」

 

「(葉隠さァァアアンッ!!!)」

 

不意打ち、もしくは忍ばせたもう一つの武器とばかりの更なる事実が告げられた。

 

「緑谷ァ! テメェ紹介しろ!! 一人ぐらい寄越せヤァ!!!」

 

「いい加減にしないか君たち!! 緑谷くんが困っているし彼の友人にも迷惑だろう!!!」

 

今この時、出久は飯田がこの状況から救ってくれたヒーローと眩しく感じ強く思った。

 

『……あたしたちをただの知り合いで片付けるんだ』

 

「(えっ!? あ、ご、ごめんね!!?)」

 

そして宥めるのに再び一苦労かけてしまう出久であった。

 

 

 

 





・オールマイト
やっとこさあの日のことを話せたけど衝撃事実を知って内心大混乱。
転生者が宿敵の血縁者なのではと疑いも持ってしまっているのと、もし緑谷がOKしてくれればすぐにでも譲渡させる気でいる。

・緑谷出久
オールマイトと互いの秘密を共有した。
けどその翌日にクラスメイトらに匂いとかでバレかけて汗ダラダラ状態。

・峰田実
入学初日から何故か自分と仲間だと思っていた緑谷から女性の香りがして怪しんでいた変態生徒。
最初こそ他の女子生徒に夢中なのもあってか気にする暇はなかったが改めて香って確信を突いた。

もしよければお気に入り登録と評価、感想の方よろしくお願いします。

今んとこ原作の流れになっちゃってますが、ここからはどうしましょう?

  • 原作の流れは崩さずに改変してください
  • 内容にも書いてあるから改変してほしいね
  • 原作(ルール)を破って開拓するんだ
  • それより星玉と星軌チケが足りないよォ!!
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