更新遅れてしまい大変申し訳ございませんでした。
当作品の投稿ペースの頻度は他と比べて遅いですが、それでも良ければ。
超常世界にて最も注目を浴びる職業は『ヒーロー』
誰もが幼子からヒーローに注目し、憧れを抱き、己もなりたいと叫ぶ。
それが当たり前である。
だがそれはあくまで"個性"という力を持ってこそ成り立つもの。
力を持たぬ者はなれない。
持っていてもヒーロー向きではない者は難しい。
そう勝手な意見とし決定づけられてしまう。
故に力を持たなかった緑谷出久は虐めを受けていた。人間というものは己より下にいる者がいれば安堵してしまう。
そういう生き物であるが故に、確実に下である緑谷出久を対象にしている。
しかし虐めの対象にされていた緑谷出久は世界の命運を背負う宿命とも言える役を背負っている。
否、背負っていた。
何故なのか、それは本来の物語は既にこの世から去っている転生者の手によって大きくとも小さくとも書き換えられているからである。
故に本来持つべき力を持たず、ホタルという力を手にした。
そして既に狂っている物語の歯車は、更に狂い始め、脚本が、脚本通りではなくなったのである。
そんな世界の中、緑谷出久は覚醒させたホタルという女の子を、正確にはホタルが扱う力を、遅咲の"個性"発現という形で事を抑えることにした。
しかし幼馴染である『爆豪勝己』はそれでもと、何もなくただ見下され、鬱陶しく、ただただオタクでクソナードだったはずの木偶の棒が、下手すれば自分よりも派手で強いと思える"個性"を発現させたことを認めることはできない。
故に爆豪勝己は、緑谷出久に焦り交じりの怒りを解き放ち、ぶつけた。
それでもと緑谷出久はホタルという存在が"個性"であることだけは隠した。
【鉄騎を纏う戦士となり、劫火を操る】
それが"個性"であると公表している。
ホタルという人格が、魂があることは公表していないのである。
そんな中爆豪勝己は吐き捨てるように言い放った。
「"個性"が発現したところで、お前は俺の下でヒーローなんかになれるわけねぇ」と
力を手に入ればかりでもある出久は否定はできない。否、しなかった。
その理由はもう一つ、憧れにすら夢を否定されてしまっているからである。
力を手にした今、力がないからこそ虐められ、夢を馬鹿にされ否定されることはないだろう。
だが言われたという真実は残っており、今も出久の脳裏には否定された瞬間が鮮明に刻まれている。
夢を諦めるという決定打を、憧れに言われたのだ。
それでもヒーローになるという夢を諦めていない。
その理由は憧れたから。
昔からの夢である点が大きい。
しかし今はそれだけではない。
夢の中で出会い、今も己の中に宿られているホタルの存在。
そのホタルという女の子が、親でもいいから欲しかった言葉。
夢を見ていい。
夢を追っていい。
ヒーローになっていい。
ホタルが心の底から出久に伝えたことが、本人は気づいていないが大きな支えとなっていた。
——◆——
6月上旬。
初夏から梅雨入り前の時期。
深夜、星が輝く夜空に、人工的な光が微かに照らす摩天楼のうちの一つのビルの屋上。
緑谷出久はその屋上に立ち、
「こうして見ると見晴らしが良くて、綺麗だね」
「うん……でも、あの日夢の中で見た景色と比べると、綺麗に見えないって思っちゃうよ」
二人は肩を寄せ合うように屋上の端に立ちながら、言葉を交わす。
次の瞬間、その摩天楼のある一か所にて爆発が発生した。
すればホタルは出久の手を握り、出久は己の空いている手に機械装置を顕現させ、手に取り構える。
二人の身体から翡翠に輝く光と共に燃え上がる猛々しいの劫火が漏れ、二人を中心に渦上に燃え上がる。
「——行こう、ホタルさん」
「——行こう、イズク」
出久が機械装置を横に大きく振るえば、機械装置が翡翠に輝く四つの翼を展開するように顕現され、翡翠の猛々しい光の劫火がともに二人を包み込む。
劫火の中、二つの影は一つになりやがて……——
——鉄騎を纏い、劫火を操る戦士が降り立った。
そして戦士は脚部と背面装甲の推進器から劫火を点火させる。
深淵に染まり、夢と違い見晴らしく、抜群とは言えない摩天楼の中、爆発が起こるその現場へと飛び出す。
出久がホタルを覚醒させてから約2ヶ月は経ってます。
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