時は少しだけ遡り。
ゴローが
「えっと………あれ??」
その時スミレはとても困惑していた。
先程まで自宅に居た記憶があるのだ。
次回のコスプレ衣装とそのまた次回のコスプレ衣装にまで手を出しながら、ワイヤレスイヤホンを使用したハンズフリー通話で失恋した友人(月1ペースで失恋する困った友人)と恋愛話に花を咲かせていたのに。
{ごめんなさい}
奇妙な声だった。
音と言うより光。
文字として彼女の声が瞳に届く。
{もう、貴女に頼らないと決めていたのに}
気付けば知らない部屋に居た。
壁は白くて、天井は少し高い。
そして何より目につくのは、部屋の半分以上を占領する大きな箱。
『ポポちゃんワールドサーキット』
フザけた名前の大型のゲーム筐体は現在も稼働中で、その手前にチョコンと正座した着物姿の女の子が、小さな身体をいっそう小さく丸めて。
床に手を付いて頭を下げていた。
「あ………痛っ!?」
ズキリ…スミレが頭痛によろめく。
{ごめん…スミレちゃん。思い出したら、痛くなくなると思うから}
そう言って女の子ゆっくり、丁寧な仕草で立ち上がる。
着物姿の女の子。
全体的には青い着物。
上から下へかけて薄い青から濃い青へ。
群青が行き過ぎて黒にまで見える裾の辺りには、赤い彼岸花がアクセントとして華やかに揺れる。
背丈はゴローより少し高いくらい。
女の子の顔は黒い渦。
話に聞くだけで、実際には出会ったことの無いポポちゃんと言う名の怪異と同じ。
「あなた…えっと??」
見たこともあるし、話したこともある…気がする。
アニメが好きで、その中でも鬼滅の刃が好きで。
産屋敷の長女がいちばん好きだと言っていた。
そんな言葉では片付けられない感情が胸から溢れる。
知らないのに、知っているから。
「ウブメちゃん?」
{そう…私はウブメ。貴女には、そう名乗ったの}
嬉しそうに、悲しそうに囁いて。
小さな彼女はスミレを見つめた。
そしてーーーーーー
◆
ーーーそれで、続きは??
ーーークソみたいな夢配信で尺を稼ぐ幼女w
ーーーオラ吐け!!
何故だか妙に久々な気がするバトオペ配信ナウ。
いつものジム・レイドで出撃待機中、ゴローは『今日見た変な夢』として先日のポポちゃんワールドサーキットの顛末を語っていた。
しかし、いざ戦闘が始まると意識はゲームに全集中。ゴローの中では完全に終わった話になっていたのだが、試合終了と同時に何人かのリスナーからコメントが入ったので。
「なんだ〜? 覚えてたんかキミら、しょーもない夢のお話ですぜ?? ま…えーけど」
一度ゲームの手を止めてビールを取り出す。
今回の酒の肴はヒマワリの種。
昔なら硬い外皮も親指の爪で割れたが、貧弱幼女と成り果てた今ではニッパーで縦長の種の端っこを切り取り、そこから殻をこじ開けるようにして中身を食べなくてはならない…が。
「うめぇってヤツよなぁ…!」
ヒマワリの種はとても小さい。
通常のナッツよりも遥かに手間がかかって、その上で可食部は極わずか。
その手間と種の小ささがゴローの幼女胃袋にジャストフィットしていたのだ。チマチマとヒマワリの殻を割り、中身を齧り香ばしい匂いを楽しみながら酒を飲む。
「プハ〜〜〜っと!! ちょいゴメン、おっちゃん先にC3エリアに出撃して参ります!!」
ーーー出撃を許可します
ーーーゴロー、発射!
ーーー音が聞こえるように頑張って欲しい♡
ーーー良い時代になった…
ーーーなんだ? 今来たんやが誰が産業して
ーーー夢の話だな?
ーーーC3エリアの話だな?
ーーー➀バイクゲームでバグを使って裏世界に行く
ーーーゴロタスの夢おもろい
ーーーオシッコサウンドきぼんぬ( ;∀;)
ーーー➀ゴローは酒をよく飲む
ーーー②オシッコのシーを取り入れる
ーーー謎の産業解説バトルくさww
ーーー②謎の秘密基地に到着して一人で酒盛り
ーーー混線してるんですが、コレは…
ーーーゴロたすラブ♡
ーーー③尿意に耐えながら猫とトイレを探す
ーーーチョロチョロ〜♪
ーーー③トイレ=C3エリアと命名
ーーーガンダム&エルメスの遭遇戦が抜けてる
ーーー産業乙
ーーー産業くさw
ーーーグッチャグチャや〜
ーーーションベンの話は誰も聞いてないやろ
ーーーションベンの話が聞きたかった俺氏が通る
ーーー夢ってほんと雑だからオモロイんよね
ーーーおしっこを我慢する夢で検索して泣いた
ーーーあ、それで今日トイレ近いんか
ーーーC3エリアな
ーーー産業情報ありがと
ーーーお
ーーーあ、
ーーーお帰り〜♪
「任務完了っと! え〜っと? どこまで話したっけ?」
ーーーマクロスバリアで謎の扉をブチ破ったトコ
ーーーC3エリア命名までの流れ
ーーーちゃんとおチッコできたかな??
「あ〜…あの後な? 扉の中にはおっちゃんの爺さんが居てな? あ、
ーーーエヴァw
ーーーTS幼女お爺さんとか言うパワーワード
ーーーはっちゃけた夢やの
「んで、なんやかんやあって爺さんをバイクに乗っけてさ、前にもチラッと話したことあるけど、ウチの爺さんは拝み屋だからってんで、ルーラ唱えさせて無事に裏世界から脱出したんやが、脱出した先におっぱいのデカいギャルが待ち構えててな? その子が事情聴取してくるんよ」
ーーーおっぱいのデカいギャルwww
ーーーミニスカポリス的な?
ーーー俺もゴロタスに事情聴取されたい!!
「おっちゃんは『待って! ちゃんと話すからちょっと待って! 今はおチッコに! おチッコに行かせて!!』て叫ぶんじゃけど、ギャルちゃん話聞いてくれなくてな? おっちゃんのおっちゃんが限界突破して下半身がびしょ濡れになった………所で夢から醒めたって話やな」
いつもと同じテンションで語るゴロー。
しかし、その目の奥にある絶望の深淵は、画面の向こうにいる
水星の魔女のコスプレ、誰を選ぶ?
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赤いたぬき・スレッタ!
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白いきつね・ミオリネ!
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ツンデレ侍・グエル!
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日陰の美人・ニカ!
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ボンボン頭・チュアチュリー
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ハッピーバースディ・エラン
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エロの化身・シャディク