Q.最近仕事でとんでもないミスをしてしまい気分が落ち込んでいます。ゴロー氏は実年齢45歳の男性だったとお伺いしております。今はどうであれ過去の仕事の失敗談など、もしあれば慰めに教えて頂けませんか?
その日のバトオペは失敗の連続であった。
『拠点に爆弾が設置されまさした!』
アナウンスから程なく、ある意味でタイミング悪く前線を支えていた乗機を撃破され、せっかくリスポーン出来るのなら爆弾解除に行く方が良いだろう。
そうした判断から歩兵として拠点側に降り立ち、決死の覚悟で緊急ミッションに挑んだゴロー。
突入のタイミングはギリギリ。
本人的には花丸満点の動きで爆弾の側に駆け寄り、解除ボタンを長押ししたのだが。
(あ…ここで後ろから撃たれたらヤベェよな? せめて武器をバズーカに変更しとかなきゃ)
そう考え、武器の切り替えボタンをポチり。
ーーーは?
ーーーゴロオジ??
ーーーまたやらかすのかコヤツ
ーーー解除失敗!!
武器の切り替えモーションを挟んだ事により爆弾解除のゲージがリセットされた。
慌ててもう一度トライするも間に合わず。
「うそだろ、やっちまった!?」
ボカン!!
見事に大破した自軍拠点。
「あ〜〜〜〜すまねぇ…」
爆発により倒れたアバターが身を起こす。
終わったことを悔やんでも仕方ない。
まずは愛機を呼び出しましょう。
「こい! ガンダーム(
機体を降下させた瞬間ーーーズドンーーーと。背後から無慈悲なバズーカの一撃がゴローのアバターを消し飛ばした。
戦線から離脱した挙句、拠点防衛に失敗し。
最終的には新品のMSまで強奪されるという、過去の最悪を総ざらいしたようなプレイング。
その後のゲームも酷いの一言。
敵を転倒させようとした下格闘で味方を転がし、援護しようとしたバズーカで味方の背中を撃ち抜いた。
「今日は、マジでムリ…………」
項垂れるゴロー。
だが、だからこそ。
その姿に救われるリスナーも存在して。
「ん………失敗談ねぇ??」
ーーー盛大にやらかしたゴローへの鞭打ち
ーーー叩ける時に叩くスタイル
ーーーゴロオジ鈍感やから気にしないんじゃね?
ーーー幼女イヂメが出来ると聞いて
反応を示したゴローの言動に、リスナーの注目が高まった。
「ん〜〜〜〜せやね。今ここでパッと思い出したヤツで良い? 失敗ばかりの人生なもんで優劣がムズい」
ーーーわかる
ーーーわかりみ
ーーー理解者
ーーーわくわく
「うし。ほいじゃーせっかくやし、ちょっと切るわ。イロイロと計画してたヤツの準備を前倒ししますよって、チャンネルはそのままでよろしヤス」
◇◇◇
「はい! というわけで今日は唐突にお料理配信を開始してーイクイクぅ〜!!」
ーーー性癖「イクイク!?」
ーーーサービス精神の塊
ーーー垢バン覚悟…さすがやでゴロー!
ーーーゴロオジ…いつの間にやらこんなにもあざとくなって
「動揺しすぎやぞ、つーかその前に言う事があるのでは!?」
画面に向かって仁王立ちするゴロー。
自信に満ちた表情でリスナー達へと問いかける。
「どやッ! 素晴らしいセンスやろ?」
白のベレー帽を後ろ前に被り、体には淡いピンクのエプロン姿。エプロンにはいつもの缶カバーのデサインに似た小動物ーーーお目々の大きなウサギちゃんーーーのアップリケが刺繍されており、ゴローの小ささと可愛らしさを一段と際立たせていた。
「ここでクルッとターンをキメた! ゴロー選手の得点や如何に!?」
ーーー100以外無い!
ーーー肌エプロンじゃないから減点
ーーークック○ンで草w
ーーー92かな、下の服にフリフリが欲しい
ーーー悔しいけど可愛い
ーーー結婚式は何時にする?
ーーーうぉーーーーーー!!
ーーー俺の味噌汁を飲んでくれ
ーーー俺が飲ませたいのは別の汁
ーーー肌エプロンはくさw
ーーーキャーーーー!!
ーーー花丸!
ーーーキチャ〜〜〜〜!!
「へ〜なかなかの反応じゃんね?」
コメントを楽しみながら、ゴローはテキパキと手慣れた様子で料理に取り掛かった。
「実はおっちゃんそれなりに料理好きでな? 配信系って料理もウケるし、いつかやろうと思って準備してたんよね〜。んで、ちょうどそこにさっきのコメント拾ってさ、お料理の失敗談を語ろうと思って…どうせなら料理しながら語った方か良くね? と思いついた次第」
ーーーなるほど
ーーー踏み台に立って包丁持つのってヨキよね
ーーー外見だけで良いからこんな娘がほしい
ーーー後ろで髪くくってんのか
ーーースコスコのスコ
配信再開前から準備し、油を引いたフライパンに薄くて丸い合挽き肉を投入。
即座に反転し、こちらも準備していたトースターに丸パンを半分に切り分けたモノを投入。
「料理な? 見ての通り今作ってんのはハンバーガーでして。おっちゃん若い頃はバーガーショップの正社員やった事もあるんやで」
ーーーマック?
ーーーマクド?
ーーーモスかも
ーーーロッテリアかな
ーーーキング
ーーードムに決まってんだろ! ここはバトオペチャンネルやねんぞ!?
「とりあえず迷惑になると悪いからお店の名前はモクドテリア・King・The・ドム(仮)にしときます」
ーーーマステリアは語呂的にアウトか、ゴローだけに
「その頃のおっちゃんは今にも増してスーパー雑魚やってなぁ〜、悪気も無いけど能力も無くて、商品の入れ間違いやらオーダーミスやらパートさんとのコミュ壊滅によるいがみ合いやら、そりゃも〜イロイロ盛り沢山にやらかしてたんよね」
薄い肉の頃合いを見て、ちょうど良い火加減で裏返す。音と油の香りが心地良く胃袋を刺激して。
「店長になりたく無かったけどポジション的には店長候補だったし、そうなると空っぽのプライドだけがグングン成長しちゃってね〜………て、これバトオペの話みたくね? 無駄に上がるランク、能力の伴わないおっちゃん。総合12位の連発………」
ーーー凹むな
ーーーいきろ
ーーーカスパがゴミなだけやで!
ーーーゴロタスは頑張ってるよ!
「みんな…すまねぇ。あ〜でもあのエピソードは今思い出しても消えたくなるんだよな〜」
ーーーそれは聞こう
ーーー(貴様に黙秘権は)ないゾ!
ーーー俺が慰めてやるぜ?
ーーーママがヨシヨシしてあげるから♡
程よく仕上がったパンを取り出し、バーガー下段のパンの天面にマスタードを塗り、そこへ自家製|パティ(合挽き肉)をライドオン。
ふんわりとマヨネーズを敷き、その上に
「しゃ完成!!モス風バ〜ガ〜」
テッテレー♪
日本人の魂に刻み込まれたSEを口ずさみ、ゴローが美味そうにバーガーをかじる。
その後も様々なファーストフード店のなんちゃってバーガーを作りながら配信を続けた。
「ーーーだろ〜? 今でも思うよ『せめてポケットマネーで返金くらいしとけば良かった〜!!』てさ」
ーーー気持ちはわかる
ーーーザコやなぁ
ーーー慣れない仕事だしなぁ?
ーーーゴロタスにもそんな時代があったんやね
「どーかね、少しは気が紛れた? おっちゃんの場合規模は小さかったかもしれんけど、やらかした方もやらかされた方も多分ずっと忘れねーと思うんだよね〜。世の中上を見ればキリがないけど、下にもキリがないし…まぁなんだ! 気晴らししてまた明日頑張ろぅぜ! おっちゃんとの約束だッ!!」
なんとか無理やり締め括った料理回。
リスナーとのやり取りは兎も角、思ったより尺が長くなってしまった事を一人静かに反省するゴローなのであった。