酔うじょオペレーション   作:マキシマムとと

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VS.ユエユー

 

 「おっちゃんが思うに、だぁ〜よ??」

 

 

 パキり。

 ヒマワリの種。

 その硬い殻を割り、取り出した小さな小さな美味しい中身を、これまた小さなお口に放り込みカリカリもくもくと、ハムスターよろしくゴローが齧る。

 

 「チュ………チュ…チュパ…ぱはふぅ〜〜♡」

 

 卑猥な音を立てながら飲むのは、そろそろ本格的に冷気が心地良い氷たっぷりの梅酒ハイボール。いつもの風景と思わせながら、しかし明確にこれまでと違う点がある。

 

 「う〜〜〜ん…薄っすい!」

 

 これまでに比べてアルコール濃度が極端に低いのだ。

 バトオペ時代は良かった。

 酒のせいで上手く操縦出来ないデバフと、酒のおかげで思い切りよく行動を実行出来るバフのバランスが取れていたので、下手をすれば飲んだ方が強いまであったのだ。

 

 しかし、ACで酒に酔うと普通に負ける。

 負けて吐く。

 同じゲームの筈なのに、明確に酔いによる戦績の違いが現れていた。

 

 「バトオペはエイムゲーで、ACはアセンゲーなんよ」

 

 

 ーーーヒマワリぱくぱく

 ーーー美味しいのだ!

 ーーーハムごろーちゃんチュキ♡

 ーーー珍獣がなんかいってんなぁー

 ーーー喋らんでかまんからパンツ見せろな?

 ーーーもっとチュパ音を聞かせろぃ!

 ーーーチュパのASMR発売してくれ…してくれ…!

 ーーーあ〜〜〜〜((♡´ ꒳ ` )スッキリ)

 

 

 「ちょいさー? 誰かひとりくらいさー? おっちゃんのお話に反応してて、って…ても、良いんじゃ〜ねぇかな!?」

 

 ーーーしてててて?

 ーーーくさ

 ーーーかわいそうな、幼♡

 ーーーゴローだからなぁ

 

 散々に弄ばれながらも気分はそれほど悪くない。そも、こうやってへらへらとダベる時間が好きなのだから。

 

 「ま、え〜わ。あんなー? バトオペの土台ってー言でいうと、やっぱバズ下なんよ…つまり、まずはエイムして、弾を当てる…こりが大切!!」

 

 ーーーせやね

 ーーーうんうん

 ーーーこりが! こりが!! たいせチュ♡

 ーーーいっしょうけんめい しゃべってて えらいね よし♡ よし♡

 

 「クソおぉ……クソガギ扱いしやがって…!」

 

 ーーースゲー楽しいんだがw

 ーーークソザコ幼女の独演会場はここですか?

 ーーーここです

 ーーーシコリティ高すぎw

 ーーーがんばれ♡ がんばれ♡♡

 

 どれだけ訓練されたリスナーなのか、ゴローをからかうコメント四方八方から降り注ぐ。

 苛立ちが無い事も無いが、今はとりあえずお話を続けたい。そんな思いで薄い酒で口を湿らせ、言葉を紡ぐ。

 

 「バトオペはさ、どんな機体であれ弾を当てる腕前が有れば勝てる…は言い過ぎかもじゃけど、基本はそうなんよ。逆にエイムが終わってたら必ずどこかで行き詰まる。この土台的な部分がACの場合はアセンブルになるんじゃね? て話をしたいんだよーー!! おい聞けよ! オッサンがさー? 幼女の口で一生懸命に喋ってるんだろ〜? きーけーよークーソーカースーが〜〜〜〜!!」

 

 ーーー俺は聞いてる

 ーーー俺はシコてる

 ーーーリスナーをクソ呼ばわりする配信w

 ーーーアセンブルじゃんけんゲスな

 ーーー俺はグーチーパー出すからお前の負け

 

 「おぉ?? なんか話のわかるコメントあるじゃん。ケラちゃんアセン関連のコメ固定しといて」

 

 【俺はシコてる】

 

 「違う違う違う…変態おじさんは帰れ。ちょ…ケラちゃん? お仕事してぇ??」

 

 コメントの固定間違い等のハプニングを挟みながら、ゴローはトツトツと自分の中にあるAC論を語る。

 その傍らでランクマの対戦モードを開始した。

 

 ゴロー参戦から数日。

 クソザコ幼女おじさんで遊ぶためにランク詐称を行う暇人…もとい、愛の重いニキ(健全なロリコン)や、今日初めてACに触りました風の挙動が怪しいド素人ニキ(懸命な変態)まで、ゴローの在籍するランク『Unranked』は珍しく活気付いていた。

 (ゴローの知らない所でランクをUnrankedに保つために勝利を対戦相手に押し付けるプレイングまで発生しているとかいないとか…)

 

 そして本日。

 早速にマッチングしたお相手はリトル・ツィイー / ユエユーの完コピ機体。

 このユエユーという機体はゲーム序盤で対戦する機会のある中量2脚の人型ロボットだ。

 骨太な骨格。

 子供の作ったダンボール、もしくは鉄骨を組み合わせたような外見が特徴的*1な機体であり、頭以外のフレーム(特に芭蕉腕)はランクマ環境においても根強い人気を誇っている………その反面、内装や武装においては人を選ぶ性能と組み合わせになっており、お世辞にも強いとは言い難い。

 

 ーーーそんな機体を前にして。

 

 「コイツ、マジかよクソやろぅww」

 

 機体はユエユーだが、開戦前に表示されるデータには別の機体名が表示される。

 

 

レイヴン名:metugoro-3  

機体名:56BANKI   

 

 

 「ごじゅーろく(ゴロー)BAN機に滅ゴローさん(ムツゴロウさん…)とか、ぜってぇお前ランク詐称ニキやろ!?」

 

 憧れのTS幼女おじさんと遊びたい。

 しかしあの子はUnranked。

 ーーーそうか、それなら。

 俺もアカウントを作り直せば良いんだ!!

 

 そんな激重感情を搭載したユエユーがAB(アサルトブースト)(ざっくり言えばマリオのBダッシュみたいなもん)で開戦直後から距離を詰める。

 

 会敵予想ラインまでまだある…にも関わらず。戦闘開始前から浮足立っているゴロー。

 

 「お相手の武器はハングレ、爆風判定が怖いから空中戦が正解やんなぁ?」

 

 愛機が装備しているジェネレーターやブースターは空戦に適した物では無い。しかし、今ここにある装備で戦うしかないのがACだから。

 

 ふわりと空を舞うゴロー。

 ゴローを無視したかのように低空飛行で距離を詰め、着地狩りを狙ってウロウロと地表近くを飛び跳ねる敵機。

 

 ーーーソフロ使って距離詰め…

 ーーー明らかに手練で草

 ーーー逃げてゴローwww

 ーーー小ジャン♪ 小ジャン♪

 ーーー猟犬のポーズ

 

 どれだけ撃っても当たらない。

 機動力を忘れて来たような機体でヒョイヒョイとゴローの弾を掻い潜る。

 

 ゴロー機の弾切れ、そしてEN切れ。

 

 バトオペと同じく弾を撃てばリロードが挟まり、飛んだり(上昇ブースト)跳ねたり(ABやQB)すればEN容量*2がギュンギュンと消費され、最後には一定時間使用不可な状態になる。

 向こう(バトオペ)でそうであるように、上級者はその瞬間を見逃さない。

 

 「へごっ!?」

 

 マニュアルエイム(手動照準)を使用して*3降下中の空中で1発、降下し終えた地表で1発。

 計2発ものグレード爆撃を受けてゴローの愛機はスタッガーしてしまった。

 このスタッガーは格ゲーで言うとピヨリ状態のような物で、スタッガー中は動けないし被ダメも一気に跳ね上がる。

 

 それを見越していた敵機ーーー56BANKIーーーは流れるような動作で右手のハンドグレネードをパージ。

 

 ーーーハイパーパンチタイムやで☆

 

 徒手空拳。

 ルビコン神拳やルビコニアンカラテとも言われるパンチング・スタイリッシュ←(???)コンボである。

 

 AC6のパンチ攻撃は、本来武器を撃ち尽くした後の救済処置的な最終兵器。だがしかし、パンチには敵のスタッガー硬直を延長させる効果がある。

 

 殴られる→動けない→殴られる→動けない。

 

 パンチゲージのオーバーヒートまでの3連続パンチ。その後にABからのキック(これもスタッガーを延長させる)トドメのハンドグレネード。ただコレだけのコンボでゴローの愛機はボロ雑巾にされてしまった。

 

 ーーーアセンブルが………なんてぇ??

 ーーーパンチに負ける幼女

 ーーーあ゛ぁぁぁぁオレもゴローを殴りたい…!

 ーーーコレは相手が悪いよ…

 ーーーブレキャン界隈パンチコア

 ーーーガチの人かぁ…

 ーーー流石に引く

 ーーーリョナ勢歓喜でクサ

 ーーーアセンとか関係なかったんや!

 

 何も出来ない。

 させてもらえない。

 しかし、Sでも何でも本気で挑んで来いと宣言したのは自分自身…ぐぬぬぬぬ、(もだえ)ながらやけ酒を煽る事しか、ゴローには出来なかった。

 

 確かにACはアセンゲーである。

 

 しかし、知識と技術でその壁を越える。

 これもまたAC6のあり方。

 

 ーーーけど、良いよな…

 ーーー俺もヤりたい!!

 

 この日を堺にゴロー配信時のUnranked帯にはストーリーモード序盤に出現するACの完コピ機体が溢れるようになった。

 

 低い性能、チグハグな武装。

 

 それを持ち前の知識と技術で補う。

 レイヴン達の情熱がTS幼女おじさんに襲いかかるのであった。

 

*1
BASHO=芭蕉と呼ばれる外装シリーズ

*2
バトオペで言うスラスターゲージ

*3
バトオペと違いAC6はボタン1つでロックオン出来るが、手動照準で撃つ事も可能。利点としては今回のように予測した敵の軌道上に弾を置く事が可能となったり、他にも色々な悪さが出来る。素人には扱いが難しい

水星の魔女のコスプレ、誰を選ぶ?

  • 赤いたぬき・スレッタ!
  • 白いきつね・ミオリネ!
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