酔うじょオペレーション   作:マキシマムとと

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対戦ありがとう御座いました!

 

 「うへ……うへへ………♡」

 

 

 頭の悪い笑顔でスマホの動画を眺める幼女。

 口から垂れたヨダレを手の甲で拭う。

 

 今はOFF。

 ヨレヨレになったお気に入り白シャツに赤い短パン。人をダメにする黄色いソファーに寝転がり、ゴローはとある配信者のライブ映像を眺めていた。

 

 『くっ…間に合えぇぇぇ!!』

 

 敵のスタッガーに合わせた必殺の一撃。

 しかしその攻撃はPAにより阻害され、反撃のwパルスガンの奔流の前にあえなく撃破される演者の機体。

 

 「うへぁ〜〜〜♡」

 

 目がヤバいゴロー。

 このライブ映像は過去の記録を再生している。

 具体的には、ほんの20分前の記録を。

 

 『今度こそ届けてみせる!』

 

 気合いの入った掛け声から第二ラウンドが始まる。

 演者は開幕の挨拶にパイルで花火を上げ、それに呼応した敵機がパスルガンを空に放つ。

 

 『ゴローさん! 胸をお借りします!!』

 

 

 ───ゴロオジは胸ぺたんこやで

 ───タックン、ロリはあかんよ

 

 

 リスナーの声に演者が笑いながらロリを否定。

 そのやり取りがまた嬉しい。

 この男性YouTuberさんはそれほど知名度は無いらしい。アセンも腕前もそれなりで、それを誤魔化す3Dのガワも透き通るような独特な声も無い。そうなれば当然、視聴者の数は多くならない。

 

 ゴローも今日まで知らなかった配信者だ。

 自分の配信を終え、ホンの息抜きのつもりで眺めたYouTube。お気に入り動画の更新が無かった為、暇つぶしにAC6で検索し、その中のライブをいくつか流し見していた中に見覚えのあるエンブレムを発見して。

 

 (あれ? コレってライブなんよね? なら20分前におっちゃん、この人と対戦したよな??)

 

 吸い込まれるように視聴開始した。

 その一戦が目の前にある動画なのだ。

 

 『く…上手い!?』

 

 ───地形戦は基礎が出るからな

 ───タックン遊ばれてるわよ

 

 「うひょ〜〜〜!」

 

 2ラウンド目は卑怯呼ばわりされても仕方ない戦法を使ったのだが、この箱の人達は素直にゴローを褒めてくれた。

 正直、この回のウォッチポイントの橋を利用した地形戦は自画自賛出来る程度には上手く立ち回れた自信があった。

 

 しかし、まさか見知らぬ他人様からこの様に評価されるとは思ってもみなかったし、その賞賛がまさかここまで心地良いとは知らなかった。

 

 「脳汁でとけりゅぅ〜」 

 

 うへうへである。

 

 『届け!!』

 

 ズダン!

 チャージしたライフル(ハリスCS)がゴローの新機体『S(スピード).P(パワー).D(デブ)』に着弾。

 

 『行け───ッ!?』

 

 コンマ1秒にも満たない武器切り替えの遅延がパイルバンカー(男のロマン兵器)の発動を鈍らせ、ゴロー機のPAに阻まれる。

 

 ───撮れ高やで

 ───ドンマイやタックン

 

 結果はゴローの圧勝。

 しかし、この勝敗がスレスレの所で推移していた事を知っているのはゴローのみ。

 

 『対ありでした〜…っても、ゴローさんはこんなトコ来ないでしょうけど。いやー楽しかったな!』

 

 爽やかな青年の声に好感度が爆上がり。

 最近の若い者も捨てたもんじゃないな!

 上から目線で偉ぶりながら、どうしたってアホなニヤケ面は無くならない。

 

 「来てるんよな〜コレが」

 

 だらしなく口元を歪めたまま、そのノリと勢いでコメントを書き込む。

 

 『対戦、ありがとう御座いました』───と。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 「なんだコレ………ウマぃぞ!?」

 

 観戦後の余韻を楽しみたい。

 そう考えていたゴローが目を見開いた。

 幼女の小さな両手の間には、白地に着物姿の女性が描かれた350m缶が冷気を放出しながら甘酸っぱい香りを漂わせていた。

 

 「嘘だろ、マジかよご当地…」

 

 スミレには友達…幼馴染と言っても良いくらいに長い付き合いの友人(2歳年上)が居る。これまでもちょくちょく、PVの音源を担当してくれたり、カトルコスの時に使用したラッパを貸し出したりしてくれた子で、ゴロー自身ともTS前には顔をつきあわせて二言三言は話した事もある娘さんだ。

 

 その子は恋多き人生を生きて、失恋する度に旅に出るのが習慣になっているらしい。

 

 今回は九州…四国だったか?

 

 南西へ旅立って、そこでいつものようにお土産を購入して律儀にも友達の親(TS幼女)にまでプレゼントしてくれた…いやしかし、それにしても。

 

 「ぶんたん…すげーなオイ」

 

 ぶんたんちゅーはい。

 

 崩した文字で書かれた缶を睨む。

 これまでにも似たようなチュウハイをプレゼントされた事はある。東北のリンゴ、サクランボ、キウイやマンゴー。温州みかんや甘夏、桃にブドウに梨にパイナップルなどなど。

 (何回旅立つのかと…)

 

 チュウハイ好きの彼女には悪いが、そのどれもが悪くはないが良いとは言えない味だった。

 ご当地の産業振興目的で雑に作られた…そんな風に感じられてしまう程度の味に思えてならなかった。

 

 しかし、この『ぶんたんちゅーはい』なるお飲物は格が違う。たぶん、過程は上の産業振興目的と変わりはしない気がする。しかし組み合わせの美と言うべきか、チューハイ特有の後味の不味さが文旦特有の後味の苦味と絶妙なタップダンスを踊っており、飲み始めから飲み終えた後の余韻まで、実に心地良い飲みごたえと爽やかさを醸し出しているのだ…!!

 

 「美味い…これ、良いなぁ〜」

 

 どうせ美味くはないだろうが、先程の動画の余韻があれば楽しく飲める…そう判断した上での予想外の美味しさに気分はさらにフッハする。

 

 誰かに飲ませてあげたくなる味だと思った。

 サヲリはまたも出張中。

 スミレはまだ法律的には飲酒不可。

 そうした理屈が組み立てられるよりも先に、ゴローの脳裏には黒いぐるぐる渦巻きの姿が浮かんでいて。

 

 「………ん〜〜〜〜〜」

 

 前から頭の中で考えていた計画がある。

 ただ、切り出す事に躊躇していて。

 異常なほどACに熱中していたのはそれからの逃避もあったのかも知れない。

 

 けど今…飲ませてあげたいと、心から思った。

 どんな反応をするだろう。

 喜ぶだろうか、驚くだろうか………。

 そう、思ってしまったから。

 

 「よし!」

 

 ジュースのように爽やかで、アルコールらしい苦味があって、その癖まったくクセが無い。

 そんな素適なお飲物を一気に飲み干し、ゴローはポポちゃんワードサーキットのある部屋へと向かったのであった。

 

AC6のコスプレ、誰を選ぶ?

  • 幼女概念C4-621
  • 幼女概念リトル・ツィイー
  • 幼女概念シンダー・カーラ
  • 幼児概念ハンドラー・ウォルター
  • 幼児概念V.Ⅳラスティ
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