それはゴローがTS幼女となる前の思い出。
ゴローの地元にインドカレー専門店『オイシーナ』と言う飲食店が開店した。
最初は興味本位の冷やかし程度。
しかし、その店のカレーは『オイシーナ』の看板に違わぬ物だった。
前菜にはサラダとスープ。
サラダには赤とピリリとした辛味が特徴的なドレッシングがかかっている。この謎ドレッシングが程よく冷やされてシャキシャキとした野菜本来のうま味を際立たせ。日替わりで味が変化し、しかし毎回ハズレることの無いスープがこれから大本命のインドカレー様をお迎えする口腔と内蔵をじんわりと温めて準備を促す。
ナンの焼ける音と食器が奏でる高音。
店内に居るお客さんの楽しげな雰囲気。
インドカレーの香り。
調理中のネパール人シェフの会話。
それらが空腹の隙間に入り込み、否が応でも注文した料理への期待をグッとググっと押し上げる。
そしてお出まし。
メインディッシュとなる甘みのある巨大なナンとスパイシーなカレーの質実剛健なる
ナンだけでもウマい。
湯気立つナンの、涙型の一番細い部分に齧り付く。ナン本来の素朴な味わいがしかし、ただそれだけで祝福されたような多幸感を届けてくれる。
出来たてサクサク中身がふわふわ、舌が火傷する寸前の甘すぎない自然な甘さ。そこへカレーだ。
日本で育まれたカレーとまるでベクトルの異なるナンの為のカレー。ナンと共に食される中で進化し、深化し、神化したインドカレーの香草の香りとトゲのある辛味、そしてその根柢にある揺るぎなき旨味!!
ナンが
カレーが
ナンカレーがくっそ
最高のお食事体験に、ナンを口に運ぶ手が止まらない。そして最後には、それらをまろやかに包み込むラッシーがその頃のゴローを完全に魅了していた。
予想を越えた味に驚いた顔のサヲリ。
ブー垂れながらもナンを食べる手を止めないスミレ。
ただニコニコと幸せそうな…ウサさん。
───TS幼女化してからは一度も行っていない。
───行ける、訳がない。
それでも食べたい。
あの味をもう一度。
そうは思うものの、娘に苦労をかけてまでワガママを通したくはない。
そうした事情で禁ナン生活を送っていたゴローだが。
「───お家でナン〜〜〜〜!!」
テッテレー☆
いつもの効果音を口ずさみ、ゴローがジップロックに移し替えたナンのモトを取り出した。
「なんかスゲー簡単にナンが作れるらしいんよ! ナンだけに!!」
今日はコスプレ回なのだが、ナンを自作出来ると知ったゴローには関係ない。
自身のコスプレ姿には触れもせず、浮かれた様子でナン自作動画配信を開始した。
───マジで言葉が耳に入らん
───かわいいしかない
───ゴロタスウキウキでクサw
───ナンだけに
───ナンだけに
───いやナンとかどーでも良いからもっとポージングをだなぁ
───ゴロチュー*1で良かった
───ドゥにフォーかけるとかwww
───オヤジギャグが泣ける
───なんかエロい…エロクない??
───ここまで来たらメイクしろぉ
───なんか〜とナンをかけたわけですね?
───肩がエッチですねドゥフフ♡
───元気なドゥちゃん♡
───ナンだけにw
───俺もインドカレー好きやで
───スゲー嬉しそ
───はー…………♡
───この笑顔だけで生きていけるんやで
「まずは、ナンのモトと水とオリーブオイルを混ぜて、ゴムヘラは面倒くせぇっつーか。ほら最近マイクロプラスチックとかって言葉が流行ってるじゃろ? ちーっちゃいプラスチックの粒子が脳に蓄積するとか言う奴が怖ぇんだわ。だもんでビニール手袋とかも嫌なんよね。昔はハンバーガー屋さんも素手だったのにさー? 気付いたらこの世はプラスチックまみれですよ…と。あー誰か10分測ってくれん? 本当は5分らしいけど、おっちゃんコレやもんでな?」
───お料理ドゥ♡
───お手手ちっちゃいもんね
───え、怖…
───脳みそはおっちゃんやもんな
───どこにでもプラ入ってるんやで?
───無印のナンか
───幼女のお料理って良いよね
───ゴローの素手なら金払ってでも舐める!!
───さっそく服汚れてる〜!
───楽しそうでオジサンも嬉しいドン
素手でネチャネチャと生地をこねる。
幼女の筋力の弱さを改めて実感しながら、リスナーと一緒に料理を楽しむ。
「ん〜キッツい。体重も軽いから力入んねーw」
───ガンバレ
───ボクのもこねて欲しいっピ♡
───こねこね幼女
───クックルンかな?
───ドゥが料理とか…
───なんか泣ける…泣けない?
「ドゥさんホントすげーよなぁ…この配信のアンケートでトップなんやで? キミらどんだけ脳を焼かれてんだよ」
生き様だろうか、キャラクターだろうか、デザインだろうか…作中の服だって地味だと思うのに、何故かやたらと票が集まるこの不思議。
「あ〜マチュも惜しい所まで行ってんだよね。あともうちょい票が集まったらコスプレするかも? そん時はニャアンもセットにしてやりてぇな〜って妄想してる。ニャアンちゃんスロースターターだったから、この配信では脇役扱いしちゃってたし」
───セーラームーンパロディか
───その説はお世話になりました
───シイコさんを再び!!
───PVですか!?
───とりあえずパンチラしてくれれば良いよ
わちゃわちゃと流れるコメントと戯れながら生地をこねる。そして。
「おっし! タイマー係ありがと♡」
ちょっとしたファンサービスを挟みつつ料理を続けたのたが………その結果として、出来上がったナンは正直、
外も中ももっちりしていて境目が無く、ふわふわした空洞の部分が無いためカレーがまったく絡まない。
味は悪くないと思うのだが、やはり均一な食感が食の楽しみを感じさせない。
少し悲しい。
いや、かなりガッカリした。
───もっと手間暇かけたら変わるぞ
───お店と比べなきゃぜんぜんウマいけどな?
───ガッカリ顔の幼女で…イクイクゥ!!
「まーカレーもナン用じゃなかったしな」
あの美しい思い出の味。それがハードルを上げていたのかな…と思うゴロー。
ただまぁ…しかし。
「お店の味が再現出来んかったんは残念じゃけど、今回はホント〜にガチで簡略レシピで作ったーだけやしな。また今度機会があったら本格ナン作りにチャレンジしてみるぜ」
したらな〜(。˃ ᵕ ˂ )ノ))
(一応は)プロとして最低限の格好をつけ、その日の配信は終わりにした。
インドカレー。
その奥深さに恋しさが募る夜であった。
AC6のコスプレ、誰を選ぶ?
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幼女概念C4-621
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幼女概念リトル・ツィイー
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幼女概念シンダー・カーラ
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幼児概念ハンドラー・ウォルター
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幼児概念V.Ⅳラスティ