引き機体で勝つ。
その為に
上手なミサイル回避をその項目に充てるべきである…と、あえて断言しておく。
ACは機体を自分でカスタマイズ出来る。これこそが初代から続くこのゲームの根幹であり魅了の一つ。
重い機体ならミサイルは避けづらく、軽い機体なら避けやすくなる。
しかし同じ軽いでも巡航速度が350と375ではミサイルを避ける為に必要な操作が変わる。
自機の速度・特性を踏まえ、その上で可能な限りENの消費を低減しつつ、敵との距離を維持しながら無被弾でミサイルを避け続ける事。
これが引き機体で勝利するための最低条件。
無駄にQBを踏んでENを浪費する引きは弱いし、EN管理が優秀な引きはキモい。
これはAC6と言うゲームの真理のひとつ。
「うっしゃ引き権ゲットぉぉぉぉ!!」
───汚え幼女だぜ( ゚д゚)、ペッ
───勝ったなガハハ
───ミサ避けだけは上手いゴロオジ
───昨日は顔面キャッチしてたのに…??
───Aの下手くそ相手ならこんなもんやろ
───上手い
───汚い
───今日はアタマの調子良さそう
───A帯でなら上澄みの回避力(振れ幅)
───これこそACやで
特に特定の対戦───引き機体 Vs 引き機体───ではミサイル回避能力の高低がゲームの勝敗に直結してくる。
ミサイラーであればミサイルが当たるタイミングやミサイルを当てるための位置取りにより敵を追い込む動きをしてくるのだが、基本的にライフルを装備の軽量2脚等の機体にミサイルを当てる動きなどはない*1。
あるのは敵のミサイルを如何にして避けるかと言う思考のみ。自分のミスを無くし、敵のミスを待つ。
試合開始後の30秒から60秒程度は忍耐の時間であり、その間にミサイルに被弾した側はケツを見せて逃げたりビルの影に隠れたりするド汚い強者ムーブを行う権利を喪失する*2。
敵から逃げながら、向かってくる敵を一方的に殴る事で勝機を見出す引き機体には、当然ながら凸するための能力が不足している。その不足しているアセンで、完全優位な引き機体を追いかけなくてはならないのだ。順当に行けば凸側に勝機は無い。
「パルスはZ軸の角度がある程度ある方が当たる気がするんよな〜っと!!」
豆腐のような形の建物に隠れて敵を待つゴロー。
勝つために仕方なく豆腐ビルの上を飛行してゴローに詰め寄る敵機。それが画面に入るより早くFCSの軌道予測射撃を利用してその進行方向に弾を置く。
───ジュワワ!
───パルスってこのSEが良いんよな
───ティンカスぅぅぅぅ!
───直撃やんけ
───これだから紙装甲は駄目なんだわ
まとまった数のパルス弾が敵の装甲を溶かし、それを確認する間もなくゴローの愛機がQBを駆使して豆腐ビルの側面に沿って逃げ惑う。
───逃げるな卑怯者〜!!
───勝者の特権
───地形戦もそこそこ上手くなったな
───ちゃんと射線キレてて偉いぞ☆
カスのようなダメージから試合が動き、優位と劣位が切り分けられる。
当然優位側にもミスはある…が、ミサイル回避の可否により既に中身性能の格付けも終わっている。
ここからゴローが巻き返される可能性は低かった。
◆
「───でな!? そこまでは良かったんよ!!」
ドン!!
テーブルを揺らして、ゴローの手にしていた無骨なジョッキが打撃音を響かせる。
「ミ、ミティタヨ! ゴロタス、スゴク、ヨカタ。ジョーズニ、ヨケテタ!」
ふんふん!
と鼻息も荒く、ぶんたんちゅ〜はい片手に太鼓を持つのはいつもの彼女。
黒いグルグル渦巻で素顔を隠した素敵な子。
「あんがとなーポポちゃん…てか、ホントそれ似合ってんな」
笑顔で見つめるゴロー。
そんな視線の先にあるポポちゃんの服装は、つい先日のゴローをオマージュした物だった。
「ゴ、ゴロタス、ノガ、カワイ…ヨ!」
つまり、フォー・ムラサメのコスプレ服。
黒いタンクトップにストッキング、その上に紫のフワッとした布をかぶった未来ファッションだが、思いの外ポポちゃんにマッチしているように、ゴローは感じた。
なんと言うか…エロスが香る
細いのにムチムチなポポちゃんのボディをタイツが締め上げ、その上から羽織った紫色の天女の衣がチラ見えを微妙に阻害しており、結果として見えそうで見えないの極地を体現していた。
正直…ソワソワする。
妻でも無い、本当の名前も顔も知らない。
この関係を友達だとするならば、それはそれで失礼な感情を向けている事になる。
もぅ…凄くムラムラする。
飢えた野良犬のようにイライラが募る。
肌に触れたいとか、顔を見たいとか、もっともっと君を知りたいとか。そんな気持ちが煮え立つ湯の気泡のように腹の奥から湧き上がる。
なので、ゴローは酒を飲んだ。
ひたすら飲む。
魔王も赤兎馬も黒馬も霧島も…兎に角、目についた酒をジャプジャプとジョッキに注ぎ、なるべくポポちゃんへ抱いてしまった煩悩を意識しないようにしながら過去の戦闘を振り返る。
「あの後が! クソがだったんよな!!」
引き機体対決を制したゴローの前に立ち塞がったのは、俗に言うパチンコ機体*3だった。
44-142 KRSV───カラサワ、カラサヴァ等と呼ばれる超重量な腕武器。人によっては5,000でも重いと感じる武器種の中で、カラサワの重量は文字通りの桁違い、10,120である。
持つだけで機体の運用方法が限られる呪いの武器は、しかし。重苦しい機体負荷、限られた戦法、長いチャージ時間を悪魔へと捧げる事で、対策を持たない機体をワンコンボでブチ56してしまえる、狂気のパチンコドーパミンジャブジャブ機体へと変貌するのだ。
カラサワチャージ→ABで距離を50前後まで接近→ブッパ→敵機スタッガー→追撃のブレードぶんぶん→勝利!!
(カラサワに限った話ではないが)カラサワのCSにはアホのように巨大な命中判定があるためQBでの回避はほぼ不可能。カラサワを避けるためにリソースを残そうとすれば他の武器で追い立てられ、他の武器に対応しようとすれば致命的なまでにカラサワが刺さる。
当然、ゴローは為す術も無く撃沈した。
その後も狂ったようなブレキャン連打によるストーキング辻斬りブレーダーに襲われたり、ミサイル回避の後隙をしゃぶり尽くすAB突撃型のマッスル両肩拡散レーザー機体、ラグにより命中判定を異次元まで引き上げた車椅子バズーカ野郎などなどに翻弄され、気付けば怒涛の13連敗に達していた。
「アイツラに、勝ちてぃ!!」
ペース配分を間違えたお酒が、ゴローの脳と舌を狂わせる。
「カテル! ゴロタス、ナラ、カテルョ!」
へろへろになったゴローの愛らしさが、ポポちゃんの理性を打ち崩す。
「うへへへへ…♡ 勝てるかな〜?」
13連敗もした負け犬野郎を、心の底から全肯定してくる魔性のポポちゃん。
彼女の熱意にゴローの頬が否応なく緩んだ。
「機体は…なるべきゅ、同じで……」
「ダイジョウブ!」
「ダイジョウブなんけー?」
「ダイジョウブ、ダヨ! チョト、レンシュ、スレバ、ゴロタスナラ、カテル!!」
「れんしゅ…練習………また、ほしゅー授業か」
ぼんやりとゴローの意識が沈む。
「よーこちゃん…いつも、ありがと」
ようこ。
4個ちゃん先生。
どんな字を書くのだろう。
洋子か陽子か…それとも、もっと珍しい漢字の組み合わせだろうか。
君を知りたい。
ゴローはただ。
それだけを願っていた。
AC6のコスプレ、誰を選ぶ?
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