酔うじょオペレーション   作:マキシマムとと

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マネキンおばさんで行くTS幼女おじさん

 

 ゴローの住処はかなり広い。

 動画が撮影を行っているゲーム部屋の他にもキッチンや寝室、浴槽という一般的な生活空間だけ見てもかなり広めに設計されており、それ以外にも複数の部屋がある。

 

 リビング風の部屋であったり、衣装部屋であったり。

 今回はその中の一室。ゴローが『出撃準備室』と呼んでいる隠し部屋の中でのお話だ。

 

 ここは指紋、声紋、虹彩認証によって開かれるゴロー専用の空間。

 そこに2つの人影があった。

 

 「申し訳ございませんでした!」

 

 一人は黒服。

 スーツの上からでもわかるとぼガッシリした体格を持つ大柄な女性。

 ALSOK(警備会社)が企業CMに使いたくなりそうな力強さを見せる屈強な大和撫子。

 軍隊経験でもあるのか、謝罪の角度は定規で測ったような直角の90℃。

 

 「『やめて………あ〜っと? 偽装声帯解除………』あーあー…よし。だからさ、やめてくれっていってるじゃろ? そんな堅苦しいのは嫌なんよね〜」

 

 対するのはゴロー…の肉声を発する大柄なおば様。

 かなりふくよかな体系で、それを誤魔化すようにして高級感のあるゆったりとした衣服を身に纏う。

 こちらもまた見るからに高そうな車椅子に座り、アルカイックスマイルで穏やかな雰囲気を漂わせている。

 

 「しかし、今回の件はーーー」

 

 言い募ろうとした大和撫子を片手で制し、おば様が耳の後ろに手を当てた。

 

 「【あいことば】【ひらけごま】」

 

 ーーー姿勢・声紋・座標。

 ーーー全条件・クリア。

 ーーーフェイス・オープン。

 

 表情を消したおば様の顔が正中線から2つに割れる。

 その中から一回り小さな幼女の頭部。何を隠そう我らがTS幼女おじさんこと、ゴローが顔を覗かせた。

 

 「は〜、やっぱ壊れてないじゃん。良かったー」

 

 ーーー外装解放。

 ーーーオ疲レ様デシタ。

 

 着ぐるみの締め付けから解き放たれて、ゴローがひとまず背を伸ばすと身軽におば様人形から身体を引き抜いた。

 身に付けているのは女児用の野暮ったいパンツと袖なしのシャツだけ。

 薄っすらと汗ばみ赤らんだ肌をパタパタと手で仰いだ。

 

 「やっぱしなんかアレ? ハッキングとかされてたんかね?」

 

 「はい、いいえ。それはまだ解析中です。つきましてはゴロー様からも今回の件に関する所感を頂戴致したく…」

 

 失態と屈辱から顔を赤らめて汗を滲ませる女ーーー毛利サヲリーーーを(相変わらずカタブツやな〜)と親目線で眺めつつ、ゴローは今回の騒動を思い返した。

 

 

 ◇

 

 

 その日は定例の通院日であった。

 定期的に検査を受け新型TS細胞の研究に貢献する事はゴローに課せられた義務であり責務。

 拒否権など無い。

 

 TSから覚醒した当初。

 ゴローの精神状態は極めて劣悪であった。

 

 特に対人への恐怖感は自傷行為へのトリガーとして固定されており、ゴローの外出は困難を極めた。

 病院と私生活を分ける事で精神状態の回復が見込めるという診断の結果病院側へ拘束する事もできず、しかし貴重なサンプルの経過観察すら出来なければ国としての損失となる。

 

 そうした研究側の事情、そしてサンプルを確実に護衛する警護側の事情を解決したのが先の特殊外装【Master Never Keeping(マネキン) O8−3】通称マネキンおばさん、である。

 

 TS幼児化したゴローの精神的な重圧と苦痛を別人になる事で誤魔化し、重圧な特殊外装は狙撃や誘拐からゴローの命を守り切る。

 GPSも搭載し、特殊な条件を満たさない限り脱着すら不可能な鎧にして監獄。

 世界の最新技術の粋を結集したおばさんの着ぐるみは人類の夢、不老不死へいたる肉の架け橋だ。

 

 だから安心。

 という油断があった訳ではない。

 

 サヲリを筆頭としたTS幼化人類警護隊は考えうる限りの防護策を講じ、常に更新し続けていた。

 ゴローの動画に対しては発信源の特定を防ぐために専門の技術者を国内外から引き入れ、外出時には事前のルート確認や交通整備を前提として、マネキンおばさんのフェイスカバー交換や警備員の変装も怠らない。

 何かしらの異変を感知すれば速やかに拠点を変更する。

 

 彼女達はあらゆる手段を講じて『ゴロー』の存在を隠蔽していた。

 

 今回の通院にも不備は無かった。

 ただ、それは天災のように唐突だっただけで。

 

 ゴローにも、今回直近の護衛役を務めたサヲリにもマンションを出るまでの記憶はある。

 たが一瞬の目眩を感じた後、ふと意識を取り戻したゴローは無機質で小ぢんまりしたホテルらしき一室に居た。

 まるでスタンド現象である。

 

 『結果』だけだ!!この世には『結果』だけが残る!!

 

 有名なあの人の台詞が脳の中での再生されたのだが、その混乱に追い打ちをかける声がゴローを襲った。

 

 

 

 ーーーShow your face?

 

 

 

 それは黒い影だった。

 ゴローが男性を所持していたのなら、反応せざるを得ない圧倒的な肉体美を黒い全身タイツで強調した変態。

 香料とは違う肉々しくも異性を強烈に惹き付ける甘い香りを振り撒くエロすぎる怪異。

 

 それが、堂々とした立ち姿でゴローへ迫る。

 

 「『ショー油?? いや何が醤油…つか誰……んへ? てかここ何処!?』」

 

 驚くマネキンおばさんに構うことなく、眼前にいながらにして顔の見えない影女がおばさんの片手を握り、耳の後ろを触るような位置で固定した。

 

 「『は? ちょ…うそ?? なん………君ちょっと力強すぎでは!?』」

 

 特殊外装であるマネキンおばさんの両腕は強力なモーターで稼働するマニピュレーターであり、ゴローの意思に反して外部から物理的に操作する事は出来ない。相手が通常の人間であれば。

 

 ーーー【あいことば】【ひらけごま】

 

 黒い影の口から、ゴローの肉声が響いた。

 

 理解の追いつかない現象と現実。

 本来であれば『姿勢』『声紋』『座標』の3項目を満たさなければ解かれる筈のない外装の封印が魔法のように解かれる。

 

 「あわ…わ、嘘…オワタ………?」

 

 周波数のズレたラジオのようなノイズを混ぜながら、特殊外装のAIが『オツカレサマデシタ』とゴローを労い、マネキンおばさんの顔を解放、しかる後本体外装の拘束を解除した。

 

 ヤバい。

 本当に久々に生命の危機を感じるゴロー。

 その脳裏に3つの暗い未来が浮かんだ。

 

 

 バットエンド① 殺される。

 

 この確率はかなり低いだろう。

 新型TS細胞根絶を主張する脳ミソファンキーな新興宗教団体があるらしいが、流石に母数が少なすぎる。

 無い………よね??

 

 バットエンド② 誘拐される

 

 これはあり得る。

 某C国ではTS細胞の研究がお盛んらしく、軍の秘密研究所には非人道的な研究所施設があり日夜そこでは人権を無視したTS細胞の研究が行われている…と、まことしやかに囁かれている。

 (月刊のムーに書いていた)

 

 バットエンド③ 犯される

 

 あり得ない。

 そもそもゴローの今の性別は女性だし、目の前の影女も女性だ。あり得る筈がない。

 …ないのだが、なんか、異様に………コイツ、発情してね?? なんか匂いがアレだし、なんか………ハァハァ言ってるんだが。

 

 ははは、コ ワ イ ゾ ☆

 

 

 正体も目的も不明な変態女と2人きり。

 ゴローの細くて脆い精神が焼き切れる直前、女がたどたどしく口を開いた。

 

 ーーートゥ

 

 「な…なんだょ」

 

 ーーートゥンク

 

 「……………ぱ??」

 

 トゥンク? トゥンクって…。

 

 ーーーワティシ、シランカテン(わたくし、知りませんでしたの)トゥンク(トゥンク)ゼンシュヲ、ミタヨ(ゴロー様が絶賛された全修と言うアニメ作品を、わたくしも視聴させて頂きました)ワティシ、シタヨ(わたくし、知りましたの)トゥンク(トゥンク)my first loveゴロー(こんな気持ちは初めて)チュキ(I LOVE YOU!!)もートティモトティモ!(もう堪えきれないほどに)チュキ!!(大チュキ!!)oh my angelゴローゥゥゥゥゥ!!(わたくしの可愛い至宝の天使様!!)チュキィィィィィィ!!(愛しておりますわァァァァァァァ!!!!!)

 

 女は…………ガチだった。

 ゴローガチ勢の上澄み。

 やべー奴だった。

 

 スパイか、超能力者か、はたまた宇宙人か。

 

 その気迫と部屋を爆発させるような声量に気圧されて放心するゴローなのだが、相手はもう完全に一方通行の暴走特急だ。

 

 ーーーoh shit!!

 

 突如、前屈みになってゴローへ背を向ける女。

 興奮が肉体の制御を振り切った結果、暴走した血液が鼻から体外へと噴出したのだ…!

 天使の前でなんたる失態!!

 

 ーーーゴロタス、オウィエン、シテル、バトヲペドゥギー(ゴロー様、バトオペの動画いつもいつでもいつまでも応援しております)

 

 精一杯の気持ちを伝え、女は懐から取り出した煙玉を床に投げた。

 

 「うぉ!?」

 

 噴火のような凄まじい勢いで紫煙が放出され、ゴローを救出に来た警護隊が到着する頃にはもう既に、女の姿は忽然と消失していた。

 

 どれだけ厳重に管理されたモルモットのような人生にも、こうしたハプニングが起こり得る。

 今ここにある命の尊さを改めて実感したゴローなのであった。

 





 バトオペのバの字も出てこねークソ小説ですまんかった。とりあえずガンダムって3回書いとく。

 ガンダム
 ガンダム
 ガンダム

 許して…チョンマゲー!
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