ーーー拡散バズとかどうよ?
リスナーからの一言が発端となった。
「拡散?? え〜っと………あ、これ? ハイパー・バズーカⅡ[散弾]威力100で射程距離が250mしかないのじゃが…? え、本気で? 地雷踏ませようとしてない?」
ーーー確かwikiにはヘイズル改との相性は良くないって書いてた気がする
ーーー産廃
ーーーゴロたす騙されんなよ
ーーー三億年前の劣化前なら使えた
ーーーゴミだよゴミ
ーーーsガンにもマシにもなれないザコ
ーーー威力100てマ?
ーーー散弾だから、正しくは100×15発だゾ
「ん〜てことは単純計算1発で1500ダメ? 距離やエイムの当て方次第でもっと減少する………蓄積よろけだから最低でも2発は当てなきゃよろけ取れないんだよね。いやコレ、ちょ〜っと貧弱なのでは??」
リスナーから寄せられるネガティブなコメントに難色を示したゴローだったのだが。
「発射間隔が1.3秒? 理論上は2.6秒に1回よろけを取れる? コレ………ガチで?」
「頭部に着弾した場合の補正値が2.5倍!? スゲぇ! バトオペにそんな隠し要素がーーーん……なに? ダメージじゃなくて局部補正? 局部補正ってなんじゃらホイ??」
「即よろけじゃないからFF…FF? あ、フレンドリーファイアね? それを気にせず撃てる…あ、そうなん? 蓄積よろけはFF対象外…あ、いや知ってたけどね!?」
ハムスターかくや!
と言った塩梅でナッツの端っこをカリカリしながらコメントに食らい付くゴロー。
ゴローなりに真剣に検討しているらしく、目がハムスターになっていた。
ーーーゴロタスはエイム練習の目に見える成果が欲しいんだろ? コレなら回転率もあるし命中判定も広いから多少のエイムミスはカバーしてくれる。集団行動時のFFにも気を使わずに済むんだし(ダメージソースとしては微妙過ぎるが)一度くらいは試してみても良んじゃね?
寄せられる情報の数々。
熟考するように目を閉じながら、いつもの缶のプルタブを押し開く。
「ンゴッゴッゴッゴッゴッゴッ…ぱはぁ〜!!」
考えるんじゃない。
飲むんだ。
飲め、飲むんだゴロー!!
「モノは試し…いっちょヤってやりますか!」
◆
出撃したのは補給基地のコスト500。
「ちょっと遠い………なら!」
コンテナの影に隠れながら戦線の端に孤立した敵機へと忍び寄る。
「ーーーソコ!」
こちらの存在に気付き、咄嗟に後方へとスラスターを吹かす敵機、その足先に散弾が数発ヒットする。
ーーー当てた!
ーーーゴロオジが!
ーーー見たか野郎ども!
ーーーうぉーー!!
ーーー物陰から移動しながらエイムを合わせる…練習の成果が出てて偉い…えらいぞゴロたす!!
所詮は散弾のカス当たり。
だが被弾は被弾であり、その苛立ちを隠すこともなく敵機ーーーナラティブガンダムーーーが反撃へ転じる。
副兵装[ナラティブガンダム用B・ライフル]がゴローのヘイズル改の真横をすり抜け。
「迂闊なッ!!」
逆にゴローの一撃が敵の胴体に直撃した。
「もう一撃…」
流石に2発目は物陰に隠れられ、よろけこそ取ることは出来無かった。
しかし、運ではなく自力で。
積み重ねた練習の成果で敵にダメージを与えたと言う自負がゴローの精神を奮い立たせる。
3dozen.sergeant【援護を頼む!!】
味方からの簡易チャット。
レーダーの端。高台にいる味方とその間近に迫る敵機の表示を確認し、状況を理解する。
「支援機を守るのも、汎用機のお仕事ですよっ!」
ヘイズル改の素晴らしいスラスターが光り、ビルに登ろうとしていた敵機を背後から押しとどめる。
「撃つべし、撃つべしッ!!」
今回は格闘を使わない。
近距離では頭が白くなり、トリガーとスラスターを間違える可能性がまだ高いこと。
ヘイズル改のサーベル判定の微妙な狭さ。
純粋にエイムちからでの勝利を望む欲。
ゴローの利己的な行動指針はしかし、今回に限っては上手く作用した。
3dozen.sergeant【ありがとう!】
5656TS4jowoji3【ナイス!】
本来なら【気にするな!】や【任せろ!】と返したい所なのだが、細かな気配りが出来るほどゴローの能力は高くない。
簡易チャットを返すためにはいつも使うコメントですら選択肢に集中して2秒は欲しいのだから。
精一杯の返事を返し、味方と協力して蜂の巣にした敵機の真横をすり抜ける。
数分後。
「チィ…味方が」
前線を蹴散らされ、完全に孤立したゴロー。
敵陣の先頭に立つ強襲機が距離を詰めよとスラスターを吹かす。
「ーーー!!」
撃つ。
敵の脚部に命中。
撃つ。
敵の脚部に命中。
撃つ。
敵の胴体に命中。
よろけた強襲機。
その後方の敵はまだ射線を通せていない。
撃つ。
撃つ。
撃つ。
弾切れになるまで、カス当たりを含めて計6ヒット。
全弾命中を達成したゴロー。
敵機の耐久を7割近くは消し飛ばしたこの快挙!
しかし、欲張り過ぎでもある。
遅まきながらスラスターによる逃走を試みたゴローだが、流石に足を止めすぎた。
次の瞬間には敵の複数機から蓄積よろけを取られ、シールド内蔵のマニューバーアーマーを剥がされて敢え無く撃沈した。
何れ散る命。
ダメージを稼げただけ御の字か。
「これーーーヤれるのでは!?」
今回の総合順位は3位。
その後も7位9位8位とそれなりの戦績を記録した。
「つおい! つおいぞコリは!! うははははは! ウヒョヘロヘロヘロヘロ!!」
久々の連勝!
お酒が美味い!
「なんだよヲィ! 散弾つぇーじゃん! これぁ新時代の幕開けですな」
パカパカと缶を開ける。
その日は終始笑いが絶えなかった。
〜〜〜翌日〜〜〜
ーーーバトオペあるある
ーーー気にすんなってゴロたすぅ
ーーーだから産廃だって言ったろ?
ーーープロトΖの完全下位互換だしなー
ーーーそら無理よ
ーーー安定の連敗…ザコぉぉぉぉぉ!!
ーーー普通にバズーカ持てば?
ーーーあきらメロン
「なんなんだよぉ〜クソゲーがよぉぉぉぉぉお!」
ビギナーズラック…という言葉がある。
新機体や新兵器を扱う、その初日は勝てるのだ。
理由はわからん。
何故かは知らんがこのビギナーズラック、バトオペでは何故かやたらと頻発する(個人的な体感です)。
プロトΖガンダムの副兵装に止められ、ボッコボコに殴り捨てられ。
『産廃』の意味を身体で理解したゴローなのであった。