酔うじょオペレーション   作:マキシマムとと

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TS幼女おじさん、珍しくイケメン新機体に乗る…の巻

 

 「650とか絶対ムリらってバカがよぉ…」

 

 

 驚くほど顔色の悪いゴローが怪しい呂律で愚痴をこぼす。

 

 本日の出撃はなんと珍しくも650()コスト帯。

 戦場は北極基地。

 そして機体は2025年5月29日 14:00 ~抽選配給期間が開始されたばかりの新機体、フルアーマー陸戦型Ζガンダムだった。

 

 

 ◆

 

 

 時は遡り昨日の事となる。

 アメリカから帰還したのが真夜中。

 ポポちゃんが襲撃したのがその直後。

 

 「『コワガラス、キ、ナカテン、ゴメン、ゴロタス、ポポチャン、ウレシクティ、ウレシャクティ…』」

 

 微妙に余裕(悪意)の感じられる謝罪を受け入れ、二度とホラー演出はするなよと念を押した上で追い返したのだが、それで安心できる訳もなく。

 

 機械に詳しく、ゴローに詳しく、更にこの時間にTELしても問題がない人間…という消去法の結果、ゴローは毛利スミレを呼び出した。

 しかし一部界隈で天才とも天災とも呼ばれる彼女のスキルを持ってしてもマネキンおばさんや周囲の回線からポポちゃんの痕跡はおろか、盗聴器の1個すら発見される事はなく。

 

 その時点で深夜3時である。

 

 普通に怖かった事と、一連の事件によって完全に目が冴えていたゴローはアニメを見る事に決めた。

 全修の最終巻である第3巻が届いていており、今日までそれを楽しみに取っていたのもある。

 

 ホラーや超常現象が苦手なサヲリ、ホラーや超常現象が大好物なスミレの両名を誘い、3人でアニメに没頭した。

 パッケージや冊子の中身からしてテンションが上がっていたゴロー。ポポちゃんショックによる後押しもあり9話の時点から普段の飲酒ペースを大幅に上回る暴走を見せた。

 

 当初は止めようとしたサヲリはスミレに流され押し切られ、心に蓄積していたポポちゃんショックの影響もあってか次第に酒を胃に流し込むようになり、気付けば3人の記憶は飛び飛び。

 ゴローを真ん中にして肩を組んで全修のエンディングテーマを歌った記憶はあるし、BluRayを止めた記憶はない。オーディオコメンタリーを見ている途中で誰かがリモコンのボタンを誤爆して何故か機関車トーマスのアニメが流れ、何をどうやっても全修に戻れずにブチ切れた記憶があるからたぶん全話見終えた筈なのだが、ラストシーンを見た記憶はすっぽりと抜け落ちていた。

 

 それがざっと今から15時間前。

 空が白んだ頃にはゴローの胃袋は限界を迎え、ありったけの中身を便器へぶちまけた。

 死んだように眠り、目が覚めたらいつもの部屋で一人見慣れた天井を見上げていたのだが。

 

 

 

 「うあ゛〜〜〜……………」

 

 楽しかった。

 気分が悪い。

 死にたい。

 嬉しい。

 

 気持ちが定まらない。

 天井へ伸ばした指の小ささが気持ち悪い。

 二日酔いで破裂しそうな頭を抱え、とりあえず日常を取り戻すべく、ゴローはバトオペへ挑んだ。

 

 その日は抽選配給の更新日。

 70連ガチャのオマケとなるカスパはカテゴリ特攻プログラム[汎用]であり、こちらも新規追加のパーツである。

 

 それなりに少ないコストでHPを2000増加。更に強襲機へのダメージ増加効果もある。

 よし、と酒で脳死状態にあるゴローは無言でガチャを回したのだが。

 

 

 ーーーゴロオジ顔色白すぎw

 ーーー幼女の顔じゃねぇよ(((;"°;ω°;))

 ーーーなんでゲームしてるのコイツw

 ーーー何があったんや

 ーーーせっかく取ったんだからフル陸Z使おう!

 ーーー新機体に乗ってゴローがゴロゴロする所がみたいお!

 ーーーゴロタス生きて…!

 

 

 たまたま目に止まったフルアーマー陸戦型Ζガンダムの使用願い。軽く黙殺するつもりでレーティングマッチを選んだゴローだったが、運悪く出撃可能な戦場は550の宇宙から始まってどんどんレートが上がる高コスト帯オンリー。

 

 ここでやめるのも馬鹿らしいし流石にリスナーにも悪いから…と、仕方なく出撃したトラウマの高コスト帯。

 拡張スキルすら付けずに挑んだ試合だったが。

 

 「当たれ…!!」

 

 こちらに背を向けていた敵機へFA陸戦型ΖG用B・ライフルの一撃が珍しくも突き刺さる。

 

 「ーーー!」

 

 無意識に指が動き、副兵装の腕部グレネード・ランチャーを選択。切り替えの速さに助けられてか、敵の回避より早く弾丸が到達し、敵のよろけが再度継続した。

 

 「うごごごご…!」

 

 怪奇音を放ちながら再度武装チェンジ。

 動けない敵ーーープロトサイコガンダムーーーに肩部M・ランチャーx2[焼夷]が雪崩込んだ。

 

 

 

 そも、フルアーマー陸戦型Ζガンダムの武器構成はエイム弱者に優しい。

 中サイズのASLがある上にスラスター機動中に射撃可能。更には照準誘導効果を持ち弾速もそれなりと言う欲張りセットな肩部M・ランチャーx2[焼夷]を起点とし、その蓄積よろけに継続してグレやビーライを流し込める。

 武器の切り替え速度は遅くてビーライの0.77秒。

 

 同じよろけ継続の武器構成をしたザク・マシーナリーの場合、Z・M用ロケット・ランチャーからZ・M用シュツルム・ファウストへの切り替えが1秒。

 しかも弾速が死んでいるため距離が遠ければそもそも継続せず、近かったとしても「うごごごご…!」(武器切り替えボタンの配置を思い出すタイム)している暇はなく、ロケラン発射と同時に切り替えるくらいの早業が必要となる。

 当然ながら、スラスター機動中に撃てる武装などない。

 

 そう考えれば天と地の性能差。

 

 ザク・マシーナリーに鍛えられ、毎日嫌でも最低8分のエイム練習を行った、その成果か。

 トラウマでしかないコスト650の戦場にて見事勝利。

 総合順位は6位を記録した。

 

 ーーーおめ

 ーーー8888888888

 ーーーIフィールド開幕の1回以外忘れててクサ

 ーーー今日はエイム良かったよ!

 ーーーおめ

 ーーーおめ♡

 ーーー強運だね

 ーーー実力ついてきたんじゃね!?

 ーーーロンサー下格は要練習だぞ

 ーーーゴロタスえらがったお゛!!

 ーーーやれば出来るじゃん

 

 この一戦は小さな勝利。

 だが、ゴローにとっては大きな1歩となったのである。

 ……それはそれとして。

 

 「うぐぐ………は、吐ぐぅ……!!」

 

 寝不足と二日酔い、そこでフル稼働した脳が3Dに酔ったのだろう。ゴローは這うようにしてトイレへと駆け込んだ。

 

 ーーーうわ…

 ーーーキッツ(ご褒美有難う御座います!!)

 ーーークサw

 ーーー福音が聴こえる…

 ーーーひでぇなヲイww

 

 悲しみを背負って、戦えゴロー!

 明日も美味い酒を飲むために。

 

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