酔うじょオペレーション   作:マキシマムとと

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高コストについて語る悲しいオジサンの生態

 

 Q.F91使わないの?

 

 「使えません←これファイナルアンサーな」

 

 例の如く、今日もバトオペで遊ぶTS幼女オジサンはリスナーからの問い合わせに即答で返した。

 

 今回のコストも400帯。

 戦場は北極基地。

 いつものジムカスタムが雪原を駆けていた。

 

 「え〜っと? ゴロたんクンカ×2さん? くっさw ガワは確かにコレだけど中身オッサンだよ? 君の性癖が心配ぃぃぃぃぃよっしゃカウンター成立ぅ!!」

 

 敵のバズーカを浴びてよろけた僚機、そこへ襲い掛かった敵前衛の格闘攻撃にゴロー操るジムカスタムのタックルが突き刺さり、珍しく綺麗にカウンターが発動した。

 

 「初見なのか若いのか知らんけどさ〜、あんな高速戦闘におっちゃんみたいなおっちゃんがついて行けるわけねーんですわ」

 

 見事にカウンターを決めたまでは良かった。

 だが、周囲の状況にまで目を配る余裕がないゴローはダウンした敵に追撃の下格闘を選択。

 背後に迫っていた別の敵機に襲われて無様に沈黙した。

 

 「ほぎゃ……ほ、ほ〜れな!? レーダーでの現状把握すらマトモに出来ないんだぜ? 行くだけ無駄って五億年前からわかってんだよな〜」

 

 ダウンから復帰した味方からのフォローもあり、追撃は免れたゴローのジムカスタムだったが。

 

 冷静に指摘するなら、先程の盤面。

 最初にゴローがタックルした敵機は汎用機で、直前までゴローのジムカスタムはバズーカを構えていた。

 その場合タックルでは無くバズーカで敵の行動を阻害するのがもっともスマートな選択だったのだが、そこまで冷静な視野が無くてもなんとかなるから彼はこのゲームを遊んでいるのだ。

 

 「なんかF91のぐ…ぐ? グラップルブースター?」

 

 ーーーバキ? なんで急に筋肉の話になるのか

 ーーーフラップ・ブースターのことじゃね?

 ーーー↑空中飛行出来るスキルな

 ーーー流石に筋肉では飛べない

 ーーー飛べるやろ

 ーーー飛ぶな

 

 「それ! そうそれ!! あんなさーピュンピュン飛びながらヴェスバーでピンポイントに敵を狙撃とか100%不可能やね! おっちゃん調子悪い日には静止射撃してる相手にすら弾が当たらんのやで? しかもあの低耐久。確実にマト扱いされてリスキルされ続ける未来しかね〜んだよな」

 

 そう。

 なんとかなるのだ。

 低コスト・低ランク帯でなら。

 (最近は新しいカスタムパーツの影響もあるのだが、そんなカスタムパーツを活かせるほど上手いプレイヤーは低ランクからさっさと卒業するからノーカン)

 

 「おっちゃんが戦えるのは無理して500コストまでやね。550以降はゲームスピードにも武装にも脳の回転にもまるっきしついて行けねーもの」

 

 ジムカスタムの武装はたったの3つ。

 バズーカ(他武装と選択可能)・サーベル・バルカンだ。

 

 この武装の種類が4・5・6と増える度にプレイヤーの自由度が増して、それはつまり瞬時に状況に合わせた最善択を選び確実に武装を切り替えて最速で攻撃する脳の思考速度を要求される…と言う理屈になるのだが、ゴローの場合先の実例のようにこのゲームの根本的な必須習熟項目となる状況把握が弱い。

 

 このゲームに於ける状況把握は土台だ。

 

 敵の位置は何処か? その位置に居る敵の機種は何で、何番のマーカーが振られているか。進行方向はどの向きで、何を考えて行動しているのか。それに対する味方の布陣はどうなっていて、現状は優勢なのか劣勢に陥っているのか…。

 出来るプレイヤーはそれらの情報を秒で収集、解析して理解する。その情報から自機の行動指針を決定し、それにあわせて武装を選択し敵機撃破への道筋を描く。

 

 その、基礎となる部分に致命的な能力不足を抱えているのが『オジサン』なのだ。

 

 これはゴローに限った話ではない。

 A帯で立ち往生しているほとんどのプレイヤーに共通する欠点だと推測される。

 

 ある程度、それこそA帯までは行けるのだ。

 多少レーダーから得られる情報の解像度が劣っていても、ざっくりと敵がどの位置にいて、自軍の布陣が見えて、その上で自機がどう動けば良いのか。

 余裕がある時にはそれを把握できる程度の視野があれば、そんなレベルで十分にエイムの下手さや操縦のアラを補えるのがバトオペの低コスト・低ランク帯の魅力なのだが。

 

 「550からのビックリドッキリMSに対応できね〜んだわ」

 

 高コストになれば機体性能が上がる。

 今まで許されていた甘えをファンネルが追い立て、それを嫌って逃げた先に集束した激太ビームが突き刺さり、止まった瞬間には当たり前のように2種格闘が待っている。

 そもそも、地上を這う敵にすら当てれない弾を3次元飛行する敵に当てろと言う地獄。

 

 「強い機体に乗るしかね〜んだけど、強い機体の武器切り替えが上手く行かね〜んだよね、一方的に殴られてオワタなんだ。サーベルとサーベルニトーとか? コンボしなきゃって頑張れば頑張るほど周りが見えなくなって後ろからズドンされるんだよね…まぁ一応練習はしてるんだけど」

 

 どのみち本当に強くなるためには各機体それぞれへの知識が必須であり、会敵して別れた瞬間に敵の機種も番号も頭から蒸発してしまうTS幼女オジサンがSに到達する可能性は限りなく低いだろう。

 

 たが、それでも楽しく遊べるし運良く勝てるのがバトオペなのだ。

 

 勝ってうれしいはないちもんめ

 負けてくやしいはないちもんめ

 あの子がほしいあの子じゃ分からん

 その子がほしいその子じゃ分からん

 相談しようそうしよう

 

 

 ………出来れば、毎回毎回出撃直前のチーム決定をご破算させるのはカンベンしてもらえませんかね?

 

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