ゴローは失意の中にあった。
前回の動画でいくつかの趣味趣向がリスナーにバレてしまったのだ。
RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚を通して
メガテンシリーズは下手すればガンダムよりもやり込んでるから個人的には話を振られても困らない。
まぁ一応はバトオペのチャンネルとして作った部屋なので基本的にはこっちからネタに出す事はないとは思う。
思うが…リスナーの反応を見てたま〜にくらいならメガテン系のゲーム配信をしてみても良いかも、という妄想が広がる程度には
ゲームの息抜きに見た動画もまぁ良い。
特に最新バージョにアプデされてからの豪鬼の挙動は神の域に達しつつある。
是非ともみんなで応援したい。
そんな風に前向きになれる案件だ、こちらも至って問題ない。
そう、問題は1つだけ。
「…………どうすっかなぁ」
座椅子に座って足を投げ出したゴロー。
その目の前にはテーブルがある。
小さくて軽くて飾りっ気のない白いテーブル。
上にあるのはビールの缶とビール缶専用に購入した黒い小型冷蔵庫。オツマミとして用意した野菜スティックとマヨネーズ入の小皿ーーーそして。
「どうするよウサさん」
真ん中にはウサギが鎮座していた。
灰色で、少し小柄で、今にも動き出しそうなほど精巧な造りのウサギの人形。
ゴローの大切な人がくれた世界にたった1つの。
「う〜むむむ………」
唸りながらプルタブをシュポしてビールをがぶり。
せっかくなので人参スティックから手に取り、マヨネーズに絡めてポキリと食い付く。
「うぉ…あっまい!?」
コレは生食に適したした人参…とのこと。
人参特有の風味を残しつつ、雑味を取り除いて香りを鮮やかに引き出したような素晴らしい味わい。
「うまうま…」
ポキポキシャリシャリ…。
あっと言う間に人参スティックを平らげたゴロー。次に手を伸ばしたのは王道のキュウリ。
こちらは醤油マヨネーズに潜らせてバキバキモシャモシャと口に頬張る。
「うめぃ〜〜い」
流し込むビールの黄金が一層旨い!
やはり野菜。
野菜しか勝たんぞぉ!!
そんな現実逃避に勤しんでいたのだが、時は残酷というかゴローの小さな胃袋はみるみるうちにパンパンになった。
「ゲ〜フッ…う〜〜〜〜ん……」
満腹の胃と酔っ払った頭で考える。
・ウサさんな大切な人形です
・他人にウサさんの存在を知られたくないです
・もう絶対に知られてます
・ウサさんの事を根掘り葉掘り聞かれたくないです
・配信でウサさんに話しかける姿を垂れ流しました
・ぜっっったいに、ヤツらはおちょくってきます
・ウサさんの事で揶揄われたら100%キレます
・話題を提供した自分が悪い自覚はあります
・けど絶対にキレます
・二度と配信出来なくなると思います
・積んでます
「ウサさん…ウサさぁぁぁぁぁぁん!!」
壊さないように、傷つけないように。
その上で全力を出してウサギの人形を抱きしめた。
「うぅ…ウサさんはこんなに可愛いのに…可愛すぎたんや…うぅ…コイツ、ウサってやがりゅ」
うるるぅぅ〜。
ヘタレた頭で考えられる事など無い。
無いのたが…。
「ん……?? んん!?」
クンクンクンクンクン…。
犬か猫のようにウサギを嗅ぐ幼女。
「香りが違う。前はもっとこう南国的な…」
あの人が好きだったアロマの香りがゴローの
「う〜嫌だぁー! いっぺんファブってからアロマで上書きすればワンチャーーー!? わんちゃん!?」
上書き!
せや!
「上書きすればえぇんや!?」
ゴローの脳にキラキラが舞い降りる。
「わかったぞウサさん! 俺の行くべき道が!!」
ウサギを抱えて仁王立ちするゴロー。
酒とストレス。
組み合わせてはいけないと、誰もが知りながら飲み下す大人の味わいに脳を焼かれた可哀想なTS幼女おじさん。
ゴローはスマホの通話ボタンをプッシュした。
「スミちゃん! 今時間ある!?」
〜〜〜それから2時間後〜〜〜
「もっと情熱的に! 神は細部に宿るのよ!?」
「おう!」
「指にもっと力を込めて!」
「任せろぃ!」
「○○さん素敵よ!! そのままでキープ!」
「うごごごごご……」
「ヨシ! それじゃ次はニャアンね!」
「う〜…もうチカレタ」
「頑張って! やるって言ったのは○○さんでしょ、アーシは友達との約束蹴って来たんだからね!?」
「ぷぎぃ〜………娘がキビシイ」
「なんか言った!? ほら、早く着替えて!」
「うへ〜…」
ゴローは緑色の部屋にいた。
普段使う事のない部屋だ。
2ヶ月前にスミレが勝手に用意して、以降封印状態にあったグリーンバック撮影用の一室。
この緑の幕を背景にする事でイロイロと合成映像が作れるとかなんとか。
子供の頃に『天才てれびくん』や『進め!電波少年』で見知った技術を自らが使う事になるとは…人生の不思議に思いを馳せながら、ゴローはグビリと冷水を飲んだ。
「うはぇ〜〜〜水がウメェわコレ。スミレも飲むか?」
空調はしっかり効いているのだが、慣れない撮影と奇妙なテンションからゴローの喉はカラカラに乾いていた。
「ん…ありがと」
それは娘のスミレも同様。
素敵カワイイ実父の撮影。その編集と合成の合間に飲む冷水の美味しさは正に格別だった。
「○○さんは休んでて良いんだよ?」
後の作業はスミレの領分でありゴローに出来る事はない。
ーーーだが。
「いんや…まぁもう少し居るわ」
趣味に向き合って頑張る
ゴローはスミレの背中に、彼女の面影を感じていた。
◆
月には様々な顔がある。
大きな月、細い月、赤い月、虹の月。
その画面に輝く月は三日月。その純白の光で闇を煌々と照らしていた。
空を仰いでいたカメラの視点。それが月の光に誘われるように地上へと向けられる。
ネオンライトが眩い雑踏。
月も電気も、決して押しのける事の出来ない暗闇と共存する人間の街。
そこに1つの影があった。
「愛と復讐のノーマルスーツ美幼女戦士、シイコ・スガイ!」
シイコさんにコスプレしたゴロー。
彼女の脇を固めるようにスポットライトが2つ点る。
「マチュに代わってお腹をブチ抜いてあげる」
右にはニャアンに扮したゴロー。
病んだ瞳で
「ハイブーツでお仕置きよっ!」
左にはコモリ・ハーコートに扮したゴロー。
特徴的なブーツから上に引きながら絶対領域を映す素晴らしいカメラアングル…!!
セーラーマーキュリーとセーラーマーズの決めポーズを取る二人の中央で、シイコさん扮するゴローが仕掛けた。
左手はウサギちゃん。
右手はバキュン!!
「月に代わって…スティグマよ!!」
ウサギの記憶を消し飛ばす超ウサギによる猛攻。
ゴローのショート動画は凄まじい反響を呼んだ。
本物のTS幼女おじさんのコスプレ。
ガンダム×セーラームーンという謎の組み合わせ。
ご本人としか思えない
………まぁアレだ。
真実を言えば配信切り忘れ回の時点でゴローのメンタルブレイクを予見したポポちゃんが
まぁ…しかし。
ーーーゴロタス………死ぬほどチュキ♡
現代の怪異への返礼としては限りなく最高の出来栄えにはなった。
それで良い。
それで良いんや。
GQuuuuuuX…駆け抜けたな。
これで…良いんや!!
この回でGQuuuuuuXのアンケートを終了させて頂きます。皆さんの投票…なんてこと無いと思ってたでしょ?
実はめちゃくちゃ励みになってました。
投票人数がポチポチポチポチ増えて行くのが最高に嬉しかったです。投票自体は出来るようにしておくので、まだの方はお気軽にとうぞ。
少し期間を空けてからまた新しいアンケートを出したい…という野望があるので、よろしければその時にはまたご協力お願い申し上げます。
m(_ _)m
GQuuuuuuXのコスプレ、誰を選ぶ?
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
-
ニャアン
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コモリ・ハーコート
-
シイコ・スガイ
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ドゥー・ムラサメ