酔うじょオペレーション   作:マキシマムとと

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TSして幼女化したらイロイロあるんだわな〜

 

 Q.なんで課金しないの?

 

 「あ〜…課金なー」

 

 ゴローの本日の出撃回数は5回。

 中身がオジサンの外見幼女であるゴローには持久力も無い。バカパカバカパカとビール缶を積み上げながらのプレイがその脆弱性を加速させていた。

 

 「う〜〜〜ダミェだぁぁぁぁ」

 

 飲酒と連戦による疲労によりゴローのパフォーマンスは著しく低下。

 見るからに精彩を欠いたザクⅡ後期型のMMP-78GN[対空砲弾]が何発も連続して敵の頭上を通り越し、逆に高台から放たれた敵機の砲撃に機体を撃ち抜かれた。

 

 ーーーだから、上を取られた時点で負けなんよ

 ーーーゴロオジ聞いてないw

 ーーーこれが脳死

 

 「アカン…死ぬ」

 

 どうせ役に立たないのなら。

 そう決心したゴローが近くにあった敵の拠点へ向かってザクのブースターを吹かし、タイミングを見計らって○ボタンを長押しした。

 

 ーーーお!?

 ーーー緊急脱出を覚えた……だと!?

 ーーーゴローが、ゴローが立ったわ!!

 

 「ちょ〜〜〜ど拠点も近いし、どうにも頭が回らん。そんな時には拠点爆破(キョバク)一択なんよ〜」

 

 リスナーに教えてもらった緊急脱出を使用して歩兵モードに移行。敵の射線を運良くすり抜けて敵拠点内部(ミデア)へと侵入した。

 少し手惑いながらもなんとか爆弾を設置。今回ゴローは爆弾設置ポイントのすぐ側にある凹みに身を隠して敵歩兵への警戒に入った。

 

 しばらくは待機。

 敵が上手ければ上からチェックされるのだが、敵歩兵の突入タイミングによってはチェックする時間を捻出できず、このデスポイントに直行してくれる可能性もある。

 ウロウロしたり警戒したりするだけの余力がないゴローにとっては最善の択。

 

 「ん〜〜〜〜………え〜っと?」

 

 動きが無い。

 空白の待機時間。

 自機の爆発時に側に居た味方が単騎で善戦しているらしく、それによって出来た余裕がゴローの酸欠した脳を動かした。

 

 「カキン? あ…あ〜課金の話だったわな? う〜ん………おっちゃんな? 一応金はあるのよ」

 

 複数のゲームハード。

 高性能なPC。

 高画質なモニター。

 快適なゲーミングチェア。

 生活感に乏しくも整った広い室内。

 

 ズボラな髪型や服装に目が行きがちにはなるが、ある程度ゴローに興味をもつリスナーはその羽振りの良さに気付いていた。

 

 「ほれ、TSした人はそれなりにおるんですが、おっちゃんくらい幼児化した例は流石に珍しいらしくてな? ブルーディスティニー小隊みたいな?」

 

 ーーーモルモット?

 

 「ザッツライ! 流石に伝わるか〜!」

 

 ーーーめっちゃ嬉しそうで草w

 ーーーガノタあるある

 ーーーやっぱホンモノのTSなんかな?

 ーーー視覚&聴覚がバグる

 ーーーえ? それって大丈夫なの?

 ーーーモルモットっておい

 ーーー政府の陰謀的な?

 

 「あ〜いや、まぁ寝てる間は自由意志なかったし、治療兼研究みたいな感じだったらしいぜ〜。起きてからはおっちゃんにもわかるように丁寧に説明してもろて、同意した上でのモルモット生活やからな、治験みたいな感じよ」

 

 ーーー好き勝手にビールを飲む治験者

 ーーーうらやま

 ーーーいや目が死んでるじゃろ?

 ーーーもしかしてゴロオジって要人扱い?

 ーーー下手すりゃ不老長寿の種やもんな

 ーーー一年戦争後のテンパかな

 

 「そんなこんなでな。まーいろいろあって金はあるんだけど、これって別におっちゃんが稼いだ金でも無い気がしてな? そりゃ金は天下の回り物ですし? 必要な事には使うんやけどさ、バトオペは基本プレイ無料でPSプラスにすら加入する必要がないわけでして」

 

 そも、わざわざ課金をしなくとも毎日のミッションを熟していればそれなりにトークン(一般的なスマホゲームで言う所の石)も貯まる。

 無理に課金した所で高性能なMSやパーツを使いこなせる腕が無いのだ。ゴローにとってバトオペで課金することは神社のお賽銭に500円玉を投げ入れる感覚に近い。

 

 投げ銭しても良いが、自分で稼いでいない金を投げるのは少し違う気がする。

 そのような妄言を垂れ流すゴローの眼前に、ポトリ…と敵の歩兵アバターが舞い降りた。

 

 「きーーー!!」

 

 構えていたバズーカをズドン!!

 

 チャリン!

 心地よい撃破SEと同時に僅かな加点が入る。

 

 「こ……オイこれ、やったんじゃね!?」

 

 カウンターは秒読み。

 正確に何秒で爆弾解除出来るのかの知識は無いが、体感で拠爆の成功を確信したゴローがウイニングラン…もとい、ウイニングフライで空中に飛び出した。

 

 拠点爆破・成功!!

 

 爆発エフェクトに巻き込まれて溺れたように藻掻きながら地に落ちるゴローのアバター。

 大量のポイントが自軍に加点され、その後に枚数不利からのチーム劣勢とはなったのだが、今回の戦闘では僅差でゴローの所属したブルーチームが勝利を勝ち取った。

 

 「やったぜー! はひ〜チョー疲れた。あ、称賛アザマース、俺もお返事しとこ。え〜っと、援護してくれたジムの子と、前半にカットでフォローしてくれたスナイパー君かな」

 

 ーーー俺らの存在を忘れてもらっては困りますぞ

 ーーーゴローは俺が育てた

 ーーーいや俺が育てた

 ーーー俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ

 ーーー緊急脱出すら知らなかったのに

 ーーー子供(オジサン)の成長は早いものよ

 

 「あーもぉわかってるって! みんなもありがとな」

 

 ーーーこれで画面の絵がオッサンだったと思うと

 ーーー考えるんじゃない、感じるんだ

 ーーーガワだけを感じろ

 ーーー馬鹿が、中身がオッサンだから興奮するんじぁ〜ねぇのか(ジョジョ口調で)!?

 

 チャンネル開設当初に比べれば見違えるほど人も増えた。まだまだ彼らとのやり取りから金銭を得られるレベルではないが、ゴローの心は以前とはまるで違っていた。

 

 「もし…まぁ運良く収益化したらちょっとくらいは課金しても良いかもな?」

 

 未来を描く。

 ただ、その幸せを胸に感じて。

 

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