「おっちゃんだってエロくらいわかるわいッ!!」
ドン!
テーブルに振り下ろしたのはカラの缶。
中身を満たしていたのは珍しくノンアルコール飲料なのだが、酒は気分で酔えるもの。
楽しくなったゴローがリスナーと遊びはじめた。
「着せ恋は一期の初期から追っかけてるかんね! 何というか…嫌な見かたすれば主人公がヒロインちゃんに搾取されてるじゃん? それもお互いに悪気無く一方が一方的に儲かっててさ〜、そこがちょっと気になるポイントではあったけど! ん〜だけどだッ!!」
新しくノンアル(缶カバー付き)を取りだしてパカシュるゴロー。
今日のオツマミはちりめんじゃこ。白くてフワフワの小魚を指で摘んでパクパク食べる。
「圧倒的に、エロい!! 細かい部分なんて気にしても仕方ないんよな…と思わせるエロスがエグいんよなッ!?」
ふんす!!
鼻息荒くTS幼女おじさんが叫ぶ。
「ちょっと前の僕ヤバとかもエロかったんじゃけど、着せ恋はムード的なエロスに加えて直にストレートで爽やかにドチャシコじゃろ? おっちゃんの無くしたジョニー・ライデンも真っ青よ! ーーーあ〜ね!? そりゃそう。おっさるとーり! 身体的には反応できる部位も無いし、2次成長なんて本当に来るのかすらもわからんチンの新型TSボデーやぜ? 濡れるも腫れるもカラッカラだわ、けど現実に脳が
エロスをエロいと感じられる。
これもまた今のゴローにある小さな救い。
TS幼女おじさんの性欲暴露にどよめくリスナーを無視してゴローは快調に話を飛ばす。
「まーホレ、エロは抜きにしてもさ、こないだの風邪の話は良かったよな!? あの声優さんの演技! これぞ声優だーーーは? 泣き真似? いやおっちゃん泣いた事ないからムリかな、てかそれよりさ〜…! でなーーー!」
楽しく遊ぶゴロー。
しかし今日、彼は一滴もアルコールを飲まなかった。
それを知るのはゴローと…あと一人だけ。
◆
【ピーーーーーーーーーピピッピピッピピッ!】
アルコールチェッカーによる酒気帯び判定。
微妙に高い肺活量を要求してくる大人の機械に、我らがTS幼女おじさんが顔を真っ赤にして挑んでいた。
「あ、アルコール濃度0.00…これで、行ける…??」
ポポちゃん配送とか言う謎のサービス集団が設置していった謎のマシン。
恐らくはツーリング体感ゲーム。
バイク運転の疑似体験装置と思われるソレに恐怖はあったが、それと同じか…もしくは同等以上には興味もあったゴロー。
先日マシンの起動を試みて、アルコールチェッカーにより搭乗拒否された謎のリアリティに困惑しつつ今日を迎えたのだが…。
【ドー路交通ホー第65条クリア。ヨーコソ! ポポちゃんワールドサーキットへ!】
あの日の配送のお姉ちゃん(顔はわからかなったが、身体はお姉ちゃんだったから…)と同じ電子音声が流れた。
この時点でもぉ怖い。
怖いのだが、ポポちゃんワールドサーキットの怖さはこの程度では留まらない。
【運転ソウビ非着用デスね】
まったくダメだな〜?
みたいなノリで電子音声からのダメ出しが入る。
「………?」
まるで意味がわからない。
とりあえず…恐る恐るバイクに跨り、エンジンキーを右にまわすが。
通常なら聞こえるはずの始動音では無く【ブブー! 運転ソウビ非着用デスね】と再度ダメ出しの音声が流れた。
「えっ…そ、ソウビ、装備…のこと??」
運転装備…運転…………あ!?
そう言えば配送の謎人間が部屋の隅に変なダンボールを置いて行ったのを思い出したゴロー。
「もしかして…いや、まさか………」
奇妙な予感に引きずられて箱を開けたゴロー。
1つ目の箱には黒い革の高そうなブーツ。
2つ目の箱にも黒い革の高そうなグローブ。
3つ目の箱も同様に、明らかに特注な黒い革製のライダースーツが梱包されていた。
ブーツもグローブもライダースーツも。
見るからにサイズが幼児用。
箱に同梱されていた黒い靴下からして足にピッタリ。
この時点で気分が悪くなっていたゴローだが、最後に残った箱の中身、フルフェイスの黒いヘルメットすらも、あつらえたように頭にピッタリフィットしてしまった。
(あ、コレ全部俺にピッタリなサイズなんだ)
そう理解した瞬間、強烈な吐き気が全身を支配した。
耐えると耐えないとか、そんな選択肢は端から無い。ヘルメットを被ったままメットが入っていたダンボールに胃の中身をぶちまける。
気持ち悪いし、怖いし、気持ち悪い。
飼育されるウサギにでもなった気分。
寝てる間にサイズ測られた?
寝てる間になんか変なことされた?
起きてる時でさえ油断ならん。
こわい、こわい、こわい。
なんで、俺がーーーーーーーーー。
「おっ……!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
2回目の胃の痙攣にあわせて口から中身が噴出する。
先程まで楽しく飲んでいたノンアルコールと、そのお供のちりめんじゃこが溶けた液体。そこに胃酸のすえた臭いが混ざった最悪な汚物。
一人暗い室内で壊れた機械のようにゲロを吐く。
視界が黒く濁るようだった。
………………………。
ーーーひとしきり吐き出し、何度かの波を乗り越えてようやく胃の痙攣が収まる。
「〜〜〜〜〜〜はふぅ………」
冷静になった頭がゆっくりと動く。
「そも、そ…モルモッ…とかい、今更やも、んな…国に飼われるか、ポポちゃんに飼われ、れるか。小さなこと、やんな?」
うんうん。
手が震える。
涙がこぼれる。
横隔膜が痙攣して、上手く言葉が紡げない。
基本、この身体は脆いのだから。
「大丈夫…小さなこと。大丈夫…だ、い。だい…ょうぶ。ゴローはスゲぇ男なんだから、ご、ゴローもきっと、大丈夫」
いつものルーティンにより気持ちをなだめる。
「や…やっぱ新しい事に弱いんかね? ストレス耐性低め、かな? やっぱガワが幼女だからか、いや…あ、そそ、そかそか。新月近いもんな…それでか。そらしゃーない、ないわな…」
うんうん、と冷静に自分を判断する。
行きつけの病院にいるお爺ちゃん先生の調べによると、ゴローの肉体と精神は月の満ち欠けに影響されやすくなっているらしい。
たぶんそれと。
「あ、あと匂いな? この新品の革の匂いとかがね、やや、やっぱキツかったん、やね、可哀想、にね?」
うんうん、と優しく自分を慰める。
自分の意思と肉体とを切り離したセルフコントロール。これもかなり上手くなった自負がある。
「よし…ちょっと、動けるようになった、かな? 偉い…偉いぞゴロー、それでこそゴローやで…」
そうしてゴローはノソノソと汚物の処理を開始した。今日はもう、それで限界だった。
ZZのコスプレ、誰を選ぶ?
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エル・ビアンノ
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ハマーン・カーン
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はにゃーん・かーん