酔うじょオペレーション   作:マキシマムとと

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キョバクおじさんが自爆したらしいですよ?

 

 今日も今日とてバトオペに勤しむTS幼女オジサン。

 出撃したのはコストは400の地上戦。

 青空と広い空間が特徴的な軍事基地が舞台だった。

 

 「うひゃ〜!!」

 

 愛機登録したジムカスタムで出撃したゴローだったのだが。何回かの戦闘ウエーブの後、敵の集団を囲う位置へと機体を動かした際に本隊から分断されて、今は2機の敵から執拗な追撃を受けていた。

 

 「やばいやばいバヤイ…!」

 

 デタラメに撃ったバズーカが運良くその内の一機に命中し、少しだけ出来た余裕で方向転換。1秒でも長く生存するため障害物の壁に沿うように、祈るような強さでスラスターボタンを押し込んだ。

 だがしかし、画面越しからも伝わる殺意を込めた残りの一機が猛然とブースターを吹かして背中に張り付く。

 

 「ムリだって!!」

 

 曲がり角で少しでも身体を隠して。

 

 「オバヒ(オーバーヒート)! けどこの位置でなら…!!」

 

 敵の拠点が近い。

 そして自機の残りのHPも少ない。

 ザコにでも出来る最高の遅延行動。

 

 「キョバクおじさん! 参上!!」

 

 機体が撃破される寸前に緊急脱出が成立。

 自分でも惚れ惚れするような螺旋起動を描いてゴローのアバターが敵拠点の中へ逃げ込んだ。

 

 「よっしゃ! ヘ〜ィやったぜ! 敵が2枚だから一度に攻められたらアッサリ殺されて爆弾解除の流れになりそうだけど、俺1人に対して2人使わせたなら収支はプラスだもんね〜」

 

 上手く時間を稼げばその分仲間の負担が減る。

 こう言うところもバトオペの面白い所なんよな〜。などと、鼻歌でも歌いそうなほど上機嫌なゴローだったのだが。

 

 「………ん? バグかな??」

 

 爆弾が、設置出来ない。

 

 あんれ?

 お〜か〜しぃ〜ぞ〜〜〜??

 我に返って目を向けたコメント欄には。

 

 

 ーーーおバカ

 ーーーアホかー!!

 ーーー出来ねぇって

 ーーーゴロー!

 ーーー気付けゴロオジ!

 ーーーエースマッチだって!

 ーーーヌケサクぅ!!

 ーーーマジでコメント見ねぇなコイツ

 ーーー中身オジサン説濃厚

 ーーーアホの子なのか、ボケてるのか

 ーーー う け る w w w

 

 

 「は……え、エースマッチ??」

 

 バトオペの殆どの戦闘はベーシックと呼ばれる戦闘スタイルであり、こちらは拠点の爆破や敵MSの奪取など、MS操縦以外の戦術的な要素を内包しているのだが、その他に少しだけベーシックとは違う形式も存在する。

 

 エースマッチはその中の一つ。

 MS戦闘を主体とした逆転性性の高いゲームルール。

 

 ーーー(エースマッチに拠点爆破は)ナイゾ!

 ーーーうわ…俺と同じことしてる

 ーーーエースマッチって気付いてなかったのか

 ーーー自分で選んだのに?

 ーーーゴロオジ…ゴロオジぃぃぃ

 

 「うっそだッ!?」

 

 爆破出来ない拠点に歩兵で逃げ込む…と言う、意味不明過ぎるゴローの行動に戸惑っていた敵も、すぐに正気を取り戻し、一目散に前線へと駆けていく。

 

 「ちょ待って! 殺して!! 殺して行って!」

 

 必死で追いかけようとしたのだが、慌てたせいでアバターの操作をミスり、拠点内部(ミデア)のコンテナに引っ掛かったままスラスターを消費して。

 

 「おいてかないで〜〜〜!!」

 

 貧弱な歩兵のスラスターでのオーバーヒート。

 

 ーーーアホや

 ーーーアホや

 ーーーアホや

 ーーーアホやん

 ーーーアホや

 

 そして広いマップの隅っこにある敵拠点に、ゴローのアバターだけが取り残された。

 

 「や………やばぃ」

 

 ーーーは〜い戦犯確定ぃ!!

 ーーーこれぁ擁護できませんな

 ーーー通報→理由→試合放棄

 ーーーいや…もしかしてワンチャンあるぞ

 ーーーオワタ

 ーーー説明くらい読んどけ

 

 「MSは!?」

 

 自軍の拠点、もしくは自軍が制圧した中継地点でしか呼べません。

 

 「切腹は!?」

 

 このゲームは鉄拳では無いので不可能です。

 

 「戦車は!?」

 

 拠点の近くには戦車が存在します。

 低耐久低火力ですか、上級者はこのギミックを上手く活用して敵の撹乱や遅延行動を成立させるのですーーーが、エースマッチは先述した通りMS戦闘を主体としたルールであり、それ以外の要素を排除しているため。

 

 「無い…だと??」

 

 歩くしかない。

 頑張ってスラスターを吹かしながら、基本的にはこの広いマップを歩く以外には。

 

 「い……1番近い中継ポイントってどれ??」

 

 レーダー範囲内には中継地点が存在しない。

 目視により何れかの方角に敵が居る味方が居る、中継ポイントがある…そうした事は確認出来るのだが、距離感がまるでわからない。

 

 ーーー迷子でくさw

 ーーーゴローたん5さい、まいごなんだぉ!

 ーーーAだぞ

 ーーーBだね

 ーーーCじゃなかった?

 ーーー嘘を教えんなDだって

 ーーーBBBBB

 

 「うがぁ〜〜〜! くっそ役に立たねぇ!!」

 

 いーもん!

 ゴロたん知らない!

 

 そんなヤケクソで適当に歩き出したその時。

 

 【エースに選ばれました!】

 

 摩訶不思議なアナウンスに、ゴローのアバターが硬直する。

 

 「は………へ? 意味が…え? 意味がわからん」

 

 アバターの頭上に燦然と輝く【ACE】の表示。

 そこには間違いなく、ゴローの愛機と『5656TS4jowoji3(ゴロゴロTSよーじょオジサン)』のネームプレートが。

 

 「エース…? 誰が?」

 

 晴天の霹靂である。

 

 「なんで?」

 

 ゴローにはまるで活躍した記憶は無い。

 それはそう。この拠点に駆け込むまでお尻に火を付けて走っていたのだ。

 しかし、このゲームのエース選出基準は試合開始からカウントして丁度半分となる4分間の獲得スコアだ。

 

 撃破・被撃破等のスコアが3倍になるエースのポジションを嫌ってポイントの押し付けあいしてたのか、エース選出を見越してあえて撃破しないように敵の体力調節をしていたのかは不明だが、それを知らずに前半戦で好き勝手に暴れていたゴローにポイントが集まっていた。

 これはただだ、その結果に過ぎない。

 

 しかし。

 

 「ひぇ〜〜〜〜!?」

 

 無人の廃墟を歩兵が進む。

 

 ーーー顔面真っ赤でくさwww

 ーーーゴロたすふぁいと!

 ーーーエース(歩兵)

 ーーースコアは勝ってるし案外アリなのでは!?

 ーーー仲間に謝れ!

 ーーーむしろ敵に謝れ!

 ーーー謝罪しろ、パンツ丸出しにして

 

 「ゴメンって! マジでいやなんでおっちゃんがエースになってんのよ!? つかマジで誰もいないんですけど〜!!」

 

 さんざん煽られながら進み、ようやく中継ポイントがレーダーに表示された時。

 

 「あ…!」

 

 高速で迫る赤い点。

 

 単騎で前線の裏から現れたエースの存在にようやく気付いた敵MSがスラスター全開で突進した。

 

 「あ、そのゴメン、ゴメンね? なんか歩兵で…」

 

 チャリン♪

 カスのようなスコアが敵に加算され、ようやくゴローのモニターが出撃待機画面に戻った。

 

 その後、残り時間1分で再出撃を果たしたゴローのジムカスタム。詳しいルールを知らないゴローは「エースをエースが倒したらスーパー高得点になる!!」と確信して*1敵エースのもとへ直行。

 

 見事に仲間からポイントを奪い取り*2バトオペ史上初の総合順位1位を獲得したのだった。

 

 

 良い子のみんな!

 ゲームのルールを把握して。

 楽しく仲良く遊びましょう。

 ゴローおじさんとの ヤ ク ソ ク だぞ☆

 

 

*1
なりません。敵エース撃破による加点はエースでも一般兵でも同率。

*2
本当にルールを知らず、悪意無くラストアタックを奪い取ってしまい申し訳ありませんでした。この場を借りてジムストライカーだったかジムⅢだったかもはや覚えていないあの頃の貴方に謝罪と感謝を申し上げますm(_ _)mペコリー

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