「おわ〜〜〜〜〜…」
言葉も無い。
ただただ風が心地良く、広がる緑に包まれる。
魂の原風景にゴローが感嘆の声を漏らした。
笛のように鳴く風の音にセミの声が入り交じり、太陽の輝きを草木が祝う…そんな夏の匂いすら感じられるようだった。
ここはポポちゃんワールドサーキットの内部。
それは丸い壁面に再現された映像でしかない。
ーーーけれどそれは。
県道沿いの田園風景は。
夏のまだ青い稲穂が風に揺れ、艶々と弾いた陽の光が銀色の波のように煌めく光景は…。
◇
ゴローは
今現在の…国に軟禁されている国の管理下にあると言う馬鹿げた現実。それが消し飛ぶような感動を心に感じた。
どうしても行きたい場所はある。
行かなくてはならない約束がある。
けれど不安で、怖くて、踏み出せなくて。
あっちに行ってゲームオーバーして、こっちに行ってはゲームオーバーして…そうやって長いあいだ拠点となる東京から抜け出せずにいた。
…しかし。
「う〜わ…………懐かし…」
東京から遠く離れた僻地も僻地。
ここに来るまでかなりの日数を要した。
当然、この道は初めて通る。
過去には、現実には、何度も何度も行き来した道。
今はどうだか知らないが、その昔この道路脇の田んぼは祖父の物だった。
大昔、
農薬を撒くために柿色のホースを出したり入れたりして手も身体もベトベトになったり、刈入れの時期には炎天下の中で首筋にチクチクと刺さるクソ重い米俵を担ぎ、干上がって凸凹と変形した田んぼの中を汗だくで歩かされた。
溶けかけの冷凍スポーツドリンクのバカみたく甘い味を二人で分け合い、最後の残りカスみたいな薄味の氷を二人で奪い合った夏の思い出。
アブを素手でハタキ落としたり、休憩場所の木陰で弟の頭の上に蛇が降ってきたり、足長蜂の大軍に襲われた俺を弟が守ろうとして手足を振り回し、それがまた運悪く蜂の巣を叩き落として…あの後は二人して顔も身体もボコボコに腫れ上がったんだよな。
兎に角まぁ…忘れていたり忘れたかったり、そんな様々な記憶が脳裏に浮かんではまた消えて。
「あ〜…そう言えばジッちゃん生きてたらもう100歳越えてんのか。あの妖怪爺も流石におっちんでるよな」
日に焼けて、深いシワの刻まれた老人の笑顔。
俺も将来はハゲるのかと…あの頃は何度も鏡を眺めた。そんな懐かしい思い出が脳裏に過り。
【ーーーピピ、ピピーーー】
「おっと、もうそんな時間か」
今日はリスナーとスミレとの
遅刻は厳禁。
「え〜っと…ここなら確か、もう少し進んで曲がった所に農協の
脳の奥で埃を被った記憶。
それを頼りにしてゴローはハンドルを切った。
約束の場所まで…あと少し。
覚悟など無いまま。
ゴローはただ道を進んだ。
◆
「ーーー見よ、この胸部装甲を!!」
デデ〜ん!!
ゴローが両胸の膨らみを自ら持ち上げて見せつけた。
ーーーおぱ〜〜〜〜〜い!?
ーーーR18か! 18なんかッ!!
ーーーエッチなゴロー…好き♡
ーーー脱げオラァ!!
ーーーこっちの衣装で来たのか〜
ーーーチチ盛すぎてクサw
ーーーなんでこんなエロ可愛いん?
ーーーあ〜イライラするんじゃーーーー(怒)
ーーーいーからその短いスカートたくしあげろよ
ーーーはーチュキ…
ーーーゴロたすぅぅぅぅ!!
ーーーママァァァァァァァァ!!
ーーーピンクは淫乱! 昔から決まってんよね!
ーーー酔っ払い幼女コスプレイヤー…あ…出る
ーーーボクの為に豊胸してくれたんだッピね!?
ーーー(いつも)有難う御座います!!
ーーーゴローの まな板が 美乳に 進化しました
ーーーローアングルは!? ローアングル!?!?
ーーー俺の為に母乳を育てて来たのか…ヨシ!
ーーーもっと盛っても良いんだよ?
ーーー新しい扉が…開く(絶望)!!
「あい〜! そんな訳で今回のコスプレは『はにゃーん様』ですねー【ZZのコスプレ、誰を選ぶ?】のアンケートで過半数の票が集中した最強のダークホース!! な〜んでここまで票が集まったのかおっちゃんにはわからない。わからんのじゃけど、まーせっかくなんでオッパイ盛ってね、遊んでやろうかと思ったんだな〜」
パカシュ…!!
いつもの銘柄のビールを一口。
今日のオツマミは魚肉ソーセージのスライスだ。いつだったかスマホニュースで見かけていつか作ろうと思っていた1品。オーブンでカリカリに焼き上げたギョニソちゃん。
薄くスライスしてオーブンで焼き、そこに黒胡椒をパラパラパラリ…ちょっと手間なのがまた楽しい。
案外ギョニソを均一に切るのが難しくて焼き上がりにムラがあるのだが、それがまた味のアクセントになっている。
「んゴッ、ゴッ、ゴッ、ゴッ、ゴッ………ぱひゃ〜〜〜〜うーまーいーど〜〜〜〜!!」
モモちゃんワールドサーキットでの進捗、最近のバトオペの戦況。
変態幼児の襲撃など不穏な点はあれども、最近のゴローは上り調子だ。気持ちよくビールをグビリ、焼き上げたギョニソをチマチマと齧った。
「やっぱコイツはビールと合うぜ〜! つかこの胸な? 最近ホレ、着せ恋ってアニメの話したじゃろ? その中でオッパイは装備できる…!! て話があってな? オトコってガンダムとオッパイで脳の8割が埋まってる生き物ですやろ?*1 おっちゃんも昔はおっちゃんやったから君らの煩悩の重さもわかるんだわ。んで、ケラちゃんに相談してコイツをおっちゃん用に特注してもらったんだな〜」
ポニポニと胸で遊び、ニヤリと笑みを浮かべてポーズを決めた。
「うぇ〜い♡」
ーーーこっ! メスガキぃぃぃぃ!!
ーーーイライラする…イライラするぅぅぅ!!
ーーー通して下さい! 偽パイ警察です! 通して下さい!!
ーーー性犯罪者育成施設
ーーーもっと蔑んで!
ーーー踏んで! ボクを踏んでよママぁ!
ーーーあ〜シコれるわー
ーーー無限に出る…(絶望)
リスナーの反応にケタケタ笑い、ゴクゴクと酒を飲む。酒の肴が2個あるってのは楽しいもんですわ。
そんな事を思いながら。
「あ、せやせや…あ〜んと? 次回のコスプレ予告せなあかんかったんやわなー。次回からはウイングキャラのコスなんですなー。いつも通りアンケするから投票よろしゅーお願いしやす。ほれ、最近30周年で盛り上がってるし、ケラちゃんもウイング好きやからね、ここらでイッチョ男装にも手を出そうかと言う話になりましてなーーーあ〜うん。ルールカはちょっと惜しかったけど、あの辺のキャラはまたの機会にと言うことで…スマンね、へへッ。そんなわけでこのオパーイはしばらくお蔵入りなんじゃよ! ヘイヘーイ! お前の父ちゃんオッパイ星人〜!」
予告を終え、一通りリスナーの要求に(エッチなのは無視して)応えているとあっという間に時間が過ぎ去っていた。
「やっべ、今日の任務クリアしてねぇ!?」
時計の針はもう少しで夜10時を指そうとしている。
今はまだテンションが高いから何とかなるが、本来であれば身体が幼女なゴローは布団に入って夢の国へと旅立っている時間だ。
あたふたとしつつ、ゴローはバトオペを起動したのだった。
wキャラのコスプレ、誰を選ぶ?
-
やはり主人公! ヒイロ・ユイ
-
ココこそヒロイン! リリーナ・ドーリアン
-
お母さん! デュオ・マックスウェル
-
スネ夫! トロワ・バートン
-
頑固ショタ! カトル・ラバーバ・ウィナー
-
オデコ紳士! 張五飛
-
火消しの! ゼクス・マーキス