酔うじょオペレーション   作:マキシマムとと

64 / 137
オムツとジムとTS幼女おじさん

 

 酒を飲む。

 

 

 今回は数日前(体感では昨日)ポポちゃん用に用意した赤ワインの残りを平らげるべく、グラスに少量の赤を垂らす。

 

 「このままだと飲めないんですね〜。おっちゃん舌がザコだからワインの美味さがわかんなくてさー」

 

 ストレートでは飲めない。

 なら、いつもの手順で飲めるようにすれば良い。

 

 「おなじみの氷と、レモン風味の炭酸水なー? これを上からトクトクトク〜っとすれば…ほら」

 

 シュワワワワワ〜。

 氷に炭酸が弾け、ワインの赤に染められた薄紫色の泡が立つ。

 

 「めちゃキレイやろ? 甘くないファンタグレープの完成でござるなー」

 

 いつもよりテンションが低いゴロー。

 擬似ファンタグレープの後ろで力ない笑みを浮かべる。

 

 「味はかなり好きなんよね…たま〜に飛ばしきれてないワインのあの…こ〜何ていうの? 雑な香り? アレが残ってるとなー。微妙にちょ〜っと鼻につくのが難点だけど、まぁ上手く飛んだ日にはゴクゴク行けるからね〜」

 

 ゴクゴクと炭酸ワインを飲み、フライパンで焼きながら味付けしたイカ足をモニュモニュと頬張る。

 普段ならキンキンと耳に響く声でイカの美味さを叫び倒すTS幼女おじさんなのだが今日はまた嫌に静かで、イカの1本1本を味わうように噛み締めていく。

 

 そんな様子のゴロー。

 心配したリスナーからのコメントが入るが、ゴローは苦い笑顔で黙して語らなかった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 ………また、日付が飛んでいた。

 

 割とある事だ。

 月に1〜2回くらいはあるちょっとした不具合。

 

 目が覚めたらフリフリのワンピースで、下にはオムツを履いていて。身体は割と身奇麗で、頭を含めた体調も悪くない。

 むしろよく遊んでよく寝た休日明けのようなスッキリとした開放感があるくらい。

 

 ただ、残念なのが股間のオムツ。

 

 毎回…毎回毎回毎回毎回毎回、嫌でも何でもホカホカしてる。

 吸水ポリマーだかなんだか知らないが、自分から出た体液を吸ってプニプニになったこのオムツ(精神爆弾)の処理にはいつも心が折れる。

 

 苦行に挑む僧侶のマインドでオムツの処理を終え、寝室からキッチンへ移動する。

 いつも通りの朝だが、今日キッチンに立っていたのはサヲリではなかった。

 

 「あ〜! ニコちゃんおっきしたでちゅね? ネネたんお粥作ってまってたんだよ〜♡」

 

 ゴローの足音に反応し、顔をあげる前に声を出したスミレ(愛娘)。そのトーンの高さにゴローの絶望感が視界を暗くして、目からはハイライトが消えて行く。

 

 「ぁ……………その、スミレ…さん」

 

 何があったのかは聞かない。

 以前、この日付が飛ぶ現象が起きた最初の日に、サヲリがした声と同じトーンの猫なで声。

 

 二人が言う『ニコちゃん』なる存在。

 

 「あっ!? あ、その…! お、おおはよう!」

 

 挙動不審な我が娘。

 娘に猫なで声で可愛がられる幼女パパ。

 なんだよ。

 何なんだよぉぉぉぉぉぉ………!!

 

 「おはよ………」

 

 涙をグッと堪えた。

 泣かなかった自分を、今日だけは褒めてあげよう。

 そう思うゴローなのであった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 そうして、時は冒頭に舞い戻る。

 

 「今日はジムに乗るかな…ジムくんのLv5」

 

 

 ーーージムw

 ーーーま〜た地雷臭する機体で…

 ーーースプレーかぁ

 ーーー何故ジム

 ーーージムⅡじゃダメなん?

 ーーーレベルリンク活かすならまぁわかる

 ーーーポンコツやん

 

 

 なかなかに評価の厳しい機体ではあるが、しかし。

 

 「ステージ選ぶけど、宇宙だとわりかし使えるんよね。ほらこの子モトがモトじゃからスラスター死んでてさ、ちょっと吹かしただけでオバヒしちゃうし緊急回避なんかも無いから地上で出撃するとかなり簡単にタコ殴りにされちゃうんだけどね」

 

 脚が遅く旋回も重い。

 常の如くゴローのカスパは耐久に偏重しているため火力にも乏しく、即よろけ武装は無く蓄積よろけを狙うのもかなり厳しいためチームへの貢献度は恐ろしく低い。

 

 「そんなジムくんなんじゃけど、宇宙でならそこそこ…低エイムおじさん介護機体としては悪くない仕事が出来るんよ」

 

 まー見ててな〜。

 …と、覇気の無い出撃を終えたゴロー。

 戦場はいつぞやナラティブガンダムで出撃した資源衛星。隕石の多いステージは鈍速のジムには好相性。

 

 開幕からの位置取りダッシュに置いてきぼりを食いながら、それでも懸命に仲間の背を追うゴロー。

 

 「宇宙ってそもそもエイムむずいやん? 上も下も右も左もあるし、ちょっと上手い人ならニュルニュルカクカク立体機動して弾避ける…しかもココは300コスト。エイムが残念な低ランクおじさんが集う場所ですやろ? 普通の弾は信頼性に欠けるわけでして」

 

 パラララララ…。

 ジムの眼前に光の粒が奔る。

 

 「んで、行き着く先がドラッツェのバルカンだかガトリングなんよね〜」

 

 光源の主であるドラッツェへ、ジムのビーム・スプレーガンがピチュンと当たる。

 

 ダメージに反応したドラッツェのヘイトがこちらに変わり、バカスカと飛んでくる豆を隕石の影に隠れてやり過ごす。

 

 「ジムLv5の強みはなんと言っても拡張性の高さよな、ザクとジムだけは同コスト帯の機体と比べて3倍以上のクソ馬鹿パーツスロットがあるから、カスパ揃えてる人からすればかなり遊び甲斐のある機体だと思う」

 

 それなりに機能するキャラコンを活かし、隕石から右手が出たら撃ち、撃ったらまた隠れる事を繰り返す。

 

 「おっちゃんのカスパは耐久ばっかしじゃろ? とりあえずリンクの装甲+HP盛って、残ったスロットで耐実弾補正上げてっから、宇宙での撃ち合いには強ぇんだぜ〜」

 

 ガトリングの豆鉄砲では埒が明かない。

 痺れを切らしたドラッツェがジムに見切りをつけて逃走に走る。

 その背を悠々と追いかけながら撃つスプレー。

 短射程ではあるが、その近さがASLによる命中精度を引き上げてくれる。

 ペチン、ペチンと弾が鳴る。 

 

 「下手くそにも安心設計…これでダメージもそこそこ出るからジムは偉いんだよー………まぁこんだけ補助輪付いててもハズす時は外ハズすんじゃけどな…わはは」

 

 その後もゴローのジムは壁汎として活躍した。

 仲間が取ったダウンに追撃のスプレーを放ち、敵に囲まれれば急降下や急上昇で錯乱し。

 常に安全な立ち位置を取るように心がけながらダメージを蓄積させ続けた。

 

 「ざっとコンナモン…なんちて」

 

 総合順位は4位。

 理想通りの行動に、理想通りの戦果。

 

 ーーー悪くない立ち回りだったぞ!

 ーーー偉い(エロい)!

 ーーージム試してみるよ!

 ーーー今日は調子は良かったじゃん

 ーーーま〜だテンション低いけど大丈夫か?

 ーーーやった!

 ーーー地味に嬉しそうなこの笑顔もヨキ♡

 ーーー宇宙はほんと立ち回り良くなったよな

 ーーーうひょ〜!

 ーーー今度は地上で爆散しる

 ーーーオツカレ〜

 

 「へへ…よーし、んじゃ次はーーーーーー」

 

 ゲーム。

 それは救い。

 現実は変わらない。

 破壊された尊厳は戻らない。

 ゲームなんぞした所で意味がない。

 

 それでも、ゴローはゲームを嗜む。

 生きるために、今日も…戦う。

 





 来週は会社の都合に振り回されるので更新出来ない可能性が微レ存。

 う〜んこの。

wキャラのコスプレ、誰を選ぶ?

  • やはり主人公! ヒイロ・ユイ
  • ココこそヒロイン! リリーナ・ドーリアン
  • お母さん! デュオ・マックスウェル
  • スネ夫! トロワ・バートン
  • 頑固ショタ! カトル・ラバーバ・ウィナー
  • オデコ紳士! 張五飛
  • 火消しの! ゼクス・マーキス
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。