酔うじょオペレーション   作:マキシマムとと

77 / 132
娘を探して三千里

 

 「スミレ〜?」

 

 

 消えた娘を探す幼女。

 見た限りキッチンには居ない。

 

 「スミちゃま〜?」

 

 お風呂場にも居ない。

 

 「パパの可愛いビビちゃんや〜い」

 

 寝室………ここにも、居ない。

 ピコピコと頭のチョンマゲを揺らしながら、ほろ酔い気分のゴローがトテトテと部屋を巡った。

 

 「…むう。帰った……とか? いや…しょれららメモのひとつでも無いとおかしいし、靴だって玄関にちゃ〜んと残ってるだもんなぁ??」

 

 何処を探しても姿が見えない。

 かくれんぼをするような年齢でもない。

 

 「スマホも圏外とか。わざわざ電源切るか普通?」

 

 怪奇現象には慣れた身の上のゴローではあるが、いざ娘が神隠しにあったかと思うと冷静ではいられない。

 

 「神隠し…怪奇現象……んん??」

 

 脳裏に過ぎったのは黒い渦巻き。

 

 「ポポちゃん、ポポちゃん………」

 

 ポポちゃんと言えば。

 

 「ポポちゃん…ワールドサーキット??」

 

 まだ酒の残る脳みそにフレクサトーンの音*1が響く!!

 

 「まさか…ッ!?」

 

 直感に導かれるまま辿り着いたバイク部屋。

 

 「ドアロックが…開いとる」

 

 急いで中に入る。するとクソデカい筐体は稼働中を示す青の光を放っていた。

 

 専用ライダースーツの着替え用に設置した棚には、自分の黒いライダースーツの隣に、見覚えのあるギャル服が綺麗に折り畳まれて入っている。

 

 「あちゃ〜〜〜〜…」

 

 秘密の趣味だったのに。

 いや…でも着替えてるって事はスミレ用のライダースーツをポポちゃんが用意してた事にならん? あ…と言うか、もしかして向こうで妖怪爺とかち合ってたりして。あの爺、曽孫には甘々だったから……………いや、待てよ?

 

 嫌な想像が脳に過る。

 

 幼女化した妖怪爺。

 それを知らないスミレ。

 妖怪爺はおっぱい星人。

 それを知らないスミレ。

 容赦なくスミレの胸をモミモミする妖怪爺。

 それを笑顔で受け入れる、無知でムチムチなスミレ………!!

 

 「許されんぞ!!」

 

 ブチ切れたお父さんが筐体のドアに手をかけようとしたその時!

 

 『待つんだっぴ!!』

 

 何処か聞き覚えのある声がゴローを遮った。

 小柄な影が筐体とゴローの間にその身体を割り込ませる。

 

 「なん…お前!?」

 

 ゴローより頭ひとつ分小さい低身長。

 びろびろと床を擦る丈長の白衣。

 白いシャツに白い短パン。

 某ハッピー星人をリスペクトしたその口調。

 

 「八木沼先生(変態クソ幼児爺)…なのか?」

 

 おそらく彼は八木沼 誠一。

 新型TS細胞YSにより老死という運命を覆した天才にして狂人。

 なぜ今彼がここに居るのか、どうしてゴローの行動を静止したのか、どうやってこの害虫を駆除すれば良いのか。

 様々な思考の果に、ゴローの口から飛び出したのはまったく別の事であった。

 

 「な…なんで、鳥山先生のマスク被ってんだよ!?」

 

 彼は頭に黒いマスクを装着していた。

 日本が世界に誇る至高の漫画家、鳥山明先生の自画像にそっくりな丸いヘルメット。

 目が丸く、口は望遠鏡のように突き出して、耳にも丸くて小さな煙突のような突起がある。

 細部に違いはあるが明らかにこれは鳥山リスペクトだと言って良いだろう(このパクリ野郎がッ!!)。

 

 身の危険を感じたゴローがゆっくりと後ずさる。

 しかし、彼は泰然とした様子で腕を組んだ。

 

 『これは対モーリくんセンヨーソービだっピ!』

 

 苦労して作った自分の作品を披露する。

 その快感から普段よりも(普段から喋りすぎなんだよこの変態はよぉ…!)饒舌になった八木沼氏。

 

 彼の話を纏めると、このマスクによりゴローから発せられる視覚・聴覚・そして何よりも嗅覚情報を完全に遮断、改変して装着者に届ける事ができるらしい。

 にわかには信じられないが、八木沼氏はゴローと関わりが無い状態では非常に聡明で理知的な天使なのだとか。

 ゴローが側にいる(正確にはゴローを五感で感知する)事で新型TS細胞YSのバグスイッチが入り、それにより自分でも信じられないような愚行を犯してしまうのだ、とかなんとか。

 そのような妄言を交えつつ、専門用語をドパドパと使って外見幼児のお爺さんが捲し立てる。

 

 『αとβの間にゆらぎがあってっピ! ボクは天才だからわかったんだっピけど、他のイッパンピーポーじゃ見逃しちゃうところだっピね! このハッケンによりボクの対モーリくんセンヨーソービの外気シャダンリツはジュウライのーーー』

 

 止まらない、止められない。

 口を挟む隙がない。

 

 『そうそう! 今はキューカクに限定して喋ったっピけどボクのケンキューに基づくと音波からもビジャクなーーー』

 

 人の言葉を遮るのはよろしくない。

 そうした感性を持つゴローなので、しばらくは身振り手振りで八木沼氏の口を止めようと頑張った。

 しかし、効果が無い。

 

 娘が心配なこの状況で、なんでこんな変態の与太話を聞かなくてはならんのか…。

 とりあえず無言で彼を押しのけ、筐体のドアに手をかけたのたが。

 

 「…あ? あれ??」

 

 開かない。

 ドアは完全に固定されており小動(こゆるぎ)もしない。

 

 『あっ! 危ないっピよ!? 今ドアが開いちゃったら大変な事になるっピ!』

 

 「は? 大変なって……何が??」

 

 ピヨピヨピヨピヨくっそ五月蝿い変態幼児の相手をしている方がよほど危険だろうが…という言葉が口から転がりかけたのだが、ポポちゃんやコイツが関わっている事柄に常識が当てはまることは無い。

 そう思いとどまったゴローは彼に続きを促した。

 

 『カンタンに言うとっピね? 今スミレちゃんはイジゲンに居るんだっピよ!』

 

 「…はぁ〜〜〜??」

 

 イジゲン…異次元と来たか。

 TS幼女に続き、正体不明の怪異女、挙げ句の果てには異次元とはまた。

 

 理解に苦しむ展開ではある…が。

 ひとまずゴローは彼の話に耳を傾ける事とした。

 

*1
ニュータイプの感応音『キュピピリピピリィィィイン!!』

wキャラのコスプレ、誰を選ぶ?

  • やはり主人公! ヒイロ・ユイ
  • ココこそヒロイン! リリーナ・ドーリアン
  • お母さん! デュオ・マックスウェル
  • スネ夫! トロワ・バートン
  • 頑固ショタ! カトル・ラバーバ・ウィナー
  • オデコ紳士! 張五飛
  • 火消しの! ゼクス・マーキス
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。