酔うじょオペレーション   作:マキシマムとと

9 / 132
【宇宙】敵の数すら覚えてられないのに、愛なんて覚えてられるわけ無いじゃないですか【覚えていますか?】

 

 Q.ゴロちゃんの宇宙戦が見たいゾ!

 

 「はいはい、も〜ほんとうっさい。君アレやろ? わかってて言ってる口やろ??」

 

 いつもの時間のいつものバトオペ。

 バトオペでは時間帯によって出撃可能なコストと戦場が変化する。

 

 今回の出撃候補は、

 

 400宇宙ベーシック

 600地上エースマッチ

 700地上ベーシック

 750地上ベーシック

 

 この4種類。

 

 「はーオワタ、今日は配信終了ですな!」

 

 らんまでも見るか!

 絶望的な選択肢の前に、早々とバトオペを諦めてナッツの袋を開けたゴロー。

 たが、そこに件の案件が飛び込んできたのだ。

 

 

 ーーーゴロちゃん辛辣

 ーーーえ、この幼女ひどない?

 ーーー切り抜きで晒されても文句言うなよ?

 ーーー無限にシコれるからやめてクレメンス

 ーーー精神ねじ曲がってんな

 ーーー性癖クラッシャー

 ーーーいやシコオジが異常なんじゃね?

 ーーー聖女もシコ☆るぞ☆

 ーーー聖女→× 性女→○

 ーーー異常者はしゃべんな

 ーーー特大ブーメラン(っ'₃')╮=͟͟͞͞ブォン!!

 

 

 今日も元気なリスナー達のコメントに、ふっとゴローの気持ちがほぐれた。

 

 「ま…いっか。君は確信犯やと思うけどバトオペ未経験勢は宇宙戦の恐ろしさ、わからんやろ〜し。イッチョおっちゃんがレクチャーしてやるぜ!」

 

 そんな訳で今回の戦場は宇宙ーーー月軌道デブリ帯ーーーに決まった。

 

 「はい〜ほんじゃまずはビー…お飲み物でも飲みながらスラスター全開にして前進前進!」

 

 レーダーに映った味方のマークと共に隕石を避けながらひたすら進む。

 

 「宇宙で大事なのは画面の端っこに出てくるちっちゃい赤の矢印ですね〜、上手い人はその矢印とレーダーをがっちゃんこして敵の位置を把握するらしいですよ〜? ほれ、バトオペの宇宙戦って地面の無い地上戦みたいなヘンテコな作りでしてな? リアルなら360度ぐるっと回転したりして敵に向き直るんやけど、ここの宇宙ではゲームのシステムに縛られてるから上下に向ける角度には限界があるんよね。だから矢印が上にあったら上を向かなきゃな追えんし、矢印が下にあったら下からの攻撃に備えなきゃならん。レーダーでの高低差がわかりづらい宇宙では特にこの矢印が大切なんよな」

 

 ーーーゴロちゃんえらい!

 ーーーよくしってるね すごいね!

 ーーーゴロオジの癖に……やるわねッ!?

 

 「まーね? 乱戦になったら見る余裕消えるんやけどw とか言ってたら敵さんですな」

 

 機影が5機。

 6対6のバトルなので敵の遊撃枠は1となる情報なのだが、当たり前ながらゴローにその情報を受け止めたり解析したりする能力は無い。

 なんとなく(わーたくさん来たなー)程度の理解が限界なのである。

 

 初手は隕石の影に隠れる。

 味方は後方に散らばっており、現時点ではゴローの駆るジムカスタムが最前線の機体…という布陣。

 

 「ん〜〜〜〜よし、見ててな?」

 

 隕石から身を乗り出してバズーカを発射…しようとしたジムカスタムの動きが敵の精密射撃により妨げられ、強制的に動きを停止させられた。

 

 ーーーなんで出たの?

 ーーーせめて上から右から出ようね!

 ーーーハチの巣にされてる

 ーーー早すぎるやろ

 ーーーゴロたん「うちゅせん、きらいだもん!」

 ーーー雑魚の見本市かな?

 

 「は〜!? コレッだよクソ! エイム上手すぎじゃろどんだけ距離離れてると思っとるのよアホか!」

 

 一撃でよろける射撃攻撃を複数人数から浴びせられ、よろけから立ち直る前に継続して即よろけ効果のある副武装を流し込まれて再びよろける。

 何をするまでも無く一瞬で、ゴローのジムカスタムは『そのMSはもうもちません! 脱出して下さい!』と言われる状態に様変わりした。

 

 「見ての通り、宇宙戦のDランクはランク詐称者であふれかえってんのよな〜、あの距離で当たり前に当ててくる敵がたぁ〜くさんやろ? この試合ムリ臭くね??」

 

 自論だが、宇宙戦はファーストウェーブで決まる。

 …何故か?

 それはバトオペのランクシステムに起因する。

 バトオペ教徒の諸君等には釈迦に説法ではあるのだが、それを言い出したらこの小説その物がシャカシャカセポセポなのでご容赦してもろて…。

 

 このゲーム、地上でどれだけ腕を鍛え、ランクを上げたとしても、宇宙戦のランクには一切影響が無い。

 その結果、地上戦でA〜S近くまで腕を鍛えたバトオペ怪人が、たまの暇つぶしで遊びに来るのだ。

 エイムの下手さを戦場の立ち回りでカバーしたり、情報処理速度の低さを地上の平面戦闘によって補われていたオジサンとは違う。

 思考速度とエイム、基本的なPSを鍛えて上位に上り詰めた変態どもの精密射撃が、ズブの素人やオジサンを狙い撃つ(ロックオン・ストラトス)

 

 つまり、腕の立つパイロットがより多く振り分けられたチームが勝つ闇鍋ガチャ!!

 

 ランクが機能しない宇宙戦に於いて、ダブルスコアは当たり前、下手をすればトリプルスコアすら通り越すクソ試合が、それはもう地上戦の比ではない確率で多発する。

 

 「あっ………かん、コレ仲間ちゃんもザコだわ」

 

 6人中2人程度ならまだギリギリ許容範囲になる(相手の編成にもよる)が、6人中3 人がエイム弱者なオジサンだった場合。

 

 「出撃して、10秒で死ねるのですが……」

 

 上下左右が開けた宇宙空間。

 隠れることもままならず、よろけを継続されて殴られ続ける。こんな環境では本物の新兵は消え去り、残るのは遊び感覚で宇宙空間を泳ぎに来る猛者ばかり。

 

 「ただでさえマッチしずらい待機時間を乗り越えたその先が、8分間殴られるだけの地獄なんですよね〜コノウミハジゴクダ…」

 

 当然勝てるマッチもある。

 だが、脚を引っ張る以外の何者でもないゴローを含めた時点で自軍は1枚不利なのだ。

 勝っても苦しい、負けてもつらい。

 

 あぁ宇宙。

 なんて残酷な。

 ヤックデカルチャー。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。