今回はモブ視点です。
たぶん今回限りなので許して…。
僕の名前は普男。
市立中高一貫校に在籍中の中学2年生。
市立に入れるくらいには金銭的に恵まれた家庭に生まれて、両親の仲は悪いけど離婚する程の熱もなさそう。
成績は中の中で、イジメ被害にあわない程度の立ち振舞は出来る。
…つまり、僕が生きてる学校の中ではたぶん、あだ名の通リそれなりに
ーーーだからかも知れない。
他人とは違う何かが欲しかったし、他人とは違う特別になりたかった。
だけど僕は運動も勉強も普通の普通。
モブはモブらしく生きるしかない…と思っていたある日、ガンダムとか言う古いアニメを題材にしたゲームの出撃待機画面を開いたまま、父がソファーで寝落ちしている場面に遭遇した。
「父さん…?」
父はついこないだまで目の病気で入院していた。その疲労も抜け切らない内から、それまで目もくれなかったゲームを購入して毎晩のように遊んでいた。
仕事で疲れてるのにお酒を飲んで、フラフラになって、負けてイライラしたり勝ってウキウキしたり。
イライラする父さんは怖いし嫌いだけど、ウキウキしてる父さんの姿は嫌じゃなかった。
だからかな?
なんとなくコントローラーを手にしてみた。
【それでは、戦場へ移動します】
「え、マジ?」
驚いたけど、そのタイミングでちょうどマッチングが成立したらしい。
基地? からロボットが発進して、そしてーーー
…どうも僕にはこのゲームの才能があるらしい。
なんとなく以前に父がプレイしていたボタン配置を覚えていた僕は、見様見真似で敵にエイムを合わせて撃ち抜いて、ひどくゆっくりと剣を振る敵機にはカウンターを喰らわせた。
撃てば当たるし、斬れば倒せる。
…ふ〜ん。
少しは面白いかも??
そんな風に感じていたら、いつの間にか8分間が経過していた。リザルト画面には父さんのIDアイコンが4つ灯り、次の画面の総合順位では金色に輝く1位の文字が、縦に真っ直ぐ連なっていた。
「マジか…俺の息子はテンパだったのかッ!?」
いつの間にか目覚めていた父がわけのわからない事を叫びながら僕の事を絶賛した。
テストで100点を取った時の反応なんて比較にもならない。瞳孔がバッと開いて、お酒の魔法よりもありありと顔が高揚して「凄いぞフツオ!?」とか「どうなってんだあのエイム、反応速度!!」とか叫びながら僕の頭をガシガシと撫でた。
◆
それからは快進撃だった。
父さんはディスコードとかいうサークル? に所属したらしくて、僕の知らない知識や小技、現環境のセオリーや空戦に適したボタン配置など色々な情報を仕入れてくれたし、僕は妙にスムーズにそのすべてを吸収して、即座に実戦で活用していった。
母さんは「このくらい勉強も捗ったら良いのに…」と言っていたけれど、自分自身を普通の…モブの、つまらない人間だと思っていた認識の変化のおかげか、勉強へ対する姿勢も少しずつ変わったし、なにより僕のゲーム時間を確保するために父さんが勉強を手伝ってくれるようになって。
結果的に学期末のテストで僕の順位は上の下か上の中くらいに跳ね上がった。
「フツオの才能はママ譲りだな!」
聞けば父と母は戦争物のFPSゲームがきっかけで出会ったらしい。
「ママはパパのアバターを撃ち抜いたが、パパはママのハートを撃ち抜いたんだぞ!」
父がそんなこっ恥ずかしいセリフを言うような人だとは思っていなかったし、母がそんなセリフで顔を紅くするとは思ってもみなかった。
「フツオは凄いぞ! これならSランクまで行けるんじゃないか!?」
冷え切って、崩壊するのを待つだけだと思っていた僕の家庭は、ガンダムのゲームと何故か僕に備わっていた才能のお陰で温もりを取り戻した。
自分のお気に入りのガンダムを通じて、父と一緒にそのアニメを観たり、母が押し入れから引っ張り出してきた古い戦争ゲームで一緒に肩を並べたりして、僕の家族には会話が増えていった。
…そして、僕がSランクをカンストした頃。
「この子は凄いんだよ」
父が教えてくれたのは1人のYouTube。
「え…何これ? 父さんロリコンだったの??」
画面の中のYouTubeは明らかに幼女だ。
小学校低学年か、その前の幼稚園児にも見える。
僕の軽口にニヤリと笑い、父が言う。
「この子は45歳の男性だったんだ。前にTSウイルスが流行っただろ? あの頃の感染被害で身体が幼女になった人なんだ」
「……………へ〜」
「信じてないわねフツオ」
横から母さんが突っ込みを入れる。大人が2人も揃って子供をからかおうとか無い話だと僕は思った。
「いや、そりゃ〜ね? というか、この子がどうしたの? あ、バトオペプレイヤー? 子供なのに凄い腕が立つって事?」
最近ではバトオペもマンネリ化していた。
単純な機体の能力はほぼ完全に引き出せるしステージの構造も隅々まで把握している。例え僕と同等レベルのプレイヤーを相手取った所で、僕はバトオペでは変に勘が働くから読み合いでもまず負けない。
だから、あえて地雷機体で遊んだり父さんみたいなプレイヤーをキャリーしてギリギリの勝利を掴み取るくらいしか楽しみが見いだせなくなっていた。
つまり、少しこのゲームに飽きていた。
僕は、僕よりも上手いプレイヤーを求めていたんだと思う………けれど。
「いや、この人は下手だよ、脳みそがおさじさんだからな!!」
ゴローと言う名の女の子。
画面の中の幼女はハッキリ言ってザコだった。
弾の命中率は4割程度、ジム・レイドとかいう即よろけバラ撒き機体を使っても2回に1回は見当違いの場所でトリガーを引き、そんな低レベルな仕事の合間にパカパカパカパカとビールの缶を空けて泥酔しながら「うがうが」と叫ぶ。
可愛い外見で客寄せをして、父さんみたいなオタクなオジサンから金を巻き上げる詐欺師みたいなヤツだと思ったんだけど。
「いや、ゴローさんはそんな人じゃないぞ」
と、かなり真剣な目でたしなめられてしまった。
「ゴローさんを悪く言わないであげて」
母さんまで擁護する。
あまりに2人が真剣な様子に気圧されたのだが。
…まぁ、それもそのはず。
数年後に知ることになったのだが、僕の家庭はバトオペや僕の才能では無く、このゴローさんのお陰で救われていたのだ。
少し前の父の入院。
病名は脈絡膜悪性黒色腫。
つまり、眼球ガンだった。
両目を蝕むその病気により将来へ希望を見出だせなくなっていた父はあえて母との距離を置き、離婚を視野にして本心とは真逆の言動を繰り返していたのが、僕の家庭が冷え切っていた事の真相。
ゴローさんが提供してくれた新型TS細胞の効力によりTS幼化再生処置を施された父の目は一夜にして健康を取り戻した。
父さんは仕事を続けられるし、母さんとも別れる必要がなくなった。
一部の医療従事者の間では公然の秘密になっているのだけど、父さんのように命や人生を救われた人は世界中にいて、その数は日に日に増加しているらしい。
今はまだ目や、一部の内蔵など。
TS幼化現象が人体に影響を及ぼす割合が低い臓器に限られているが、医療技術の進歩により更なる転用が可能になるとかならないとか…。
まぁもちろん、この頃の僕にはそれを知る由も無かったのだけれども。
◇◇◇
【…え〜そんな訳で】
画面の中で幼女が喋る。
今日はコスプレをしているけれど、なんのキャラなのかはわからない。
水色の髪のツインテールで、頭には緑の丸い帽子。
ピンクのシャツの上に黄色い大きなポケットが特徴的な柿色のオーバーオールを身に着けていた。
背後には崩れた字で、
『なぜなにオペし子』と書いてある。
「ルリルリだと………!!」
なんたが父さんの目が怖い。
「ルリルリ…ハスハス♡」
母さんの声は聞こえかなった事にした。
【TS幼女おじさんのTS幼女おじさんによる、この世で嘆くエイムよわよわおじさんの為だけの! ぜんっぜん正しくないヴィクトリーガンダム使用講座、は〜じま〜るよ〜〜〜〜〜〜】
画面の中。
お酒の魔力で目がジト目になったTS幼女おじさんが、楽しげにショーの開幕を告げた。
なんやかんや引っ張ってすまない。
(もう今週の新機体が出てる)
次回で〆るからえーやろの精神。
あ、そうそう!
アンケ更新したんで良けれは参加してみてね
(ㅅ´³`)チュ♡
水星の魔女のコスプレ、誰を選ぶ?
-
赤いたぬき・スレッタ!
-
白いきつね・ミオリネ!
-
ツンデレ侍・グエル!
-
日陰の美人・ニカ!
-
ボンボン頭・チュアチュリー
-
ハッピーバースディ・エラン
-
エロの化身・シャディク