バキ×神さまの言うとおり   作:夢中さん

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キ~~ンコ~~ンカ~~~ンコ~~~ン

 

 

 

 

 

 

校内にチャイムが鳴り響く。

掌を合わせる少年は、そのチャイムを聞き"終了"の合図だと悟る。

 

赤色に迸る眼光を浮かばせ、立ち上がった。

 

 

『たった今、全ての鬼が倒されました。よって、今生きている生徒を合格とします』

 

『スグに次のカミキュラムを...と言いたいところですが、皆さんお疲れでしょうから、ここらで一度"給食"としましょう』

 

『皆さん東棟一階の食堂フロアに集まってください。おかわりは自由ですよ♪』

 

 

指示通り、学校内にバラついた人間たちが食堂フロアへと訪れる。

此処へ連れてきた"にの"が給食を提供しており、疑心を振り払えずにいる中でも、腹は空いた。

 

皆は一度、休憩の時間へと身を委ねた。

 

 

「───えっ」

 

 

箸で取ろうとした唐揚げを、やえは横取りし口に放り込んだ。

 

その顔には不満そうな表情が浮かんでおり、苛立ちがひしひしと感じられた。

 

 

「あのぉ、それ俺の....」

 

「何で約束守ってくれへんのッッ!!」

 

「ッ!!?」

 

 

急な大声に度肝を抜かされ、同時に周囲の視線も集まる。

 

スージーはやれやれとした面持ちで給食を食べ続けていた。

 

ぴく、びく、と震えながら怒るやえの顔は、言う事を聞かない子供に叱る母親のような雰囲気を感じれた。

 

 

「すぐ帰ってきてって言うたやんっ....また、前みたいに闘おうと、したんでしょ...?」

 

「あ...ごめん。やえさんたちを巻き込みたくなかったから...」

 

「それでも一人で行ったりしたらアカンよッ!ウチらが助けてなきゃ、バキくん、もしかしたら....」

 

「......なんでそこまで気にかけるんです?」

 

「そ、それは」

 

「「......」」

 

 

「とっ、とにかくぅ.....もう無茶したらホントに怒るから」

 

 

不満そうに給食を食べ続けるやえを、少年は不思議そうに横目に見つめ、そして目を離した。

 

食べ続ける度に、思い返す。

胃袋の中を満たす度に、思い出す。

 

神の使いと闘った。

 

 

「.......ッッ」

 

 

夢じゃない、疑りようもない。

右腕に打ち込まれる金棒、今もハッキリ生々しい。

 

何度だって驚ける。

一体....誰が信じる!?

 

鬼と闘った。

人形(ガラクタ)とはいえ、確かに生きる、知能もある鬼と闘った。

 

何の前触れもなく、神を名乗る者が訪れた。

奴の力は、一体どこまで到達するのだろう。

 

 

「(ツイてる.....滅茶苦茶ツイてる....ッッ)」

 

「(太古から蘇った古の戦士ピクル.....最強の名を欲しいままにした範馬勇次郎.....)」

 

「(そして今此処に、勝つとか負けるとか、闘うとか、そんな次元ではない、崇め奉るハズの存在...『神』が俺の前に...)」

 

 

 

「(分かったよ.....もう、理解かった....)」

 

 

 

 

時代が───法則が───神が───俺が。

 

 

 

 

人類史最強を決めようとしている。

 

 

 

 

 

「(もう直だ....もう直誰もが気付き始める....ッ)」

 

「(今に生きる、神を知る....)」

 

「(タダでは済まないぞ....ッ!!!)」

 

 

 

顔中に冷や汗が溢れるのに、表情は不気味に笑っていた。

小刻みに震えてしまい、やえも流石に異変に勘づく。

 

 

「たまんねぇなァやえさん....!!」

 

「ふぇ?!」

 

「こんなことってッ....想像もつかねぇような強ぇヤツと、心ゆくまで闘れるんだぜェッッ!!」

 

「~~~~~~~~ッッ」

 

「ど、どうしたんだい!?」

 

総毛立たせるやえとスージー。

 

 

「何をしてくるか分からねぇ....何が起こるかさえ分からねぇ...ッッ」

 

「そんなヤツとやれるんだぜェッッッ!!!」

 

 

握り締める箸が、バチンッと二つに切断される。

 

その言葉が食堂内全域に響き渡り、静けさの後にざわつきが引き起こる。

 

やえも何を投げかけたら良いか分からずにいた。

しかしその状況に気が付いた少年は、ハッとさせ、落ち着きを取り戻した。

 

 

「ご、ゴメンッ.....人、死んでるのに、こんなこと....」

 

「いや...ウチは、そういうの、良く分からんし....っ」

 

「医者に診てもらった方がいんじゃないのかい...?」

 

「~~~~~~~~~ッッ」

 

 

頭を掻き、自分の"こういうところ"に嫌気が差していた。

馬鹿みたいだと、一度頭を冷やす事にしたのだった。

 

 

「なんだ今の人....?」

 

「クレイジーボーイorバトルジャンキー....」

 

 

ある二人の少年はそう呟いた。

 

 

 

 

 

『───あー、皆さんご機嫌よう。セイン・カミです』

 

 

 

 

 

暫く経った後、放送でカミの声が流れ、視線が一気に天井の方へと向く。

早速次の試練かと、無意識に肉体が拒む。

 

 

『YOU達は何故、こんな目に遭っているのかとお考えだと思いますが、その前にまず、自分たちは学校を休んだ不良(クズ)だということをお忘れなく』

 

『出席者はもっと頑張ってますからね』

 

『YOU達はソレに対するアンチテーゼ...."裏ルート"です』

 

『一次オーディションを勝ち抜いた貴方たちにだけお伝えしましょう。何故、貴方たちが此処へ集められたかを!!』

 

 

 

ウォンッ

 

 

 

巨大モニターが何かの映像を照らし映した時、全員が愕然とした。

そこには通常通り学校へ出席した者達の"試練"がLIVE映像として映し出されていたのだから。

 

 

「.....!!!」

 

 

奇妙だった。

 

腕の生えたこけしのような物体が、自らの腕を縄とし"縄跳び"を行っている。

 

その縄を必死に何度も跳ぶ男二人。

次第に疲労は溜まり、その片方の男が遂には力尽きる。

 

 

 

 

ザシュッッ

 

 

 

 

「「「!!??」」」

 

「うわぁぁッ!?」

 

「足が....っ」

 

「死んだ!?死んだ!!?」

 

 

引っかけた足が切断され、カメラの方へ飛来する。

悲鳴が湧く中でも、淡々とカミは説明を続けた。

 

 

『これはちゃんと学校へ行った者達です。私たちと同じように、彼らは"ある者"にふるいをかけられています』

 

『そのある者とは"神小路かみまろ"』

 

『彼は試練を受ける子供たちを"神の子"と呼び、彼のやり方で選別を行っています』

 

『そして此処は学校へ行かなかった者達の選別....神の子ならぬ、"カミーズJr."なのです!!』

 

『ここまではよろしいですか?』

 

 

よろしいハズがなく、皆のどよめきが止まらない。

しかし間髪入れずに衝撃の一言が発せられる。

 

 

『選別の後、カミーズJr. VS 神の子 を予定していますから───YOU達、闘っちゃいないよ』

 

『要は学校行くか行かないかどっちが偉いかってことです』

 

『説明は以上で終わりです。アンダースタン?』

 

 

プツン.....とLIVE映像が途切れる。

 

何故このゲームが行われているかの根本の理由は何一つ伝えられていないが、目標は大体定まった。

 

選別を終え、神の子と闘うこと。

最終的に、神の力を得ること。

 

それが本当にゴールなのか、全く予想がつかないが、まず間違いないのは生きなければならないということ。

 

ケツの穴晒してでも勝つ───それくらいの度量と度胸が無ければ、恐らく呆気なく死ぬことになるのだろう。

 

バキはそう確信しながら、不安に思う。

 

 

「───ふざけんじゃねぇッ!!なに映像切ってんすか!!?まだ青山が闘ってるでしょうがッッ!!」

 

 

ある少年が怒号を散らす。

映っていた男の友人だろうか、焦燥に駆られ、冷静さをかいている。

 

その少年と同じく、彼もまた不安の種が芽生えていた。

 

あんなゲームを、"彼女"は乗り越えられるのか....?

 

 

 

 

もしかしたら、もうとっくに?

 

 

 

 

「.......梢江」

 

「!....バキくん、大丈夫?」

 

「.....あぁ」

 

 

顔色が悪くなっているのをやえは見た。

 

体が力み、拳に力が入っている。

先程の"何か"とは違い、これは誰もが等しく抱く感情の一つだとやえは思った。

 

誰かを、心配してるんだと。

 

 

「!....やえさん?」

 

「大丈夫。きっと大丈夫だよ」

 

 

震える拳を優しく掌で覆う。

自然と震えが収まり、落ち着きを取り戻してゆくのが分かった。

 

少年はきょとんとした丸い目でやえを見る。

 

やえはその視線に気が付き、少し照れ臭そうに笑った。

 

 

「あ、あの、ちょっと聞きたいんやけどさ、バキくんって」

 

 

 

シャンシャンシャン

 

 

シャンシャンシャン

 

 

 

聴き心地の良い"鈴"の音色が辺りを包む。

 

屋外からだろうか。

人々は咄嗟に幾つもの扉を越え、外へと出た。

 

 

『おっと、聞き馴染みのある鈴の音ですね』

 

『それではそろそろ、次のカミキュラムへと進みましょう』

 

『皆さん、私が最初にこのゲームのヒントとして"しりとり"と言ったのを覚えていますか?』

 

『二宮金次郎尊徳→くすだま→まめまき→きゅうしょく....はてさて、次の刺客は一体どなたでしょうねぇ』

 

 

連れられるように外へと流されたバキは、空にある光景に目を見開かした。

 

 

心做しか雪が───特別な日が───やってきた。

 

 

 

 

「メリークリスマ~~~スだよ~~~ん」

 

 

 

トナカイに引かれたソリの上に乗るのは誰もが知るあの男。

 

赤い服に赤い帽子、白い髭に白い大袋。

 

 

「アレは....サンタ、クロース....やんね?」

 

「で、デッか...ッッ」

 

 

3mをゆうに越える体躯のサンタクロースが、皆の前へとうとう姿を現した。

 

地面へ着陸し、サンタは両腕を大きく広げた。

 

 

「学校サボった悪い子たちに、プレゼントを届けに来たよ~~~ん」

 

「三つのうちから選びなさ.....」

 

 

 

グルンッッッ

 

 

 

 

「とかなんとか言われても分からないだろうからきちんと説明してやろう」

 

「(顔が変わった....?)」

 

 

サンタの頭がグルリと回転し、朗らかな優しげのある顔から、雷のように威厳のある怒りの顔へと変わったのだ。

 

バキはギョッとし、思わず肩をガクつかせる。

 

 

「まず第一に、プレゼントの中身は受験票なり。お主らは三つの試験場の中から一つを選ぶべし」

 

「今此処にいるのは全部で98名。それがそれぞれ36・32・30名に別れる規則」

 

 

 

グルンッッッ

 

 

 

 

「ヨーホホ、別れた試験場で試験内容も異なります。であるからして....生き残れる人数もそれぞれ異なるのでご注意を...」

 

「(また変わった....)」

 

 

今度は貧乏なよぼよぼとした老人へと顔が変わる。

周期的にこの三つの顔が全てだろう。

 

 

「まずは音楽室で行われる"いすとり"。定員36名、合格者は最大18名」

 

「次に3年B組で行われる"すなとり"。定員32名、合格者は最大24名」

 

「最後に体育館で行われる"あやとり"。定員30名、合格者最大10名」

 

 

それぞれの試験会場が発表されると同時に、残酷さが合格者の部分に現れる。

 

少なくとも全試験合わせて半分は、死ぬという現実が人々の体を恐怖で蝕んだ。

 

しかしゆくしかない、生き延びる道を辿るしかない。

 

 

 

 

「ヨーホホ、ちょちょいと選びんさい」

 

「早い者勝ち、売れ切れ御免」

 

 

 

「三択ロースの『クリスマスプレゼント』だよ~~~ん!」

 

 

心臓が高鳴り、武者震う。

 

死ぬかもしれない、そんなスリリングなことが、この体は大好きなのだ。

 

闘うということが、大好きでたまらないのだ。

 

 

 

「ひぇ~~~~.....ッ」

 

 

 

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