遊戯王GXの世界に入ったからダークコーリングする。   作:どるねお

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零:力はパワー

少し面白い話をしようか。それは、何処にでもいるごく普通の高校生。

いや、本当にごく普通の高校生(コレ大事。この前置き大事)。しかし、

異能バトル物でも、恋愛ものでも、エロゲでも「ごく普通」大好きだよね?

お前等みたいな「ごく普通」がいたら苦労しねぇよリア充爆しろって感じだ。

っと話がずれたな。これはそんな青年(まぁ俺なんですがね)阪乃蓮児が見て、体験する

熱き決闘者の話だ。まぁ、実際熱くないかもしれないがな。

 

 

―――現代日本の都内某所カードショップ。そこから話は始まる――――

 

 

「ふっはっははははははは! 力こそパワーッ!」

 

両手を天に向け大仰に勝ちどきを上げる。正に気分は形態変化したラスボス気分だ。

真の力を解放した的な?そんな感じだ。

 

「……蓮の字よ。《ダーク・コーリング》を引いたのが丸わかりなアクションは

止めろよな? 力とパワーは同じ意味だぞ? 力は力って意味分かんねぇからな?

あとそんなに大声出すと出禁喰らうからやめろ」

「ツッコミが多いんだよ雅史てめぇ! 見とけよ見とけよッ!」

 

俺は、魔法・罠ゾーンに必殺の一枚を置き宣言する―――――――

 

「《ダーク・コーリング》発動だッ! 畏れ慄くがいいッ!」

「あ、《神宣》で(嘲笑)」

「て、てめぇ! 絶対に許さねぇぞ!」

 

そのまま俺は発動が無効になった我が切り札を墓地にぺちっと置く。なんともその儚い

音が俺の心理状態を表していた。無常だ……世の中は。

 

「悔しかったらもう一枚発動してみれば?」

「てめぇ、デッキに一枚しか入ってないって分かってて言ってんだろ!」

「そりゃね。大体、他のデッキにも一枚づつ《ダーク・コーリング》入れてる変態は

蓮児しかいないと思うぞ? なんで切り札って言うくらいなら3枚積まないのさ」

 

コイツはまるで分かっていない。なんで一枚しか積んでないかって? そりゃ……

 

「ここぞって時に引いたら「ッ!――――来たかッ」って出来るだろ?

デッキに何枚も入ってたらありがたみが減るじゃねぇか」

 

俺のデッキは現在7つほどあるが、全てのデッキに《ダーク・コーリング》が一枚

入っている。特に意味が無くても入れている。理由は好きだからだ。名前の響きも

いいし、《E‐HEROダーク・ガイア》はもう遊戯王人生の友と言ってもいい。

時代に左右されずに出せば高打点アタッカーとして機能するしな。

……流石に純正の【E‐HERO】は厳しいが。

 

七皇の剣(セブンス・ワン)でやりなよ……」

「あァ、チクショウ。お決まりってもんが分かってねぇな。っと時間だ」

 

俺は壁の時計を見る。時刻は6時半。

 

「そうだね。僕も帰るかな。勝負は―――――」

「俺の負けだよ。後巻き返せる手がねぇ」

 

その後店を出て雅史と別れた。

 

 

「流石に最近のデッキは辛いな」

 

帰路につきながら一人言う。最近はクリフォートだとかシャドールとかガチ以外にも、

DDDだとかのファンデッキも強い。ダークガイアさんだとすぐに除去られてしまう。

いや、俺のプレイングとデッキ構築が問題なのだが……いやそれでも自分の好きなカードで

闘うのは悪いものではない。ポージングとかつけながら「《ダーク・コーリング》発動ッ!」

とか叫ぶのは最高に楽しい。故に俺はたまに思うことがある。

こいつ(遊戯王)で生きていける世界に行ければなぁ」と。アニメや漫画の主人公らのように

叫びながら、ぶっとんだ決闘をしてみたい。まぁ《ダーク・コーリング》は覇王さんのだけど。

それでもやはり男なら、アニメの主人公のようにかっこよくエースモンスターの名前を呼び、

技名を叫びたいわけだ。だが、現実のカードの対戦じゃそんなのしたら迷惑だし、そもそも

こんな考えを誰かに話そうものならば、「ハハ、中二病乙」と笑われるだろう。そもそも、

「中二病」って何だよ。アニメの主人公に憧れちゃいけねぇのかよ。だから、高校1年になった

今じゃ、風呂場で「喰らえッ! ダーク・カタストロフッ!!」と叫ぶくらいしか出来ない。

拳を突き出して叫んだり、手を振り切ったりしてポージングする。……こんなの恥ずかしくて

他の人に暴露出来ないわけだが。

 

「あ~ぁ。俺もかっこよく決闘してぇ」

 

と、その時だった。視界が――――世界が暗転する。よく異能バトル系アニメにあるような、

ザザッとノイズが走り、俺の視界が黒に変わる。う、動けねぇ。

なんだ? 空間凝固か? それとも時間操作? 定番ですよね……そういう能力。

ただ、これは現実だ。そんな現象が起きるはずがない。だが、なら今起きているこれはなんだ?

 

“――――――その願い。叶えてあげようかな”

 

こいつ、脳内に直接ッ!って感じに若い男の声が耳に木霊する。これは、シンパシーかッ!?

そう言えば、「これは……シンパシー?」「え、シンパシー?」って会話見なくなったよね?

アニメポ○モンの話です。

 

“「あ~ぁ。俺もかっこよく決闘してぇ」ってやつだよ”

 

その声は俺の声真似なのか凄く似ていた。凄く、恥ずかしい……

 

“退屈してたんだよねぇ。それ面白そうだし。僕が叶えて上げるよ”

 

どうやってですかねぇ……

いや、この空間固定状態の時点で常識がフライアウェイしてるんだが。

 

“どうするか? そんなの簡単”

 

こうするんだよ。との声が響く。すると、今度こそ何も見えなくなった。

ただ耳には「じゃ、楽しいものを見せてくれよ?」という一言だけがループして

残っていた。遊戯王的に言えば――――まるで意味が分からんぞッ!ってやつだ。

 

 

「―――――み、君ッ!」

 

身体ががくがく揺れる。だれかが身体を揺すっているのか? 

あ、知ってるぞ! コレってアニメとかゲームだと目を開けると可愛い女の子なんだよな!

で、目が合っちゃって「……あッ!」みたいな! それに違いない! 

さて、じゃあ待たせても悪いし。目を開けるかな。

へへッ……これが運命の出会いになるんだろうな。いや、参ったね。

 

「ん? 目が覚めたかな? こんなところで、大丈夫かい?」

「誰だこのオッサンッ!(驚愕)」

 

「失礼だな君ッ!?」

 

とまぁ、そんなこんなでこのおじさん。當田宗次さんとの出会いがあったおかげで

今を生きていける訳だが……今は割愛しよう。面倒だし。

 

 

―――気付いたが、どうやら俺はアニメ遊戯王の世界に入ったみたいだ。GXのな。

どうやらあの男の言った通り「叶えてくれた」んだろう。紆余曲折あり、

俺は、決闘者育成機関。そうだ。あのデュエル・アカデミアを受験することにした―――

 

 

「準備は大丈夫かね? 蓮児君?」

「あぁ! バッチリさ。けどさ、なんで俺のことこんなに面倒見てくれたんですか?」

 

ここに入って?いや、ここは「転生」と言うべきだな。その方がかっこいいしな。うん。

転生してから二ヵ月余り。宗次さんは俺を家に置いてくれた。その一切の理由も明かさずに。

普通の優しいおじさんの枠を超えている。

 

「それはだな。――――――君が君であり、私が私だからさ」

「ん? よくわかんねぇから。もうそれでいいわ」

 

大人の事情なんですね。わかりません。

 

「さぁ、行きたまえッ! 若き決闘者よッ!」

「う、ウス……」

 

なんか熱い見送りで、うやむやにされたがまぁいい。なんたって、この世界には

ソリッド・ヴィジョンがあるんだ。ここでなら思う存分自分の思うままに決闘できる!

 

―――――訳ねぇダルォッ!!!!

 

俺の持ってるカードなんてほとんど此処じゃ使えなかったよッ! 決闘盤が読み込まねぇ!

質に入れればオリカ扱いだよ! まぁそうですよね? この時代にはシンクロもエクシーズも

ペンデュラムも無いですしね。超絶無双、他の追随を許さない俺TUEEEEEE!なんて

出来るはずも無かった。だが、それでも俺の所持カードで使えるものもいくつかあった。

それはサイクロンや奈落等の汎用カードと、そして《ダーク・コーリング》ッ!

何故か使えた! どうやら、補正でもかかってるようだ。そして、《ダーク・ガイア》だ。

これは《E‐HERO》が取れてただの融合モンスターへと変わっていた。いいんですかねこれ?

世界的に。と思ったけど。そんな事関係ねぇ。と、結果的に思う存分決闘できそうです。

 

「んじゃま、試験会場に行くとすっか」

「たまには電話して来たまえよ? おじさん寂しいから……」

 

俺は、これから始まる戦いと青春にあふれた未来を想像しながら前を見据えて歩いた。

後ろのオッサンを無視して。

 

 

「受験番号、97!」

 

俺の番号が呼ばれる。この番号は前日行われた筆記の結果が反映されたらしい。

正直俺は、アニメはかじる程度の知識しかないので今後の展開とか詳しく分からない。

だから、「十代でも入れたし筆記余裕だろww」とか思ってたら、なかなか難しかった。

97という俺の番号はケツの方だ。正直舐めてました。

 

「はいッ!」

 

俺は呼ばれた通りにブースへ移動する。ここが俺の戦場になるんだ。と、意気込みを込め

深呼吸する。周りを見れば、同じような受験生。その元では種類様々なモンスターがバトル

を繰り広げている。改めて思う。すげぇと。なんていうか、ワクワクする。

 

「君? どうした。早く用意しなさい」

 

あまりにきょろきょろしすぎて、注意を受ける。そうだ。これに勝ってアカデミアへ

行くんだ。そこで、思う存分楽しむ。決闘を! この世界を!

そのためにはまず―――――この一戦に勝つ!

 

「受験番号97ッ! 行きますッ!」

 

駆動音を立てて、腕の決闘盤が展開する。

 

「君、名前を」

 

「っと。そうだった。俺の名前は阪乃――――阪乃蓮児です!」

 

さぁ、決闘を始めようかッ! 

 




人物名鑑①

《阪乃 蓮児》 
使用デッキ:【ダークガイア】

好きな物は《ダーク・コーリング》。語感と切り札感が好きらしい。
全てのデッキに一枚づつこのカードを入れる変態。
呼び出すモンスターは《E‐HERO ダーク・ガイア》。このモンスターは
彼にとって「決闘人生の友」らしい。自転車に乗って気分が乗った時等に
「行けッ! ダーク・ガイアッ!」と叫んじゃう痛い青年。
思う存分痛い行動に出れる遊戯王世界に入った彼は、今後どうするのだろうか。
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