遊戯王GXの世界に入ったからダークコーリングする。 作:どるねお
あらすじ。なんか変な女子に絡まれましたストレスで禿そうです。
「お前、今なんて―――――」
「私とデュエルして、私が勝ったら“付き合って”貰う。そう言ったのよ。
その歳で難聴だとこの先さぞ生きづらいでしょうね。早急に耳鼻科に行くべきよ」
「お、俺の耳は正常だッ!」
いちいち一言余計な奴だな。しかし、発言の真意が見えないぞ。
「さぁ、行きましょうか」
「ん? 何処か行くのか? じゃーなー」
ラッキーと言わんばかりに手を振る。ここで「なッ何処へ行くんだ」とか
言ってついて行ったら最後、あっちの思う壺だ。
馬鹿め。古今東西そう簡単にお約束に引っかかるのはアニメやゲームの主人公だけだ。
まぁ普通に美少女だったら俺もホイホイ着いて行ったかもしれないが、相手は顔は
いいが性格や言動がマイナス過ぎるので、ここでお別れさせてもらおう。
だが、彼女は2,3歩先へ行っただけでこちらを振り返る。
「舐めてるの?」
「全く。第一話が突拍子過ぎるだろ」
「負けたら私と付き合いなさい」だぁ?そんなもんに引っかかる馬鹿が何処
にいるんだよ。
「それもそうか……男ならこう言えば釣れると思ったんだけれど」
小声で言っているようだが、丸聞こえだ。やだ、女子って計算高い。
「おい、聞こえてんぞ。そういうのは頭の中でやれよ」
「なんのこと?」
しらばっくれやがって。
「まぁいいわ。兎に角デュエルしてよ」
「最初からそう言えばよかったんだよ。いいぜ、デュエルくらいならさ」
なんだよただデュエルしたかっただけか。別にお付き合いとか期待して無いけどね。
これっぽっちも期待して無いからね別に。「ワンチャンあるかな」とか思ってない
からね。本当だから!
「そう。じゃあ場所を変えましょうか」
「そうだな。ここでってのもなんだしな」
俺たちは、とりあえず試験会場から出ることにした。
◆
“さぁて、まずは一勝。いや、あれはチュートリアルみたいなものだしねぇ
まだRPGゲームじゃ最初の街すら出て無いからねぇ。頑張ってよね?”
◆
「この辺でいいわよね?」
「あぁ。いいんじゃないか」
試験会場から少し離れた公園へやって来た。平日の午後ということもあり、
人は疎らだ。別に人が居ても構いはしないのだが。
「やる前に一つ確認だ」
「何?」
「なんで俺の名前を知っていた? どこかで会ったか? ……もしやお前もこの世界に
飛ばされた、とかか? あっちでのクラスメイトとか?」
俺あまりクラスメイトの顔覚えてないからな……ボッチだった訳じゃないが。
「え……なにその「俺の考えた脳内設定」的なの……冗談でしょ。別にあなたが脳内で
どんな痛々しいストーリーを考えようが、そこは個人の勝手だけど。それを白昼堂々
披露するのはどうかと思う」
「……正直、無いかと思ったけどそこまで馬鹿にしなくても」
「馬鹿にはしてないわよ? ただ引いているだけ。
あっちとかこっちとか意味分かんない」
さいですか……
「兎に角さっさと始めようぜ。続きは
「その物言いが少し癪に障るけど。そうね」
そう言いながら互いに決闘盤を構える。
「さぁ。楽しい
「あなたの実力。見定めさせて貰うわ」
決闘盤のディスプレイに先攻後攻が示される。俺は……後攻か。
最初っから殴れるから後攻は大好きだ。
「私の先攻。カードドロー。なるほど」
筒美はハンドを見て暫し思案する。引きが悪かったのだろうか?
「私は、モンスターを裏側守備表示でセットしてターンエンドよ」
彼女の前方に、裏側状態のDMカードが伏せられる。え、それだけか?
「「え、それだけか?」って顔ね。さぁ、貴方のターンよ」
「お、おう。俺のターン! ドロー!」
考えを見透かされてるのか? いやいや、まさか。このポーカーフェイス日本代表
と揶揄されているかもしれないこの俺が?
「俺は、《デーモン・ソルジャー》を召喚するぜ!」
俺の前方にマントを羽織った悪魔が現れる。
「コイツの攻撃力は1900。何を企んでやがんのか知らねぇが粉砕してやるぜッ!
伏せモンスターに攻撃だッ! “デビル・スラッシュ”ッ!」
《デーモン・ソルジャー》が伏せられたカードにその鋭い爪で襲い掛かる。
だが、そのカードは破壊されることは無かった。
「迂闊ね。攻撃されたモンスターは《マシュマロン》よ」
「ま、マシュマロンだとッ!?」
「《マシュマロン》の効果を発動。裏側表示のこのモンスターが攻撃されたとき、
相手に1000LPのダメージを与える!」
「くッ……姑息な真似しやがるぜ」
蓮児:3000LP
「あら? 至極真っ当な戦略だと思うけど? 迂闊にも何の警戒も無く突っ込んで
来たそちらに非があるはずじゃないのかしら?」
「そーですねぼくがばかでした」
「自覚しているのね」
「うっせ! 俺はカードを一枚伏せてターンを終了する」
マシュマロンはさらに厄介なことに戦闘破壊耐性を持っている。しかし!
俺には《ダークガイア》がいる。アイツの効果の前には守備表示なんて無力だ。
だから、《ダーク・コーリング》早く来てください。
「私のターン。これは面白いカードを引いたわ。《堕天使ナース‐レフィキュル》
を攻撃表示で召喚」
「レフィキュルッ!? おま、そのデッキ……【シモッチバーン】かなんかかよ!?
性格わっりぃなおい!」
《堕天使ナース‐レフィキュル》
ATK1400/DFE600
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手のライフポイントが
回復する効果は、相手のライフポイントにダメージを与える効果になる。
【シモッチバーン】とは、主に《シモッチによる副作用》や《ギフトカード》
などのコンボを用いたバーンデッキの一種だ。相手のLPを回復する効果を持つカード
の効果を利用して相手にダメージを与えていくのが主な戦い方だ。
相手を回復させてダメージを与えるから、【キュアバーン】とも言うだろう。
特にこの世界の4000LPルールで《ギフトカード》なんぞ見えた暁には一瞬でLPが
刈り取られるわけだ。この女、末恐ろしいデッキを使いやがるぜ……
「あら、ならお返しにあなたのLPを回復してあげようかしら?」
「いや、それこの状況下じゃ単に「お前にダメージを与えてやるよ」って言ってますよね?」
「そうも言えるわね。じゃあ、私は《成金ゴブリン》を発動。私はデッキから一枚
ドローする。そして、あなたは1000LPダメージを受ける」
「くッ……」
蓮児:2000LP
このように、《成金ゴブリン》が「自分は一枚引けて、相手に1000ダメージ」
というようになる。こうしてアドバンテージを稼いでいくのだ。
「これは……面白い一枚が引けた。私はこれを伏せてターンエンドよ」
「くッ、愉悦しやがってんな。けどな! 俺だって負けてやる気はさらさらねぇぞ!
俺のターンだッ! ドロ―――――――ッ!」
頼む、何か来てくれよッ!」
「っし! 俺は、フィールドの《デーモン・ソルジャー》をリリースッ!
コイツを召喚すんぜッ! 《邪帝ガイウス》ッ!
こいつがアドバンス召喚――――ここじゃ生贄召喚か?に成功したとき、場のカード
一枚を除外できるッ! さらにその除外したカードが闇属性だったとき、相手に
1000LPダメージを与えるッ! 俺が選択するのは《堕天使ナース-レフィキュル》!
そいつは闇属性だよなぁ? 仕返しさせてもらうぜぇッ!!」
「きゃッ!」
筒美:3000LP
「……けどまだ私の場には《マシュマロン》がいるわ。その効果、判断を誤ったんじゃ
無いかしら? いくらコンボを崩そうとも、戦闘破壊耐性を持った《マシュマロン》
がいればいくらでも切り返しは―――――」
なるほどなるほど。確かに、そいつの除去は苦労するなぁ。この時代じゃ特にな。
「とでも思ってんのかよッ! 俺にはこいつがあんだよッ! 行くぜッ!!!
魔法カードッ! 《ダーク・コーリング》発動ッ!!!!」
俺は俺の切り札を天高く掲げる。
「あの時使ってたカードね……それが」
「いつだって何度だって使ってやるぜッ! 俺は手札の《ストーン・ドラゴン》と
墓地の《デーモン・ソルジャー》を除外ッ! 交わる2つの魂が絶望の化身を呼び
覚ますッ!
そんな陳腐な戦術じゃ俺は抑えつけらんねぇってなぁッ! 出やがれッ!
《ダーク・ガイア》ッ!!!! そのままバトルへ移行するぜッ!」
「攻撃力……3900ッ?! けど、《マシュマロン》は守備表示―――――――」
「んなもんは効かねぇッ! ダーク・ガイアが攻撃する時、守備表示モンスターの
形式を攻撃表示に変更できるッ! 絶対不防御ッ! 森羅万象全てを
絶する覇なる一撃ッ! “ダァァァク・カタストロフ”ッ!!!!!」
ガイアの凄まじい一撃がマシュマロンを粉砕する。そのまま相手のLPをも根こそぎ
奪い去る。戦闘破壊耐性? そんなもんはしらねぇぜ!
「きゃぁああああああああッ!!!!」
閑散とした公園に彼女の悲鳴が木霊する。少々やり過ぎたかもしれない……
つい、ノリノリになってしまった。
筒美:0LP
「お~い。大丈夫か……」
「当たり前よ」
良かった。どっか怪我でもされたんじゃ目覚めが悪いからな。
「ってことで、決闘は俺の勝ちだ。ほれ」
俺は右手を尻もちをついている彼女に差し出す。
「なにそれは? 貴方の右手の雑菌を受け取れと?」
「ちげぇよッ! 「立てるか?」ってアレだよッ! 察せよ!」
女子に手を出すなんて割と勇気いんだぞ。
「なるほどね。けど、無言で手を出す方にも非があると思わない?」
そう言いつつも捕まるのかよ。まぁ無視されたら凹むんだけどね。
「……素直じゃねぇな。決闘、楽しかったぜ。またやろうな」
「そうね。けど、決闘中のあの痛々しい詠唱?的なのはどうにかならないの?」
「なッ……滅茶苦茶かっけぇだろうがッ!」
結構昔からあっためてきた渾身作なのに。え、やっぱりシンプルに着飾らずに
ただ叫んだ方がシブいのかな……「ペ○ソナッ!」みたいな? 一考の余地ありだな。
「ねぇ、それより決闘したらお腹が空いたのだけど? 何か奢ってくれない?」
「ん? あぁ……そうだな。って俺が奢んのですかッ!?」
その後、近くのファミレスに入り俺の財布には《大寒波》が訪れた。
この女食い過ぎィ! てか、結局なんで俺と決闘したんだ?