とりあえずは前回で原作における序章を終えて一安心しています。
今回はちょっとした日常が強めの物になっております。
8.あれから約2週間後
4月17日土曜日
士官学院に入学してから早くも2週間。
新入生も学院生活に慣れ始めた頃、ミナズキの朝の日課は決まりつつあった。
朝6時に目を覚まし、軽く太刀を振る。ミナズキ自身としては実のところ誰かと稽古するのは好きではない。
そもそも稽古と実戦の違いがいまいち分からないのだ。それ故にどの程度加減をすればいいのか、どうすれば勝ちとみなされ、負けになるのかが掴めないのだ。
だから基本的には誰とも対人訓練はしない、稽古はもっぱら1人でやるか、或いは斬っても問題ない街道を出て道をそれれば出てくる魔獣の類いだ。
朝7時、稽古を終えたミナズキはシャワーで身を清めて身支度を済ませ学院に向かう。
向かう際には会う人には軽く会釈をしている。
最近は協会のお手伝いを始めたⅤ組のロジーヌと教会前で少しだけ話すようになった。
そして7時半学生会館の1階で朝食を摂る。
この食堂の料理人であるラムゼイは以前は妻のサマンサと共にさる貴族邸で働いていた経歴を持つ程であり、安くて美味しい料理が食べられる。
ミナズキもそこが気に入り通うようになったのだ。
これが1人で過ごせるなら良い、理想的と言えるだろう。
だが───。
「やぁやぁミナズキ、おはよう。今日も早いねぇ」
そう言ってミナズキと同じテーブルの対面に自身の食事を置きレナが座る。
そう、最近はレナが付くようになったのだ。
別に悪いとは言わない、手を組んだ以上は必要な情報共有はしておくべきだろう、とミナズキも思っていたが思ったよりも頻度が多いのだ。
「・・・最近多くないか?」
「おや、不満かね?」
「だいぶな・・・」
「これは手厳しいねぇ」
はっはー!と笑うレナにジトっとした視線を送る。
もしもこれが彼女を知らない一般的な男であれば嬉しいかもしれない。
レナは顔立ちも整っているし見方によれば知性的な女性にも不思議な雰囲気をまとった女性にも見えるかもしれない。
だがそれはさっき言った通り初対面である必要がある。
この2週間なにかあれば振り回されたミナズキにはそんな風には見えない、むしろレナが来る=何かしら面倒事が待っている。と彼女の顔を見ただけである程度察することが出来るようになってしまったくらいだ。
しかし、悪い事ばかりではない、例えば───。
「ミナズキ、またナイフの置き方を間違えているよ」
「ああ、すまない」
「構わないとも、こういったものは一朝一夕ではないからねぇ」
こういった感じに色々な知識を教えてくれるのだ。
例えば食事での振る舞い方や最近授業にあった帝国の歴史の覚え方、各授業の復習を手伝ってくれたりなど少なくともミナズキ1人では分からないことをよく教えてくれる。
ミナズキにとってはほとんどのことは『初めて』の知識だった。自身の師匠であるユン老師から剣以外に教わったことと言えば食料調達の為の釣りの方法や温泉のことくらいなものだった。
もちろん字の書き方も教わったがそれでもレナが教えてくれる知識の方が何倍も多かった。
「それにしてもうちのクラスは少し騒がしいねぇ、人数的には圧倒的に少ないはずなんだがねぇ」
「仕方ないだろ。リィンとアリサはともかく、ユーシスとマキアスの不仲具合は常軌を逸しているからな」
卵のスープをゆっくり飲みながらつぶやくレナにミナズキは口に入れた肉を飲み込み呆れるように返した。
入学初日から衝突していたユーシスとマキアス、ことある事に喧嘩をしてはクラスで止める、初めのうちはそうしていたが最近は皆諦め気味と言える。
───ちなみに余談だがミナズキは朝からステーキを頼んでおり、レナは目玉焼き、カリカリに焼いたベーコン、パン、卵のスープと言った具合だ。
「だがそれも限度というものがあるだろう?」
「帝国の歴史は古い国なんだ、そもそもの軋轢もあるだろ」
意見を言いながらベーコンを口に運ぶレナに肉を切りながらミナズキも答える。
はっきり言って現在のⅦ組の教室での雰囲気はどこか不穏さや気まずさがあり、とてもでは無いが快適に過ごせるとは言えない。
それもこれもお互いに歩み寄る気配のないユーシスとマキアスにあるのだがそれを当の本人達に言おうものなら恐らくはもっとヒートアップすることだろう。
朝から出てしまった不穏な空気を飛ばすためなのか目玉焼きの最後の一口を食べたレナは途端に話題を変える。
「あー・・・そういえばなんだが来週の水曜日に実技テストがあると小耳に挟んだんだがねぇ」
「実技テスト?」
「あぁ、内容までは詳しくは知らないがね。恐らくⅦ組の現時点での能力が見たいのだろうねぇ」
ベーコンと目玉焼き、それにパンを食べ終えたレナがスープに手を伸ばしレナは続ける。
「相手は一体誰なんだろうねぇ・・・サラ教官とか?」
「あの人そんなに強いのか・・・」
「少なくともそこらの兵士たちを単独でノシちゃうくらいには強いだろうねぇ」
驚きながら最後の一口を食べるミナズキにレナはスープを飲みながら続ける。
「《紫電のバレスタイン》・・・界隈だと結構広い名前みたいだねぇ、腕利きのA級遊撃士なんだそうだ」
「なるほど、A級なら確かに大丈夫だな」
「斬らずに済みそうだからかい?」
「・・・」
レナの質問にミナズキは黙り込み、コップに入った水を静かに飲み始める。
「いや、すまない。別に意地悪する気は無かったんだ・・・」
自分が不用意な発言をしたことに気付いたレナもまた残りのスープを飲み始める。
そしてお互い飲むものが無くなるとそのまま返却口へ早歩きで食器の返却に向かう。
「「ごちそうさまでした!」」
「おう、また来い」
2人揃って返却、そして食後の挨拶をしそのまま出て行く。返事を返した料理人ラムゼイは1人つぶやく。
「あいつら仲良いな・・・」
ラムゼイの言葉に妻のサマンサが力強く頷いた。
ご拝読ありがとうございました。
普段の2人はこんな感じだと伝われば嬉しいです。
次話もよろしくお願いいたします。
もうすぐ原作で言うところの自由行動日になります。ミナズキの過ごし方を幾つか考えていますが、どれが良いでしょうか?
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リィン達と旧校舎の調査(原作に沿う形)
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レナに誘われ帝都へ(帝都で情報集め)
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単独行動(他クラスの生徒とやり取り多数)
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図書館へ(オリキャラに会いにいく)