英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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ご拝読ありがとうございます。
とりあえずアンケートは4/3の21時くらいに閉めようと思います。
その段階で1番多い票を得ているエピソードを自由行動日として書きます。




11.嵐の後に

 

 

あの後、フリーデルと一緒にサラにこっぴどく怒られたミナズキ。

本来は2人揃って罰を受ける予定だったがロギンスによる必死の説得により難を逃れた。

というより事の詳細を聞いたあとのサラは妙に同情的で「災難だったわね」なんて言葉もかけられた。

 

結果としてフリーデルは1週間のクラブ活動出席禁止、それに加えて壊した修練場の掃除を1人でやることになった。

 

ミナズキはというと修練場の掃除をするだけとなった。しかし、別れ際に興奮冷めやらぬフリーデルに言われた「またやりましょう?」の言葉が妙に頭の中にこびり付いたのであった。

 

ギムナジウムを出るともう空は夕日が沈みかけており、どのクラブ活動も片付けを終わらせ帰っていた。

「結局クラブ活動決まらなかったな・・・」

疲労がほぼピークに達したミナズキはとぼとぼと自身の現在の住処である第3学生寮へ向かう。

 

ミナズキがトリスタの町に入るための橋を渡る時、視界の端に白い制服と釣竿が見えた。

そちらに目を向けると1人の貴族生徒が釣竿を振り、魚を釣り上げていた。

「あれは・・・ケネス?」

ケネス・レイクロード、大陸でも最高の釣具メーカーレイクロード社の御曹司で本人も大の釣り好き。

なんならこの学院にも釣り部、正式名称は釣皇倶楽部の部長でもある。

ケネスはこちらに気づくと今しがた釣ったであろうソーディを挙げて見せる。

「やあミナズキ、さっきは大変だったね」

「さっき、とはどれの事だ」

「修練場での大立ち回りさ」

「見てたのか?」

「うん、それに教官に言ったの僕だし」

意外にも教官に通報したのはケネスだった。ミナズキとロギンスにとっての救世主とも言えたのがまさか釣り以外のことは基本てきとうなケネスとは思いもよらなかった。

「ケネス、お前は釣り以外興味が無いと思ってたぞ」

「まあ、釣りは好きだけどさ2人の勝負の影響なのか魚たちが全く出てこなくなったのさ」

「あ、そっちか」

恐らく彼としては大好きな釣りの時間が止まってしまったのが悲しかったのだろう。

ましてやそれが人為的に発生した物なら尚更だった。

「そう言えば、あの対決は色んな人が見てたと思うよ」

「・・・そうなのか?」

「うん、確か君と同じクラスの人も見てたと思う、というよりサラ教官とナイトハルト教官も少しの間観戦してたし」

「そうなのか・・・」

その事実にミナズキはげんなりする。

ナイトハルト教官といえば帝国軍人でもある為基本スパルタである。そんな彼に真面目にやった所を見られてしまっては今後の授業に影響が出かねない。

 

うーん、と唸るミナズキにケネスは1本釣竿を差し出す。

「よくわかんないけど、悩みがある時は釣りをするといいよ。これあげるからさ」

「いや、それ商品だろ」

「良いのさ、僕も釣りの良さを知ってもらいたいし」

「・・・じゃあ遠慮なく」

今度暇を見つけて釣りでもしよう。そう考えながらミナズキは受け取った釣竿と共に帰路に着いた。

 

 

「あ、ミナズキおかえり。遅かったな」

寮に着いたミナズキをリィンが出迎えた、手には赤い手帳の様なものを持っており恐らくはそれをミナズキ渡すために待っていたのだろう。

「ただいま、リィン。それとその赤い物はなんだ?」

「学生手帳だよ、今日届いたから生徒会から貰って来たんだ。これはミナズキの分だ」

挨拶を返すミナズキにリィンは学生手帳を渡してくる。

ミナズキはそれを受け取るとページをペラペラと捲り中を確認した。

「思ったよりも中身が普通だな」

「なんでもカバーとかがARCUS用の特別に発注したものらしいぞ」

「カバーかよ」

リィンの言葉にツッコミながらミナズキはカバーを見る。確かに気合いが入ったデザインとは思うしARCUS用のサイズになっているがその為だけに遅れるのは如何なものかとミナズキは少し困惑を顔に出す。

 

そんなミナズキにリィンは切り出す。

「そう言えばミナズキ、修練場で何かあったのか?」

「・・・誰から聞いた?」

「ラウラだよ、プールにいた時に修練場が騒がしかったから見に行ったらミナズキとフェンシング部のフリーデル部長が斬り合ってたってすごく楽しそうに言ってたな」

 

リィンの言葉にミナズキは心の中でため息を吐く。

ミナズキのクラスメイトの1人ラウラ・S・アルゼイド、アルゼイド子爵家の令嬢であり帝国における剣術の二大流派の1つアルゼイド流を極めるために日夜鍛錬を欠かさない真っ直ぐな女子だ。

平穏を願うミナズキとしては下手に目をつけられたくなかったためオリエンテーリング以降は1度も太刀を抜く姿すら見せないようにしていた相手でもあるのだがそんな彼女に見られてしまっていた。

 

「ミナズキ、帰っていたか」

名前を呼ばれ、聞こえた方向に目をやるとラウラが階段を降りエントランスに向かって来ていた。

「あぁ、今しがたな・・・ちょっと色々「フリーデル部長とのことだな?」・・・」

食い気味なラウラの返しにミナズキは苦虫を噛み潰したような顔になり目を逸らす、ラウラをよく見ると少しだけフリーデルに向けられた目と同じものを感じた。

「あそこまでの剣戟はなかなか見ることが出来ない、今度私とも手合わせをせぬか?」

「いや、遠慮しておく・・・」

ミナズキの返事にラウラは首を傾げ、何故だ?と続ける。

「あの時のそなたはとても活き活きとしていたが」

「必死だっただけだ、それに戦いは苦手だ」

「だがそなたの動きや表情には余裕があった、それにミナズキ───」

ラウラはミナズキの目を見てはっきりと言い切る。

「そなたはあの時『笑っていたぞ』?」

「!?」

ラウラのその言葉を聞いた直後、ミナズキは自室に逃げるように籠った。

 

「私はなにか言ってしまっただろうか?」

「いや、特に変なことは言ってないと思うが」

いきなり帰ってしまったミナズキを見たラウラとリィンは困惑げに話し始める。

 

「楽しいわけがない・・・楽しんで良いはずが無い・・・」

自室に戻ったミナズキは静かに呟く。

「あんなのには、なりたくない・・・!」

もう一度呟き、太刀を抱きしめるように持つ。

その目は何時もより暗く、何より怒りで満たされていた。

 

 




ご拝読ありがとうございました。
ようやく放課後を終わらせることが出来ました。
次話もよろしくお願いいたします。

今更なのですが、ミナズキとレナ、それにマローラのプロフィールってあった方が良いでしょうか?

  • あった方が良い
  • 無くても良い
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