少しだけ短いですが、レナとミナズキの2人行動の日です。
午前9時───。
「ミナズキ、着いたよ。ヘイムダル中央駅だ」
「・・・・」
「おーい、起きたまえよー」
ペシペシと頭を軽く叩かれ目を覚ます、ミナズキはどうやら鉄道に乗ってすぐに寝てしまったようで隣に座っていたレナの肩を借りていたようだ。
「・・・ん?」
「ほら、着いたんだ。降りるよ」
「ふぁ・・・眠い・・・」
「・・・まったく」
反応の薄いミナズキに少し呆れるようにレナはミナズキの腕を引きホームへ降りる。
帝都ヘイムダル、人口約80万人、その歴史は大崩壊直後まで遡り1000年を超える。
エレボニア帝国の中心でありその都である。
「君、本当によく眠れていなかったんだねぇ。鉄道に乗った途端にぐっすりだ、おかげで話す相手もいなくて暇だったよ」
「お前が連れてきたんだろ」
「あーあー聞こえないなぁ」
愚痴をこぼすレナに不満を返すも聞こえないふりをされたミナズキは早々に諦める、そうだこいつはこういう奴だ、と頭の中で復唱しさっさと話を進める。
「で、ここまで来たのには何かしら意味があるんだろ?」
「そうとも!なんでもこの街のオスト地区という所に色んなアンティーク品を扱ってる店があってねぇ。もしかしたらって思ったんだ」
人々がごった返すホームをミナズキの腕を掴み少し強引に抜けていくレナ、ミナズキはされるがままにそのまま連れていかれた。
・アルト通り
「そう言えば朝ごはんを食べずに出てきてしまったねぇ、なにか食べてから行こうか」
「いや、俺は特に「良いから行こうじゃないか!」・・・わかった」
そうして2人は音楽喫茶《エトワール》に入る。
年季の入った蓄音機から流れるクラシックを聴きながら2人で遅めの朝食を摂る、ふわとろオムレツにあじわいハーブティーといった休日によく合う物だ。
「ふむ、この曲は確か『琥珀の愛』だったかな?」
「よくご存知でお客様、もしかしてレコードにご興味が?」
「レコード、と言うよりはその蓄音機かねぇ。そういった年季の入った物が好きなオタクみたいなものさ」
「さようでございますか、良い曲でしょう?私も好きな音楽でして・・・」
レナと店員は蓄音機とそこから流れる曲の話に花を咲かせる。ミナズキは2人の会話を聞きながら黙々とサンドイッチを頬張っていた。
「実はそういった年季物を探していてねぇ、どこかにそういう店はあるだろうか?」
「そうですね。オスト地区に《中古屋エムロッド》という店があるのですが、そこならば色々な物があるかと思います」
レナは話の中で自然に自分の欲しいものの話題を出し、入手出来そうな場所を自然に聞き出す。
鉄道のホームでもオスト地区辺りにありそう、とは言っていたがこれで具体的な店の名前などがわかった。
「ありがとう店主、ご馳走様でした!」
「はい、またのお越しを・・・」
色んな音楽の話を一通り終えるとレナは満足したようにミラを払いミナズキを連れて店を出た。
「いやぁ、これで具体的な店の位置もわかった!これならば午前中にことが済みそうだ!」
「そうか」
「では行くとしよう!」
そうして2人は帝都内を走る導力トラムに乗りオスト地区へと向かった。
オスト地区───。
「・・・思ったよりも落ち着きがあって助かった」
「人だらけだったからねぇ、君にはこの方が落ち着くだろうね」
想像よりも静かな場所であることにミナズキは安心を覚え、レナはそれを肯定した。
オスト地区・・・そこは平民たちが多く暮らす地区であり帝都の中でも開発の進みが遅い地域でもあった。
「うーん、結局それらしき物は無かったねぇ」
フィッシュアンドチップスを摘みながらレナは愚痴をこぼす、結局《中古屋エムロッド》で聞いてみたが特にそんなものは無いと言われてしまった。
「むしろそんな簡単に見つかる物なのか?」
「確かに世にあと3つくらいしか無いだろうからねぇ」
ミナズキの質問にレナは自分の懐から懐中時計の欠片を取り出す。こんな簡単に見つかる訳もないが、無いなら無いで少しだけ落ち込むものだ。
「ふむ、どうしたものかねぇ・・・」
「他の地区も探してみるか?」
「いや、帝都は広い。下手にやるのも得策では無いだろう」
そう言ってレナは懐中時計をしまいまたフィッシュアンドチップスを摘み始める。
「じゃあ今日の調査は終わりか?」
「いやいや、まださ。他にも帝都に来た目的はあるからねぇ」
「他に?なんだそれは?」
「まぁ、私に1日付き合えばわかってくるはずさ」
問うミナズキにレナは笑って返す、ミナズキにとっては分からないことだらけだった。
「では回ってみようか長い歴史を持つ帝都ヘイムダルをさ」
レナはそう言ってフィッシュアンドチップスの最後の1口を口に含みコーラで流し込む。
ミナズキは不思議そうにレナに問う。
「どこに行くんだ?1日じゃ帝都なんて回りきれないぞ」
「なぁに、別に隅から隅までなんてしないさ。小耳に挟んだんだがサンクト地区でフリーマーケットをしてるらしい。次はそこだねぇ」
「フリーマーケット?そんなところにあれがあるのか?」
「行ってみてからのお楽しみさ」
サンクト地区に行こうとするレナにミナズキは問うがそれでも明確な答えは出てこなかった。
仕方ないか、と店を出るレナをミナズキは追いかけた。
ご拝読ありがとうございました。
とりあえず次回も帝都行動です。
次話もよろしくお願いいたします。
今更なのですが、ミナズキとレナ、それにマローラのプロフィールってあった方が良いでしょうか?
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あった方が良い
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無くても良い