書けたので投稿します。
4月21日水曜日実技テスト当日───。
グラウンドにて───。
「それじゃあ今から実技テストを始めるわよ、先ずは、リィン、ガイウス、エリオット、前に出なさい」
呼ばれた3人が前に出るとサラは指を鳴らした。
すると─── 。
「これは!?」
「魔獣!?」
「いや、命の息吹を感じない」
急に現れた生き物のように動く機械に3人は動揺を隠せないでいた。
「そいつは動くカカシみたいなものよ、そこそこ強めに設定しているけど勝てない相手じゃないわ。例えば・・・ARCUSの戦術リンクを活用すればね」
サラの言葉に3人は納得したように武器を構える。
「それでは───始め!」
サラの合図とともに両者がぶつかる───。
「ふう・・・」
「よし・・・!」
「な、なんとか勝てた・・・」
一息つくリィン、手応えを感じたガイウスと疲労困憊といった体のエリオット、3人とも多少苦戦こそしたが初日よりずっと連携がスムーズになっていた。
そんな3人にサラは拍手を贈りながら言う。
「うんうん、悪くないわね。戦術リンクも使えたし旧校舎地下での実戦が効いてるんじゃないの?」
「ほう?」
「むむ、いつの間にそんな対策を」
ラウラとマキアスが反応する、どうやらリィン、ガイウス、エリオットの3人は自由行動日に旧校舎の調査に行っていたようだ。
確かにあそこなら、実戦は積めるだろう。
「じゃあ次、ラウラ、エマ、ユーシス、前に出なさい!」
サラは次の生徒を呼び出し実技テストは続いていく。
しかし、ミナズキとレナは呼ばれなかった。
「そこまで!─── うん、悪くないわね」
アリサ、フィー、マキアスの3人がテストを終え、サラは評価を下す。
「何とかなったわね・・・!」
「うん、良い感じ」
「よし、どうだ!」
胸を撫で下ろすアリサ、一言だけだが好感触だった様子のフィー、ユーシスに対抗するような仕草を見せるマキアス、その3人を見て頷くサラ。
「最後にミナズキとレナ、なんだけど・・・」
2人を呼んだは良いが何故か少し勢いを失うサラの声を聞き2人は首を傾げる。
「教官、なにか問題かね?」
「いや、まぁ、問題と言ったら問題かもしれないわね」
レナの問いに少し言いにくそうにするサラ、そのままラウラとリィンをチラっと見た後に仕方ない、といった感じでミナズキたちに向き合う。
「はっきり言ってミナズキ、あんたの戦闘能力は生徒全体を見ても頭1つ、いや3つ4つ分は抜けてるわ。それに、戦闘能力はラウラやリィンに劣っていてもそんなミナズキに合わせられるのは現状レナ、あんたしかいないのよ」
ミナズキがⅦ組の面々の前で太刀を抜いたのは今までで初日の地下以外では一切無い、ただそんなミナズキを唯一日常で振り回しているレナだけがミナズキと連携を取れる状態だった。
サラの言葉にラウラはピクリと反応しリィンはミナズキをじっと見る。
他のクラスメイトも必要最低限しか喋らないミナズキをじっと見ていた。
「それにミナズキだとこのカカシを真っ二つにしかねないのよね、だから他の相手を用意したわ」
そう言ってサラは指を鳴らしカカシをしまう。
そして武器を構えた。
「相手は私よ、2人とも全力でかかって来なさい」
え、という顔をした2人を見てサラは続ける。
「いやー、本音を言うとフリーデルから話を聞いた時少しだけ楽しみだったのよねー♪」
楽しそうに笑うサラにミナズキはあの日の肉食獣の視線を思い出し、露骨に顔をしかめた。レナはそんなミナズキの背中をポンポンと軽く叩きながら言う。
「やるよミナズキ、どの道やらなきゃ終わりそうにないからねぇ」
「・・・あぁ、分かってる。レナ、支援頼む」
「よし、少しだけだがやる気になったね。では・・・はっはー!行こうかミナズキ!」
いつものように声を大きく上げて武器を構えたレナと太刀は抜かず構えに入るミナズキ、2人を見てサラは満足そうに頷くとエマの方を見る。
「悪いんだけど委員長、合図をお願い」
「え、はい」
合図を頼まれたエマが少しだけ前に出て、声を上げる。
「では───始め!」
先に動いたのはミナズキ、素早く真っ直ぐ距離を詰め太刀に手を添え抜刀の素振りを見せる、サラはそれに合わせるようにブレードを振り下ろすがミナズキは当たる寸前に左に逸れブレードを躱し、太刀を抜きそのまま振り抜く、しかしサラも即座に反応しブレードでその一撃を受け止め、そのまま押し合う2人。
「そんな簡単にはいかないか・・・」
「当たり前でしょ?これでも教官なんだから!」
そんな2人の頭上に黄緑色の球体がふよふよと漂い始める。
「スパークボム!」
レナの声とともに球体はサラ目掛けて落下、サラはミナズキを蹴り飛ばし自身は後ろに下がり躱す。
球体は地面に落ちるとバチッと音を上げ霧散する。
「ふむ、やはりこのくらいでは当てられないか」
「・・・少しずつ速度を上げる、行けそうか?」
「もちろんだとも!」
短くやり取りをした2人は再度サラへと襲いかかった。
「弍ノ型・・・疾風!」
一気に速度を上げたミナズキの突進をサラは躱しそのまま攻撃にいこうとするがその前にレナの攻撃が飛んでくる。
何度か打ち合いそのまま1度距離をとる。
「あんたたち、やっぱり2人揃うとやるじゃない!」
「それはそうとも、私とミナズキはいつも一緒に行動している、いわばしん「こいつが勝手に振り回しているだけだ」・・・相変わらず容赦ないねぇ」
そしてまた打ち合いを始める。
「なんというか、すごい戦いだね・・・」
「2人の連携も凄いがそれを難なく受けられるサラ教官も流石だ」
声を漏らすエリオットと頷くガイウス、一方でリィンやラウラは静かに戦いを分析していた。
「(間合いの詰め方、初撃の鋭さ、その後の繋ぎ方、それに全体的な足運びに綺麗な太刀筋・・・老師が言っていた『伍ノ型を託した実戦ばかりやっていた優秀な馬鹿弟子』・・・兄弟子でも俺と同い年と言ってたからもしかしたらと思っていたが、ミナズキで間違いないな・・・)」
そうしてリィンは顎に手を当て剣戟を見守っていた。
「(速い、フリーデル部長との騒動を見ていたからもしやと思っていたがやはり強い、特に初めに見せたあの抜刀術・・・私で防げるか・・・)」
ミナズキと立ち合う想像をしたラウラは初撃を躱され、そして次の瞬間には首が跳ね跳ぶ自分を幻視し慌てて自身の首を手で抑える。
「(だが、だからこそ余計に分からぬ・・・あそこまで強く、太刀筋もまるで見本のように綺麗なのに、戦いが嫌いなのは何故だ?そなたの根底には一体何がある?)」
モヤっとした疑問をなかなか払拭出来ず、少し歯痒さを感じながらもラウラは自身にとってあまりにも疑問が残るミナズキという存在を疑問の混ざった目で見ている他なかった。
「なかなかやるじゃない!なんだか楽しくなってきたわ!」
「こっちは全然楽しくないねぇ、はっきり言って疲れてきたよ・・・」
「何がそんなに楽しいんだか・・・」
エキサイトするサラとは対象的にレナは疲弊し始め、ミナズキはウンザリするようにため息を吐く。
「ま、次で終わらせようかしら」
「・・・それには賛成だ」
「さすがにこれに割り込むだけの余力は私には無いよ。ミナズキ、悪いが頼むよ」
構えを取り直すサラ、抜刀の構えを取り姿勢も低くなるミナズキ、レナは流石に無理と構えを解いた。
両者は睨み合い、空気はどんどん張り詰める。
クラスメイトたちも固唾を呑んでこの勝負の末を見守る。
空気の張り詰めが最高潮になったその時だった。
キーンコーンカーンコーン。
授業の終わりを告げるチャイムが学院に響き渡る。
それと同時に張り詰めた空気も霧散してしまった。
「・・・正直不完全燃焼だけど、ここまでね」
「・・・・・」
残念そうに武器を下ろすサラと少し疲れた顔で構えを解くミナズキ。
クラスメイトたちは唖然とした表情で2人を見る。
その顔は、結末は?これで終わりなの?せっかく凄い戦いだったのに?と訴えるかのようだった。
「何よ?これはテストよ、別に無理に勝敗を決める必要は無いわ」
「全力で来い、とは言われたが勝てとは言われていない」
「よく言うよ、お互いにムキになっていたじゃないか・・・」
視線に対して反論するサラとミナズキにレナが苦言を放つとサラはわざとらしく口笛を吹きミナズキは何度目かも分からないため息を付くのだった。
余談だが───。
2年生貴族生徒の教室。
「・・・・」
「フリーデルさん?フリーデルさん!?」
サラたちの戦いを満面の笑みで窓に張り付くように見ていたフリーデルはチャイムとともに壁を殴り、慌てたトマス教官に止められ─── 。
1年生平民生徒の教室
「ナイトハルト教官?」
「・・・ん?ああ、すまない。授業はここまでとする、各自復習を忘れないように」
同じく戦いに見入っていたナイトハルトが残念そうにグランドを見返すのだった。
ご拝読ありがとうございました。
戦闘描写は難しいですね。
次話もよろしくお願いいたします。
今更なのですが、ミナズキとレナ、それにマローラのプロフィールってあった方が良いでしょうか?
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あった方が良い
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無くても良い