英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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ご拝読ありがとうございます。
ついに20話目になりました。
読んでくれている皆さんに感謝です。


20.模擬戦と大森林

 

「大丈夫でしょうか?」

突然の乱入にエマがウォルトンに訊ねる、ウォルトンも少し考えるがそのあとは満面の笑みで了承してくれた。

 

お互いに4人ずつ前に出る。

練武場側からはウォルトン含めた4人、こちらからはミナズキ、ガイウス、フィー、そして乱入してきたアメリエラが並んだ。

 

「この勝負どうなるんでしょう・・・」

エマが小さく呟く、マキアスとユーシスはアメリエラに4人目を横取りされた為少し不機嫌になっていた。

 

見学の門下生が並んでいる両者に向けて合図を送る。

「それでは両者構えて・・・」

全員が各々の構えを取り備える、乱入者であるアメリエラは楽そうに構え他の者たちよりもより一層自然体だった。

 

「・・・はじめ!」

合図の直後ミナズキは目の前の門下生の懐に一瞬で距離を詰め太刀を抜き放つ。

「伍ノ型、残月!」

「どわっ!?」

峰打ちの為切れてはいないがそれでも威力は高かったようで門下生は一瞬で吹っ飛んでしまった。

 

「・・・他のみんなは?」

ミナズキが周囲を見ると、ガイウスは槍で門下生の剣を捌きゲイルスティングで仕留めており、フィーは素早い身のこなしで相手を手玉に取っていた、そしてアメリエラはと言うと─── 。

 

「なんだい、もう終わりかい?」

「くっ・・・うおおぉ!」

門下生の振るう大剣を自身の大盾で受け止め、そのまま突き飛ばしてしまった。

「どわぁ!?」

「まだそんなもんじゃないだろう?ほら、もっと来な!」

倒れ込む門下生を見てもまだアメリエラは構えを解かず相手を待ち続ける。

しかし、門下生の戦意が喪失してしまったのを見て明らかにガッカリしていた。

「うーん、もっと歯応えがあると思ったんだがね」

そんなアメリエラの言葉を聞き倒れ伏した門下生が悔しそうに床に拳を立てていた。

 

「なんというか、彼女は豪快で荒々しいな」

「あぁ、いかにも剣闘士って感じだ」

ガイウスの言葉にミナズキも頷く、どこで習ったのかは知らないが妙に闘い慣れた立ち振る舞いだ。

オマケにあの身長、Ⅶ組で1番背の高いガイウスですら見上げてしまうほどに大きい。身長に比例するかのように長く強靭な手足もまた彼女の戦い方によく合っているのだろう。

 

「まだ足んないな・・・誰か、他にはいないのか?」

消化不良だったのかアメリエラは他の対戦相手を探し始めるが誰も名乗り出ようとはしなかった。

 

「なーんだ、つまらないな・・・」

誰も自分に挑んでくれる相手がいないことを確認するとアメリエラは悲しそうにとぼとぼと練武場を後にした。

 

「えっと、とりあえずありがとうございました。おかげで良い刺激を貰えました」

模擬戦が始まる前よりも元気を無くしたウォルトンが代表して挨拶をしてくれる、しかしアメリエラにコテンパンにされてしまった門下生を中心に悔しそうな顔を覗かせる者たちも多かった。

 

 

外に出たあと、さっきのアメリエラのことを皆で話す。

「なんというか嵐のような人でしたね」

「ああ、暴風のようだった」

「ぶっちゃけ面倒くさそうなやつだった」

エマ、ガイウス、フィーの3人の彼女に対するイメージを聞きミナズキも確かにと彼女の印象を考える。

 

「まるでバーサーカーだな」

「狂戦士って・・・」

ミナズキの言葉にマキアスが反応する。

しかしミナズキにとってはそうとしか言いようがない、彼女のあの戦闘に対する気持ちは正直関わりたくないと思うほどに大きい。

恐らく門下生を煽るような言い方をしているのも長く戦いたいから、他に挑戦者が居ないか確かめたのももっと戦いたかったから。

これをバーサーカーと言わずになんと言うのか、ミナズキはマキアスにこんこんと話した。

「な、なるほど確かに戦いに対して貪欲すぎるな」

マキアスも少し引き気味だった。

 

「でもなんだか嫌な予感がする・・・」

フィーが何となく吐いた言葉に皆同じように軽く寒気がしたのだった。

 

 

パルム礼拝堂─── 。

「おお、よく来てくれた」

「はい、依頼を受けに来ました。」

エマがホビンズ教区長にそう返すと彼は籠を渡してきた。

「エリンの花は西サザーラント街道の先にあるイストミア大森林の中に群生地を作っておる、そこに行けば籠いっぱいに採れるじゃろう」

「分かりました、お任せ下さい」

エマの言葉に教区長は頷くと外まで見送ってくれた。

 

そして西サザーラント街道へ向かう一行をまたもや遠くから見ている大きな影が1つ。

「ふーん、今度は西サザーラント街道か。つまりはイストミア大森林のある方向だから・・・よし」

 

 

 

イストミア大森林───。

現地に着いたB班は大森林の広大さにいきを飲んだ。

「綺麗だけど、少し神秘的すぎてむしろ不気味だな」

「死角が多いから遭遇戦が多そう」

ミナズキ、フィーの言葉にガイウスが頷く。

「ああ、気をつけて行こう」

普段人が来ないからか膝近くまで生えている草を掻き分けるようにして歩く、その分足取りは重くなる一方だった。

 

 

イストミア大森林奥地─── 。

「これは・・・」

「きれい・・・」

「凄いですね・・・」

「ああ、まさか森の奥でこんな花畑があるとは」

マキアス、フィー、エマ、ガイウスがあまりの光景に言葉を失う。

森の奥でB班を待っていたのは咲き乱れたエリンの花の群生地だった、青く淡く光るような花びらが宙を舞い神秘的という言葉では片付けられないほどの美しさを放つ。

 

「見とれている場合では無いだろう」

見とれてしまっているメンバーにユーシスが喝を入れしゃがみ花を1輪ずつ丁寧に摘み始める。

「・・・」

ユーシスに指摘されたのが面白くなかったのかマキアスも不満そうではあるが花を摘み始める。

その様子に他のメンバーは内心呆れながら自分たちも花を摘み始めるがミナズキがある時ピタリと止まった。

「ミナズキ?どうかしたの?」

フィーが訊ねてくるがミナズキはフィーを手で制し口に人差し指を当てて「静かに」のジェスチャーを送る。

フィーは一瞬首を傾げたが少しして気付いた。

遠くから何かが近づく音が聞こえるのだ。

ズシーン・・・ズシーン・・・。

ガイウス、ユーシス、エマ、マキアスもまた気付き、周囲をキョロキョロと見回す。

ズシーン・・・ズシーン・・・

「かなり大きい音だ・・・」

「周囲を警戒して下さい」

警戒心をあげるミナズキと息を殺しながら皆に指示を出すエマ、そうしている間にも足音は大きくなっていく。

ズシーン・・ドシーン・・ドシーン!・・・・。

そして音が止むと─── 。

 

「へ?」

マキアスがあまりのことに素っ頓狂な声をあげる、だが誰も責められない。

いつの間にか小さい山が、いや森に擬態していた巨大な魔獣が目の前に来ていたのだから。

この魔獣を一言で表すなら苔が身体中にびっしり生えた山羊顔のアンキロサウルスとでも言うべきだろうか、あまりにも自然に溶け込みすぎていて誰も気づけなかったのだ。

「meeeeeeeee!!!」

森全体を震わせるような魔獣の雄叫びを聞き皆慌てて構えを取る。

 

B班を縄張りを荒らす部外者と認識した大森林の主がハンマーのように発達した尻尾を振りかざし襲いかかるのだった。




ご拝読ありがとうございました。
大森林の主のイメージはモンスターハンター3rdのドボルベルクをイメージして頂けるとわかりやすいかと思います。
次話もよろしくお願いいたします。

今更なのですが、ミナズキとレナ、それにマローラのプロフィールってあった方が良いでしょうか?

  • あった方が良い
  • 無くても良い
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