英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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ご拝読ありがとうございます。
いつの間にかお気に入りが30を超えていました。
ありがとうございます。


23.2日目、予期せぬ事件

 

朝、目が覚めるとミナズキは妙な重さを感じた。

「なんだこれは・・・」

「あ、あはは・・・」

「すぅ・・・すぅ・・・」

ミナズキのベッドには何故か寝ぼけたフィーが入っていた。

エマは苦笑いを浮かべつつ、フィーを引き剥がす為に手を貸してくれる。

「おい、離れろ・・・」

「フィーちゃん、起きてください」

「ん・・・眠い」

 

何とかフィーを引き剥がし、1階に顔を出すと、男子3人が出迎える。

「おはよう、疲れは取れた・・・のか?」

ガイウスが歯切れ悪く言う、ミナズキの顔は少しだけどんよりしていた。

「なんか寝苦しいと思ってたらフィーがベッドの中に入ってたんだ」

「ごめん寝ぼけてた」

ミナズキの言葉にフィーが謝ってくる、そのやり取りで合点のいったガイウスがミナズキに近付き小声で教えてくれる。

「すまない、俺では2人の仲立ちは出来なかった」

「それこそ難しいから謝らなくていい」

申し訳なさそうにするガイウスにミナズキは答えた、エマとフィーも頷く。

 

そうしていると店の奥から店主のベルトランが出てくる。

「よお、お前さんたち。これが今日の分の課題だ」

そう言ってベルトランは封筒を近くにいたマキアスに渡す。マキアスはお礼を言うと封筒を開け中身を確認し、首を傾げた。

 

「どうした?」

「いや、なんというか・・・」

歯切れの悪いマキアスに疑問を感じながら皆で課題を確認する。

 

【必須】

・西サザーラント街道の魔獣討伐(依頼人:遊撃士協会)

現在西サザーラント街道にて魔獣が増える事態が発生している、対処をお願いします。

 

・イストミア大森林の手配魔獣(依頼人:遊撃士協会)

イストミア大森林に大型の魔獣が出現しました。

対処をお願いします。

 

【任意】

・お財布の落し物(依頼人:ミレー)

お小遣いが入ったお財布を落としちゃった!

一緒に探して!パルムの水車の所にいるよ!

 

 

「任意のやつはともかく・・・」

「必須がどちらも血なまぐさいというか・・・」

ミナズキの言葉にエマも続ける、昨日のことがあった為にどちらも無関係と思えないのだ。

だがやらなければならないのも事実で─── 。

「とりあえずは任意からやってしまうか」

「それがいい」

ガイウスの言葉にフィーも賛同し、皆で依頼人のミレーのいる所へ向かう。

 

水車のある家、その近くの橋に行くと依頼人であるミレーが居た。依頼文で察してはいたがやはり子供だった。

「あのね!今日お買い物しようとしたらお財布が無かったの!」

「ふむ、なるほどな。昨日行った場所には無かったのか?」

ユーシスは子供に相槌を打ち、目線を合わせて話を聞いていた。他のメンバーは少し意外そうな顔で見ていた。

「探してやる、だから良い子で待っているが良い」

「うん!」

 

子供と話を終えたユーシスがこちらに戻って来る。

「とりあえずパルムには無さそうだ、昨日行ったらしい北サザーラント街道に・・・なんだその顔は」

「いえ、少し驚いたというか」

「ちょっと意外」

ユーシスの質問にエマが苦笑いで誤魔化すがフィーがぶっちゃける。

「俺とて子供の相手くらいする」

少し不機嫌になったユーシスが北サザーラント街道に向かって歩き出す。皆はユーシスを追いかけるように町を出た。

 

「確かこの辺りだったよな、あの子供が来たって言うのは」

「そのはずだ、探すぞ」

ミナズキは何時になくやる気を感じさせるユーシスに驚く、よくいる古典的な貴族の御曹司かと思っていたが子供に対する接し方といい今のやる気といい思ったよりも面倒見が良いのでは、とそう感じた。

 

皆で財布を探す、近くにあった岩の上や木の真下、生い茂った雑草の中も探した。だが一向に財布らしき物は見つからなかった。

すると目の良いフィーとガイウスが1つのところに視線を向けていた。

「どうした2人とも」

目を凝らす2人にユーシスが聞くとフィーが1匹の魔獣を指差して答えた。

「あの魔獣に引っかかってるの、財布じゃない?」

フィーの言葉に皆その魔獣を見る、前脚のないタヌキのような魔獣、その丸っこい尻尾に確かに財布のような物が引っかかっていた。

 

「器用な引っかかり方だな・・・」

「ですね・・・」

マキアスの呆れたような声にエマも頷く、とりあえず全員で静かに近寄る。そして─── 。

「ふん!」

「gya!?」

一撃で仕留めて落ちた財布を回収した。

「これであの子供に渡せるな」

「ああ、少し手間だったが何とかなったな」

ガイウスの言葉にユーシスは微笑みながら答えた。

やはり面倒見が良いのだろう、子供に懐かれているのだろうか。

 

「とりあえずはパルムに戻るとしようか」

「そういえばもうすぐ昼だから何か食べないか?流石にお腹が減った」

「そうですね、後の課題はどちらも討伐などですし」

ユーシスが言うとミナズキとエマが返す、もう日が高くなっていて昼近いことがわかった。

鳴り始めた腹の虫を抑えてⅦ組はパルムへと戻った。

 

パルム─── 。

「・・・なんか変じゃないか?」

「どうかした?」

パルムに帰ってきて早々、ミナズキの言葉にフィーが聞き返す。

パルムの住人たちの様子が何故か慌ただしいのだ。

「おお!トールズの生徒たち!」

「ベルトランさん?どうした?」

酒場宿から出てきたベルトランがミナズキたちを見つけて声をあげる、ミナズキが返すとベルトランは慌てたように答えた。

「ミレーがいなくなってしまったんだ!」

ベルトランの返しに唖然とするⅦ組、ユーシスが切り返す。

「最後に見たのは何時だ?どこで見た!?」

「確か、西サザーラント街道の方の出口付近で見たって・・・」

ユーシスの剣幕にベルトランは圧されたがそれでも返す、しかしその返しにⅦ組は不安が掻き立てられた。

「よりによって西サザーラント街道の方か」

「魔獣が増えたって依頼が出てたよな」

ミナズキ、ガイウスの言葉にベルトランの顔が青ざめる、なんの自衛の力もない子供が魔獣が出る街道に1人で行ったとなるとどうやったって危険だ、命の保証も何も無い。

 

「急ぐぞ、流石に危険すぎる」

「ああ、わかっている!」

ミナズキにユーシスが返し皆で走り出す。

急がねば子供の命が危ないのだから。

 

 

 

だが皆は知らない。今回のパルムでの実習、此処こそが1番の正念場であるということに。

 




ご拝読ありがとうございました。
色々と大変ですが何とか書き上げます。
次話もよろしくお願いいたします。

ミナズキは次の特別実習は行けません、なので次の実習期間何を書くかを決めます。

  • ミナズキのトリスタでの奉仕活動
  • レナの参加する特別実習
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