英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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ご拝読ありがとうございます。
バトル回です。


25.vs戦狂いのアメリエラ

 

「フィーちゃん、しっかりして下さい!」

「・・・・エマ?」

エマに起こされたフィーは目を開ける、なぜ自分は寝ていたのか、なぜエマが泣きそうな顔で自分を見ているのか、そうしてるうちに記憶が蘇ってくる。

「・・・・!」

「まだ起きちゃダメ!」

「でも・・・!」

無理に起きようとするフィーをエマが宥める、フィーも反論しようとしたがエマが視線で教えてくれる。

「あれは・・・!」

フィーの目に映ったのはアメリエラとミナズキによる人間の戦いから逸脱し始めたものだった。

「オラァ!」

「・・・」

まるで悦に浸るような顔で戦うアメリエラに対し終始無言で怒りに満ちた顔のミナズキ、互いの武具がぶつかり合う度に衝撃波が走り大森林の木々を傷付けていく。

「なに・・・これ」

呆然とするフィーにエマが言う。

「はっきり言って着いて行けません」

こんな話をしている間にもアメリエラが巨剣を振り下ろし、それをミナズキはすんでのところで避け、アメリエラの顔に向かって突きを放つ、それをアメリエラは盾で逸らすことで躱し逆に盾を使い突進する。

突進はミナズキの防御に回した左腕に直撃しゴキリと鈍い音を立てるがその状態からミナズキは身体を捻り盾から免れ、すれ違いざまにアメリエラの右腕を斬りつけた。

 

お互い軽傷なわけがない、現にアメリエラは右頬はミナズキに殴り飛ばされ腫れ巨剣を持つ右腕は斬られた影響で出血している。鎧も所々にボロボロになり始め、脚や首元も致命傷を避けてはいるがそれでも放って置けば危険な状態だった。

一方ミナズキも酷い状態で左腕は今受けた突進で確実に骨折しており、制服も攻撃を受けて腕からは変色した肌が見え隠れしている。

「ズォラァ!」

「肆ノ型・・・紅葉切り!」

盾を捨て左拳を振りかぶるアメリエラに合わせてミナズキは跳び紅葉切りを彼女の首を狙って放つ、しかしアメリエラはそれに気づき身体を逸らし躱すと無防備になった腹に目掛けて拳を叩きつける。

「うぐぅ・・・!」

鳩尾に拳を叩きつけられミナズキは血を吐くが自分の腹にめり込んだアメリエラの腕を掴み、お返しとばかりに太刀をアメリエラの腕に突き刺した。

「ぐっ・・・ダァ!」

アメリエラは悲鳴を上げながらも右手に持った巨剣でミナズキを切ろうとするがミナズキはするりと躱し逆に無防備になった背中を斬りつけた。

「う・・・ガァ!」

斬られた痛みに呻きながらも血の滴る左腕で振り返りざまに裏拳を放ち、ミナズキの肩に直撃した。

「ガァ!?」

ミナズキは吹っ飛んだがすぐに立ち上がりまた構える。

 

「は、ははは!やっぱ楽しいな!こんな死闘が出来るとはよ!やっぱこれのお陰かもな!」

そう言うとアメリエラは自身の首にかけているある物を見せた。

「『望む物が手に入る』なんて言うから胡散臭い商人から買ってみたがマジで強いヤツらに会えるぜ!お陰で戦い放題殺し合いし放題だ!たまには騙されてみるもんだな!」

「・・・!」

ミナズキはそれに見覚えがあった、入学初日にレナが見せてきた欠けた懐中時計、その一欠片だった。

「・・・あ、なんだ?これ知ってんのか?曰く付きの品らしいぜ。ま、アタイには関係無いがな」

「・・・」

 

話が終わった瞬間また2人は武器を構えぶつかる。

先程よりも過激な戦い、お互いの攻撃が周囲に甚大な被害を与えていく。

 

「ど、どうするんだこれ」

「援護に行ったとして・・・」

「何秒立ってられる?」

腹を抑えながらエマたちのもとへ歩いてきたマキアス、フィーがエマにもたれかかったまま返す、立てるようになったガイウスも近づいてきていた。

 

3人の言う通り目の前で起きてる戦いは次元が違い過ぎた、と言うよりも戦いというよりも殺し合いと言った方が合っている。

現にお互いに血を流しながら戦うさまは文字通り死力を尽くしていると言えた。

しかしこのままでは良くない、ミナズキを見る限り限界は近く、最悪死ぬ事が視野に入り始めている。

 

そうしているとアメリエラとミナズキがまた少し距離をとった。

「結構、やったからな・・・流石にきつい」

「・・・・」

喋り構え直すアメリエラ、何も言わず抜刀の構えを始めるミナズキ、どの道これで最後と言えた。

 

「・・・オラァ!」

「伍ノ型・・・」

互いに走り出し、衝突の瞬間ミナズキは首に狙いを付け太刀を抜き放つ、しかしアメリエラはその瞬間後ろに下がり躱す。

「もらったァ!」

勝ち誇るように声を上げ武器を振り下ろすアメリエラ、しかしその瞬間首にかけていた懐中時計の欠片が落ちるのが見えた。そして振り切ったはずの太刀が止まり向きを変え、袈裟斬りのように振り下ろされた。

「伍ノ型、派生・・・双月」

ミナズキは太刀を仕舞う、その瞬間アメリエラの左肩から血が吹き出した。

「ぎゃぁぁぁぁ!」

切断された訳では無い、だがこれで左肩は当分上げることすら出来ないだろう。

 

「この、畜生が・・・テメ、アタ、イの腕が・・・」

痛みのあまりに言葉が詰まったように話すアメリエラ、目が血走り顔は先程までの笑顔と違い怒りに歪んでいる、傷を負ったはずなのに今にでも飛びかかりそうな勢いだ。

だがミナズキはもう動けない。静かに膝を着き何とか倒れないように耐えるのがやっとだった。

ここまでかと思ったその時だった─── 。

「あんたたち、無事!?」

「サラ教官!」

突然のサラの登場にエマが声を上げる、それと同時にアメリエラは逃げ始めた。

「どこへ行くつもりかしら?」

「へ、へへ。こんなもんも買ってあんだよ」

逃げるアメリエラを止めるサラだったがそれと同時にアメリエラの足元に魔法陣のような物が現れた。

「これは!?」

「今日はここまでだ、次会うことがあれば殺してやる・・・!絶対だ!」

 

怨嗟をこぼしてミナズキを睨みつけながらアメリエラは消えた。

「逃がしたか、皆の怪我の具合は?」

「私たちは大丈夫です、でも・・・」

確認するサラに答えるエマ、彼女の視線の先には体を引きずるように歩き懐中時計の欠片を手に取ったミナズキだった。

 

そしてミナズキはしばらくすると崩れるようにばたりとその場に倒れた。

「ミナズキ!?」

サラが駆けつけるが意識は無い、その後はミナズキを近くにあるサザーラント州の州都であるセントアークの病院に連れて行き治療を行った。

ミナズキが目覚めたのは実習が終わった3日後だった。

 




ご拝読ありがとうございました。
次話になったらまたアンケートがあります。
投票のほどよろしくお願いいたします。

ミナズキは次の特別実習は行けません、なので次の実習期間何を書くかを決めます。

  • ミナズキのトリスタでの奉仕活動
  • レナの参加する特別実習
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