少し遅くなりましたが投稿します。
ミナズキは頭を抱えながら考えていた。
「(そもそも依頼によって、ってなんだ?というか普通は''課題''じゃないのか?それと誰がサポート役で来るんだ?知らない人といきなり組めって言われても無理だぞ・・・)」
もはやC班(笑)な状態に頭の中では思考を続ける、学院内ではそこそこ色んな人と話した事はあるがそれでも話した事がある、程度だ。どう考えても何時もみたいに連携なんて出来ない。
そんなミナズキを置いてけぼりにして話は進みサラに抗議をする者がいた、マキアスとユーシスである。
「冗談じゃない!サラ教官、なんでまたこの男と一緒なんですか!僕に何か恨みでもあるんですか!?」
「茶番だな、こんな編成は認めない。再検討をして貰おうか」
「うーん、私から見ればこれが1番良いと思うのよね」
マキアスとユーシスの言葉にサラが流すように言い、ユーシスを見て続ける。
「特に君は故郷ってこともあって外せないのよね」
「っ・・・!」
サラの言葉にユーシスが押し黙る、だがマキアスは反論を続けた。
「じゃあ僕をB班に入れれば良いでしょう!?見たところA班の方が2人も多いじゃないですか!セントアークも気は進まないが誰かさんの故郷よりはマシだ!《翡翠の公都》・・・貴族主義に凝り固まった連中の巣窟って言うじゃないですか!」
ヒートアップしていくマキアスを見てもサラは冷静だった。
「確かにそう言えるかもね、でもだからこそ君を入れてるんじゃない」
「・・・」
サラのなんて事も無さそうな言い方ににマキアスは黙り、それでも目で訴えかける。ユーシスも同様だった。
そんな2人にサラは続ける。
「まあ私は軍人じゃないし、上の言葉が絶対なんて言わないわ。でも教官として君たちを導く使命がある。・・・どうしてもって言うなら2人がかりででも力ずくで話を通してみる?」
「なっ・・・!?」
「面白い・・・!」
挑発的に笑うサラにマキアスは少し驚き、ユーシスは対抗心を剥き出しにする。
そして2人で目線を交わすとリィンやエリオットが止めても聞かずにサラの前に出た。
「まあ男の子ならそんなこと言われたら引き下がれないか、そういうのは嫌いじゃないわ・・・!」
そう言ってサラは自分の武具を構える、前回のミナズキと戦った時と同じ強化ブレードと魔導銃だ。
「ミナズキさんの時も見ましたけど・・・」
「やっぱり凶悪そうよね・・・」
エマとアリサが呟く、ミナズキも何となくで眺めていたが不意にガイウスが近付いてくる。
「ミナズキ、2人はサラ教官に食い下がれるか?」
「・・・無理だろうな、以前俺とレナで戦った時は加減されていたと思うし、そもそも連携の『れ』の字も出来ない状態の2人だし単純に実力不足もあると思うぞ」
「そうか・・・つまり」
「2人の要望は絶対に通らないだろうな」
質問してくるガイウスにミナズキは自身の分析を話し、そのまま結果を予想する。
ここまで勝てないと思えるのはサラの本気を見ていないのもあるがユーシスとマキアスのことを考えるとそれ以前の問題とも思った。
そうこうしていると、ユーシスとマキアスは武器を構える、サラもそれを確認し笑う。
「乗ってきたわね。ついでにリィンも出なさい、まとめて相手してあげるわ」
「は、はい!」
ついでに呼ばれたリィンも合わさりこれで3対1となるもそれでもミナズキには3人がサラに勝てるビジョンは浮かばなかった。
「じゃあ実技テストの補習を始めましょうか─── 。トールズ士官学院、戦術教官サラ・バレスタイン。参る!」
サラの言葉とともに戦闘の幕が開ける。
先に動いたのはやはりサラ、リィンとユーシスの間を素早く抜けるとマキアスを狙って距離を詰める。マキアスもすぐに狙いを定めるが撃つ前にサラが左右にぶれ、中々照準が定まらない。
「う・・・クソ!」
マキアスは半ばやけくそ気味に発砲するが当たるはずもなく、サラはマキアスの懐まで詰めて魔導銃をマキアスの腹目掛けて発砲した。
「うぐぁ!?」
加減された攻撃とは言え腹の、特にみぞおちを狙った一撃にマキアスはダウン、次に狙われたのは攻撃のために近付いていたユーシス、得意の宮廷剣術を振るおうとしたその時だった。
ドォン!とユーシスの振り下ろす剣に合わせて魔導銃を発砲しユーシスの剣を難なく弾いた。
「うぉ!?」
剣を弾かれ無防備になったユーシスの腹に向かってサラは飛び膝蹴りを喰らわす。あまりの衝撃にユーシスは呻くことも出来ずそのまま膝を着いた。
最後に残ったのはリィン、向かって来るサラに対ししっかりと構え集中を研ぎ澄ませる。
サラはまたしても左右に素早くぶれ、動揺を誘うもリィンには通用しない。牽制として魔導銃を発砲するも牽制な事がバレているのかリィンは身体をそらす、1歩だけ左に逸れる等の最小限の動きで攻撃を避け続ける。
ならば、とサラは一気に距離を詰めに行くがその時だった。
リィンは自身の前に構えている太刀をいきなり手から離す。いきなりの事にサラだけでなくⅦ組全員の視線が手から離れた太刀に向かう。
カシャンという音とともに太刀が地面に落ちたことを確認した時、サラの目の前には八葉一刀流、八の型《無手》の構えとったリィンの姿だった。
「破甲拳!」
繰り出された全力の拳による突きをサラは武器で防御しあえて後ろに飛ばされることで威力を下げる。しかし、破甲拳はただの打撃では無く内側にもダメージを与える攻撃、ガードした筈のサラの腕は痺れていた。
「中々やるじゃない、じゃあこれならどう!」
一杯食わされたと感じたサラがヒートアップしてしまいリィンは急いで太刀を拾おうとするも太刀に手を伸ばした瞬間に後ろからブレードを突き付けられた。
「ま、参りました」
「ふふ、よろしい」
降参したリィンに納得するようにサラは笑う。
こうしてⅦ組の実習先とそのメンバーが決まったのであった。
ちなみに─── 。
「あ、そうそう。ミナズキは放課後に職員室に来てね」
「は?」
授業終わりにサラにそう言われたミナズキは放課後に職員室に向かった、そして─── 。
5/29(土)実習当日、朝─── 。
第3学生寮1階エントランスでは中々見ることの無い光景があった。
「ふむ、なかなか似合っているじゃないか?」
「黙れ」
レナのからかいにミナズキが不満そうな顔で答える。
Ⅶ組の面々の前には黒いエプロン姿のミナズキが居た。
「な、なんでそんな格好を?」
不思議そうに聞いてくるエリオットに対しミナズキは語気どころか全身から不満オーラを垂れ流しながら答える。
「これは実習最初の課題と言われた『早起きして弁当なりなんなり作れ』だそうだ」
そう言ってミナズキはA班、B班に人数分の木製の箱を渡す。
「中身は何なのかしら」
「列車に乗ってから開けろ」
質問をするアリサに少し塩対応をしながらもミナズキは2つの班に軽く手を振って見送る。
列車が動き出し出発するとサラが駅に入って来た。
「行ったわね」
「ああ・・・ていうか教官も見送れば良かったのでは?」
「良いのよ、ところでお弁当まだある?」
「食いたいのか?」
「ぜひ!」
目を輝かせながら弁当を強請るサラにミナズキは呆れながらもサラと一緒に寮へ戻る。そして食堂に入ると今度は茶碗や皿を用意し、弁当の中身をサラの前に出した。
一方、列車の中では早速木製の木箱をA班が開けていた。
「ほう・・・」
「おお・・・」
「これって東方の・・・?」
「ああ、お米を使った弁当だな」
「ミナズキは実は料理出来るからねぇ、私もほんの数回だが食べたことがあるよ」
「・・・美味しそう」
ユーシス、マキアス、エマ、リィン、レナ、フィーの順番で各々の感想が口から溢れる。
ミナズキが作った弁当の献立は─── 。
おかずには
じゃが芋と人参、玉ねぎを使った煮物(肉じゃが)
完璧に下処理され綺麗に塩焼きされたサモーナ(焼き鮭)
サッパリとした味付けの葉野菜のお浸し(ほうれん草のおひたし)
お米もかなり多いがその半分の上には牛肉の時雨煮が乗っていた。
また、水筒にはほうじ茶という徹底ぶりである。
B班も同じ内容であり意外なミナズキの腕に驚愕することになる。
「なんというか本格的だな・・・」
リィンの言葉に皆頷きとりあえず一口、時雨煮を口に運ぶ。
第3学生寮食堂─── 。
「いやー、レナに自慢されてから食べてみたかったのよねー」
茶碗に米をよそわれ時雨煮や焼き鮭、おひたしを前にサラは嬉しそうに笑う。
そして時雨煮を口に運ぶ。
「「「「うま!」」」」
列車内と食堂で同じ言葉が木霊した。
ご拝読ありがとうございました。
ミナズキは健啖家ですがもっぱらお米派です。
次回はトリスタでの依頼回です。
次話もよろしくお願いいたします。
今更なのですが、ミナズキとレナ、それにマローラのプロフィールってあった方が良いでしょうか?
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あった方が良い
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無くても良い