英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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ご拝読ありがとうございます。
夜遅いですが投稿させていただきます。


36.災難は常に前触れなく

 

「これは、困りましたね・・・」

「あぁ、正直お手上げ状態だ・・・」

珍しく弱音を吐くマローラとそれに同調するミナズキ。彼らの前には1人の『災難』の元が立っていた。

「あは♡ミナズキ!またやりましょう?」

肉食獣のような眼光を宿しながら笑うフリーデルに2人はたじろいだ。

 

 

事の発端は少し前に遡る。

マローラからの依頼を受けたミナズキは嫌な予感がするというマローラに従い2人で行動することになった。

「とりあえずわかりやすいのはメアリー教官からでしょうか、あの人は音楽室に居るはずです」

「だな、行こう」

そうして2人は校舎に入るといきなり放送がかかった。

『校舎内の生徒の諸君、いきなりですまないが放送をかけさせて貰った』

「この声、学院長ですね」

「あぁ、多分だけど内容は・・・」

『現在、校内にある掲示板に緊急でとある内容の依頼を貼らせてもらった。内容をよく読み、我こそはと思う者は夕方5時に学院長室に集まること。以上じゃ』

そうしてぶつりと放送は切れる。近くに掲示板があった生徒は真新しいプリントをじっと見て、ある者は即座に去り、ある者は興味を示した。

その中でも特に強い興味を示したのはⅠ組のパトリックだった。

 

「実に下らないがこれもまた貴族の責務だ、華麗に魔物とやらを仕留めて貴族の真の実力というものを見せてやろう」

少し大きな声で言うことで他の生徒、もっと言えば平民生徒に牽制をかける。パトリックを遠目で見ていた同じフェンシング部のアランは悔しそうに握りこぶしに力を入れる。

「じゃあ私も混ぜて貰えるかしら?」

そんな時に1人の貴族生徒がパトリックの前に姿を現した、フリーデルだ。

「ぐ、フリーデル先輩・・・」

「あら、何かしら『ぐ』って。それと貴方まだ1度も私に勝ってないじゃない」

「そ、それはあの時は・・・」

「それにこの依頼、元はⅦ組のミナズキが受ける予定だったらしいわね、私にすら勝てない貴方じゃあミナズキの代役は務まらないわよ?」

「何が言いたいんですか?」

突然のフリーデルの登場に驚いたパトリックとその取り巻きたちだったがフリーデルの次の言葉に激昴することとなる。

「貴方たちじゃ力不足と言っているのよ」

「なん、だと・・・!」

フリーデルがそう言い切るとパトリックとその取り巻きたちはわなわなと震えるもフリーデルに向き直して言い返した。

「ならば決闘だ!私が勝ったら今までの言葉を謝罪してもらおうか!」

そうしてパトリックは自分の取り巻きたちと共に勝負を申し込む、フリーデルはそれを見ると笑顔で答えた。

「そうね私が勝ったらしばらくの間私のパシリにでもしてあげようかしら」

そうしてパトリックとフリーデルたちはギムナジウムへと向かっていった。

 

「なんだか大きなことになりましたね」

「あぁ、特にフリーデル先輩にとっては願ったり叶ったりと言った感じか」

マローラもミナズキもフリーデルの戦闘狂ぶりは知っているので巻き込まれずに済んだことに胸を撫で下ろす。

「とりあえず行きましょうか」

「だな、さっさと済ませてしまおう」

そうして2人は改めて本を正しい注文主の所へと持っていくのであった。

 

 

15分後─── 。

「思ったよりも早く終わりましたね」

「あぁ、ただ・・・サラ教官は少し怒られそうだな」

メアリー教官、トマス教官、マカロフ教官の本はすぐに渡せた。問題はサラ教官でどう見ても旅行誌のような本に教頭のハインリッヒ教頭の顔が引きつっていた。

「まあ、今日自分の受け持つ授業が無いからって学院内にいなかったようなのでこうなるのは当たり前じゃないですかね?」

「・・・そうだな」

教頭に怒られるであろうサラのことを頭の中で想像し、何となくミナズキは申し訳ない気分になるのであった。

 

そんな時だった。

ギムナジウムの方向から『ドガン!』と凄まじい音が聞こえたのだ。

「なんでしょうか?」

「とりあえず行くしかなさそうだな・・・」

嫌な予感がしながらも2人はギムナジウムへと向かった。

 

ギムナジウム前─── 。

「な!?」

「なんですか、これ・・・」

ギムナジウムの前に着いた2人が見たのは倒れ伏しているパトリックの取り巻きたちの姿だった。

「た、助けてくれ・・・こ、殺される・・・」

1人の取り巻きが這いつくばりながらミナズキたちに頼み込んでくる。

「と、言われましても・・・」

「いったい何があったんだ?」

「・・・・・」

ミナズキが取り巻きに話を聞くも、取り巻きは何か言う前に気絶してしまい何も聞けない。

「もう気絶したか・・・仕方ない、他に「うわぁぁぁ!」今度はなんだ?」

今度はギムナジウムから1人の貴族生徒が逃走する、この生徒もまたさっきのパトリックとフリーデルのやり取りの中にいた取り巻きの1人だった。

「何となく話が見えてきたな・・・」

「はい、私もなんとなくですが解ってきました」

色々と察したミナズキとマローラは恐る恐るギムナジウムの練武場を窓から覗き見る、すると─── 。

 

「ぎゃあああ!!!」

「ほらほらぁ!さっきまでの威勢はどこへ行ったのかしら!」

「ぐ・・・化け物め・・・」

余裕綽々のフリーデルを見ながらパトリックが苦々しく呟く。

フリーデルの操るレイピアにより1人、また1人とパトリックの取り巻きが戦闘不能になっていく、それに対しフリーデルは無傷であり彼女の実力が見て取れた。

しかしミナズキにはそれが少し問題でもあった。

「まずいぞ、フリーデル先輩がああなったら本当に疲れきるまで暴れ続けるぞ」

「・・・・止める方法あります、それ?」

「無い」

ミナズキの話に内心焦りながら練武場を覗いていたマローラだがいきなり草むらに顔を隠す。

 

「ん?どうしたマローラ」

「すみませんミナズキ、フリーデル先輩と目が合った気がします。・・・恐らくですが」

その瞬間突然練武場の窓が割れ、吹っ飛ばされたパトリックと吹っ飛ばしたフリーデルが出てくる。

「この・・・化け、もの・・・め・・・」

「あら?レディに対して口の利き方がなってないわね」

最後に一言悪態を付いて気絶するパトリックを見届けて軽口を返したフリーデルは改めてこちらに振り向く。その目はあの時と変わらない肉食獣のような眼光だった。

 

 

「あは♡ミナズキ!またやりましょう?」

「これは、困りましたね・・・」

「あぁ、正直お手上げ状態だ・・・」

理性を失った目で剣を構えるフリーデルに対し2人はたじろぎながらもマローラは魔導銃を、ミナズキは太刀を構える。

 

恐らく今日1番ミナズキにとってなんの益にもならない戦いが始まってしまった。




ご拝読ありがとうございました。
やっぱりフリーデル先輩はいくら持っても良いですね。
次話もよろしくお願いいたします。

今更なのですが、ミナズキとレナ、それにマローラのプロフィールってあった方が良いでしょうか?

  • あった方が良い
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