書き上がりました。
「あはははは!」
「この人・・・どんな体力してるんですか!?」
「知らない!本人に聞いてくれ!」
出会い頭に連続で突きを放ち始めるフリーデル、マローラとミナズキはそれを躱しつつ話を進める。
しかしそんな事している間にもフリーデルの攻撃は加速し始めていた。
「やるしか無いですよね・・・クイックドロウ!」
埒が明かないと感じたマローラは懐から素早く魔導銃を取り出し自身のクラフトであるクイックドロウで応戦する。
フリーデルの肩、膝、腹部を狙って放たれた素早くなおかつ精密な3連発。しかしフリーデルは身体を捩り弾を躱し、そのまま突っ込んでくる。
「・・・それなら!」
マローラは突っ込んでくるフリーデルの足元に発砲、するとフリーデルは弾を躱すために一瞬足が地面を離れる。その瞬間をマローラは逃さなかった。
「そこです!」
フリーデルの腹部に狙いを定め1発撃ち込む、頭なら避けられる可能性を考えてあえて腹部を狙った。
しかしフリーデルの方が1枚上手だったようで魔導銃から放たれた弾はフリーデルのレイピアで弾かれてしまった。
「そんなことあります!?」
「甘いわね!」
動揺からつい叫んでしまったマローラに向かってフリーデルが攻撃のため一気に距離を詰める、中長距離が基本レンジなマローラにとっては絶望的な状態になってしまった。
「貴女結構やるわね!でもこれで・・・!」
「させない!」
マローラに突きを放とうとフリーデルが構えた瞬間、フリーデルは目を見開きそのまま全力で後方に跳ぶ。
そこには太刀を振り下ろしたミナズキがいた、太刀からは炎が上がっており、もしあのままマローラに一撃当てに行ったら逆に自分が斬られていたとそう自覚させられる一撃だった。
「ふふふ・・・ミナズキ、やっぱり貴方は最高ね!それにそっちの子も!貴女名前は?」
「はっきり言って名乗りたくありません!」
「いや、実際それで良いと思うぞ、名乗ったら絶対付き纏われるし・・・」
フリーデルの言葉に拒絶の態度をとるマローラにミナズキは大きく頷いた。とりあえずこの場をなんとかしなくては、そうミナズキが考えていた時フリーデルの後ろに1人の貴族生徒が現れた。
「さぁ!まだまだ全力で行「フリーデルちゃん?」ん?何よ、今楽しい勝負の・・・じか、ん・・・」
声をかけられたフリーデルは不満を言いながら後ろを向くがその人物を見た瞬間に言葉を詰まらせた。
フリーデルの正面に立っていたのは園芸部の部長であるエーデルだった。
「フリーデルちゃん、楽しいところごめんなさい。でもね?この近くには私や他の部員たちが愛情を持って育てたお野菜さんたちがいるの。だからあまりお野菜さん達を怖がらせるような事はしないで、ね?」
「あ、いやその・・・これは「ね?」ご、ごめんなさい」
実際、園芸部の活動場所である畑はギムナジウムのすぐ横にある、エーデルの言っている事は至極当然であり、言い方も声も言葉の語気も穏やかなものだ、しかし彼女の笑顔からは何も言わせない圧力のようなものがあり、フリーデルですら先程のような肉食獣のような眼光が消え、完全に理性を取り戻していた。
「助かりましたけど、上には上がいるって本当ですね」
「あぁ、エーデル部長って強かったんだな・・・」
エーデルに懇々と怒られ小さくなっていくフリーデルを見ながらマローラが呟き、ミナズキはそれに頷く他なかった。
図書館─── 。
「ありがとうございました、ではまた用件があったら呼ばせていただきますね」
「あぁ、じゃあまた・・・」
マローラを図書館まで送り、ミナズキは次はどちらに行くか考える。より時間が掛かりそうなのはロジーヌからの依頼だ、もし列車を使う距離なら考える必要がある。
「聞くだけ聞いてみるか・・・」
それで遠すぎるなら依頼を受けない、という選択肢も頭の中に入れつつミナズキは教会へと向かった。
トリスタ教会前─── 。
「ミナズキさん、来てくれてありがとうございます」
「あ、いやその・・・別に受けるって決まったわけじゃないから今言われても・・・」
「ふふふ、でも来てくれたじゃないですか。それだけでもありがたいことです」
笑顔でそう言ってくるロジーヌにミナズキは困りながらも話を聞く。
どうやら減ってきたという物品はティアの薬の材料となる薬草だったようだ。そしてその物品をロジーヌはヘイムダルのサンクト地区の大聖堂へ取りに行くという。
「薬草が少し多めなので出来れば手伝っていただけると嬉しいです」
「そのくらいなら、まあ・・・」
真っ直ぐな目でお願いしてくるロジーヌにミナズキはどことなく居心地の悪さを感じたがそれでも彼女のシスター見習いとして熱意に応えるため依頼を受ける事にした。
帝都ヘイムダル、サンクト地区─── 。
「ここがサンクト地区ですか、綺麗ですね」
「ロジーヌはここに来たこと無かったのか?ちょっと意外だ」
「実は1回も無いんです、ですから今回の薬草の受け取りをさせて頂けるようにお願いしたんです」
皆さんには内緒ですよ?と微笑みながら言ってくるロジーヌを見てミナズキも笑顔で頷く。
そして2人で大聖堂へ入るとちょうど聖歌を歌っている最中だった。
よく見ると聖歌を歌っているのは聖アストライア女学院の生徒たちでどことなくミナズキが知っている顔だった。
「あの子たち、以前来た時にフリーマーケットを開いてた子たちか・・・」
「お知り合いなんですか?」
「いや、多分忘れているだろう・・・」
自身のの呟きに反応したロジーヌに否定を返し、ミナズキたちはもらう予定だった薬草を受け取りそのまま列車のホームへ向かった。
列車内─── 。
「ミナズキさん、手伝ってくれてありがとうございました」
「いや、別にいい。あとそういうのはせめてちゃんと依頼が終わってからにして欲しい」
「ふふふ、そうですね」
列車内で2人は会話し、それが途切れるとミナズキは少しだけぼーっとする、すると不意にロジーヌがミナズキの頭を撫でた。
「ロジーヌ?どうした?」
「いえ、ミナズキさんが疲れている顔をしていたし傷が何となく増えた気がして・・・気のせいでしょうか?」
不安そうな顔で聞いてくるロジーヌにミナズキは答えた。
「いや、多分気の所為ではないと思うよ」
「・・・ダメですよ?あんまり無理するのは」
「してるつもりは無い、それに無理をして色んなことが解決出来るなら元から苦労なんてしない」
ミナズキの言い分にロジーヌは1度黙るとミナズキの頭を再度撫で始めた。
「ロジーヌ?ちょ、なんだよ」
「ごめんなさい、でも貴方だって苦労はしてると思うんです。ですからこれは私からのせめてもの労いです。ミナズキさん、何時もお疲れ様です」
「(真っ直ぐな目だ・・・何となく苦手だ・・・)」
笑顔で自分の頭を撫でてくるロジーヌを見てミナズキはやはりなんとも言えない居心地の悪さを感じた。
しかし、同時に温かさも感じて少しの間だけ目を閉じる。
そのまま小さく寝息を立て始めるミナズキをロジーヌはトリスタに着くまで笑顔で見守るのだった。
ご拝読ありがとうございました。
依頼は着実にこなしていますね、トラブルに見舞われましたが。
次話もよろしくお願いいたします。
今更なのですが、ミナズキとレナ、それにマローラのプロフィールってあった方が良いでしょうか?
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あった方が良い
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無くても良い