英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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ご拝読ありがとうございます。
少しずつですがこの作品のタグの1つ「緩急の激しい更新」の緩の部分が出始めています。
なんとか調子を取り戻そうと思いますので、よろしくお願いいたします。


38.実は立っていた噂

 

「ごめんロジーヌ、途中で寝てしまった」

「大丈夫ですよ、でも本当に無茶はダメですからね」

列車を降りトリスタのホームを歩きながらミナズキにロジーヌは軽くお説教をしていた。

「まあ、うん。努力はする・・・」

「ミナズキさん?」

「善処はする、出来る限りだけど・・・」

ロジーヌが出す圧力、ただしフリーデルやそれを止めたエーデルよりもずっと弱く圧力と言うよりもお願いに近く感じるものにミナズキは押されて頷く。

 

そのままロジーヌを教会まで送った後ミナズキは少し遅めの昼ごはんを採ることにした。

 

 

学生会館1階、食堂─── 。

「いつもより元気が無いな」

「そうですかね・・・」

無愛想ながらも気遣ってくれているコックのラムゼイにミナズキは少し意気消沈気味に返す。元気が無い、それは理解っている。現在は午後3時、午前の森の異変調査からまだ時間はそう経ってはいない。

午前9時から行動していたが、あまりにも濃すぎる6時間と言えた。

「待っていろ、はちみつとレモンのシロップも用意してやる」

「・・・あざっす」

気を利かせて体力の回復が見込める物を用意してくれるラムゼイに力なくお礼を言いながらミナズキはテーブルに着いた。

その後、運んで来てもらった料理を半ば機械的に食べ切るとミナズキはお皿を返却しそのまま重い足取りで学生会館を後にした。

 

「次は技術部だな・・・」

そう呟きながら歩いていたミナズキだが不意に頭がクラっと世界が回ったような感覚を感じた。

「ん・・・目眩か・・・」

その場で立ち尽くしながら目を閉じ目眩が収まるのを静かに待つ、だが目眩はなかなか収まってはくれず少しその場で固まっていると後ろから声を掛けられた。

「そこの君、どうかしたかね?」

「目眩がしたから少し固まってるだけだ・・・というか誰?」

ミナズキが後ろをゆっくり振り向き薄目を開けるとそこには大柄な男子の貴族生徒が馬の手網を引きながら立っていた。

「ふむ、その制服はユーシス君と同じⅦ組の物、つまり君がユーシス君の言っていたミナズキ君だな!」

「まあ、確かに自分はミナズキだけど・・・結局誰?」

「ああ、すまない。では名乗るとしよう!」

ミナズキの質問にその貴族生徒は服装を整えると軽く咳払いをして名乗る。

「ランベルトだ、馬術部で部長をしている!この馬は我が愛馬のマッハ号だ!」

「そうか、自分はミナズキ。ユーシスから何を聞いているかは知らないけど・・・まあいいや」

貴族にしては豪快そうな性格のランベルトと普段自分が話している貴族のユーシスとラウラを目眩の収まり始めた頭の中で比較しながら軽く会釈をする、するとランベルトは心配そうにこちらに近付いてきた。

「目眩が収まらないならそこのベンチで休むと良い、もし歩くのが難しければ手を貸そう!」

「いや、大丈夫なんで。はい・・・」

2人でそうやり取りをしているとランベルトの後ろから女子の声が聞こえる。

「ランベルト先輩どうかしたんですか・・・って貴方は確かⅦ組のミナズキじゃない、なに?目眩?」

「あー、大丈夫だ。収まってきたから・・・君も誰?」

さっき似たような話をしたなと思いながらミナズキは今度は歩いてきたポニーテールの女子に訊ねる。

「あー・・・私が一方的に知ってるだけであんたとは確かに初対面よね。ポーラよ、よろしく」

「ミナズキだ・・・一方的に知ってるって言ったけどなんか噂でも立ってたりするのか?」

ポーラの言葉に気になったミナズキが質問をするとポーラは少し言いにくそうな顔で答える。

「まあ、色々あるんだけど・・・例えば今年の1年の中では1番強いけど面倒くさがりだとか、フェンシング部のフリーデル部長に目を付けられてるとか、特別実習で巨大な化け物を1人で薙ぎ倒したとか・・・」

「なんか誇張もあるんだな・・・」

ポーラの教えてくれる噂の内容に苦言を呈しつつミナズキはため息を吐く。

「あーあとこれは私も少し気になるんだけど・・・」

「・・・なんだ、こっちをじっと見て」

「同じⅦ組のレナ、Ⅴ組のマローラ、あとベリルとロジーヌとも付き合ってるって噂が立ってるわよ?」

「・・・・はぁ?」

あまりにもトンチキな内容にミナズキは豆鉄砲を喰らったような顔でポーラを見る、するとポーラも言いにくそうに話を続ける。

 

「いや、ほらまずレナとは帝都に何度か2人きりで出掛けているのを同じ士官学院の生徒が見てるし」

一緒に懐中時計の欠片を探した時とこの前のことだろうか、心当たりがある。

「マローラとはたまに2人きりで図書館に入り浸ってるしみたいだし」

勉強を見てもらったり、実習先の資料を纏めていただけだがこれも心当たりと言えるだろう。

「ベリルが作った手作りのお守りを本人に直接着けてもらったって話もあるし・・・」

恐らく噂程度の事だったのだろうがこれは当たっている。

「ロジーヌの前で服を脱いで傷の手当をして貰ってたり、一緒に教会の荷物運んでたりもするって聞いてるわ」

傷の手当は確かにしてもらったし、実習前は荷物を運ぶのを手伝ったこともある、残念ながら心当たりと言える。

 

ポーラが教えてくれた話を聞き、ミナズキは何も言えず空を仰ぐ。現在は雲1つない快晴、夏の風も少しだけ心地いい季節だ。

そのはずなのに嫌な汗が少し流れ始めているのは何故だろうか、半ば現実逃避をするようにミナズキは思考を放置しかけたが流石にまずいと思い直した。

「ポーラ、それは勘違いだ。少なくとも付き合ったりはしていないし4人ともせいぜい仲の良い友達くらいの関係性だ」

「そうなの?にしては今の話を否定しなかったけど」

「物事自体には心当たりがあるからな・・・」

ポーラの問いに苦々しい顔をしながらミナズキは答えた。

「へー、まあなんというかドンマイ」

「・・・・あぁ」

励ましの言葉を言いながらポーラはランベルトと共に街道の方へ馬を向けそのままゆっくりだが歩き出す。

1人取り残されたミナズキはさっきとは違う理由で立ち尽くしていた。

「噂・・・噂かぁ・・・」

レナはこの手の話は軽く流すだろう、マローラは事実無根と言い切ると思うし、ベリルはそもそも聞きに行く人がいるんだろうか?そしてロジーヌ・・・はというと。

「・・・謝っておこうかな」

普段から人の為にと教会の手伝いをしているような良い人に変な噂が立ってしまった。次話す時にこの話題が出たら謝ろう、そう決意したミナズキは先程よりは強い足取りで技術部へと向かうのだった。

 

 




ご拝読ありがとうございました。
学生ですから噂は広まりますよね。
次話もよろしくお願いいたします。

今更なのですが、ミナズキとレナ、それにマローラのプロフィールってあった方が良いでしょうか?

  • あった方が良い
  • 無くても良い
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