英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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ご拝読ありがとうございます。
夜中ですが投稿します。
日にちが開いても別に止めたりはしないので何時でも見に来て頂けると幸いです。


40.会議は踊る

 

「だから1番前は私!」

「いいや、ここはこのランベルトが!」

会議が始まり10分、しかし話はほとんど進んでいない。理由かは簡単、1番前に出たいフリーデルとランベルトが一切譲らないのだ。

人数が人数なので2手に分かれる事にしたのは良いがどんな編成で誰が前衛になるかで一気に話は平行線の一途を辿っていた。

 

「・・・もう放っておきません?こっちはこっちで話を進めた方が・・・」

「だがそれでは話が纏まらないぞ」

マローラの提案をミナズキが否定する、確かに他所でやって欲しい気持ちはあるがそれでは会議の意味が無くなってしまう。

「2人とも、1度落ち着きましょう?」

そんな風にミナズキたちが悩んでいるとエーデルがフリーデルとランベルトに声をかける、非常に穏やかな声色のはずだがフリーデルとランベルトは共に背筋を伸ばした。

「やれやれ、相変わらずエーデル君は怒らせたら怖いね」

そんな様子を見てアンゼリカは微笑みながらため息をついた。

 

「ウフフ・・・静かになったところで話を纏めましょう。先ず森の精霊を倒すには2つ条件があるわ、1つ目は集落の住人の中で森の精霊に印を付けられている人物を探し、集落から出て行って貰うこと、こうしないとたとえ森の精霊を倒したとしても復活してしまうわ。2つ目は森の中にある3つのトーテムを壊すこと、これをする事で森の精霊は怒ってこちらに姿を現し倒せるようになるわ」

ベリルの説明に皆耳を傾けていたがここでマローラが手を挙げる。

「その森の精霊の倒し方は分かりました、ですが1つ目の条件の印というのはどう見つけるのですか?」

「これを使うわ・・・」

マローラの質問にベリルは1つの小瓶を取り出す、中にはどろりとした黒っぽい液体が入っている。

「えっと、それは・・・?」

あまりにも禍々しさを感じる液体にマローラが引き気味に訊ねる。

「これは、そうね・・・一般的ではないけれど一応薬ね、これを使えば本来見えないはずのものが見えるようになるわ。ただし、適応出来ないとかなり苦しむ羽目になるわよ」

ベリルのその言葉に場にいる面々の顔が強ばる、一体どこからそんな物を用意したのか、なんで効果を知っているのか、だが皆その話が恐ろしくて誰もそんなこと聞けなかった。

 

「じゃあ、そうだな・・・それは俺が飲むよ」

「ウフフ・・・貴方ならそう言うと思ったわ」

ミナズキの言葉にベリルは頷くと小瓶を手渡す、しかしそれを見ていたマローラが声を上げる。

「ミナズキ!貴方はまだ療養中のはずです!ただでさえ無茶のし過ぎでそうなったのに・・・」

「マローラ、言いたい事は分かる。でもこれは俺がやるのが筋だと思うんだ、今回の件皆を巻き込んだのは俺だ。手伝ってもらうのに更にこの薬を飲めなんて言えないよ」

ミナズキの言い分にマローラは何を言っても無駄と悟ったのか力なく項垂れる、しかしその後ミナズキを見つめながら口を開く。

「分かりました・・・でもその薬を飲んで気分が悪くなったとか身体に異常を感じたら言ってください、その時は意地でも休んでもらいますから」

「わかった、何かあればちゃんと言うよ」

ミナズキはそう言い返すとマローラも納得したように頷いた。

 

「ウフフ・・・話は纏まったわね、では改めて編成を考えましょうか。私は今回バックアップだから前線には出ないわ、同じ理由で技術部のジョルジュ先輩も前線には出ない」

「今回の件は2班に分かれて行います、先に集落で印の付いた住人を探し対処した後、両班は森に入ってトーテムを探しそれを破壊します。3つとも壊した後森の精霊に遭遇した班はこちらを使って下さい」

ベリルとマローラは説明をしつつその場に小さな銃を取り出し更に説明を続ける。

「これは今時珍しい火薬式の銃です。弾は2発装填されており、威力はあまり期待できません。ですが火薬式な為発砲音が大きくたとえ離れていても発砲したおおよその位置は分かるようになっています。これを各班に一丁ずつお渡しします。」

そう言ってマローラは銃をテーブルの上に置いた。

 

「では早速編成を決めようか」

アンゼリカの言葉に皆で考え班分けを行う。結果としてバランスを考慮しこのような分け方となった。

 

A班アンゼリカ、ミナズキ、マローラ

B班フリーデル、ランベルト、ロギンス、エーデル

 

「人数的にこうなると思っていたけど・・・」

「うむ、やはり心配だ」

アンゼリカ、ランベルトが呟く。何が心配かと言うとそれは片方の班が3人という事、ベリルとジョルジュはバックアップの為出られず、教官のサラも今は特別実習の影響で出払っている為戦力的には物足りなさがあった。

 

「でもこれでやるしかないです」

「最善を尽くすしかないってことか・・・」

少し不安そうなマローラの言葉にミナズキも頷く、実際もうこれしか方法も人員も無い。気乗りしなかったり実力の無い者を連れても危険は増えるだけだ、なら下手に人数を増やすよりいる面子だけで上手く立ち回る他ないのだ。

 

「決まったか・・・では決行は明日、朝の9時に学院の正門に集合とする。各自準備を怠らないように」

学院長が話を締めくくりその場はお開きとなった。

 

午後6時、学生会館─── 。

夕方の食堂でミナズキとマローラは夕食を摂っていた。

「今日は何時にも増して食べますねミナズキ」

「身体を少しでも治すためだ・・・おかわり」

マローラがオムレツを食べているのに対してミナズキは大量のステーキを食べていた、現在は4皿目でありそれでも勢いが落ちることは無い。

 

「そういえばミナズキ、貴方は今日は第3学生寮で1人なんですか?」

「サラ教官が居ないだろうから1人だな」

ふとマローラに訊ねられミナズキも今日は1人であることを思い出した。スっとステーキを食べる手が止まる。

「そっか・・・俺1人なんだ・・・」

ポツリ、と一言呟くミナズキを見てマローラは顎に手を当てて考える、暫くするとマローラは何かを思い付いたように話し出した。

「ミナズキ、今日の夜9時に寮の鍵を開けて貰えますか?」

「鍵を?なんで?」

「少し思いついただけです、とりあえずお願いしますね」

そう言ってマローラはオムレツを食べ終えると皿を片付け学生会館から出て行った。

ミナズキは首を傾げながらも6皿目のおかわりを注文していた。

 

夜9時、第3学生寮玄関─── 。

 

「そんな訳で来ました」

「どんな訳だよ」

言われた通りの時間にミナズキが鍵を開けるとそこには荷物を持ったマローラがいた。

「どうかしたのか?」

「いえ、特には・・・ただミナズキが1人で寂しいかもなと思いまして」

マローラの言い分を聞きミナズキは内心驚いていた、普段から堅物なマローラがこういうことをするのは意外だった。

「ではお邪魔します」

驚くミナズキをよそにマローラは寮に入るとそのままミナズキの部屋を目指す。

「お、おい。まさか泊まる気か?」

「他になにか?」

ミナズキの質問に対しなんでもない様に返したマローラはそのまま部屋のドアを開け、眠るための支度を始めた。ミナズキも流石に諦め、自身も眠り支度を整えるのだった。

 

「ふむ、やはり2人だと手狭ですね」

「そりゃ1人用のベッドだからな・・・」

夜の10時になりやることが無い2人はそのままベッドに入り会話をしていた。

「ベリルとロジーヌから聞きました、相当大変な1日だったようですね」

「ベリルの方はともかくロジーヌの方は普通にお遣いしただけだけどな、それに大変さならフリーデル先輩が来た時も十分大変だったと思う」

「ふふ、それもそうでしたね。控えめに言ってあの人は規格外かと思います」

「違いないな・・・」

2人で今日の出来事を振り返り笑う、あまりにも濃密な1日だった、それこそ特別実習に行くことに匹敵するほどだった。

 

「本来なら俺も実習行ってたはずなんだけどな・・・」

「まあ、実習に行っても行かなくても貴方は色々大変な目に逢うという事ですね」

ミナズキの呟きにマローラが返す、そしてふとマローラは気になる事を話し始めた。

「どうですか?レナと離れてみて今日何か変化はありましたか?」

「え?・・・そうだな、前回の実習でも別グループだったから離れて行動するのは初めてでは無い。そもそも入学前は1人だったしな、別に1人なことは特別じゃないと思う・・・でも」

「でも?」

マローラの質問にミナズキは考えながら返していく、やがて少し言葉が止まるとマローラは続きを聞きたいのか促してくる。

「でも・・・まぁ良くも悪くも静かだった。知ってる通りあいつは普段からよく喋る、それこそ一緒にいる間はずっとだ・・・だけど時々気になる時がある、もしかしたらレナは本来真面目な奴なんじゃないかって思うんだ」

「あの人が・・・ですか?」

ミナズキの言葉にマローラは疑問を感じて聞き返す、ミナズキも少し言葉を探すように続ける。

「何時もはまるで変人のように振舞ってはいるがその一方でマナーや常識にはちゃんと通じている、貴族の令嬢だからと言えばそれまでなんだけど、それだけじゃないように感じる」

「なるほど・・・」

 

話すミナズキにマローラは相槌を打つ、少しだけ空気が重くなったことを察してマローラも話し始めた。

「では私の話も少ししましょう、実は私の実家病院なんです。前回の実習でミナズキが運ばれた病院も私の実家の系列なんです」

「そうだったのか、なんというかお金持ちだな」

「はい、下手な貴族よりはずっとお金持ちですね」

マローラの意外なった秘密にミナズキも驚く、そんなミナズキを見てマローラは話を続けた。

「一家がほぼ全員医者なので当然私も医者の勉強はしていました、ですが私にはそこまで向いていなかったみたいなので別の道を模索するためにこの士官学院に入りました」

「そうか・・・良いな、そういうのも」

マローラの話を聞きながらミナズキは少しずつ瞼が重たくなっていった。

「ミナズキ、次は貴方の話も聞きたいですね。学院に入った経緯とか目標などがあれば・・・ミナズキ?」

「・・・・・」

話し終えたマローラがミナズキに話を促すがその頃にはミナズキは静かに寝息を立てていた。

「寝てしまいましたか、あれだけのことがあればそうなりますよね・・・」

眠ってしまったミナズキを見ながらマローラは言う。

「普段は鋭い目付きなのに・・・寝顔は結構可愛いですね・・・」

ミナズキのまるで小さな子供のような寝顔にマローラは静かに微笑む。

「おやすみなさい、ミナズキ・・・明日は頑張りましょうね」

小さな声で夜の挨拶を済ませるとマローラは静かに目を閉じた。

手狭なベッドではあったが悪くない温もりを感じマローラもすぐに夢の中へと旅立って行った。

 




ご拝読ありがとうございました。
次はみんなで森へ押し入ります。
感想、質問も受け付けていますのでモチベーションアップのため何時でもお待ちしております。
次話もよろしくお願いいたします。

今更なのですが、ミナズキとレナ、それにマローラのプロフィールってあった方が良いでしょうか?

  • あった方が良い
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