ペースが若干落ちていますがそれでも書きます。
「ミナズキ、起きてください。朝ですよ」
「・・・ん?」
朝6時マローラに身体を揺らされてミナズキは目を覚ました、マローラは既に着替えているようで何時もの学院の制服を着ていた。いや、正確にはその上に更にエプロンを着ていた。
「顔を洗って着替えてください、簡単ですが朝食を用意しておきます」
そう言ってマローラは部屋を出て行く、ミナズキは言われた通り顔を洗い制服に着替え1階食堂に降りて行った。
「おはようございますミナズキ、席に着いて下さい」
「おはようマローラ」
テーブルにトースト、ベーコンエッグ、サラダ、そしてコーヒーを置いたマローラが反対の席に座りミナズキに促し、ミナズキも席に着いた。
「ではいたたぎます」
「いただきます」
第3学生寮にて2人で静かに朝食を済ませた、ちなみにミナズキは人生で初めてコーヒーを飲んだが流石にブラックは苦かったようだ。
午前9時士官学院前─── 。
「来ないな、アンゼリカ先輩」
「ですね、今回の件は重要なんですが・・・寝坊でしょうか?」
ミナズキとマローラの言葉の通り現在同じA班のアンゼリカが来ていない、B班の面々も少し不安そうな顔で班分けを改めるか考え始めていた。
「やぁすまない、遅れてしまったね」
するとトリスタの方面からアンゼリカがやって来た。ただし、右手で1人の生徒の耳を掴みながらだが・・・。
「遅れて悪かったね、少々こいつを連れてくるのに手間取ってね」
「痛えってゼリカ!離せっての!」
謝罪をするアンゼリカと彼女に耳を掴まれて痛がっているバンダナをした平民生徒を見てミナズキとマローラは言葉を失うがアンゼリカは続ける。
「こいつはクロウ・アームブラスト、色々と問題のある奴だが腕は保証するよ、今回の件に協力させる」
そうしてアンゼリカはクロウを離すとクロウは赤くなった耳を抑えながら話し始めた。
「クロウ・アームブラストだ・・・よろしくな後輩ども」
こうして班の人数の問題はアンゼリカによって半ば強制的に連れてこられたクロウにより解消されたのだ。
トリスタ近くの集落─── 。
「なんだ・・・この感じ・・・」
「昨日とはかなり変わったわね・・・」
移動し集落に着いた一行だったがミナズキの言葉にベリルが頷く、昨日よりも空は明るいはずなのにこの集落だけが暗く感じた。
住人たちは昨日はミナズキとベリルを遠目から見る程度だったが今日は住人たちの目はまるで何かに取り憑かれたかのようにギラギラとしていて見開いている。
「き、昨日はこんな感じじゃなかったんですか?」
「えぇ、昨日は生気が無い程度だったけれど今日は完全に別物よ。急いだ方が良いわね・・・」
引き気味のマローラの言葉にベリルがそう返す、事実昨日は住人が皆元気がなく虚ろな目で見てくるため単純に居心地の悪さを感じた程度だったのに対して今日は狂気じみた笑顔を浮かべながら集落中を歩き回っている、中には何も無い所に話しかけては高笑いをする者すらいる、はっきり言って気味が悪すぎた。
「とにかく今は印を付けられた住人を見つけるのが先決よ、ミナズキ」
「あ、あぁ・・・」
ベリルに促されミナズキは懐から昨日貰った小瓶を取り出し、蓋を開け一気に黒い液体を口に流し込んだ。
「・・・・・!?」
「お、おい大丈夫なのかこれ!?」
口の中に広がるドロドロとした不快感、味も不味いを通り越して不快というもはや味と言う表現が不可能な液体にミナズキは吐き気を抑えながら何とか喉奥に流し込んでいく。そんな様子を見てロギンスがベリルに声をかける。
「大丈夫よ、確かに不味いなんて表現通り越すような味だけど死ぬことは無いわ」
そんなやり取りをしているとようやく薬を飲み終えたミナズキがマローラから水を貰っていた。他の面々も流石に心配なのかミナズキを覗き込んでいる。
「飲めたわねミナズキ、集落の住人に向かって目を凝らしてみなさい」
「・・・ちょい待って軽く吐きそうだから」
ベリルにそう返したミナズキは1度深呼吸をして近くにいた住人に目を凝らす、すると─── 。
「なんだ・・・色が付いた・・・?」
ミナズキの目には住人が黄色いオーラのような物を纏っているように見えた。ミナズキの反応を見てベリルは頷きながら言う。
「やはり適応したわねミナズキ、それがその薬の効果よ、印を付けられている人物は赤いオーラが着いて見えるはずよ」
ベリルのその言葉にミナズキは周囲にも同じように集落中を見渡す、しかし外にいる住人からは赤いオーラは見えなかった。
「ベリル、赤いオーラの住人は居ない」
「なら次は足元をよく見て、足跡を辿りましょう」
ベリルの指示にミナズキは今度は住人たちの足元を見始める。他の面々はミナズキが何をしているのかわからず皆一様に首を傾げていた。
「お、おいベリルってやつ。ミナズキには一体何が見えてるんだ?」
「さっきの様子を見るに薬の効果なのだろうが・・・」
ミナズキの行動に引き気味のクロウが聞き込み、ランベルトも同調する、確かにこの状態のミナズキは妙にキョロキョロとしていて挙動不審に見える。ただ本人は至って真面目に印の付いた住人を探しているのだからなんとも言えないのだ。
「・・・あった!足跡で1つだけ赤いオーラが着いた足跡だ」
「それを辿りましょう、皆も着いてきて」
ついに赤いオーラを発見したミナズキの声にベリルは仲間たちに手を振りながら移動を始めた。
足元を辿るようにゆっくり歩いていたミナズキはやがて1つの家の前でピタリと止まった。
「ここだ・・・ここに足跡は伸びてる」
「ウフフ・・・なら今度はここの住人に会わなきゃね」
そう言ってベリルはドアをトントンと叩くが返事が無い。疑問に思いつつそのまま待っていると中から生気の無いやつれた男性が出て来るのだった。
「あ、あんたらなんなんだ?」
「あ・・・真っ赤だ・・・」
「な、何を言っているんだ・・・?」
話しかけてくる男性を見たミナズキが呟く、印を付けられたのは間違いなくこの男性だ。
「失礼、私たちはこの集落の異変を調査していまして、その元凶が森の中にいる森の精霊と言われる存在だと分かったのでそれの討伐に来ました」
困惑している男性に対してアンゼリカが対応し、自分たちの集落へ来た目的を伝えると男性はその場にへたり込みボソボソと話し始めた。
「ちょっと前からおかしな事が起き始めたんだ、森の中から声が聞こえるだとか夜になると狼の遠吠えが妙に増えてこの集落の雰囲気も暗くなった。1度私の息子も含んだ5人の若者が調査に行ってくれたんだが・・・」
「もしかして・・・息子さん、帰ってこなかったんですか?」
「あぁ、息子以外の4人は帰ってこられた・・・でも息子だけは全然帰って来なかった!」
息子のことを話す男性はどんどん語気が強くなっていったがアンゼリカに制されまた俯いた。
「頼む、あの子ははもう帰ってこない。・・・だからせめてその元凶を何とかしてくれ!」
言葉を荒らげ始めた男性の制しながらベリルは話し始めた。
「今あなたにはその元凶が付けた印のような物がついているわ、そしてその印はこの集落から出て行くことで効果を失う・・・言いたいこと分かるかしら?」
「あぁ、私がこの集落から出て行けば良いのですね」
ベリルの言葉を聞くと男性はそのまま出て行く準備を始める、それを見てミナズキたちも森へ入る前の最後の持ち物確認を行う。
暫くすると男性は外に出てミナズキたちに向き合う。
「どうか息子をよろしくお願いします」
そう言って男性は集落からまるで逃げるように出て行った。
「ウフフ・・・次は私たちの番ね、皆準備は良いかしら?」
男性を見送った後、森の前にやって来た面々はベリルによる最後の確認をされ皆で強く頷く。
「ウフフ・・・じゃあ始めましょうか」
ベリルのその言葉を機にA班、B班は森へ入っていく。
討伐作戦はまだまだ始まったばかりだ。
ご拝読ありがとうございました。
とりあえず何とか森へ入れるようになりました。
次話もよろしくお願いいたします。
今更なのですが、ミナズキとレナ、それにマローラのプロフィールってあった方が良いでしょうか?
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あった方が良い
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無くても良い