英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

46 / 108
ご拝読ありがとうございます。
それと遅くなり申し訳ないです。


43.vs森の精霊

 

「さっきからカラスと狼が邪魔だ!」

「何処から来るのかは知りませんが・・・」

「にしても出てき過ぎだろ!」

ミナズキ、マローラ、クロウの3人が文句を言いながら襲いかかってくるカラスや狼を倒す、何とか森の精霊に攻撃を仕掛けようとするも辿り着く前に狼が邪魔をしてくる。

「このままではジリ貧かと・・・!」

「だが!そうも言ってられないね!」

飛びかかる狼を撃ちながら言うマローラに飛んでくるカラスを叩き落としながらアンゼリカが返事をする。現在戦況は膠着状態、しかしこちらが攻撃をほとんど出来ていない分森の精霊が有利と言わざるを得ない。

こちらが攻撃すればそれを狼とカラスがまるで肉盾のように防ぎ、森の精霊が攻撃を仕掛けようとすればそれの援護をしてくる。

 

「まずいな、流石に多い・・・」

「ミナズキ、何か打開策はありますか?」

「無いわけじゃない、が!・・・勝てる確証も安全の保証も無い!」

ミナズキはマローラからの質問に狼たちを切り伏せながら答える、実際ミナズキには奥の手はある。前回の実習のイストミア大森林でのアメリエラとの戦いで見せたあの状態、確かに戦闘力は上がるがその反面まだ上手く扱えていないのが現状だ。間違えて暴走すればそれこそ仲間にも危害を加えかねない。

どうする?そうミナズキが頭の中で葛藤し始める中クロウの声が聞こえた。

 

「無理すんなよ後輩!」

「・・・え?」

「1人でなんでもしようとすんな!こういう時はな!」

分からない、という顔のミナズキにニヤリと笑い二丁拳銃を森の精霊に向けながらクロウは言う。

「頼れる仲間と!先輩たちに任せりゃ良いんだよ!」

そう言いながらクラフト、フリーズバレットを森の精霊へ放つ。

「それにな後輩、ここにいるのは俺とゼリカだけじゃねぇ!」

「その通りだとも!」

クロウの言葉に答えるように駆けつけたランベルトが狼たちを薙ぎ払う、どうやらB班も到着したようだ。

「援護しますね」

のんびりとした口調で駆けつけたエーデルも導力杖から魔導弾を放ちカラスと狼を払い除け、それを掻い潜って来た1匹の狼には導力杖で突き飛ばした。

「そういうことよ!だから偶にはフェンシング部に来なさい!」

「いやそれがっつり私情入ってるじゃねぇか!」

フリーデルとロギンスはそんなやり取りをしながら森の精霊を思い切り切りつけた。

 

「・・・・・」

「ミナズキ?固まってないで行きますよ、折角皆さんが援護してくれるんですから。勿論私もです」

「あ、あぁ・・・」

戸惑うミナズキの背中をペチンと叩いて言うマローラにミナズキは更に戸惑ったが、少し持ち直しぎこちなく頭を下げる。

「えっと・・・先輩方よろしく、お願いします?」

ミナズキのあまりにも下手くそなお願いの仕方に皆困ったように笑う。

「勿論!!!」

先輩たちの答えがハモり森の中で木霊した。

 

「ミナズキ、お前はフリーデルたちと前に出ろ!狼たちは俺たちで何とかする!」

「わかった!」

ロギンスの指示に答えたミナズキはフリーデル、ランベルト、アンゼリカと共に前衛として出る。

「ミナズキ、後衛は任せてください。カラスも狼も1匹たりとも通しません」

マローラ、エーデル、ロギンス、クロウの4人で取り巻きの相手を請け負う。

「あ、ありがとうございます・・・」

「ハハハ、ミナズキ君よく甘え下手とか言われないかい?」

ミナズキのぎこちないお礼の言葉にアンゼリカが笑いながらからかうがミナズキはプイっと顔を背ける。

「良いから、来るわよ!」

フリーデルの言葉に2人は森の精霊を見るとそこには地面に手を付け木の根を操っているのか木の根が地面を這うようにこちらへ向かっていた。

「よっと!」

「あぶな!?」

2人は左右に飛び退きそのまま走って距離を詰める、森の精霊もこちらに対応しようと腕を伸ばす。

「何処を見てるのかしら!?」

「こちらもだ!」

直後フリーデルが森の精霊の右足を、ランベルトが背中を切りつけた。森の精霊一瞬怯んだがすぐにフリーデルたちをなぎ払おうと腕を横薙ぎに振り下ろす。

「っ!」

「ふぅん!」

森の精霊の腕をフリーデルは体勢を低くして躱し、ランベルトは自身の大剣で受け止める。

「この程度!乗馬に比べれば軽いものだ!」

「Ooooooo!!!!!!」

「そこだ!」

攻撃を受け止めニヤリと笑うランベルトが気に食わなかったのかもう片方の腕を振り上げ更に攻撃を行おうとする森の精霊に脇腹にアンゼリカの正拳突きのクラフト、ゼロインパクトが突き刺さる。

「Ooooo!?」

「業炎撃!」

体勢を崩した森の精霊にミナズキがクラフト、業炎撃を頭に向かって放つ。しかし炎を纏った太刀の一撃を森の精霊は腕を使って辛うじて受け止めた。

そのまま弾かれミナズキは距離を取る、他の3人もミナズキの近くに寄って来ていた。

 

「攻めれてはいるが・・・」

「決め手に欠けてるわね」

「どうだいミナズキ君、何とか斬れそうかな?」

「あいつ、頭を攻撃されるの露骨に嫌がってた・・・」

少し息を上げるランベルトに冷静に分析するフリーデル、アンゼリカに問われたミナズキの返答に3人は耳を傾けた。

「よくよく考えればあいつは植物みたいなもので、心臓みたいな部位も見当たらない、というか身体は木でできてるから多分そこまで痛手では無いんだと思う」

「言われてみればあれだけ体勢が崩れていたのに頭の位置はずっと高く保っているわね・・・」

「ではあれの弱点は頭、あの鹿の頭骨のような部分か」

ミナズキの言葉にフリーデルとランベルトが続く。仕切り直すようにアンゼリカは気合いを入れ構え直した。

「つまりあいつの頭を落とせれば勝てる、そうだろ?」

「あ、あぁ・・・」

アンゼリカの問いにミナズキが答えると彼女はクロウたちの方をちらりと見る、狼たちも初めと比べてかなり減っていることを確認しアンゼリカは笑みを浮かべた。

 

「やはり狼たちは召喚したものではなく森の中にいる群れを文字通り呼んだにすぎなかったか、なら勝算がある!ミナズキ君、私たちがあいつの気を引くから君はタイミングを見計らってあいつを斬るんだ、良いかい?・・・クロウたちも手を貸したまえ!」

そういうとアンゼリカはミナズキの返事も聞かずにクロウたちに声をかけ、そのままフリーデルたちと森の精霊に向かって行く。

「後輩!ゼリカに言われて来たがどうすれば良い?」

「あ・・・そうだな、あいつを仰け反らせて欲しい。出来れば動きを封じた状態で」

ミナズキはクロウにお願いをしながらチラリと後衛側を見ると狼は残り2匹ほどでエーデルが1人で相手をしていた、マローラとロギンスもこちらへ向かって来る。

「なるほどな、わかった。任せとけ・・・お前ら、とりあえず援護だ!あいつを仰け反らせて動きを止める!」

そう言ってクロウはマローラ、ロギンスと一緒にアンゼリカたちに合流していく。そんな姿を見てミナズキも考え始める。

「(普通に飛びかかっても身体で受けられる可能性がある、なら高さが必要?でもどうやって・・・)」

考える中で目に入ったものは森の精霊の近くにある大木だった、それを見上げると確実に10アージュ(10m)はあることを確認したミナズキは大木へ走り始める。

 

「ふう、これで狼は最後ですね・・・あら?ミナズキ君が木を駆け上ってる?」

取り巻きの狼を全て倒し終えたエーデルが見たのは大木を地面に垂直に駆け上がっているミナズキだった、意図を察したわけではないがエーデルはとりあえず皆の元へと走った。

 

「あいつどんな運動能力してんだよ・・・とりあえずさっき言った通りだ!動きを止めて仰け反らせるぞ!」

大木を駆け上がるミナズキが視界に入ったクロウは呆れるもののそれが合図と受け取り皆に指示を出す。

「先ずは脚!ロギンス君行くわよ!」

「おうよ!」

フリーデルとロギンスが森の精霊の右脚目掛けて走る、森の精霊も妨害しようと腕を伸ばすが他のメンバーでそれを更に妨害する。

「どりゃぁ!」

「おらぁ!」

2人で森の精霊の右脚の膝を滅多刺しにし、止めに思い切り切りつけた。

「次は左脚だ!ふぅん!」

今度はランベルトが遠心力を利用して大剣を森の精霊の左脚の膝裏を叩き切る。両脚のバランスを失い森の精霊は辛うじて使える右脚を軸に跪く、そのままランベルトは森の精霊が繰り出してきた左腕の肘から先も叩き折った。

「やるじゃねぇか!じゃあ次は・・・眼鏡、手伝え!」

「マローラです!」

クロウとそれに反論するマローラは森の精霊の右腕を撃ちまくる、初めは森の精霊も右腕で防御していたがどんどん腕は弾丸でボロボロになり動きは鈍くなっていく。そこにクロウのクラフト、フリーズバレットを打ち込み右腕を凍らせた。

「今だ、ゼリカ!」

「任された!ゼロインパクト!」

クロウの呼び掛けにアンゼリカが答え、森の精霊の背中にクラフト、ゼロインパクトを打ち込む。メキメキと音を立てて森の精霊は身体を仰け反らせた。

「今だ後輩!」

叫ぶクロウに応えるようにミナズキは大木から弾かれるように森の精霊の頭に目掛けて跳んでいく、狙うは1点森の精霊の首だ。

「・・・!?いや待って下さい!あいつ首を下げてます!」

「はぁ!?」

マローラの言葉にクロウが叫ぶ、森の精霊は首は切られまいと首を前に傾け防御の体勢に入っていた。

慌ててマローラとクロウは森の精霊の頭を撃つが相手も必死なのかビクともしない、他のメンバーも攻撃をするが近接武器ではいまいち森の精霊の頭には届かない。

このままでは攻撃が入るかわからない、そんな時だった。

「ニードルショット!」

尖った岩の塊が森の精霊の顎部分に叩きつけられ首を後ろに傾ける、皆が振り返るとそこにはアーツを使ったエーデルの姿があった。

 

「今ですミナズキ!」

マローラが叫ぶ、既にミナズキは森の精霊の真上まで落ちて来ており構えも整っていた。

「だらぁぁぁぁ!」

「Ooooooo!!!!!!!!!!」

炎を纏った太刀が森の精霊の首へと食い込む、森の精霊も切られまいと咆哮を上げた。

「いけ!」

「頑張って!」

「やっちまえ!」

「やってしまえ!」

「ミナズキ君!」

「頑張って下さい!」

「いけ!後輩!」

マローラ、フリーデル、ロギンス、アンゼリカ、エーデル、クロウ、皆の声援を受けてミナズキも力を入れる。突如太刀に纏っていた炎の色が赤から黒に変わる。

「惨ノ型、派生・・・黒炎撃ィ!!!」

気合と共に振り下ろされた太刀が森の精霊の首を切り落とす、そのまま切られた首と森の精霊の胴体は黒い炎によって燃やされていく。

最後の1片が燃えカスになる頃には森全体にあった薄暗さが消え陽の光が差し込むのだった。

 




ご拝読ありがとうございました。
これで一段落です、非常に難しく感じました。
アンケートもありがとうございました。
評価、質問、感想共に歓迎なのでよろしければ是非・・・。
次話もよろしくお願いいたします。

今更なのですが、ミナズキとレナ、それにマローラのプロフィールってあった方が良いでしょうか?

  • あった方が良い
  • 無くても良い
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。