英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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ご拝読ありがとうございます。
原作のストーリーを見てまだ一応3日目がある事に気付きました。



45.奉仕活動3日目、A、B班の帰還

 

5/31 午前6時第3学生寮───

 

「朝か・・・」

そう言ってミナズキはベッドから身体を起こす、昨日マローラと別れた後ミナズキはすぐに第3学生寮に戻った。晩ご飯は食べ忘れていたが部屋に戻ったミナズキには今から作る気も外に出て食べに行く気にもならず眠り支度をしてさっさと床についた。

おかげで今は完全に腹ぺこだった。

「学院に行かなきゃ・・・」

今日の昼には特別実習に行っていたⅦ組の皆も帰ってくる予定だ、だがその前にやっておかなければいけない事もある。一昨日、昨日とやりそこねてしまったジョルジュからの依頼である導力バイクの試運転だ。

今はまだ早い時間だが話は通しておこう、そうすれば昼前には試運転も出来るはずだ。

頭の中で整理を完了したミナズキは制服に着替え、士官学院に向かう。昨日のもやもやした気持ちは一旦置いておこう、マローラにも昨日言い方が悪かった事をいずれ謝ろう、そう決意してミナズキは第3学生寮から出て行くのだった。しかし───

 

 

午前7時、学生会館1階食堂───

 

「お、おはようございますミナズキ」

「・・・おはようマローラ」

お互い何時もの生活習慣で動いたからだろう、何時もの時間、何時も来る場所、そして何時も座る席に座ってしまったミナズキとマローラは思い切り相席しお互いの正面に座っていた。

「・・・・」

「・・・・」

昨日のことがあったからか2人とも全く喋ることも無く朝食を摂る。ミナズキは一心不乱に、マローラはなるべく考えないように。

しかし気まずいが故に互いの機嫌を伺おうとした時、不意に目が合った。

「あ・・・」

「う、ぁ・・・」

ミナズキ、マローラの動きがピタリと止まる。

「・・・はぁ」

カチャリ、と音を立てミナズキはフォークとナイフを置く。マローラは戸惑うように置かれた食器とミナズキに視線を往復させていた。

「昨日のこと・・・だよな?」

「・・・はい」

ミナズキの問いにマローラは俯きながら気重に返し、自身の手を握りしめる。誰だって本気で知られたくない事はある、だが自分は成り行きとは言え昨日それを聞こうと学園長に促していたのは事実。嫌われても文句は言えない、そう思っていた。

「結論から言って気にしないで欲しい」

「え・・・」

ミナズキから出た言葉にマローラは開いた口が塞がらなかった。今ミナズキはなんと言ったのか、理解が上手く出来ずに頭が真っ白になっていた。

「そ、れは・・・どういう?」

「そのままの意味だ、気にしないで欲しい」

どもりながら聞き返すマローラにミナズキはもう一度同じ言葉を言い返す。するとマローラは気が抜けたかのようにテーブルに手を付きため息を吐いた。

「・・・本当に気にしてないんですね?」

「あぁ、だからそんな顔しないで欲しい」

最後に確かめるように聞き返してくるマローラにミナズキは頷きながら返す、その言葉を聞きマローラはようやく何時もの調子に戻った。

「分かりました、ですがそれでは私の気が済みませんので何か私にして欲しいことはありますか?」

「して欲しいこと?」

マローラの提案にミナズキは首を傾げる。

「はい、なんでも良いですよ?出来る範囲、ではありますが・・・」

先程よりもずっと明るい表情で言うマローラにミナズキは頭を捻る。やって欲しいこと、なんて急に言われたところでさっぱり浮かんでこない。しかしここで無いと言ってもそれはそれでマローラも納得出来ないだろう。

しばらく考えていたミナズキだが1つだけあるお願いが浮かんだ。

「じゃあ勉強を教えて欲しい」

「勉強・・・もしかしてテストがあるからですか?」

ミナズキのお願いを聞きマローラも頷く、トールズ士官学院では6月に定期テストが開かれる。文武両道を掲げている帝国の中でも歴史が長くその理念も強いトールズ士官学院のテストは難しいとなかなかの評判だ。

特にミナズキは1時期登校できていなかった事もあるので難しく感じることだろう。

「正直座学は得意じゃない・・・レナ、マキアス、エマにも教えて貰おうと思ってたけどマローラも勉強得意だったなと思って・・・ダメか?」

「・・・ふふふ、良いですよ。お易い御用です」

ミナズキのお願いにマローラは笑って承諾する、その後お互いに気持ちが晴れた2人は食事を再開する。

それを遠目で見ていたコックのラムゼイとその妻サマンサが静かに頷いていた。

 

 

午前10時技術棟前───

 

「これが・・・導力バイクか・・・」

「そうだよ、なかなか良いだろ?」

紫を基調としたゴツイ2輪の乗り物、導力バイクにミナズキが感嘆の声を漏らすとジョルジュが少し胸を張るように聞いてくる、ミナズキも頷き導力バイクを様々な方向から見ていく。

「今日はこれの試運転をお願いしたいんだ」

「でもなんで自分が?」

ジョルジュのお願いにミナズキは首を傾げるとジョルジュは説明を始めた。

なんでもこの導力バイクの原型はルーレにある大学で作られたものでありそれをジョルジュが引き取る形で士官学院に移動させ試行錯誤を続けているそうだ。

ちなみにこの導力バイクを気に入ったのが一昨日勝手に導力バイクを持ち出し、昨日の森の精霊討伐に手を貸してくれたアンゼリカだったという。

「色んな人に乗ってもらって操作感とかを聞いてみようと思ってね、是非お願いしたいんだ」

「なるほど、だから試運転か・・・」

発明段階だからこその言わばテスターが必要なことを理解したミナズキは快く依頼を受けるのだった。

 

 

 

トリスタ付近の街道───

「ここらで止まるか・・・」

小高い丘を見つけたミナズキはそこに導力バイクをゆっくりと止め一息付く、初めて乗った割りには特に目立った失敗も無くジョルジュに教えられていた発進、ギアチェンジ、停止も上手くいった。

「・・・思ったよりも楽しかったかもな」

運転中は考えている暇も無かったが風が心地良く疾走感も強い、普段の生活ではまず味わうことの無い感覚だった。

ミナズキがそんな風に考えていると丁度列車がトリスタ方面に走って来ていた、時間的に他のⅦ組の皆はあれに乗っているだろうか。

「・・・手でも振ってみるか」

ミナズキは導力バイクに跨りながら走っている列車に手を振る、列車が通り過ぎるとその手を降ろし導力バイクをUターンさせトリスタへと戻るのだった。

 

丁度その頃、トリスタ行き列車内───

「おや?あれは・・・ミナズキ?」

「レナ?どうかした・・・ミナズキ?」

列車で窓からの景色を見ていたレナは遠目に見える丘に見慣れた人物がいることに軽く驚き、横にいたフィーはそれに反応すると同じく丘に知っている人物が見え首を傾げる。

「2人ともどうかしたのか?」

「いやね、今丘の方にミナズキがいたように見えたんだが・・・それに何かに乗っていたような・・・」

リィンが話かけるとレナが説明する、しかしもうその景色は見えないため上手く説明が出来ないでいるとそこにフィーが口を挟む。

「ミナズキが丘の上で何かに乗ってた、確かアンゼリカって先輩が乗ってるよく分からない乗り物」

「アンゼリカ先輩・・・なるほどあれか」

フィーの説明にリィンも合点がいったのか頷く、リィンもジョルジュやアンゼリカとは面識があるためアンゼリカが何に乗っているのかは知っている。そのためその乗り物については容易に想像が出来た。

「あんたたち、そろそろ着くから忘れ物が無いようにね」

そんなやり取りを一緒に帰ってきているサラが切り、3人を含めたA班は列車を降りる準備をするのだった。

 

トリスタ付近の街道前───

「おかえりミナズキ君、どうだったかな?」

「思ったよりも楽しかった・・・それと動作についても問題は無いと思います」

感想を聞いてくるジョルジュにミナズキは少しだけ笑みを浮かべながらな返す、その反応にジョルジュも満足したのか腕を組んで頷いた。

「それは良かった、また何かあったら試運転をお願いすると思うからよろしくお願いするよ」

「こちらこそまたお願いします」

その後軽くやり取りすると時間も時間なのでミナズキは第3学生寮へと向かって行った。

 

 

 

第3学生寮前───

「やっと帰ってきましたね」

「疲れた、もう寝たい」

「だらしが無いぞお前たち」

「はは、でも実際なんだか出発したのが随分前に感じるな」

ようやく帰ってきた寝床にエマとフィーが一気に力を抜く、それをユーシスがたしなめるもリィンが宥めた。

現に精々2日程度しか時間は空いて無いのに妙な懐かしさすら覚えている始末だ、エマたちが力を抜いてもおかしくは無いと思った。

「お疲れ様、そっちも帰ってきてたか」

「ガイウス、お疲れ様。」

そこに同じく実習から帰ってきたB班も混ざる、しかしここには1人足りなくなっていた。

「む、レナはどこへ行ったのだ?」

A班にいるはずのレナがいないことにラウラが気付いた、その言葉に皆周りを見渡すが確かに近くにレナはいない。

「あ、士官学院の方に向かってる」

レナを見つけたエリオットが指を差しながら言うと皆そちらを見る、確かに士官学院へ向かうレナの後ろ姿があった。

 

 

 

トリスタ、士官学院に向かう橋───

「何か作ってあげるべきか・・・ん?」

ジョルジュとのやり取りを終え第3学生寮に戻る途中のミナズキは正面からよく知った顔が見えたことに足を止めた。

「はっはー!久しぶりだねぇ、ミナズキ!」

「昼から騒がしいな、レナ」

何時ものように腰に手を当ててテンション高めに声を上げたレナにミナズキは呆れたように苦笑いを浮かべながら返す、このやり取りは2日程度しか時間は経っていない筈なのに妙に懐かしく感じた。

「いやはや、先程列車内で丘に君らしき人物を見かけたからね、寮の方に人の気配を感じなかったから来てみたのさ!」

「・・・ふふふ、ははは!」

「ミ、ミナズキ?どうかしたのかい?」

何時もの小煩いレナにミナズキは日常に戻った気がして笑ってしまう、そんな何時もより大きく笑うミナズキにレナは戸惑い何かあったのか訊ねる。

「いや、なかなか濃い奉仕活動だっただけだ、今日はもう1日空いてるから話そう。レナ、なんでも良いから紅茶入れて欲しい・・・それと」

「君が紅茶を強請るなんて珍しいねぇ、それと?」

「・・・おかえりなさい、レナ」

何時もより少し柔らかく笑うミナズキにレナは呆気に取られ言葉を失う、高かったテンションも落ち着きミナズキにつられて微笑む。

「あぁ、ただいま。ミナズキ」

2人でゆっくりと寮へと戻る、途中で買い物をし寮に入るとミナズキは皆におかえりと伝えつつレナを連れて食堂へ入っていく。

何時ものように紅茶と軽食用のサンドイッチを用意し2人は夕方まで目一杯お互いの実習について話し込むのだった。

 




ご拝読ありがとうございました。
リアルの方でゴタゴタなので少しペースが乱れていますが問題はありません。
次回こそ原作における第3章です。
次話もよろしくお願いいたします。

今更なのですが、ミナズキとレナ、それにマローラのプロフィールってあった方が良いでしょうか?

  • あった方が良い
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