英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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ご拝読ありがとうございます。
夜中ですが投稿です。
※レナが少し暴走してます。


49.昼休み・・・それと煽り

 

6/23(水)昼休みの廊下───

 

掲示板には今回のテストの結果が出ていた。

「・・・・あった」

「ふむ、どうやらスパルタ教育は功を奏したようだねぇ」

「えぇ、ミナズキは本当によく頑張りました」

ガヤガヤと皆でランキングを見ながら話す中、ミナズキはレナとマローラに労われていた。

 

《29.ミナズキ・バンシア 826》

1年生99人中ミナズキは29位というかなりの高順位、レナとマローラのテスト対策がこれでもかとハマった証拠だった。

「今回はありがとう2人とも、今度何かあったら言って欲しい。聞ける範囲なら聞くから」

「ふむ、どうしようかねぇ・・・一旦保留としようかな」

「そうですね、私も保留でお願いします。思いついたら言いますから」

助けて貰ったお礼としてミナズキは何かやって欲しいことが無いかを聞いたもののレナにもマローラにも保留を言い渡された、ちなみにそんな2人の成績は───

 

《1.マローラ・セイルズ 975》

《5.レナ・レトロノーツ 950》

 

レナは4位のユーシスと2点差で5位、マローラにいたってはエマ、マキアスと同率で1位という超高順位だった。オマケにクラス毎の平均点はⅦ組が全クラス中で1位を取っている。

「しかしこれは荒れるかもしれませんね」

「荒れる?何がだね?」

マローラの言葉にレナが首を傾げるとマローラはとある所に視線を送る、レナとミナズキは視線に釣られてみるとそこにはⅦ組を恨めしそうな顔で見ているⅠ組の姿があった。ミナズキが耳を傾けてみると『どうしてあんな奴らに・・・』や『寄せ集めの癖に・・・』等の怨嗟交じりの呟きが聞こえてくる。

「放っておきたまえ、生まれ育ちで自分を選ばれた存在と考えて上手くいかなかったら文句を言う。それでただの八つ当たりをするようなら所詮その程度の連中と言うことさ」

同じく彼らの声が聞こえたであろうレナが冷ややかな目で彼らを見ている。

「前から思っていましたがレナ、貴女は結構強烈な性格をしていますよね」

「はっはー!そこそこ自覚はしているさ、でも出自だけでエリートだと決めつけるのは違うだろう?」

苦笑しながら言ってくるマローラにレナは笑いながら答え、そしてミナズキの方を向いて優しく笑いかける。

「私にとって『エリート』って言うのは努力を続けられるような奴のことを言うのさ」

そう行ってレナはその場を後にする、直後ミナズキのお腹が鳴った。昼休みなのだからお腹が減るのは当然と言えば当然だ、何となくレナが学生会館に向かっていると考えたミナズキはマローラと一緒にレナを追いかけたのだった。

 

午後実技テスト───

 

「さてさて、お楽しみの実技テストよ。早速だけど始めて行くわ」

そう言ってサラが指を鳴らすと見慣れた機械傀儡が姿を現す、やはりと言うべきか前回よりも少し姿が違う。

「やっぱり似てるね」

「フィーもやっぱりそう思うか」

傀儡を見てフィーがリィンに小さい声で話すとリィンも頷く。

A班は前回の実習の際に課題でオーロックス砦に行く機会があったのだが街へと戻る途中、砦から大きな警報が鳴った。何事かと班の皆で考えていると上空を1つの影が通った遠目で分かりずらかったもののその見た目は今目の前にいる機械傀儡と良く似た見た目だったのだ。

「・・・どうしたのだ?」

「・・・別に、こっちの話だから」

2人が何か話しているのをラウラが気になって声を掛けてくるがフィーはそれに顔を逸らしはぐらかす、ラウラはそれに顔をしかめるが何も言わない。

「(まただ・・・)」

背中越しにラウラが不機嫌になった事を感じたリィンは心の中でため息を吐いた。

ここ最近ラウラとフィーの仲がぎこちない、マキアス曰くフィーが猟兵だった事を聞いた際にラウラの顔が一瞬険しくなったそうだがそこからは何も分からないとの事、ただ2人がお互いに避けあっているのは確かでマキアスとユーシスの時ほどでは無いがクラスの空気が少し悪くなっていた。

 

「それじゃあ、名前を呼ぶから前に「フン・・・随分面白そうなことをしているじゃないか」・・・ん?」

サラの言葉に誰かの言葉が被る、声のした方を見るとⅠ組のパトリックとその取り巻きたちがグラウンドに降りて来ていた。

「Ⅰ組の武術教練は明日のはずよ、どうかしたの?」

「いえ、トマス教官の授業が自習になりましてね、折角だからクラス間の《交流》をしに参上しました。最近目覚ましい活躍をしているⅦ組の諸君相手にね」

サラの疑問にパトリックが答えながら剣を構える、交流なんて言ってはいるがどことなくⅦ組を見下しているような目と物言いにⅦ組の面々は顔をしかめた。

「得物を持っている、ということは練習試合ということか?」

「フッ、察しが良いじゃないか。カラクリも結構だがたまには人間相手も良いんじゃないか。僕たちⅠ組の代表が君たちの相手を務めてあげよう。真の帝国貴族の気風を君たちに示してあげるためにもね」

リィンに聞かれたパトリックは鼻で笑いながら答える、するとサラが頷いて指を鳴らし機械傀儡を消した。

「面白いかもしれないわね・・・良いわ、実技テストの内容をⅦ組とⅠ組の模擬戦に変更する。リィン、メンバーを選びなさい」

 

サラに指示されたリィンが考えているとラウラとユーシスが近づき立候補する、するとパトリックは困った顔をしながら言った。

「いや、君たちは貴族だろう!?・・・ついでに女性陣とバンシア、貴様が出るとそもそもバランスが悪い」

「は・・・?」

パトリックの言葉にミナズキもつい声が出た。交流する気無いじゃん、と考えているとレナが近付いてきた。

 

「いやはや、これじゃあ交流にならないねぇ。・・・正直に言いたまえパトリック・ハイアームズ、Ⅰ組よりも目立っているⅦ組が気に入らないから八つ当たりをしに来たってね」

「なっ!?」

レナの煽るような言葉にパトリックだけでなく後ろにいた取り巻きたちもレナを睨んだ、しかしレナは止まらない。

「間違っているかね?交流なんて言っておきながら選ばせるのは平民あるいは下級貴族でなおかつ男子、つまりもしボコボコにしたとしても立場的に文句は言えない人間、女性陣を出さないようにしているのは後から女に手を上げたなんて悪評が出るのが嫌だからと言ったところかな、ついでにミナズキを出すなと言ったが・・・まぁそこは仕方が無いね、はっきり言ってミナズキ1人でお釣りが来るくらいには能力に差があるんだからねぇ」

わざとらしく身振り手振りを使いながら煽るレナにⅠ組の面子はどんどん顔を赤くしながら握り拳を作っている。

「おや、おやおやおや?怒ってしまったかな?でも反論しないのは何故かな?もしかして核心を突いてしまったかな?だったら反論出来ないのも仕方が無いねぇ」

「れ、レナとりあえずその辺で・・・」

なおも煽ろうとするレナを流石にミナズキが止めた、パトリックの取り巻きの1人が額に青筋を浮かべ始めており何をしても不思議じゃないほどに顔から怒りが滲んでいた。

「良いだろう、そちらのメンバーは好きに決めると良い。どちらにせよ此方が勝つんだからな!」

比較的冷静さを保っているパトリックが条件を変更してくる。これで女子はもちろんユーシスもミナズキも出せるようになった。

「はっはー!これで出たい人が出られるようになったねぇ、よし!ミナズキ行きたまえ!」

「いやお前は行かないのかよ」

意気揚々とミナズキに指示を出したレナにミナズキは突っ込む、他のⅦ組も心の中でミナズキ同様突っ込んでいた。そんな中リィンはメンバーを選んでいた。

「・・・いや、ここは俺、ガイウス、エリオット、マキアスで行くよ」

「おや、良いのかい?折角煽って条件を引き出しにいったんだが・・・」

リィンの選択にレナが残念そうに聞くもリィンは首を横に振って答える。

「だと思ったよ、だけど今回はそうしたいんだ。何より・・・」

そう言ってリィンは選んだメンバーの方を見る、選ばれた3人ともやる気は十分と言ったところだ。

「そうかい・・・良かったねぇ、パトリック・ハイアームズ!君たちの条件を飲んでくれるってさ!」

「ぐっ・・・」

リィンの言葉に頷いたレナは再度パトリックたちを煽る、パトリックもその言葉に顔を険しくした。

そうしてレナは選ばれなかったメンバーの元に合流するとミナズキたちからじとっとした目で見られている。

 

「なんだね?別に変なことはしていないはずだが」

「いや、煽りすぎでしょ・・・」

首を傾げるレナにアリサが返すと他の皆もうんうんと頷いた、しかしレナはそれでも笑う。

「別に意味も無く煽ったわけじゃないさ。今のⅠ組の連中の頭中は私へのヘイトでいっぱいだろうねぇ、そんな冷静さを欠いた状態でまともに判断出来るのかねぇ」

「煽って判断力を鈍らせたってこと?」

「判断力だけじゃないさ、怒って無駄に力めば技だって繊細さを欠くものだ。行動全てが力任せになればスタミナにも響く。オマケに今私が立っている場所は彼らの視界に嫌でも入る位置だ」

質問してくるアリサに答えながら自分の位置を調節しているレナに今度はラウラが訊ねる。

「何故そこまでするのだ?」

その言葉にレナは笑顔で答える。

「簡単だよ、勝つ為さ。勝負事に絶対なんてものはありえない、だが絶対に近づけることは可能だ。だから出来うる限り煽る、敵に少しでも怒りという名の毒を撒く。相手の視界に入るようにして小さくても良いから隙を作る、これも1つの戦い方だよ」

盤外戦術だけどね?とレナはいたずらっぽく笑う、その様子にⅦ組は気が抜けたように溜息を吐くと向き合っているリィンたちとパトリックたちを見守った。

 

「両者準備は良いわね?」

「はい、何時でも」

「早く始めてください!」

サラの確認にリィンは何時ものように頷きパトリックは少し語気を荒らげながら答える。

それを確認するとサラは少し下がり手を上にあげる。

「では只今よりⅠ組とⅦ組の模擬戦を始める。お互い構えて・・・試合開始!」

 

怒りに燃えたⅠ組といつも通りのⅦ組が衝突した。

 




ご拝読ありがとうございました。
書いてる側としてもレナに煽らせ過ぎたなとか思ってます。
次話もよろしくお願いいたします。

まだ直接的な関係は無いんですけど逆質問です。ミナズキは士官学院を卒業したらその後はどうなると思いますか?

  • 遊撃士になって仕事をする
  • 帝国の各地を放浪する
  • なんやかんや身を固めて何処かに定住する
  • 行方不明になる
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