英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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ご拝読ありがとうございます。
お待たせしました、プロフィールばかり書いてましたが本編を進めます。


55.ノルドの集落、ミナズキの価値観

 

「ここがノルドの集落か・・・良いな」

「長閑だねぇ・・・」

ミナズキが感嘆の声を漏らしレナもフフフと笑いながら呼応する、目の前に広がるのは移動式の住居と馬や羊といった動物、そしてノルドの民特有の民族衣装を着た子供たちが走り回っている姿だった。

 

遊牧民であるノルドの民は1年を通して1箇所に定住するわけではなく、夏から秋にかけては高原の北側で、冬から春にかけては高原の南側ですごしている。

「さて、まずはオレの実家に案内しよう。長老への挨拶は改めてするとして「あんちゃぁぁぁぁん!」ん?」

「わぁ・・・」

「おやおや、可愛らしいねぇ」

案内をしようとするガイウスの言葉を遮るように3人の子供が大きな声を上げながら駆けて来る。

アリサとレナが無邪気な子どもの姿に顔を綻ばせているとそのうち1番小さな子がガイウスに突進するとガイウスも身をかがめて受け止め抱きしめた。

「あんちゃん!ガイウスあんちゃん!」

「おかえりなさい、ガイウスお兄ちゃん!」

「ただいま、リリ、シーダ、トーマも元気そうだな」

「へへ、あんちゃんこそ、おかえりあんちゃん!」

「あぁ、ただいまだ」

1番小さな女の子リリと2番目に小さな女の子シーダがガイウスにおかえりなさいと一言言うとガイウスもそれに返すと1番歳の近い弟トーマとも話し始める。

「はは、すごい慕われてるな」

「えぇ・・・一人っ子には目に毒ね」

「・・・・・」

そんな様子にリィンとアリサが微笑み、ユーシスは目を閉じて少し表情を暗くしていた。

「うーん、私の所はこんなに穏やかじゃないから少し羨ましいねぇ」

「そうなのか?」

「貴族らしくドロっとしているよ・・・」

レナも自身の家と比べて目からハイライトを消し、それに対しミナズキは苦笑いを浮かべた。

 

 

「あんちゃん、その人が手紙で書いてた人たち?」

「あぁ、Ⅶ組のオレの仲間たちだ」

ガイウスの言葉を聞くとトーマは前に出てⅦ組に軽く会釈をする。

「初めまして、ガイウスあんちゃんの、じゃなくて・・・ガイウスの弟のトーマです。こちらは妹のはシーダとリリ」

「はじめまして・・・」

「あんちゃんのお友だちー?」

トーマに紹介されシーダは控えめに、リリは無邪気に好奇心を向けながら挨拶をしてくる。

「初めまして、リィンだ」

「アリサよ、よろしくね」

「ユーシスだ、よろしく頼む」

「私はレナ、こっちの無愛想なのはミナズキだよ、よろしく頼む」

「・・・よろしく」

「うわ〜、帝国のヒトって感じだなぁ」

Ⅶ組の挨拶にトーマが笑っていると背後から2人の男女が歩いて来ていた。

 

「フフ、良き友に恵まれたようだな」

そう言って落ち着いた男性と女性はガイウスたちの後ろに立った。

「父さん母さん、ただいま戻りました。」

「ふふ、お帰りなさい─── 。皆さんも初めまして、ガイウスの母、ファトマです。」

ファトマの挨拶を聞いたアリサとレナが唖然とした表情でファトマを見る。

「お、お母さん!?」

「お姉さんとかではなく!?」

2人の反応にお上手ね、と笑うファトマ。ミナズキとしては実母がいた事がないのでよく分からなかったが2人の反応を見るに常識的では無い若々しさである事だけは理解出来た。

「ガイウスの父、ラカン・ウォーゼルだ。トールズの諸君、よろしく頼む」

「はい、こちらこそ」

「よろしくお願いする」

ラカンにリィンとユーシスが返す、ミナズキは頭の中で『こっちはガイウスを渋くしたような人だ・・・』と考えていると、ラカンは続ける。

「さて、客人用の住居を離れに用意しておいた。積もる話もあるだろうがまずは荷物を置くといい。じきに日も暮れる、我が家で夕餉としよう」

そうしてミナズキたちは離れにある住居に案内され荷物を置くと、ガイウスの家に連れられて行くのだった。

 

 

 

「お、美味しい・・・これ、どんな味付けをしてるんですか!?」

「キジ肉を、岩塩と香草で包み焼きにしているのよ、帝国の人のお口に合うと良いのだけど」

「とても美味しくいただいている、その証拠にほら・・・」

絶賛するアリサにファトマが返すとそれに対してレナが視線でミナズキを指す、そこには─── 。

「こっちのお兄ちゃん、いっぱい食べるー」

「・・・・・?(モグモグ」

リリの言葉にミナズキも皆に見られている事に気づいて手を止める、レナは呆れ気味にミナズキに言った。

「ミナズキ、手が止まらないのは理解出来るがせめて何か感想を言いたまえ」

「・・・・・この炙った羊肉、スパイスも効いてるから羊肉特有の臭みが無くて味わいも深い。スープもマイルドで飲みやすいし飲んでから身体がポカポカする。このパンみたいなのも香ばしくてフワフワしてる、スープに合わせても美味しいし、肉を乗っけても合う・・・滋味深い味で美味しい」

「えらく具体的な感想になったねぇ・・・」

「このお兄ちゃんおもしろーい!」

言うだけ言うとミナズキはまたスープに手をつける、そんなミナズキにレナは呆れているがリリにはウケたようで笑っている。

 

そうしてまた食べ始めたミナズキをⅦ組は放っておくことにしてラカンやファトマと話を始める、ミナズキもまた食べる事に集中しようとすると不意に視線を感じた。

「ん?」

「・・・・・ん〜?」

ミナズキが視線を感じる方を見るとリリが目を輝かせながらミナズキを見ていた。

「・・・・・?」

「ん〜?」

なぜ見るんだ?という顔で首を傾げるミナズキ、リリもそれに合わせるように首を傾げた。

「えっと・・・?」

「ん〜」

何かしたほうが良いのかと考えるミナズキ、リリはそんなミナズキを興味深そうに覗き見てくる。

「・・・・どうかしたのか?」

「・・・・!」

状況に耐えられなくなったミナズキはリリに質問することにした、するとリリは目を更に輝かせながら質問してきた。

「ねぇねぇ!ていこくってどんなところ?」

「え・・・」

リリの質問にミナズキだけでなく、他のみんなも少しだけ耳を傾ける。トーマやシーダはリリと同じように興味ありげにミナズキを見てくる。

「ふむ・・・少し待ってくれ、今頭の中で整える」

頭の中で考えをめぐらせ、どう答えるべきかと悩む。その様子にリリたちやチラリと視線を向ける他のⅦ組も気になるようだった。やがてミナズキは1度頷くとリリたちに話し始める。

「一言で言うなら・・・便利、だな」

「べんりー?」

リリにシーダ、トーマの反応を見て、ミナズキは続けた。

「そう、便利。例えば今日俺たちはゼンダー門に列車を使って来た、時間にして8時間、長く感じるかもしれないがもし馬だけでノルド高原に来るなら・・・多分馬の体調やその日どこで寝るかも考えて少なくとも1週間くらいはかける、でも列車が通ってからは半日もかからなくなった。遠い土地の人とも会いやすくなったし、連絡を取る方法も手紙だけじゃなくて通信を使う事も出来る」

そう言ってミナズキは自分のARCUSを見せ通信を送る、するとリィンのARCUSが鳴った。

「ん?ミナズキ?」

「なんでもない、切っていいぞ・・・こんなふうに遠くの人間とも話す事が出来る、今はまだ遠すぎると難しいようだがいずれは技術が発展して国の端から端まで届くだろうな」

「おー!」

ミナズキの話にリリは楽しそうに笑う、シーダとトーマもARCUSを興味深そうに見る中、リィンたちもミナズキがどんな話をしているか本格的に気になり始めた。

「ていこくってすごいんだね!」

「・・・そう、だな。でも少し寂しさもあると思う」

「えー?」

便利さの良いところを言ったミナズキが途端に否定もするのでリリは首を傾げた、トーマは考えるように腕を組みシーダは不安そうな顔をした。

「便利になるってことは、同時に今まで不便だった物事を捨てるということで例えばいずれは手紙が消えたり、他の移動方法が廃れたりする。果たしてこれが良い事と言えるかは俺としては疑問だ」

「・・・・・?」

「ミナズキ・・・」

ミナズキの言葉にリリは首を傾げたが遠くから聞いていたガイウスは静かに聞き入る、他の皆も少しずつミナズキの話を真剣な表情で聞き始めた。

「新しい物ができることは良い事だ、でも同時にそれは古い物や習慣が消えていく、という事であり懐かしいと思える思い出も、誰かが愛した故郷も風化していく・・・そしていつかは完全な過去となり最後には消えていくのだ。だから俺は一概に新しいことを良い事だとは思えないんだよ」

だからな、とミナズキはポカンとするリリの頭に手を置いて言う。

「いつか君が大きくなった時、帝国だけでなく色んな国の事が気になるなら1度でいいからその土地に行ってその場所を見て、聞いて、感じて欲しい。そしてその時君がどう感じるか・・・それを大事にするんだ」

そう言うとミナズキは懐から小さな小瓶を取り出し、リリ、シーダ、トーマに渡した。

「今日ノルドに来る際に乗った電車の中で仲間に振る舞う予定だった砂糖菓子で金平糖っていうんだ、折角だから受け取ってくれ」

「わー!」

「ありがとうございます・・・」

「ありがとうございます!」

リリ、シーダ、トーマの反応を見てミナズキは困ったように笑うとふと他の皆から見られている事に気づいた。

「な、なんだよ」

「いやなに、ミナズキは普段こういうことは喋らないからねぇ、貴重な話を聞いたよ」

「あぁ、それにリリたちにお菓子まで・・・ありがたい」

「というか、おはぎ以外に砂糖菓子・・・こんぺいと?なんて物も作ってたのね・・・」

「俺も老師から貰ったことあるけどそれ、作るのに手間が掛かるんじゃなかったか?」

「む、そうなのか?見た感じは小さい不思議な形をした粒に見えるが・・・」

狼狽えるミナズキをレナが茶化し、ガイウス、アリサ、リィン、ユーシスがそれぞれ反応を見せる。

「確か・・・金平糖はその大きさまで作るのに2週間はかけるよな?」

「に、2週間!?」

「あぁ、少し前から仕込んでいて今日お披露目予定だった、なんなら少し凝って作ったぞ、色によって味が違うフルーツ金平糖だ」

リィンの指摘に驚くアリサ、ミナズキはそれに対して拗ねるようにそっぽを向いた。

 

その後、歯を磨きガイウスに寝床へと案内されたⅦ組はさっさと床に着いた。

滋養にいい食事のおかげか、はたまた自分の腹の中を言葉に出来たからなのかその日ミナズキはうなされる事も寝つきが悪くなることも無く静かに眠りにつけたのだった。

 




ご拝読ありがとうございました。
ミナズキを産んだ身としては幸せになって欲しい心と曇って欲しい心が良い感じに喧嘩しております。
次話もよろしくお願いいたします。

※アンケートを取る事にしました、ちなみにアンケートの欄だと長く書けないのでこちらに細かい内容を書かせて頂くと・・・。

1.原作通りリィンの旧校舎探索に手を貸す
2.レナに連れられて近場に息抜きに出掛ける
3.マローラから図書館へ呼び出しが来る
4.ミナズキの今後や謎が分かりやすくなる事が発生する

(余談ですが4についてはそもそも投稿者は原作の閃の軌跡4まで書くつもりでいます。)
と言った具合です。よろしくお願いいたします。


原作3章を終えた後の自由行動日の予定に少し迷います。なのでアンケートを取らせていただきますよ。

  • そろそろリィンに合流してあげて・・・
  • レナ「さて、お出かけだー!」
  • マローラ「図書館にご用でしょうか?」
  • ミナズキ「たまには1人で帝都行くか」
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