なんとか投稿出来ました。
ゼンダー門正面───
「そろそろ来る頃じゃないか?トールズの学生たち」
「そうだな、にしてもわざわざ8時間もかけて来るなんて大変だよな」
ゼンダー門の正面を警備している2人の兵士が談笑している、話題は当然昨日やってきたⅦ組のことだった。
「なんでもラインフォルト家の令嬢、アルバレア公爵家の息子とかもいるみたいだぜ」
「それはすごいな、他にもいたりするのか?」
「他だとレトロノーツ辺境伯家の養女とかシュヴァルツァー男爵家の養子とかもいたはずだな、あとはなんだったかな・・・確かミナズキって男がいたはずだが」
「レトロノーツ家っていえばあの辺境アルテマの領主か、シュヴァルツァー家は確か温泉郷ユミルの領主だったな。いいなー温泉、ミナズキってやつは知らないけどさ」
そんな風に話していると前方から馬の蹄の音が聞こえてくる、その音に目を細めると一頭の馬が走ってきていた。
「噂をすれば来たな」
「でも一頭だけか?それにあれじゃ馬に乗ってるってより馬に振り回されてるような・・・」
首を傾げながら見ているとそれは減速することなく走って来る、そしてよく見えるようになるとそれは老馬に振り回されてる灰色の髪に少量の赤髪が混ざった青年ミナズキだった。
「止まれってば!止まれぇ!」
なんとか馬を制御しようとしているがそれでも老馬は止まらない、結局兵士たちの目の前に来てようやく急ブレーキをかけるようにミナズキを跳ね飛ばした。
「どわっ!?」
宙に舞ったミナズキはそのまま回転しなんとか着陸する、あっけに取られた兵士たちに見られていることに気付くと恥ずかしそうに目を逸らしながら頭を下げた。
「お騒がせしました・・・」
「い、いや大丈夫だ」
「け、怪我は無いのか?」
「頑丈さが取り柄なので・・・」
少し楽しそうに跳ねる老馬を背後にミナズキは兵士たちとしばらく話した、その後少し遅れてやってきたガイウスたちにも心配されたが兵士たちと苦笑いで話を濁したのだった。
ゼンダー門、司令室───
「よく来てくれた、Ⅶ組の諸君。昨日はよく休めただろうか?」
「はい、お陰様で心身共に養えました」
ゼクスに迎えられⅦ組は改めて挨拶し話を始めた。最近現れた魚型の魔獣の討伐をして欲しいというものであった。そしてゼクスがリィンたちを送り出そうという時にことは起こった。
「では風と女神の加護を良い結果をま「ぜ、ゼクス中将!」む、どうした?今はⅦ組の者たちと話しているのだが」
「すみません、ですがガルド殿に訓練として挑んだ兵士たちが皆やられてしまいまして!」
「む?そうか・・・いや仕方ないか、とはいえ・・・」
唸るように悩むゼクスだったがその後頷くとリィンたちに向き直る。
「諸君、すまないが1度そちらに向かってもらっても良いか?身にはなると思うぞ」
「えっと、それは一体・・・」
「そう言えば言っていなかったな、今日ゼンダー門に特別講師を呼んでいてな、徒手空拳の達人でガルドという男だ─── そして今うちの兵士たちが訓練として挑んでいるのだが今聞いた通り全員やられたようだ。よし、とりあえず案内をしてやってくれ」
「はっ!トールズの諸君、こちらだ」
戸惑うリィンたちにゼクスは手短に説明すると部下に案内を任せ、部下はリィンたちをゼンダー門の外、ちょうど門と監視塔の間の大岩付近に連れて行った。
ノルド高原南部、大岩付近───
「え・・・」
「これは・・・その」
「死屍累々、だな」
リィン、ミナズキ、ユーシスが目の前の光景に言葉を詰まらせた、Ⅶ組の前には数十人の兵士が様々な体勢でノビている姿だった。何人かは立ち上がり、中心にいる大男に挑みかかっているが5秒と持たずに吹き飛ばされていた。
「ぐぼぁ!?」
「だーかーらー!疲れたからって大振りはやめろって言ったろうが!」
そして最後の1人も叱咤と共に殴り飛ばされ地面に転がる、対照的に中心にいる大男ガルドは特に汗をかくこともなく腕を組みため息をついた。
「だらしねぇ、おめぇらそれでも帝国軍人か!少しは根性見せやがれ!」
大きな声で倒れた兵士たちを叱り付けるガルド、しかし兵士たちは皆完全に気絶したようで反応は無かった。
またもやガルドは1つため息を吐き頭をかく、そして近付いていたⅦ組に身体を向けた。
「で、おめぇらが中将の言ってたトールズのⅦ組か」
「あ、はいそうです」
ガルドにリィンが代表して返すとガルドはふむ、と顎に手を当ててⅦ組のメンバーを見る、ただ見ていると言うよりもまるで品定めのような眼差しに皆首を傾げたがしばらくするとガルドは頷き口を開いた。
「鍛え方は悪くねぇな、だがまだまだヒヨコも良いところだ」
その言葉を聞き、Ⅶ組の面々、特にユーシスやリィン、ミナズキは顔を顰める。確かにまだまだなのは否定しないが少し見ただけで決めつけられるのは気持ちの良いものではなかった。そんな3人を見てガルドは不敵に笑うと続けた。
「どうだ、1回戦ってみるか?今の自分の段階が見えてくるだろうぜ」
そう言ってガルドは組んでいた腕を解き軽く構えた。型が無いようでいて、それは一切の隙のないものだった。
「なるほど、確かに強いようだ・・・」
「隙が見当たらない、強いな」
ユーシス、リィンの言葉に皆構えをとる、ミナズキもまた構えをとり目の前のガルドを睨みつけた。
「おや、ミナズキもやるのかい?」
「あぁ、この相手なら気負いなくやれる」
「ふむ、そのこころは?」
「・・・正直斬れそうにないからだ」
レナの質問に少し歯切れ悪く答えたミナズキ、その言葉には他の面々も眉をひそめた。
「良いじゃねぇか、・・・んじゃ、とっととかかってこいやぁ!」
ガルドの言葉に応えるようにⅦ組は襲いかかった。
「ゲイルスティング!」
初めに動いたのはガイウス、自身のクラフトで風を纏った突きを放つ、しかし───
「ふんっ!」
「なっ!?」
ガルドはその風をまるでどうってことの無いように腕で軽く払い飛ばした。そしてそのままガイウスへと走り始める。
「フランベルジュ!」
そこに牽制するようにアリサのクラフトが飛ぶ、炎を纏った矢が襲いかかり、それは確かに直撃した、はずだった。
「そんなもんか?」
「嘘!?」
しかしガルドの足は止まることなくガイウスへと向かい続ける、焦ったアリサは2度、3度とフランベルジュを放ち当てるがそれでもガルドは怯むことすらなくガイウスに到達した。
「くっ!タービュラン「遅せぇ」っ!?」
更にクラフトを使うおうとしたガイウス、だがガルドはガイウスの槍を片手で掴みそれを防ぎ、そのまま拮抗力を込めて引き剥がそうとするガイウスだがガルドは涼しい顔で槍を止め続ける。
「スラッシュスパーク!」
「あ?」
ガルドの背後からレナが電気を纏った突きを放った、思いっきり背後だがこの際そんなこと気にしない、だが。
「え、いや嘘だろ?」
「今やってるだろうが」
ガルドは振り向くどころか目も向けずレナのレイピアを2本の指でつまんで止める、これにはレナも唖然とする他なかった。
「そうらよっと!」
「ぬぐっ!?」
「うおっ!ちょっと!?」
「え?きゃあ!」
そしてガルドはガイウスとレナを本人たちの武器ごと振り回し投げ飛ばした。凄まじい勢いのままガイウスはそのまま岩に叩きつけられ、レナはアリサを巻き込むようにぶつかりアリサごとノックアウトされてしまった。
「あと3人か」
「おいリィン、ミナズキ、なんとか一矢報いるぞ」
「もちろんだ」
「・・・にしても隙が見当たらないな」
余裕綽々なガルドに対して残った3人は余裕が無い、たった一手で仲間が3人も戦闘不能にされては無理もないがそれでもガルドとの経験値の差に焦らずにはいられなかった。
「・・・俺がなんとか隙を作る、2人は上手く攻撃してくれ」
「良いだろう!」
「わかった!」
そしてミナズキは勢いよくガルドへ突っ込んで行く、ガルドはニヤリと笑い腕を広げた。
「お前が1番気になってたんだよ!おら、やってみな!」
「言われずとも!」
挑発するガルドに対してミナズキは弐ノ型疾風で突進し、リィンとユーシスは続くように走り出す。
そしてミナズキとガルドがぶつかる直前、ガルドは両掌でミナズキを挟むように引きおいよく腕を閉じた。
「おら!ここだろ・・・あ?・・・!」
パァン!と大きな柏手が鳴る、しかしそこにはミナズキは居ない。次の瞬間背後から静かな殺気を感じたガルドは小さく振り向く、するとそこにはいつの間にか抜刀の構えをとったミナズキがいた。
「クイックスラスト!」
「紅葉切り!」
目の前からはユーシスとリィンの攻撃、そして後ろからはミナズキの攻撃が今にも飛び出てくる体勢、確実に大ダメージを与えられる連携と言えた。
「ドゥラァ!」
「ぐぅ!?」
「ごはっ!」
「うぉっ!?」
ガルドで無ければの話だったが───
一切の迷いなく牽制するようにミナズキにかかとによる蹴りを放ち、右拳でユーシス、左拳でリィンを殴る。ゴシュ、という音と共にユーシスとリィンは吹っ飛んでいく。一方ミナズキは身体を反らしなんとか蹴りの直撃を避けた。
完全に攻撃の体勢に入っていたユーシスとリィンは直撃し攻撃の体勢に入り切っていなかったミナズキは運良くかする程度で乗り切ることが出来たのだ。
「さて、残るはお前だな」
「・・・・」
ガルドの言葉にミナズキは周囲を見渡す、ガイウスは岩との衝突が強かったのかまだ立ち直っていない、レナとアリサはぶつかった時の当たり方が悪かったのか未だに目を回している。
ユーシスとリィンは顔面にモロに一撃を食らって完全に気絶、自分以外詰みと言えた。
「どうすんだ、かかってくるか?」
「勿論やるさ」
ガルドの問いに短めにミナズキは答えた、ミナズキ自身気になっているのだ、自分が現段階で格上相手にどれくらい戦えるのか、状況としては初めての実習の時とよく似ている、だが相手はあの時の敵と比べても随分と上の存在だった。ならばこそ奥の手を使っても恐らく自分は負けるだろう、だがそれで良い。あの時と違って制御が上手くいかなくても目の前の化け物が力ずくで止めてくれる。
「思いっきりやらせてもらう!」
「おう、やる気みたいだな」
赤い闘気がミナズキの身体から静かに漏れ出始め、徐々に身体中を包み込む。ガルドはそんなミナズキの変化に特に驚くことも無く笑う。
やがて完全に赤い闘気を身体に纏うとミナズキはガルドに笑顔で太刀を向けた。
「いざとなったら止めてくれ!」
「良いぜ、全力で来な!」
まるで軽く挨拶でも交わすように2人は衝突した。
ご拝読ありがとうございました。
次回は出来る限りの戦闘話になりそうです。
戦闘描写苦手なのに・・・
次話もよろしくお願いいたします。
原作3章を終えた後の自由行動日の予定に少し迷います。なのでアンケートを取らせていただきますよ。
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そろそろリィンに合流してあげて・・・
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レナ「さて、お出かけだー!」
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マローラ「図書館にご用でしょうか?」
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ミナズキ「たまには1人で帝都行くか」