書けたので投稿します。
「こんなもんかよおい!?もっと本気でガンガン来いやぁ!」
「速いな・・・!」
拳の雨、と言うより暴風雨とも言える連打がミナズキを襲う、ミナズキの方は太刀で拳による攻撃を弾き、逸らしては隙を見て攻撃を仕掛けるが手数では圧倒的に劣っていた、赤い闘気も戦っている間に霧散していた。
そんな様子を比較的ダメージの少なかったおかげで気を持ち直せたレナとアリサが遠目から観察していた。
「あれがミナズキの現段階での強さか・・・いや、でも奉仕活動で使ったとされる黒い炎がまだ出てないねぇ・・・もしかして発動に条件、或いはすぐに出せない?ふむ、興味深い」
「い、いやいやなに普通に状況を解説してるのよ!?」
冷静にミナズキの事を考察するレナに対してアリサがツッコミを入れる、しかしレナにはそんなものは届いていないようで1人でブツブツと呟くのを止めることなく、その視線もまた戦うミナズキの姿から全くと言っていいほどに離れなかった。
「おら!どうした!もっと来れんだろ!?」
「・・・・」
1度距離を取り息を整えるミナズキにガルドはまたしても挑発的な声を上げる、だがミナズキはそれに乗ることはせず静かに自身の集中力を上げ続ける。
またもや赤い闘気を纏いつつそこから更に集中、少しずつ赤かった闘気が黒色に変わり始める。だがそこでミナズキは頭の中で少し踏みとどまった。
『これで良いのか?』と───
トールズに入学してからの期間で1番この状態に近いのはアメリエラ戦でのことだ。文字通り殺意に身を任せて衝動的に発動していた、しかしこれでは以前と何も変わっていないようにも感じた。
「あ?どうしたよ、なにかする気なんだろ?やればいいじゃねぇか」
そんな風に頭の中で考え続けるミナズキにガルドが話しかけてくる、挑発的ではあるがその目は冷静そのもので何があっても動じない、そんな強い目だった。
そんな目を見てミナズキも考えを改めることにした。
『そうだ、これじゃない』
納得のいく結論を出したミナズキは少し口角を上げ、太刀を納めると深呼吸、すると黒色に染っていた闘気は赤色に戻り、そして青がかった白色に染まった。
ミナズキの目の色が灰色な事もあり、まるでそれは夜明け前の白くなっていく空と静かに残る月のようにも見えた。
「なんだ・・・あれは・・・」
「綺麗・・・」
レナとアリサがつい口から漏らした、まだ上手く制御出来ていないのかミナズキは目を閉じ集中し続ける。
「・・・・」
ガルドはその間、何かするでもなく腕を組みミナズキを見守っていた、そしてミナズキは目を開け視線を交わす。
「『朝月夜』・・・名付けるならこうだろうか、待たせてごめんなさい」
「構わねぇよ、それ、動けるのか?」
「多分動ける・・・それに─── 」
瞬間、ミナズキが消えガルドの後ろに回っていた。
「─── それに、ずっと速い・・・!」
「やるじゃねぇか!」
ガキィン!!という音と共に拳と太刀がぶつかる、そしてそのまま押し合いになるがさっきまではそうならないようにしていたミナズキはそのまま押し合いに乗った。
「・・・ふぅん、力も強くなったってとこか?」
「・・・あぁ、自分のことだが驚いている・・・!」
そのまま少し停止した、が次の瞬間またミナズキは消えた。そして後ろ回っては斬りかかり、防御された瞬間にまた消える。
「速くなったじゃねぇかおい!おまけにずる賢くなったか?」
「あぁ!少しな・・・『乱れ十六夜』!」
煽るガルドの正面に出てきたミナズキはそのまま太刀を抜き高速の16回の斬撃を放つ、ガルドは身を固め防御するが腕に小さい切り傷ができた。
「傷をつけたか・・・良いじゃねぇか!もっと来てみろ!」
自身に傷をつけた事に驚いたのかガルドは賞賛しつつも拳で攻撃を仕掛ける、しかしまたもやミナズキは消え拳を避けた、次にミナズキが現れたのはガルドの真上で身体を反らしそして全身のバネを使ったまるで矢のような突きを放った。
「は?」
「『下つ弓張』!」
一瞬呆気に取られるもその突きにまたもやガルドは防御する、今度は腕に小さな穴ができた。
「・・・なるほどな、こりゃ少し真面目にやる必要が出てきたわな・・・」
ガルドの顔から笑みが消え、そして先程からの軽そうな構えではなくどっしりと腰を落とし体勢を整える。
それを見たミナズキも改めて構えると今度は両者睨み合いとなった。
「動かないわね・・・」
「下手に動けないんだろうねぇ、あの大男もさっきまでとはまるで違う雰囲気を持っているしミナズキは言うまでもない感じだし・・・何も出来ることはなさそうだし我々はとりあえず他の皆を起こして治療でもしようかねぇ」
「そ、そうね・・・」
アリサとレナ目の前の戦闘を見ながら話す、はっきり言ってしまうと自分たちには介入の出来そうにない戦いだったため2人は早々に諦め、近くでノビてしまっているリィン、ユーシス、ガイウスを起こすため、戦いから目を離した。
「壱ノ型、螺旋撃!」
「豪砲拳!」
回転をかけた流れるような太刀の一撃に真っ直ぐに突き出した豪快な拳の一撃がぶつかる、瞬間轟音が高原に響くがそんなことお構い無しに2人は打ち合った。ある程度打ち合うとミナズキは消え、そして各方向から残像と共にガルドへ斬り掛かる。
「弐ノ型派生・・・『流星』!」
「そう来たか!でもなぁ!回天動地!」
ガルドは襲い来るミナズキとその残像たちをその場で回転し衝撃波を発生させ吹き飛ばした、衝撃波によって空中に打ち上げられたミナズキに今度はガルドが飛び掛る。
「翔崩拳!」
「惨ノ型派生・・・『白炎撃』!」
アッパーカットを放つガルドにミナズキは白い炎を纏った斬撃で対抗する、空中でも轟音が鳴り響き近くにいたであろう魔獣たちがわらわらと集まってきた。
その中にはゼクスから依頼されていたであろう手配魔獣の姿もあった。
「ほら、ティアラ」
「キュリア、ガイウス大丈夫?」
「あ、あぁ大丈夫だ・・・助かった」
レナが使った回復のアーツであるティアラ、アリサが使った状態異常を消し去るアーツのキュリアによりガイウスが目を覚ます。少しクラクラするのか頭を横に振り、それが治まるとゆっくりと立ち上がった。
「さて、治ったかね?ならば次はリィンとユーシスの方だ」
「いや先に状況言った方が良いんじゃないかしら?」
「・・・聞きたいかね?」
「出来れば頼む」
「では歩きながらとしよう、戦いの影響なのか魔獣が集まってきているからねぇ」
レナの言葉にツッコミを入れたアリサと状況説明を頼んだガイウスは慌てて周囲を見渡す、確かにここに来た時よりも遠目に見える魔獣が増えている、そんな2人をよそにレナは歩き始めると説明を始めた。
「現在、ミナズキとガルドとやらが戦っている真っ最中だ、そしてガイウス、君がやられた直後にミナズキ以外は全滅してね。1番酷いのがリィンとユーシス、あの2人は顔面にモロに喰らったみたいだからしばらく昏倒してても不思議じゃないのさ。魔獣も少しずつ増えてきたし少しだけ急ぐとしよう」
説明を終えるとレナは少し小走りになりアリサとガイウスもそれを追う、そんな中でも遠くから聞こえる戦闘音は3人を少しずつ不安にさせていった。
「どうした!息が上がってるぜ?」
「・・・は、はは・・・流石にな」
余裕のあるガルドとは対照的にミナズキは息を上げ、身体を上下に揺らす。初めて使った力、おまけにその状態で暴れ回っているのだから無理もない、だがそんなミナズキに対抗しているガルドはほとんど息も上がっておらずまだまだ余裕が透けて見えた。
そんなふうに2人で睨み合っているとふと周りがうるさいことに気付いた。
「あん?」
「ん?」
2人が視線を外し周りを見るとそこには2~30体は下らない魔獣が2人の戦闘に反応してやって来ていた。
「こりゃ、やりすぎたな・・・」
「・・・ん?あれってゼクス中将から貰ってた依頼の魔獣にそっくりなような・・・」
「あ?」
ミナズキの言葉にガルドが見るとそこには魚型の大型の魔獣、他にも魚型はいるがそれらと比べて2回りはでかい、どう見てもゼクスが討伐依頼を出していた魔獣だった。
「んじゃあここでやっちまえば依頼完了か?」
「だと思う・・・はい」
その会話を皮切りに魔獣たちが襲いかかってくる、が今の2人を相手にするには不足もいい所で───
「邪魔だ!」
「勝負に水差してんじゃねぇよ!」
魔獣たちはミナズキの太刀に真っ二つにされ、ガルドの拳で粉々になる。
その後も懲りずに魔獣は突っ込んでくるがそれでも先に来た魔獣と同じ結末を辿り、そしていつの間にか残ったのは手配魔獣だけとなった。
「残るはアレだけだな。おい、今の状態でいられるのはあとどんくらいだ?」
「もう、ほとんど無理・・・最後にアイツだけ倒して終わり・・・だから思い切りやる」
そう返すとミナズキは手配魔獣にゆっくりと近付きながら静かに呟く。
「明鏡止水・・・我が太刀は月、闇夜を照らし弱きを護る、守護の一刀也・・・」
そうして納刀している太刀の柄に手を付け構える、そんなミナズキに手配魔獣が飛びかかった。
「・・・見えた!」
瞬間、ミナズキの姿が消えいつの間にか手配魔獣の後ろを歩いていた。そして静かに太刀を納刀、すると魔獣が動こうとした瞬間縦に線が走る、そのままゆっくりと魔獣は半身がズレていきバタりと地面に落ちる、そして数秒時間をかけて残っていた半身が小さく呻き消滅した。
『月ノ太刀、月華落命』
そう呟くとミナズキは膝を着いた、纏っていた闘気も霧散しその場に大の字に寝転がった。
「ヒュー、良いもん見たぜ」
ガルドは満足そうに口笛を吹くとその場にあぐらをかいて座った。
しばらくして遠くから他のⅦ組の声が聞こえた。
「おーい!」
「大丈夫ー?」
レナとアリサの声にミナズキは反応し寝たまま顔を向けた、2人の後ろにはリィンとユーシス、ガイウスもいる。
「おうお前ら、手配魔獣ならこいつが斬ったぞ、1発でな」
「え?」
ガルドの言葉にレナがキョトンとした顔でミナズキを見つめるがミナズキは気まずそうに目を逸らす、リィンも残念そうな顔をし、他の面々もなんとも言えない顔でガルドとミナズキを見るがガルドはどこ吹く風、ミナズキは顔を背けるばかりだ。
「い、いい・・・1番良いところ見逃したぁぁ!!!」
高原に頭を抱えたレナの絶叫が響く、そんなレナをミナズキは力なく笑うのだった。
ご拝読ありがとうございました。
久しぶりに戦闘描写を頑張りました。
次話もよろしくお願いいたします。
※アンケートはもうすぐ閉める予定です。
原作3章を終えた後の自由行動日の予定に少し迷います。なのでアンケートを取らせていただきますよ。
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そろそろリィンに合流してあげて・・・
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レナ「さて、お出かけだー!」
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マローラ「図書館にご用でしょうか?」
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ミナズキ「たまには1人で帝都行くか」