徹夜付きのお仕事が終わり、少しだけ余裕が生まれました。
「さて、この1匹で南部の羊は全部だねぇ」
「そうだな、とりあえずこいつを集落に戻したらミナズキを「あぁぁぁぁぁ!!!」・・・・ミナズキが戻ってきたようだ」
レナとガイウスが南部の最後の羊を集落に連れ戻そうとした時、後方から叫び声が聞こえた。
振り返るとミナズキがまたもや振り回されるように老馬に乗りながらこちらへ向かって来ているのが見えた。
「あれは馬に乗ると言うよりは乗せられてるが正解だろうねぇ・・・」
「だがあの馬はあまり人に懐くような馬ではなかったはずなんだ・・・それほどまでにミナズキを気に入ったのか・・・」
振り回されるミナズキを他所に2人は羊を誘導し始める、その後2人は集落まで羊を連れていきその間ミナズキは老馬に振り回されながら近くを行ったり来たりしていたのだった。
集落───
「なに?シャルがトーマに贈り物を?」
「あぁ、そのためにトーマの好きな色を知りたいんだそうだ」
なんとか老馬から降りたミナズキはゼンダー門での出来事をガイウスに話す、するとガイウスはなにか思い出したかのように口を開いた。
「そういえばシャルとトーマはオレがトールズに行く前から仲が良かったな・・・」
「ここからゼンダー門までかなり距離があるが関わりがあるものなのか?」
「あの辺りにシャルと同年代はそうは居ないからな、周りが兵士ばかりで寂しくないようにトーマを連れていった事があるんだ」
「なるほどな」
ミナズキにとってはあまり馴染みのない感覚ではあったがガイウスの言葉にそういうものだと自身を納得させた。
そして遠目に見える馬の世話をしているトーマを見ながらミナズキは問う。
「結局トーマの好きな色ってなんなんだ?」
「手伝ってくれるのか?」
少し驚いた顔のガイウスにミナズキは少し考える、ラカンに言われた言葉をそのまま伝えるのもどうかと思ったのだ、そしてしばらく考えてミナズキは返した。
「放牧を手伝わせてもらった返しとでも思って欲しい」
そうしてミナズキはトーマの元に静かに歩いていった。
「トーマ、精が出るな」
「あ、ミナズキさんどうかしましたか?」
「いや特には無い・・・そういえばトーマは授業に参加してないのか?」
ふと気になりミナズキはトーマに言う、今の時間は特別授業のはずだ、少なくとも集落に着いてからリィンたちを見たがまだ子供たちと話しているのが見えていた、そのためミナズキはまだ授業中と思っていた。
「あぁ、授業自体は終わりました。今は自由にリィンさんたちに質問とかをしているみたいです」
「そうだったか・・・リィンたちも大変かもな」
トーマに返されてミナズキは頷いた、昨日の夕餉の際にリリたちの好奇心の高さはなんとなく分かっている。今頃リィンたちはその好奇心による質問の嵐を真っ向から受けていることだろう。
「トーマは今は馬の世話を?」
「はい、オレの仕事で毎日やってます。大変ですけど馬たちも懐いてくれて楽しいですよ」
「何故か俺が乗ったあの老馬は暴れ馬だけどな・・・」
「でもミナズキさん凄いと思いますよ、あの馬基本的に人を乗せようとしないんです」
「それガイウスにも似たようなこと言われたぞ・・・」
当たり障りのない会話をしながらミナズキはトーマに好きな色を聞くタイミングをはかる、いきなり『好きな色はなんだ?』なんて聞いても困惑するだろうし自分もそんな聞き方されたら不審に思う。
「この馬たちも毛並みが良いよな、トーマの世話の賜物か」
「ありがとうございます、毎日欠かさずに洗ってあげてご飯をあげてます、ストレスがかからないように気をつけてみてるんです」
「そいつは凄いな・・・そういえばこの馬たち栗毛だけじゃなくて芦毛の馬もいるな」
「はい、元は野生の馬だったりする馬もいるので毛の色は色々といるんですよ」
「野生からか、なんというかいまいち想像がつかないな・・・」
したい話としている話がどんどんズレてはいるがミナズキはそれでもなんとか色を聞くように考えた。
「しかしここは良い所だ、俺の出身はノルティア州の方なんだが街の方に行くとどんどん緑が減るんだよ、近代化なんて言う奴もいるけど俺は自然がある方が好きだ」
「緑が減る、ですか?」
「あぁ、代わりにゼンダー門のような鉄やレンガの色や大理石とかの白、夜になると街灯が点くからオレンジとかもあるな」
「あんちゃんもそういう所にいるんですよね・・・なんだか気になります」
「いずれ機会があれば訪れてみてくれ、必要なら案内もしよう」
「ありがとうございます!」
まずい、まずいぞ。とミナズキは心の中で頭を抱えた、どんどん話が脱線していくのだ、馬の毛の色で少し近づいたと思ったら街の話になってしまった。トーマ自体は楽しそうにしているから良いが聞きたいことを全く聞けていない、チラリとガイウスの方を見るといつの間にか合流している他のⅦ組、リィン、アリサ、ユーシス、レナと一緒におり、経緯をガイウスから聞いたのか皆苦笑いや困った顔、呆れた顔でミナズキを見ていた。
もう良い、多少怪しまれようが関係ない、と少しやけっぱちになったミナズキはトーマに言った。
「色、と言えばなんだが・・・トーマはその、好きな色はあるのか?」
「好きな色・・・ですか?」
ミナズキは少しぎこちない聞き方をしたがトーマは特に気にした様子は無く、すぐにうーんと考えその後答えを出した。
「緑ですね、緑はオレたちノルドにとって風の色でとても特別な色ですから」
「・・・・そうか・・・!」
ミナズキは心の中でガッツポーズを取ったのだった。
ゼンダー門、食堂───
「そうですか、トーマの好きな色は緑・・・ありがとうございます、皆さん」
「いや、シャルの役に立てて良かった。これからもトーマと仲良くしてやって欲しい」
トーマの好きな色を聞けたシャルは教えてくれたガイウスに礼を言う、ガイウスも笑って返し他のⅦ組、というよりミナズキ以外はガイウスの後ろからシャルに微笑んでいた。
ちなみにミナズキはというと───
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
「ミナズキ・・・そろそろあの馬をなんとかしたまえ、このままでは君だけ先行したり暴走して行動に纏まりがないからねぇ」
「文句は・・・あの馬に言え、絶対人間の言葉解ってるぞあいつ」
レナの呆れた声にミナズキは息も絶え絶えに答える、老馬と心を通わせられるのはまだまだ先のようだった。
ご拝読ありがとうございました。
次回でカメラマンを保護に行かせようと思います。
次話もよろしくお願いいたします。
感想、評価出来ればよろしくお願いいたします。
原作3章を終えた後の自由行動日の予定に少し迷います。なのでアンケートを取らせていただきますよ。
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そろそろリィンに合流してあげて・・・
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レナ「さて、お出かけだー!」
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マローラ「図書館にご用でしょうか?」
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ミナズキ「たまには1人で帝都行くか」