英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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ご拝読ありがとうございます。
仕事が忙しくなってきました。
ゆっくりと更新します。


66.調査開始

 

現在ミナズキたちは監視塔に向けて馬を走らせていた、そんな中ガイウスがミナズキに声をかける。

「ミナズキ、ありがとう」

「ん?なにが?」

「あの時お前が中将を説得してくれなかったらオレはノルドの為になにも出来なかったかもしれない、だから本当に感謝している」

「・・・・はいやー!」

ガイウスの直球の感謝の言葉にミナズキは顔を逸らすと自身の乗る老馬ブレイザーにもう少し速く走るように促しそのまま前に出ていく。その様子をⅦ組の面々は少し笑いながら見ていた。

「あれは・・・」

「照れているねぇ、確実に」

不思議そうな顔をしたガイウスにレナが捕捉をした、ノルドに来てからのミナズキは本当に表情が豊かになったとⅦ組は感じていた。

特にゼクスを説得した際には驚いた、以前パルムに行った時は表情には出しても言葉にはしなかった事をちゃんと声に出していたのだから一緒にパルムに行ったガイウスとユーシスはその成長に驚いていた。

「多分だがミナズキなりにノルドを守ろうとしてるんだと思うよ、子供たちと約束もしたみたいだからねぇ」

そう言うとレナは自身も馬を速く走らせミナズキに追いつくと話し始める、ガイウスたちには2人の会話は聞こえないがレナの話にミナズキが頷いているのが分かる。

「なんというか素直じゃないわね」

「まったくだ・・・」

「(多分ミナズキも2人には言われたくないんじゃないだろうか・・・)」

やれやれといったふうに笑うアリサとユーシスだったがそれがブーメランである事を言わないようにリィンは心の中でグッと堪えるのであった。

 

 

帝国監視塔───

 

「これは想像以上に酷いんじゃないかい・・・?」

「元の形は知らないが・・・かなり酷い砲撃を受けたみたいだな」

「酷いな・・・」

驚いた表情のレナ、元の状態は知らないもののそこらの瓦礫や大きく穴の空いた監視塔を見て夜中の砲撃の酷さを察するミナズキ、何度か訪れたことのあるガイウスも目の前の状況に口を噤んだ。

Ⅶ組の目の前にある監視塔、いや監視塔だったものは半分近くが崩壊、戦車や導力車を駐車していたスペースには瓦礫の山が集められており、少し様子を見ていると中から担架によって運ばれていく重症の兵士がいた。頭を打ったのか包帯を巻かれており、砲撃の近くにいたのか腕や胴体にも酷い傷を負っておりそれでも意識はあるのか導力車に運ばれるまでの間静かに呻いていた。

あまりにも凄惨な姿にアリサは顔を逸らし目を閉じる、他の皆もこの場所で何が起こったのかを改めて認識させられた。

 

 

そうして聞き込みを始めたⅦ組、そのうちにいくつか分かったことがあったため1度聞き込みを止め状況をまとめ始めた。

「とりあえず状況をまとめてみようかな・・・この監視塔が砲撃を受けたのは真夜中午前3時頃、この時実は共和国の施設も同じように砲撃を受けており規模としてはこちらよりも上、ただし帝国側に攻撃した事実は確認されていない、この事からどちらの軍がやったのかという話は全部宙ぶらりんになっているということだねぇ」

「オマケに使われたのはアリサの実家であるRF社の導力迫撃砲だ、これを共和国軍が運用してるとは考えにくい、あっちにはヴェルヌ社があるんだからな」

レナのまとめにミナズキが補足する、そこにユーシスも口を挟んだ。

「もっと言えばこのノルド高原は共和国軍と睨み合いはしているものの他の施設と比べれば政治的な意味は薄く平和な方だ、わざわざこの平穏を破る理由は無いはずだろ」

「以上の事から今回の事件の真犯人は帝国でも共和国でもない第三者・・・だろうな」

顎に手を当てながらリィンもまとめる、しかし1つだけ肝心な事がわかっていなかった。

 

「あとはどこから砲撃されたか、だよな」

「あぁ、これがはっきりしなければ今までの推理は意味をなさない。戦争を止める口実としては弱すぎる」

ミナズキが肩を落とす、ユーシスもそれは同感で腕を組みながら視線を落とす。

その言葉を機に1人を除いて皆一様に悩むがここでレナが口を出した。

「砲撃したであろう場所の目星は粗方でも良いかい?」

その言葉に皆で顔を上げるとレナがニヤリと口角を上げた。そんなレナにガイウスが聞く。

「出来るのか?」

「着弾点がわかっているからね。アリサ、使われた迫撃砲の射程と速度を教えてくれたまえ。ガイウスは高原の風がどれくらい吹くのか教えてくれ、それらの影響を計算すればどこから砲撃したのか粗方のことは割り出せるよ」

そうしてアリサとガイウスに必要な事だけ聞くとレナは地図と周りの景色を何度か往復すると地図に1つ印を付けた。

「うん、この辺りだね」

「え、もう当たりをつけたの?」

時間にしてわずか10秒足らずで印をつけたレナにアリサが困惑気味に聞くとレナは笑いながら答える。

「別にこの程度どうってことないさ、それよりも早く行くとしようか」

そう言って出発しようとするレナにユーシスが聞く。

「1つ聞くんだが、普段のテストでレーグニッツや委員長に負けているのはわざとなのか?」

「いや、最初の10分で全部解いてあとは寝てるだけだよ。間違いに関しては完全にケアレスミスだね」

ユーシスの質問にあっけらかんと答えたレナはさっさと馬に乗る、そんなレナを見てアリサとユーシスが一言。

「なんというかテストでレナに勝って喜んでたマキアスが気の毒に思えてきたわ」

「文字通り住んでいる世界が違うと言ったところか」

そもそもな話、レナとマキアスではテストに対する姿勢が全くといっていいほど違う。マキアスにとってテストは今まで習ったことの集大成でありそれを周囲と競う事、対してレナにとってのテストとは単なる暇つぶしの1つ、という認識なのだ。

それ故なのかレナは今までの人生でテストをまともに受けたことがなかった。元から頭は良かったが難しいと評判の士官学院の勉強ですらレナには退屈に思えていた。

 

「(ま、今はそれほど退屈じゃないがね・・・)」

聞こえていたアリサとユーシスの言葉にレナは心の中で言葉を返す、退屈じゃなくなったのはミナズキに出会ってからだ。

勉強以外にも食事のマナーだって教えた、その度にミナズキは苦戦しながらも実践して日を増すごとにそれらを身につけていった、その様子がレナにはとても充実感を覚えることだった。

だからミナズキが引き篭った時は1日が酷く長く感じて仕方がなかった。

そして今、ミナズキが明るさを持ち始めたきっかけとなったノルドの民には感謝しているしその雰囲気をぶち壊したこの事件の真犯人には内心憤っていた。

「さっさと終わらせて実習を再開させよう・・・」

小さい声でつい口からついて出た言葉にレナは誰にも見えないように苦笑いを浮かべる、そして何時もの表情に戻して馬で追いかけてくる仲間たちに顔を向けて言う。

 

「はっはー!ではちゃちゃっとこの事件を解決と行こうか!」

 




ご拝読ありがとうございました。
やっぱりレナはこうでなくちゃと書きながら思ってました。
次話もよろしくお願いいたします。

まだ直接的な関係は無いんですけど逆質問です。ミナズキは士官学院を卒業したらその後はどうなると思いますか?

  • 遊撃士になって仕事をする
  • 帝国の各地を放浪する
  • なんやかんや身を固めて何処かに定住する
  • 行方不明になる
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